クロノ達がラヴォスを倒してから3年の月日が経とうとしていた。しかし、クロノはラヴォスを倒して
から、すっかり人が変わってしまった。というより、一度死んで、死の山で生き返らせたあのときに、
クロノの内部に何か別のものが芽生え始めたのである。
クロノとマールが付き合い始めてから2年半が過ぎようとしていた。けれどもそれは、クロノの悪癖が
本格的に目覚めてから2年半が過ぎたと言ってもよい。
クロノはマールと付き合いだしてから、何人もの女に手を出すようになった。今となっては、クロノに
抱かれた女の数は足の指の数をたしてもたりない。そして、彼は今現在も定職につかず、毎日フラフラ
と街中の女を集めては、酒を飲み、ギャンブルをして遊びまわっていた。元々、顔立ちも良く、世界を
救った英雄ともなれば、街の女が彼をほおって置くはずがなかった。そして、金が無くなると、彼は容
赦なくマールから金を巻き上げ、彼女を困らせていた。
ルッカはクロノをリーネ広場の奥地に呼び出した。そこは、かつてマールが次元装置で中世の世界へと
飛ばされた場所でもあった。
リーネ広場はもはや千年祭のときのような、華やかさはなく、ただの人のいない公園と化していた。そ
して、今日もまったく人影は無く、木々の中から、蝉の鳴き声だけが聞こえていた。
太陽が容赦なくルッカを照り付け、ジメジメと蒸し暑かった。
ルッカはそこで数分待っていると、クロノがやってきた。クロノはルッカを一目見ると、ふてくされた
調子で言った。
「何?こんな所に呼び出して。俺、忙しいんだけど」
クロノのこの言葉にルッカは腹を立てた。
「『何?』じゃないわよ!あんた、どういうつもり?」とルッカは強い口調で言った。
「マールに『金を渡さなければ別れる』って言って脅したそうじゃない。昨日、彼女泣きながら家にや
ってきたのよ」
ルッカの言葉を聞いているのか、いないのか、クロノはその場に座り込んで何も答えなかった。それ
でもルッカはめげずにクロノに今までの悪事や仕事のことなど長々と説教をした。
ルッカの説教を長々と聞かされ、クロノは苛立ち始めたが、急に何か思いついたように、不敵な笑みを
浮かべた。そして、突然、説教をしているルッカに向かって言った。
「マールのことだけださ、俺はこれでもマールと毎週欠かさずにセックスしてるんだぜ。マールだって
俺に抱かれているときは悦んでるんだ、それのどこが問題なんだ?」
「な、何言ってんのよ!あんたはマール以外の他の女とも―――」
「なに照れてんだよ、ルッカ。もしかして、まだ処女とか?」
とクロノはルッカの言葉を遮りながら言った。
「ひょっとして俺がマールとセックスしているのを汚らわしいとか思ってるの?」
「バ、バカ言ってんじゃないわよ!」とルッカは顔を真っ赤にさせながら言った。
「なんだ、ルッカは22にもなってまだなのか」とクロノは立ち上がって言った。
「まぁ、研究ばっかりやっていたから、無理はないけどさ。けど、俺の気持もわかってくれよ、男は女
とは違って一人の異性との交わりだけじゃ満足できないんだ。科学でも証明されてることだろ? だか
らさ、今から俺と―――」
クロノはそう言うと、不気味な笑みを浮かべルッカに歩み寄って来た。
ルッカは反射的に身の危険を感じた。全身が恐怖で凍りついたような感じだった。そして素早く腰の銃
を取り出し、銃口をクロノに向けた。
「そこから動かないで!動いたら撃つわよ、クロノ」
ルッカの目が怯えきっているのを見てクロノは『撃たないな』とほくそ笑んだ。クロノは銃口が自分に
向けられているのにもかまわず、ルッカに歩み寄った。そして、そのまま彼女の両手を捕らえ、すぐさ
ま銃を取り上げ草むらへと投げ捨てた。
クロノはルッカの両腕を力強く掴むと、そのまま後ろの石壁に押し付けた。そして、クロノは顔を近づ
け唇を奪おうとしたが、ルッカは顔を背けた。
「ちょっ、やめて!クロノ!」
「どうして、俺のこと嫌い?」とクロノは言った。
「今だから言うけどさ、俺、気づいてたんだぜ。死の山でみんなが俺を生き返らせたとき、マールと俺
