『本日のニュースです』
テレビから流れるキャスターの声を聞きながら、大あくびを一つ。
普段激務に追われるプロデューサーにとて、休みぐらいはある。
『昨日国会にて行われた〜〜』
今日は誰が何の予定なのか、手帳を流し読みしながら、昨夜コンビニで買っておいた菓子パンを食べる。
『多夫多妻制度が可決されました。なお男性は二十歳以上、女性は十五歳以上が対象となり、支援金なども出す方針であり〜〜』
朝食を終えたら何をしようか。
あぁ、雫や拓海の写真集が出てたし、買いに行こうかな。
拓海のやつ、猫が好きだからっていうんで無理矢理に猫耳装備の写真まで撮ったけど、大丈夫かね。
……猫系アイドルも増えたな。
そう言えば、多夫多妻制度が可決されたとか言っていたな。
モテない男がなおモテず、モテるやつだけが正義、みたいな風潮になりかねないから、あぁいうのは好きじゃないんだが。
「……うちのアイドルだと、嫁にするのは………」
理想は家庭的で優しい子。
拓海など理想的だ。
留美さんや愛梨、響子なんかも料理上手だしな。
そう考えると、うちの事務所も人数が増えたなと痛感しちまうな。
最初に凛で、みくが移籍してきて――
いや、よそう。
思い返すだけで日が暮れる。
うちの事務所のアイドルには恋愛沙汰とかそんなにないよな。
みんな俺なんかを慕ってくれて……慕ってくれてるのは嬉しいけど、反面大丈夫かなとも思っちゃうんだよなぁ。
俺なんかより素敵なプロデューサーがいたから、なんて言われないようにしないといけないな。
よし、拓海と雫の写真集を買った後に事務所に顔を出してみるか。
ジュースやお茶の差し入れとでも言えば不自然じゃないだろうし。
今日は……誰がいるっけな?
驚いた顔が目に浮かぶな!
『はい、この時の俺を殴り倒したいですね』
『事務所には行くなと』
『むしろ家から出るなとね』
『なんせ、事務所には……』
『…………いえ、言い訳でした』