「早苗さ〜ん、着きましたよ〜…鍵出してくださ〜い…」  
 
午前0時を目前に控えた都内某所のアパート。ここは最近勢力を伸ばしてきた芸能プロダクションの寮も兼ねている。  
そこに入寮いるアイドル候補生---片桐早苗は、イベント前の祝いとして行われた花見で一升瓶2本を一人で空けるほど呑み、担当プロデューサーに背負われての帰宅となった。  
 
「バッグの中に入ってるから〜…テキトーに漁って〜…あ、サイフに手を出したら折るからね〜、首ぃ」  
 
介抱されている身分で随分な言い様であるが、泥酔状態でも彼女には実際それをやりかねないほどの実力を持っている。  
元・婦警のアラサー新人アイドル。それが片桐早苗の現在の肩書だ。  
駐車違反の車に切符を切っているところをスカウトされ、デビューをした異色の新人だ。  
それでもプロダクションの同期には早苗より年上の新人アイドルが居ると言うのだから、早苗自身が異色というよりプロダクションとそこの担当プロデューサーが異色と言うべきか。  
 
ガチャ…  
 
時刻が時刻と言う事もあり、極力音を立てすぎない音を立てないようにしつつ早苗を落とさないようにするのに必死になりながら、早苗の担当プロデューサーは鍵を解除しドアをそっと開けた。  
いくら「酔い潰れかけた人間を家に送り届ける」という大義名分があるにせよ、この時刻に女性の部屋に上がると言う行為に罪悪感は拭いされない。  
極力急ぎながら早苗を寝床まで運ぶと、間違いを起こす前にそそくさと退散しようとした…のだが  
 
ツイ…  
 
不意に抵抗力を感じると、スプリングコートの裾をつまむように引っ張られていた。  
驚きつつもゆっくりと振り向くと、安堵し切った表情で微笑みを浮かべながら早苗が寝息を立てていた。  
無理やりひき剥がすワケにもいかず、諦念のため息を一つ吐くと男はベッドサイドにどっかりと腰をおろした。  
とりあえず始発に間に合うように携帯のアラームをセットすると、腕を組んで眼を閉じた…  
 
ふと…  
妙な心地よさで意識が呼び戻された…  
 
チュム…チュパ…  
 
水音。しかしそれは洗面台やシンクの方からではない。自分の足元…ありていに言ってしまえば、下半身からだ。そして問題の心地よさもソコから来ている。  
 
「…?!?!?!」  
 
それらの要素から導き出される答えは一つしかないのだが、男はその刺激と水音の発生源を見ると…  
 
「んふ…むぅ…?あ、起きた…?」  
 
いつもの明るい早苗からは想像もつかないぐらいに妖艶な表情で、男に口淫を施していた。  
男が口淫の刺激で眼を醒ましたのを確認し口を放している間も、手淫で絶え間なく甘い刺激を送り続けている。  
その刺激にあわや暴発を迎えかけたが、すんでの所で早苗はその行為を止めて男の絶頂を食い止めている。  
 
「何…してんですか…!!」  
「何って…ナニに決まってるじゃない…。おねーさんに恥ずかしいコト言わせんなっての…。」  
 
手淫を再開すると、早苗は器用に片手でプロデューサーのネクタイを解き、シャツのボタンを一つ一つ外していった。  
 
チュ…  
 
ボタンが外された事により露わとなった鎖骨に、早苗は強く口づけを落とすとそこに色濃い痕をつけた。襟元までボタンを閉じれば隠せるが、ちょっとでもボタンを開けたりすればその痕が見える微妙な位置である。  
しかし男は早苗の手淫に耐えるのに必死で、鎖骨に刻まれた印に気がつくない。  
 
「ね…ベットに座って…?」  
「それよりも…なんで、こんなこと…してんですか…!!」  
 
その一言を発した瞬間、一気に早苗の表情が険しくなった。  
 
「あれ…?俺、今なんかマズい事言いました?」  
「…ここまでやって、まーだわかんないとか…正直少し腹立たしくなってくるわね」  
「はい…って、アデデデデデっ!!」  
「現役アイドルが、自分の部屋に連れ込ませて、酔っぱらった状態を見せてんのに、ナニもしないで帰ろうとした挙句、コートを掴まれたからってそのまま寝るとか…」  
 
