アイドル:新田美波  
シチュエーション:楽屋、アイドル衣装  
 
 コンコン、と扉がノックされると、俺はソファに座ったまま背筋をびくりっ、と震わせた。  
 
「新田さーん……あれ、プロデューサーさん、新田さんは?」  
「あ、ああ……ちょっとトイレに行ってます……ッ」  
「そうなんですかー……本番まであと1時間を切りましたんで、ぼちぼち準備の方、よろしくお願いします」  
「は、い……分かりました。伝えておきます」  
 
 ソファに座ったまま身体を捻れば、扉から半身を覗かせる音楽番組のADがきょろきょろと部屋の中を見渡す。  
 新人アイドルらしい簡素な部屋の中に、そのアイドルを探したのだろうが、ADの視界には映らなかったらしい。  
 少しばかり残念そうなADの溜息に引くつく笑顔を作りながら、彼の姿が扉から見えなくなると、俺は途端に安堵の息をついた。  
 
「んぶっ……ちゅろっ、んちゅっ、んんっ」  
「はぁ……ばれるかと、んっ……思った……。やっぱり楽屋でこんなことするのは不味いって、美波」  
「れるっ、んっ……んふっ、ちゅぷっ、らいひょーふれふひょ、ふろひゅーひゃあ。はぁ、んっ、むんっ」  
「そんなことは言ってもだな……ADさんが部屋の中に入ってきたらばれてたぞ、絶対……」  
「ふふ……ん、ちゅっ。ばれたら、ADさんと一緒に3人で楽しめばいいだけじゃありません?」  
「それだけは駄目だ……いや、俺が嫌だ」  
「うふふ……だから好きですよ、プロデューサーさん」  
 
 ちゅっ。  
 そう軽く俺にキスをした美波――新人アイドル、新田美波は再びソファの影に隠れるように跪く。  
 すでに着替えられていた彼女のアイドル衣装は水着の上からスカートと上着を着るようなタイプのものだが、彼女自身のスタイルや表情から、実にエロいと評判だったりする。  
 その例に漏れず、ソファの影――ソファに座る俺の脚の間に顔を出すようにした彼女の胸元が実にたわわに揺れて、俺はゴクリと唾を飲み込んだ。  
 
「あはっ……プロデューサーさんのここ、また固くなってきましたよ……エッチ」  
 
 ふぅ、とかけられた吐息の熱さと彼女自身のエロさ、そしてその劣情を誘うような視線に、つい俺の――彼女自身が引っ張りだして、ADが来た時にも咥えて濡れていた俺の肉棒が、ひくんっ、と反応してしまう。  
 その様が嬉しいのか、瞳を輝かせながらにっこりと笑い、肉棒にキスを落とされて理性の外れたままに肉棒がさらに大きく、固くなっていく。  
 その肉棒に舌を這わされて、その竿の部分を唇で刺激されて。  
 露わになっているカリの部分にれろっ、と舌の感触を覚えた俺は肉棒をびくんっ、と震わせながら――込み上がりそうになる快感を必死で我慢しながら、なんでこんなことになっているのか、なんて思考を働かせた。  
 
 とは言うが、話はそれほど難しくはない。  
 そういう関係――肉体関係を結ぶ、恋仲の関係なだけなのだ。  
 大学の恩師に近くに寄った挨拶に行って、つい大学のグラウンドに視線をやって、そこでラクロス部に所属していた新田美波に出会ったのは半年ほど前だった  
 
。  
 整った容貌にすらりとした肢体はどこかモデルのようで、話をしてみればミスコンにも選ばれたことがあるという。  
 そんな少女を、放っておく手はなかった。  
 アイドルとしてデビューしないか、と声をかけて――凄まじく怪しまれた――、アイドル候補生となったのがつい昨日のことのようである。  
 そして、そんなアイドルとして輝こうとした彼女が暴漢に襲われそうになったのも、つい昨日のことのようであった。  
 仕事帰りの彼女を狙った犯行は、たまたま携帯電話を忘れた彼女を追っていた俺に防がれることになって。  
 大学内で彼女に想いを寄せて、その行動が重症化してしまった生徒の犯行であったことは記憶に新しい。  
 そんなこんなで。  
 暴漢に襲われそうだった彼女を落ち着かせるために俺の家でお茶を馳走し、不安と恐怖で震える彼女を抱きしめて、その幼子のように俺を求めてくる彼女に心惹かれて、その場で俺と美波は結ばれることになった。  
 男にモテそうな顔立ちと身体つきなのに、処女であったことには特に驚いた。  
 
 そうして、身体を重ねるような関係になって早数か月、あの時の恐怖が色濃かったからか、それとも、女として愛される喜びを知ったからなのか、美波は貪欲に俺を求めるようになっていた。  
 事務所の仮眠室やシャワー室で、移動中の車内や人の来ない藪道で、そして今回のような番組出演のためにと用意された楽屋で。  
 彼女は俺を求め、俺はそんな彼女の求めに応じていた。  
 アイドルとプロデューサーという禁忌の関係ながらも、交わっている時は、ただ男と女だった。  
 
