龍の涙を持って、ヤマネコの姿をしたセルジュは古龍の砦最上部へと入っていく。  
以前に見た台座へ、龍の涙をセットする。  
途端に青い光が吹き出し、部屋を青く彩る。まるで海の中にいるようだった。  
いや、海の中に本当にいるのかも知れない。視界が揺らめく。  
思考が速度を合わせる前にヤマネコの身体は原子に還元し、セルジュの身体へと再構築される。  
混沌とした意識が整理されかけた瞬間、硝子の子宮は音を立てて砕けた。  
先程まで自らを包んでいた羊水とともに、セルジュは吐き出される。  
水たまりに手をつくと、そこには確かにセルジュがいた。  
 
ただ、問題なのが━━服がない。  
全裸の、まさに生まれたままの姿だった。  
取り敢えず何か貰おうと考えた矢先、  
「セルジュ!」  
龍の巫女、スティーナが入って来た。  
「わぁっ!」  
セルジュは背を向け、股間を隠す。  
だが、スティーナは気にした風もなく近寄り、  
「大丈夫ですか?身体の不具合などありませんか」  
恐らく無いと思われるが、不具合な状況は起き始めていた。  
(勃ってきちゃった………)  
「セルジュ?」  
「へっ……」  
振り向くと同時に、覆いからソレが飛び出す。  
「セルジュ、それはまさか……」  
 

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