ジュラル星人の艦には、その底に牢が用意されている。  
 魔王が乗る母艦の牢に捕らえられていた唯一の男は、本来裏切り者として殺されるはずだった。  
 だが「とある役割」を担った為に、殺されないで済んでいるのだ。  
 「おい、J‐7号」  
 かつての同胞が、迎えにやって来た。  
 裏切り者、J‐7号は一度ちらりと声の主を見て、すぐに目を伏せる。  
 「時間だ。出ろ」  
 濁った緑色の巨大な一つ目が、牢の鍵を開けながらJ‐7号を睨み付けていた。  
 さっさと歩くように促されて、J‐7号はいつものあの場所へ足を向けた。  
 他のジュラル星人達は出払っているらしく、まるで気配を感じない。  
 足音だけを響かせて歩いた先に辿り着いたのは、魔王の部屋だった。  
 J‐7号はゆっくりと、部屋へ足を踏み入れる。  
 ドアがスライドして、広く大きな、牢とは真逆の空間が目の前に広がった。  
 その中心には、地球人のものであるはずの「ベッド」が置いてあるではないか。  
 広い部屋の中心に投げ出されたかのように配置されたそれは、実に不自然であった。  
 しかしJ‐7号はそれを何とも思わず、ベッドへと歩み寄っていく。  
 何とも思わなかった、というより、慣れてしまったのだ――この特異な空間に。  
 「J‐7号」  
 甘く可憐な少女の声が、ベッドから男を呼んだ。  
 不自然なベッドの上に、藤色の巻き髪の美しい少女が横たわっている。  
 一糸纏わぬ姿を惜し気もなくさらして、少女はJ‐7号を見つめていた。  
 「魔王様…」  
 魔王と呼ばれた少女は、ベッドの傍らに立ったJ‐7号の厚い胸板を愛撫する。  
 「さあ、今日も始めて」  
 「……わかりました」  
 そう言いながら、J‐7号は牢生活で薄汚れてしまった衣類を全て脱ぎ捨てた。  
 がっしりとした筋肉質な体がベッドに乗りかかって、少女の体を力強く抱きしめる。  
 それから、魔王の首筋に唇を這わせて、右手で乳房の突起を弄った。  
 「あ、んぅっ……うふふ…」  
 軽く押し潰したり、指で挟み込んだりして刺激を与えてやる。  
 その一方で首筋を濡らす舌を、耳の裏や耳たぶに持っていって、たっぷり唾液をまぶした。  
 「私だけの可愛い性奴隷……どんどん私の体がわかってきたようね」  
 男の広い背中を嫌らしい手つきで撫で回しながら、魔王が独り言のように紡ぐ。  
 
 J‐7号は聞こえなかったふりをして、ひたすら行為に夢中になっている演技をした。  
 ――裏切り者、J‐7号は魔王の性欲を処理する「性奴隷」として生まれ変わったのである。  
 「J‐7号、もっと激しく…」  
 「はい。魔王様のお望みのままに」  
 甘えた声でねだる少女に、愛のない淡々とした口付けをしてから、小さな胸を揉み回す。  
 あえて成長期の少女の姿を選んで擬態した魔王に、変態的な何かを感じるほど、その体は未熟だった。  
 片側の乳首を甘噛みし、もう一方の乳首はさらに強い勢いで摘みあげて、回してやる。  
 が、誤って、乳首にガリッと深く歯が食い込んでしまった。  
 「つっ! 何をしているの、下手くそ!」  
 妖艶で余裕だった表情をたちまち怒りで歪ませ、魔王はJ‐7号の頬を張り飛ばした。  
 「く、……も、申し訳ございません…」  
 「たまには好きなようにさせてやろうかと思ったけれど、やめたわ」  
 そう言って、魔王はJ‐7号の体を突き飛ばした。  
 抵抗する気のないJ‐7号は、そのままボフンとベッドに倒れ込む。  
 「やる気もないようだものね、J‐7号…あんな適当なキスして!」  
 「うっ!」  
 どうやら見透かされていたらしく、魔王は大変腹を立てた様子で、容赦なくJ‐7号の頬をビンタした。  
 手の平で、手の甲で、繰り返し繰り返し痛みを浴びせてゆく。  
 するとJ‐7号の一物が、ゆっくりと勃ち上がってきたではないか。  
 「うふふ…叩かれて感じているの? 変態ね、あなた!」  
 半分ほど勃起した赤黒いそれを、魔王はぎゅっと思いきり握り締める。  
 「う、く!」  
 痛いと感じるほどの刺激すら、J‐7号にとっては快感であった。  
 この少女の姿をした恐ろしい存在が、彼をそういう体にさせたのだ。  
 魔王の細い指がJ‐7号の陰茎にねっとりと絡み付いて、揺さぶるように上下に動く。  
 「んっ…! ハァ……ハァ……」  
 竿全体への刺激だけでなく、ぐにぐにと亀頭を親指で刺激されては、情けない声も漏れよう。  
 「まあ、J‐7号、なんてだらしのない声…」  
 「ま、魔王様…」  
 苦しげに切なく喘ぐ男を許してやろうと思ったのか、魔王が一気に手の動きを速める。  
 「ハッ、ハッ、ハァッ…!」  
 男の息遣いが、どんどん荒くなっていった。声が上擦り、絶頂が近付いてくる。  
 今まさに、熱い液体が肉棒から放たれようとした時だった。  
 