「ちゅ、んぷっ……ちゅぅ、んっ。れろぉ……はむっ……んちゅ」  
「んっ……美波……」  
「んーっ、んぶっ、んぐっ、んんんっっ」  
 
 口に含んだ肉棒を刺激するために動く美波の舌が、円を描くように肉棒の先端に這わされていく。  
 奥まで肉棒を飲み込んで、舌先でちりちりと肉棒の先にある割れ目を刺激されて、知らず腰が引けそうになるが、美波自身がもっと求めようと顔を動かすのと同時に俺が彼女の頭に手をやって、その髪を撫でながら自身の股間に押し付けていく。  
 少しだけ苦しそうな、美波の吐息。  
 けれど、苦しそうな吐息を漏らしながらも彼女の口に含まれた肉棒が舌で舐め上げられ、その頬肉で包み込まれ、喉の奥で吸われると、腰の奥の方から熱い何かが込み上がりそうになる。  
 そんな快感から逃れるように彼女の頭を離すと、離れる寸前まで肉棒に吸い付く彼女が愛おしくて、俺はその脇に両手を入れて美波の身体を抱え上げた。  
 
「ん……ちゅぅ。ぷろでゅーさーさん、わたし、もう……んっ、ひゃんっ、ひ、ぅッ」  
「確かに、美波のここ……ひくひくしてるな。……そんなに俺のが欲しいのか?」  
「は、ぃ……っ。ぷろでゅーさーさんの、熱くて、んっ、固いのが、ひぅッ、んぁっ、欲しい、です……ッ」  
「……美波。…………痛かったり苦しかったりしたら、ちゃんと言うんだぞ?」  
「はい……んんっ、ふぁぁぁッ」  
 
 抱え上げた美波の身体を、ソファに座ったままの俺の膝の上へと下ろす。  
 美波の唾液と先端から零れる先走りの液に濡れた肉棒が衣装越しに美波の秘所にと当たって、くちゅりっ、と粘着質な水音を奏でる。  
 俺の肉棒からの音だけではない、美波の秘所からのも加えられた水音。  
 その事実に身体の奥から生まれる熱を感じて、快感と期待のままに俺へともたれかかる美波の尻を撫で上げる。  
 尻を撫で上げて、首筋に唇を這わせて――本番前なので痕は残さない――、自身の身体を揺さぶって俺に密着する美波の肌を軽く刺激してやる。  
 その度にひくんっ、ぴくんっ、と身体を震わせて、物欲しそうに上気した顔と瞳を向ける美波に、俺ももはや限界だった。  
 少しだけ持ち上げられた美波の腰に手を這わして、その秘所を覆う衣装を少しだけずらす。  
 むわっ、とした熱気が肉棒へと零れ出て、その先端が秘所へと触れるとにちゅにちゅっ、と厭らしいほどの水音。  
 ずにゅっ、ぬちゅちゅっ、と肉棒が美波の秘所に飲み込まれていくと、先ほどまで口に含まれていた時とはまた違った快感が肉棒を覆っていた。  
 
「は、んっ、ひぁ、はッ、はげしっ、ですッ」  
「そんなに時間も無いからな……激しいのは嫌か?」  
「い、いえッ……ぷろでゅーさーさんに愛してもらうなら、なんでも好きです」  
「そっか……うん、きつかったら言えよ……もっとも、我慢出来るかどうかは分からんが」  
「はい……は、いッ。あっ、あぁッ、んぁっ、ひぅっ、つッ、んっ、ふぁ、ひゃッ、ふっ、んぅっ」  
 
 ちらっ、と時計に視線をやると本番までほど近い。  
 本番前に会場に入って状況を確認して――その時間から逆計算すると、こうやって繋がっていられる時間はそんなにも無かった。  
 プロデューサーとしてアイドルである美波を早く送り出さなければ、と思うと同時に、男として女である美波をもっと味わいたいと思う矛盾に、ぞくりっ、と背筋が震える。  
 背徳感、そんな言葉が脳裏をよぎる。  
 美波の許可を取り付けた俺は、彼女の腰に手をやった。  
 身長からすれば軽い部類に入る美波の体重は、繋がって快感が身体中を巡っている中でも持てるほどであったらしい。  
 ひょい、と音が出そうなほど簡単に持ち上がった美波の身体を、今度は俺が腰を突き上げるタイミングに合わせて落とす。  
 ずぬっ、にちゅん、ごりゅんッ。  
 にゅちゅっ、ぐちゅんっ、ぐりゅ。  
 にちゃぐちゅっ、ぷちゅんっ、ごりッ。  
 にぐちゅっ、こつッ、ぐにゅちゅ、ぐりッ、ぬぷぱちゅんっ、こつんッ。  
 大きく上下させて勢いよく美波の子宮を肉棒で叩き、リズミカルに肉棒を出し入れしては膣の最奥を突き、美波の膣の奥の方で出来るだけ自身の腰と美波の腰を速く動かして絶え間ない快感を与えて。  
 子宮を肉棒が叩くたびにふるふると震える美波の膣に、俺は彼女の限界が近いことを本能的に悟る。  
 
