都内某所の一角、一見大きめの住宅にも見える建物。
しかしそのメールボックスには○○寮という文字が掲げられており、某アイドルプロダクションの管理するここでは距離等の都合で実家から通う事の難しいアイドル達が仲良く集団生活を営んでいる。
時刻は日も沈みきった夜更け。その一室で、部屋の主である佐城雪美は耳を済ませて他の誰もが眠りについた事を確認する。
暖かなベッドの中で体を丸めて両の手をそっと下着の中へと差し入れる。
膨らみかけてきた小ぶりな乳房の先端へと指先を伸ばす。
柔らかな脂肪の先から伝わる肋骨の感触。更にその先にある心臓はこの先に起こる事への予感に鼓動を速めていた。
指先を使って小さな乳首の先端を撫で擦り、手の平を使って胸全体に柔らかく刺激を与えていく。
「はぁ……ぁ……」
徐々に吐息が熱を持ち始める。
左手はゆるゆると動かしたまま右手を持ち上げて指先を口に含み舐めあげ、唾液を付着させたその指を下半身へと伸ばしていく。
ショーツの上から二度、三度とゆっくり秘裂に沿って動かす。
「……ぁ……」
新たな刺激に漏れ出そうとする声を必死に噛み殺す。
秘所から愛液が滲み出てくると手を下着の中へ滑り込ませ、未だ生え揃わぬ茂みの奥に指を1本だけ差し入れる。
指が鬱血するほどに強く締め付けられる。
異物感と快感を感じながら幻の声が耳元で囁く。
いけない子だ。こんなにいやらしい事をして。
羞恥と背徳も快感を高めるエッセンスにしかならない。
指の動きを少しずつ激しくしていく。
膣内の肉壁をなぞる。
肉芽を包む皮を剥いてそっと触れてみる。
刺激が電流を流されたように全身を走り抜ける。
今触れているこの指はあの人の物なのだと自分に言い聞かせる。
幻の声が具体制を帯びて愛の言葉と責めたてる言葉を交互に囁く。
指の動きは更に激しくなり、愛液は水音が聞こえるほどに溢れだしてくる。
絶頂が近い。
指をもう1本差し入れてかき回し、肉芽をつねり上げると言葉にならない一際強い刺激と共に意識が白く染まり、
雪美は達した。
荒い息をついて事後特有の倦怠感と僅かばかりの空しさの中に身を横たえていると、カタンという小さな物音。
誰かに気づかれただろうかと慌てて音の方へと顔を向けると、暗闇の中に光る金色の瞳が雪美を見つめている。
そうしてお互い見つめあった後、その瞳の持ち主は興味なさげに小さく欠伸をすると尻尾をパタンと揺らし再度の眠りについた。
安堵の息をついて窓の外に目を向けると白い欠片が見える。
積もる事の無い、朝になれば消えてしまうであろう雪が人知れず降り始めていた。