が抱き合っている目の前で、小声でルッカが『私だって…』って言ったのを。俺、ほんとうはあの時、
ルッカを抱きしめてやりたかったんだ。俺の事を一番心配してくれたのはルッカなんじゃないかって思
ってさ…嘘じゃないよ」
クロノの声は優しく、さっきまでとは違っていた。
クロノの言葉はルッカの胸に突き刺さった。確かに、死の山でクロノを生き返らせたとき、ルッカはマ
ールに嫉妬した。マールが人目も憚らずにクロノに抱きついていったとき、彼女の性格が羨ましいと思
った。クロノに自分の存在を気づいて欲しかった。それで、あんな言葉を呟いてしまった。けれど、あ
の時から、ルッカはもうクロノをあきらめかけた。相手がマールなら仕方がないと思った。マールは王
国のお嬢様だし、自分の良き友人でもある。それに、顔も性格も自分とは比べ物にならないほど可愛い
かった。自分は眼鏡をかけた科学オタク、勝ち目はなど最初からなかったのだ。そう自分に言い聞かせ
てこれまで生きてきたはずだが、クロノの言葉を聞いて、ルッカはいままで我慢してきたクロノへの熱
い思いが甦り、それが溢れ出すと同時に、涙が頬をつたった。
「なによ…今更…そんなこと聞きたくない…」とルッカは首を横に振りながら言った。
クロノはルッカの眼鏡を外し、涙を拭ってやった。そしてもう一度眼鏡をかけ直してやると、
「ごめんね…」と言って、ルッカが油断した瞬間に唇を奪った。クロノは素早く舌を侵入させ、ルッカ
を握っていた腕を離し、服の上から彼女の胸を愛撫した。
ルッカは「やめて」と言おうとしたが、唇が塞がれてうまく言えなかった。
クロノは左手で胸を弄りながら、右手をルッカの股間に移した。スパッツの上から秘部に触れると、ル
ッカは股を閉じて拒んだ。しかし、クロノはそれでも指を器用に使い、ルッカの感じる部分を探り当て
た。そして数十秒もすると、ルッカは脚の力が徐々に抜けていくのを感じ、そのまま尻をついて座り込
んだ。
クロノは唇を離し、自分もゆっくりとしゃがみ、座っているルッカの胸と秘部を愛撫し続けた。
「はぁ…はぁ……ぁ…あぁ…」とルッカは甘い吐息を漏らした。
クロノの恐るべきテクニックでルッカは初体験にも関わらず感じていた。そして顔の頬を赤くさせなが
ら哀願するように言った。
「お願い…もう、やめて…クロノ…あぁ…ぁ」
「なに言ってんだ、このままじゃ一生処女になっちまうぜ」
そう言うと、クロノはルッカの腰のベルトを素早く外し、服を捲し上げた。彼女の形の良い乳房があら
わになり、クロノはそれに舌先で軽く触れた。ルッカは夏の暑さで身体中汗ばんでいて、乳房は汗の味
がした。幼なじみにこんなことをされている羞恥心がルッカを襲った。そして、下半身を愛撫していた
クロノの右手は、直接彼女の中に潜り込み、更に激しく摩った。
「あっああ…はぁ…あっあっああああ!」
ルッカは今までにない、未知の快楽に悶絶した。口元は半開きになりピクピクと震え、その奥には唾液
が溜まっていた。
ルッカの感情はマールへの罪悪感と、年下の幼なじみいいように扱われている羞恥心と、そして何より
も自分がこの快楽に呑まれそうな本能の狭間にいた。
「ダメッ…はぁ、はぁ…お願い…クロノ、もう、これ以上はヤメテ…」とルッカは肩で息をしながら、
必死で言った。
ルッカは両手でクロノの右腕を掴んでいたが、力はまったく入っていなかった。
クロノはルッカの言葉を聞いてもいっこうに辞める気配を見せず、その激しさを増すばかりであった。
そしてルッカもやはり、クロノに何を言っても無駄と悟ったのか、心の中は罪悪感や羞恥心よりも、快
楽を望む割合が高くなっていった。そして、自ら、クロノが愛撫しやすいように身体を傾けたり、股を
開いたりした。
クロノはその動きを見ると、ニヤリと笑い、ルッカを逝かしてやろうと決心した。そしてクロノが今
まで数々女を悦ばしたテクニックをフル活用した。そのたびにルッカは激しく喘ぎ、悶えた。
「はぁっ……あああああっ!」
ルッカはこれまでに見せたこともないような、恍惚とした顔で絶頂を迎えた。