「美波……そろそろ、いくぞ……」  
「んあッ、ひゃんっ、ひゃ、いッ、ひっ、んぁ、きてっ、ぷろ、でゅぅっ、んっ、はっ、あっ」  
「みな、み……」  
 
 ずっぐちゅんっ、ずっぐちゅんっ。  
 いつのまにかずれていた衣装から張りのある胸が覗いていて、俺の突き上げと美波の動きに合わせてふるふると揺れ動く。  
 その胸に手を這わせて指で乳首を刺激し、別の手で美波の腰を抱いて力強くその膣を犯していく。  
 最奥を思いっきり突かれるたびに美波の膣は嬉しそうに蠢き、その快感が零れ出たのか、ひくんっひくんっ、と美波の身体が震えだす。  
 俺の首に手を回すように抱きつく美波は、もはや嬌声しか発していない。  
 俺から離れないように、俺を離さないように、不安を消し去ろうとするように、俺を求めるように、強く強く抱きついてくる。  
 そんな美波が恋しくて、愛おしくて。  
 俺は、その身体を強く抱きしめながら最後のスパートをかけた。  
 
「ひあっ、ぅんっ、いひゃ、ああんっ、んはぁ、んっ、あんっ、んぅ、ぁうんッ、はっ、いぅっ、あはっ」  
「美波……美波……美波……ッ」  
「んきゃぅッ、ひぁっ、んふっ、きひゃっ、きひゃぅッ、いぁっ、やぁっ、ふかッ、ふかぃっ、ふぁ、ふぁぁ……んんっ〜〜〜〜〜〜ッッッ」  
 
 ごりんっ、ごりゅんっ、と美波の子宮を突きあげるたびに、だんだんと腰の奥底から熱い何かが湧き上がってくる。  
 それが腰を通って精道を抜け、肉棒に急速に溜まりだすのに合わせて、俺はそれまでの動きから一転、荒々しく美波の身体を突き上げる。  
 もう、何も考えられない。  
 そこにあるのはプロデューサーとアイドルの関係では無く、男と女の咽るような情事だけだった。  
 そして。  
 何度目になるか分からないほど肉棒で子宮を突きあげると、一際大きく、びくんっ、と美波の身体が震えた。  
 それに続く膣の細かい脈動に、美波の絶頂が寸前まで来ていると感じた俺は、その波を止める関を外すかのように美波の腰へと自らの腰を打ち付けた。  
 途端、びゅくびゅくっ、と蠢きだす美波の中が俺の肉棒から何かを絞り出すように脈動を始める。  
 そのあまりにも巨大な快感に抗うことは出来ず、俺は美波の中に自分でも驚くほどの精を解き放っていた。  
 
◇◇◇  
 
◇◇◇  
 
「新田さーん、そろそろ会場にいいですか?」  
「あっ、はーい。分かりました、すぐ行きます」  
「それじゃあ、会場までよろしくお願いしますね」  
 
 コンコン、と再び鳴らされた扉に内心ドキリッとしながら入ってきたADに視線を向ける。  
 先ほどとは違う、見た感じ入社したばかりの新人ADみたいな青年は、にこりと笑った美波に顔を赤くして扉から出ていった。  
 
「それじゃあ、行ってきますね、プロデューサーさん」  
「ああ、頑張ってこいよ、美波……ただ、その……身体、大丈夫か?」  
「ふふ……はい、大丈夫です。プロデューサーさんにいっぱい愛してもらいましたから、このぐらいへっちゃらですよ」  
「いや、だから大丈夫かと聞いたんだが……俺がこういうのも何だが、無理そうならちゃんと言うんだぞ? 迷惑かけても、俺が頭下げれば済むことなんだからな」  
「うふふ……そんなプロデューサーさんだから、私、離れられないんですよ?」  
「……?」  
「ふふ……」  
 
 それぞれが溢れださせた体液を拭い取って、美波の身体の中に放った精液も――美波本人は惜しんでいたが――拭い取って、お互いの服装を整えて。  
 身体の熱を冷ますために飲んでいた冷たいお茶を――美波は口移しを希望したが――飲み干して、俺と美波は同時にソファから立ち上がる。  
 散々に美波の身体を弄んで体力を消費させた俺が言うのも何だが、あれだけ激しい性交渉という名の運動をした後にステージ上で歌って踊るなど大丈夫だろうか、なんて思ったりもするが、平気そうに笑う美波に言葉に詰まってしまう。  
 平気そうに笑って、俺の言葉に何故だか嬉しそうに笑って。  
 そして意味深に笑う美波に、俺は疑問を浮かべるしか出来なかった。  
 
 ただ、まあ。  
 
 
「プロデューサーさんがくれたお仕事だから……私、頑張るね?」  
 
 
 上気した顔に溢れる笑顔を見れば、俺としてはその笑顔を信じるほかない。  
 それがその笑顔に惚れてしまった男の弱みか、なんてことを思いつつ、俺は彼女に笑顔を向けていた。  
 
 
(君の笑顔に心を奪われ)  
 
 あなただけじゃなく、きっとそれは、私も同じ。  
 

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