 「ん、んっ!?」  
 出るとばかり思っていたJ‐7号の竿は、その熱いものを中に留めて震えたままだ。  
 「ふふ、ふふふ、あはは…!」  
 残酷なまでに美しく、愉しそうな笑い声を響かせて、魔王がJ‐7号の顔を見る。  
 裏スジを魔王の指がキツく締め上げて、射精を遮っていたのだった。  
 「く、くぅっ……」  
 「出したい? 出したいでしょう?」  
 赤い唇がにやっと吊り上がる。射精を許されない一物に、甘い息が吹き掛けられた。  
 「この指を離して欲しいなら、こう言うのよ…」  
 ――私は叩かれて感じる変態です、とね。  
 恐ろしい言葉が、とびっきりの艶かしい表情と共に放たれた。  
 哀しいかな、その言葉がまた媚薬のようにJ‐7号の体に響き、全身が性感帯のようになる。  
 ぶるぶる震えるJ‐7号の乳首を尖らせた舌先でつついて、  
 「言わないの?」  
 と、少女は挑発した。  
 言ってしまったら、もう自分は二度と理性を取り戻せないとJ‐7号は感じていた。  
 かろうじて残る自尊心が、意志が、綺麗に消え去って、完全な性奴隷になってしまいそうなのだ。  
 唇を噛み締めて、快楽の波が過ぎ去るのを待つ。  
 ところが、だ。  
 「う、あっ!」  
 魔王がぱくんっ、と亀頭を口にくわえたと同時に、耐えてきた声が出てしまったのである。  
 その瞬間、J‐7号の中で、ぷつんと何かが切れてしまった。  
 「情けない声ね、J‐7号。おねだりしてもいいのよ?」  
 魔王もJ‐7号の変化を見逃さず、さらに言葉で弄ぶ。  
 体全部をびくつかせながら、J‐7号は呻くように言った。  
 「お……お願いします、指を……指を、離して下さい…」  
 「あら、違うでしょ。何と言うのだったかしら?」  
 「わ……………わっ…」  
 「なあに?」  
 「私は、叩かれて感じる変態…です…ゆ、指を……!」  
 涙目の訴えと共に、指に込められた力が弱まり、いとも簡単に離れてゆく。  
 留められていた白い液体は噴射されることもなく、だくだくとゆっくり出てきた。  
 精液が先端から竿を伝い、だらだら流れ落ちてゆく様子に、魔王は喜びを隠し切れない。  
 「変態さん、よく我慢したわね。良い子よ…」  
 一度の射精でほんの少し柔らかくなったペニスに付着した、白い液体を優しく舐めとる。  
 
 まるで自分の体の一部のように自らの男根を自在に扱われることが、J‐7号の興奮をさらに高めた。  
 たちまち硬度を増してゆくその立派なものを綺麗にしてから、魔王は微笑んだ。  
 「我慢した後に可愛がってもらったから、嬉しくなっちゃったのね」  
 そう言って、J‐7号の上に馬乗りになる。足はわざとらしく、大きく開かせていた。  
 ぱっくりと開く割れ目のひだとひだの間に、馬乗りになったことで勃起したまま倒れた肉棒を挟み込む。  
 「次はこうやって、可愛がってあげましょうかしら」  
 性器に挿入させることなく、男自身を挟み込んだ腰を前後に激しく揺らした。  
 「は、あ……」  
 魔王の腰のラインをなぞりながら、J‐7号はため息をつく。  
 「どう? じぇい…ななごっ、あ、ん、ふふっ! 気持ちが良いでしょ、ん、あんっ!」  
 じゅぷ、じゅぷっ、と愛液が鳴っていた。  
 少女は淫らな声をあげながら、擬似的な性交を楽しんでいる。  
 魔王の重みを感じながら、激しく擦れ合う亀頭と陰核の快感で、J‐7号は完全に勃起していた。  
 固く熱いものに愛液を擦り付ける、その心地の良い滑り具合を、女もしっかりと感じている。  
 「J‐7号、J‐7号っ!」  
 目の前でたぷんたぷんっと膨らみかけの乳房を揺らしながら、藤色の髪の少女が男の名を呼ぶ。  
 揺れる乳房を包むように揉みながら、J‐7号は目に流れそうになった汗を瞬きでやり過ごした。  
 大きな掌で、乳首ごと、胸がこねくり回されてゆく。  
 「あん、はっ……、上手よ」  
 魔王は恍惚とした表情でJ‐7号を見下ろしていた。  
 性器だけでなく手も使って陰茎を愛撫すると、強度と硬度を伴ってまた立派になってゆく。  
 「ん……フゥ……ハァ……ハァ…」  
 J‐7号が与えられる刺激に素直になってきたのを感じて、魔王は腰の前後運動を止めた。  
 「ね、そろそろ挿れたいのではなくって? おねだりしてみせてくれる? 私の可愛い奴隷」  
 「はい…、魔王様、お願いです。僕を、あなたの中にっ…挿れさせて下さい…」  
 「まあ、うふふ! 素直で可愛いこと」  
 愛してるわ、私の性奴隷――。  
 こう付け加えて、魔王はJ‐7号の胸板にキスを落とす。  
 それから、自らの秘部を指で広げて、その中身をJ‐7号に見せ付けた。  
 広げられた幼く小さな膣口が、男の肉棒を求めてうごめいている。  
 「さ……中へどうぞ?」  
 