男根を握る手に徐々に力がこめられ、根元から曲げられそうな状態になり男の表情が苦悶に激しく歪んだ。  
 
「そんなにお姉さんに魅力が無いとでも?!」  
「わかりました、わかりましたから!!折れる、折れる!!」  
「むしろ折る!」  
「やめてー!!」  
 
…と、色気もへったくれもないやりとりは暫らく続いた。  
 
「あ〜…とりあえず、落ち着ました?」  
「うん、まぁ、そのごめん。ちょっと色々と溜まってたものが噴出して暴走しちゃった。ホント、ごめん。」  
 
あの後、本気で気絶しかかった男を見て慌てて力を緩めたものの、その瞬間の安堵で暴発し、飛び散った白濁液が早苗の顔やら髪やら男のシャツなどに飛び散り、その始末に奔走する事約10分。  
とりあえず、早苗はシャワーを浴びて掛った白濁液を洗い流し、男のシャツは洗濯機に投入された。  
その間に男はコーヒーを用意し、早苗が風呂場から出てくるタイミングを見計らって、淹れたてのアメリカンを差し出した。  
 
「まぁ、据え膳を用意していただいて、それに手を付けようとしなかった事に関しては謝りますよ。だけど、だからと言ってホイホイと手を出せる立場じゃないのはわかってるじゃないですか。」  
「あ〜…いや、まぁ、確かにわかるんだけどさぁ、一応元婦警としては、君にあらぬ疑いをかけたくないと言うか…」  
「…は?え〜と…俺、何か、して、ました?」  
 
全く予想もしてなかった早苗の発言に、男は呆気にとられ思考回路が鈍り言葉がたどたどしくなった。  
すると、早苗は妙に拗ねた表情を見せたかと思うと…  
 
「薫ちゃんを膝に乗せてデレデレしてたクセに…」  
「…はぁっ?!」  
 
話は約10時間ほど前に遡る…  
 
 
 
「せんせぇのおひざのうえは、かおるのとくとうせきなの!!」  
 
 
 
以上、回想終了。  
子供の無邪気な独占欲に嫉妬していたのだとわかると、情けないやら嬉しいやら…といった感じで男は眉間にしわを寄せ、こめかみを押えた。  
一方の早苗は口をとがらせ、ひたすら何か呟いているがかなり小声なうえ、時たま聞こえる言葉を拾うとほとんどがかなり子供じみた言いがかりでしかなかった。  
 
「いや、あのね、早苗さん…?まぁやきもち焼いてくれるのは嬉しいっちゃぁ、嬉しいですよ?でもさぁ、相手を…いや、何でもないです、ハイ。」  
 
言葉の途中で向けられた気配に、男は眼を背け口を噤んだ。  
完全にへそを曲げた早苗に手を焼いているのを実感しつつ、男はベッドに腰かけると…  
 
ポンポン  
 
…と太腿の辺りを軽くたたいた。座れ、と早苗に暗に伝えた。  
 
 
「…」  
「…」  
 
促される形で早苗が男の太腿の上に座って、30分ほどが経った。  
特に何かするわけでもなく、言葉を交わす訳でもなく、ベッドに腰かけた男の膝上に早苗が座ってる。ただそれだけである。  
この間、2人は何か言葉を発してもいないし、視線を交わしたりもしていない。本当にそれだけ。それが妙な気まずさを作り出していた。  
 
「…ねぇ。」  
「…なんでしょう?」  
 
それからさらに15分。遂にしびれを切らせた早苗の方から声が掛けられた。  
 
「あんまり言いたくは無かったんだけど…良い?」  
「あ〜…どうぞ。」  
 
その妙に含みを持たせた言い方から、男は早苗が何か言いたいのかすぐに察したが、あえてその先を聞いた。  
そして早苗からかけられた言葉は…  
 
 
「当たってるんだけど。」  
 
予想通りの一言だった。  
実のところ、早苗を膝に乗せて割とすぐに反応があったのだが、早苗の方から何も言ってこなかったのであえて無言を貫いていた。  
が、どれだけ時間が経っても落ち着くどころか硬度が増してきて、遂に早苗から声をかけられたワケである。  
先ほどは月明かりだけでよく見えなかった、容姿にそぐわぬ早苗の双丘が肩越しからはっきりとそのボリュームが視認出来るようになった為の反応だった。  
 
