「や……顔、見ないでください……」
「とは言っても、な!」
「ひっ!?」
さらさらの黒髪が乱れ舞い。紅に上気した頬を撫でてやると、恥ずかしげに俯いてしまう。
互いが繋がった場所では、鮮血と精子の入り交じったピンクが、卑猥な音を立てている。
「文香、文香……っ!」
「みないで、みないでください、私、変な顔で、気持ちよくなっちゃって…!」
「文香の可愛い蕩け顔、イキ顔、全部俺だけに見せてくれ!」
「や、やぁぁぁ……」
深夜の事務所に、文香の甘い声が響く。
アイドルとプロデューサーが恋に落ちるなんて、とんだ不祥事なのに。
文香の唇とプロデューサーの唇が触れ合い、そのまま文香に抱き締められ。
「好きだ、好きだぞ!誰よりも好きだ、文香!愛してる!」
「わ…私も、好き、です……っ」
互いの汗の臭いが、より一層欲情を強くする。
最奥で繋がったままプロデューサーの子種が文香に注ぎ込まれ、文学系アイドルは脳が焼けるような絶頂に身を震わせて、そして意識を手放した。
「……ここは…」
文香が目を覚ました時、そこは見知らぬ布団の中で。ほとんど物の置いていない部屋で、布団に寝かされていたのだ。
「起きたか文香。コーヒーか紅茶でも飲むか?」
「あ……プロデューサーさん。ここは…?」
「マンションの一室。俺の部屋だよ」
寝間着のプロデューサーがにこやかに答える。
昨夜の愛に満ちた情交を思いだし、文香は頬が熱くなるのを知覚した。
「文香は、今日は仕事もトレーニングも無しだし、俺も有給を使えって怒られたからな。1日休みさ」
「………はぅ…」
風呂に入っていないことを思い出し、文香が身を竦める。
「風呂なら入れるぞ?着替えは…そうだな、洗濯するから、しばらく俺のシャツでも着ててくれ」
「あ、ありがとうございます……あの」
「ん?」
プロデューサーの寝間着を、文香が引っ張ると事務所で見せるのとはまた違う笑顔が、彼女に向けられ。
「……私、プロデューサーさんと一緒に入りたいです……」
「それは、誘われてると取っても?」
「……」
コクンと、細い首が縦に振られる。
今出せる精一杯の勇気を振り絞った。
「なら、今日は一日文香と一緒だな」
「あ……」
プロデューサーが差し出した手に手を重ね、立ち上がる。
昨夜の交わりを、そして最後に自分が味わった快楽を思い出して、文香は知らず知らずに秘部を濡らしつつあった。