何が何だか分からないままセルジュはそれでも
逃げなければ、と思ったが、思ってみたところで
どうしようもないことくらい薄々分かっていた。
目の前で妖艶に笑うキッドの眼が
獲物を狙う猛獣の眼にそっくりだったから。
すらりとした細身に長い手脚、くびれた腰と小ぶりな胸に、
細い指、その先を彩る女の子らしい丸みを帯びた爪、
それらが彼女の身体の脆さとしなやかさを描いている。
完璧なバランスで混ざり合ったその二つは、きれいだった。
美しい、といった方がいいかもしれない。
セルジュが無意識にゴクリと喉を鳴らせば、
彼の腹に馬乗りになったキッドが意地の悪い笑みを深めた。
「なんだよ、セルジュ。お前もうデカくしてんじゃねーか」
後ろ手にセルジュの股間を片手で弄ったキッドは、
体験したことのない状況で既に勃起していた彼の逸物を、
薄い尻を押し付けてキッドは圧迫した。
セルジュはうう、と呻きながらキッドの細い腰を掴む。
なんとか彼女の下から逃げようと
もがいてもセルジュの体はキッドの太ももで
ガッチリと挟まれてしまっていた。
力加減を間違えてしまうのが怖くて結局、
セルジュの抵抗は腰を左右に振るだけに終わる。
大した抵抗はされ