「…で、言い訳ぐらい聞いてあげるけど」  
「言い訳なんてありませんよ。」  
 
そう呟くと男は早苗を後ろから抱きかかえ、うなじに唇を落とした。  
 
「ん…、なぁんだ。別にそーゆー趣味じゃないんだ。」  
「結局疑ってたんじゃないですか…。俺、どっちかと言えば、早苗さんのような人がどストライクですから…」  
 
今度は肩のあたりにそっと口づけると、腰に回してた手をそっと早苗の双丘をしたから支えるように持ちあげた。  
愛撫は少しずつ過激さを増し、胸の頂と淫裂を強く弄り始めると早苗からは徐々に押えきれない嬌声が出始めた。  
 
クチュ…グチュゥっ…  
「ん…ふぅん…ぁ…んちゅぅ…んむ…」  
 
肩越しに口づけあうと、溢れだした涎が早苗の胸を濡らし、それが潤滑油となり愛撫はより激しさを増し分泌された淫蜜は男の膝まで激しく濡らした。  
淫裂を弄る手はより深くへと侵入し、早苗の膣内は男の指を軽く締め上げた。  
 
ギシ…  
 
早苗の身体がベッドにうつ伏せになるようにひっくり返されると、男の熱く滾った陰茎が淫らな音を立てて早苗のソコに宛がわれると…  
 
グヂュゥっ…  
「ふぁっ…」  
 
無遠慮な強さで一気に最奥まで打ち込まれた。  
男の身体が早苗の程よく閉まった臀部へと打ちつけられると、部屋中を濡れた音と快感に溺れる嬌声と色欲を促す淫臭が支配した。  
 
ブチュン!グチュン!!  
「ふぃっ…ひぃあああぁっ!!」  
「ぐっ…ふぅっ!!」  
 
男の動きに次第に忙しなくなり、早苗の嬌声が一際濃い艶をたたえ始めた。  
絶頂が近くなってきたようだ。  
その瞬間を迎えるべく、早苗の締め付けがより一層キツくなり男の欲望に最後のとどめを刺しにかかる。  
 
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ…ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」  
「ぐぅっ!!」  
 
ずるぅっ!!びゅく、びゅるんっ!!  
 
最後の一瞬、早苗の締め付けを何とか抜け出したが、その刺激で男から先ほどよりも濃さも量もケタ違いの白濁液が迸り、早苗の臀部から肩を栗の花の匂いをぶちまけた。  
 
「…けっきょく、あれから一睡もしなかったね。」  
「…そっスね。」  
 
壁際に寄りかかるように二人はベッドの上で足を放り出していた。  
あの後、更に早苗の口内に一回、膣内にも二回精を放ち、お互い落ち着いた頃には窓の外がかなり明るくなっていた。  
始発までは若干ある。男は早苗を抱き寄せると、再び胸への愛撫を施そうとしたが…  
 
ペチ  
 
その手を軽く叩かれ阻止された。  
 
「気持ちはわかるけど、流石に着替えないとマズいでしょ、お互い。」  
 
名残惜しそうな表情をした男にそう諭すと、一つ軽い口づけを交わし、早苗はシャワールームの湯沸かし器の電源を入れた。  
 
「とりあえあず、軽く浴びるだけでもしたら?流石にそんな臭いをさせて電車に乗るわけにもいかないでしょ?」  
「すんません。お言葉に甘えさせていただきます。」  
 
早苗からバスタオルを受け取ると、男は一人シャワールームに入り、まとわりついた汗やら愛液やらを洗い流し始めた。  
しかし、しばらくすると…  
 
ガチャ…  
 
髪を洗っている男の背中に柔らかい物が当てられるの感じられると、再び嬌声と肉が打ちつけられ合う音が早苗の部屋に響き渡った。  
 

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