 魔王が少し腰を浮かせると、J‐7号はすぐに下から彼女の穴へ自らを突き入れた。  
 「く、うああっ!」  
 「は、ああんっ! J‐7号っ!」  
 亀頭を入れたかと思うと、魔王自らが深く腰を落として、男根を根元までくわえこむ。  
 「あ、あん、あ、良いわっ、固くて熱くて、大きい!」  
 腰を揺らし、勢い良くJ‐7号を揺さぶって、ぐちゃぐちゃと膣を掻き回す。  
 J‐7号も必死で突き上げるが、魔王の勢いの良さの方が遥かに上だ。  
 先走りの液体が魔王の胎内を溶かそうとするが、無限に溢れるかのような愛液には敵わない。  
 「ん、はっ! あんっ、んあっ! ハァ…ハァ…ああっ!」  
 「く……ハァッハァッ…魔王様っ…!」  
 腰を落とし、浮かし、揺らし、女はしたいがままに男を使う。  
 「あ……イくッ! あ! は! あぁぁぁんっ!」  
 陰核を弄り回しながらJ‐7号の出し入れを繰り返せば、それだけで魔王は絶頂を迎えた。  
 大きなモノで少女を貫いているのは、圧迫しているのは、自分のはずなのに――。  
 性奴隷は、食われているだけに過ぎないのだ。  
 J‐7号を奥へ奥へ飲み込むその様は、まさに食らっていると例えるのに相応しい。  
 小さくもJ‐7号を受け入れられるほどに広がった肉壁は、彼のサイズちょうどで張り付いて締め付けてきた。  
 ぴゅっ、ぴゅっと中で少量の精液が飛び出る。  
 が、それだけでは足りないとばかりに、魔王はさらに強く膣を収縮させるのであった。  
 「あ、あっ、あぁんっ! 熱いの全部……私の中に全部出してぇっ、J‐7号!」  
 少女の甘ったるい声に、堪らずJ‐7号は幼い未熟な尻を掴んで、自分をさらに奥へ突っ込んだ。  
 瞬間、肉棒が爆ぜる。  
 どぴゅっ、びゅるっ、と膣の最奥で男の欲望が放たれた。  
 ごぷっ…、と水音を立てて、入りきらなかった精液が、魔王の穴から流れ出てくる。  
 それをすくって、乳房やへそに塗りたくると、魔王はまたクリトリスをまさぐった。  
 繋がっている箇所をわざとぐちゃぐちゃ鳴らして、ハァハァと喘ぐ。  
 「ああ…すごく良かったわよ、奴隷さん。は、あ、あぁっ、はん!」  
 しゃべりながら、見せつけるように絶頂を迎え、魔王はまたJ‐7号を挑発した。  
 度重なる快楽に理性を失ったJ‐7号は、液体塗れになった魔王の乳房を揉みほぐし始める。  
 「あ、はっ、ん、あ、あっ!」  
 乳輪をなぞり、乳首を爪で摘まみ――。  
 
 奴隷は主の為に一生懸命、女の快楽を探り当てようとしているわけだ。  
 「良いわ、可愛いわよJ‐7号……今日はずっと繋がっててあげる」  
 魔王は満足そうに呟いて、また陰核を自分の指の腹で擦る。  
 膣の中でまた固くなろうとしていた性奴隷を、自らの絶頂によって、可愛がろうと思ったのだ。  
 「あなたの全て…なくなってしまうまで、こうしていましょうね」  
 この場に似つかわしくない優雅な笑みで語りかけると、J‐7号は少し微笑んで頷くのだった。  
 ――かつてJ‐7号と呼ばれていた男が、完全な奴隷に成り下がった日のことである。  
 
 
 
 終  
 

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