雄一少年は驚きを隠せなかった。  
 放課後、誰もいない教室へ先生に呼び出されたと思ったら、まさかあのことを話されるだなんて――。  
 「あなたが放火を続けてたこと、先生は知っているんですよ」  
 責めるように、しかし冷淡に非情に、渚先生は言い放った。  
 なぜ知っているのだろう?  
 雄一少年は戸惑った。あれは、研君とキャロンちゃんと、そして僕だけの秘密なのに。  
 「今日は雄一君に、先生が罰を与えます。覚悟するように」  
 「ば、罰…!」  
 その言葉を聞いて、たちまち雄一少年の目尻に涙が浮かんだ。  
 「せ、先生、お願いします、許して下さい…。僕、苦しかったんです」  
 「………」  
 渚先生は冷酷な目つきで、雄一少年を見下している。  
 その恐怖も見ぬふりをして、雄一少年は続けた。  
 「パパもママも、僕に辛く当たるんだ。それで、幸せそうな家を見ると、僕…」  
 「何でもしますか?」  
 「えっ?」  
 「何でもしますかと聞いているのです」  
 「そっ……それで許されるなら、僕、何でもします!」  
 「うふふ……そう」  
 渚先生は雄一少年を抱いて、母がするようにその頭を撫でた。  
 豊満な乳房が、雄一少年の顔を包む。幼い少年とはいえ、その柔らかさには性的興奮を感じた。  
 「それじゃあ、雄一君、ズボンとパンツを脱いで」  
 「え……?」  
 先生は何を言っているのだろう、と目を合わせた瞬間だった。  
 渚先生の唇が、雄一少年の唇を塞いだのである。  
 「ん、む……」  
 れろれろ、と舌を絡ませ、唾液を送ってくる。  
 それに加えて、乳房を体に押し当ててくるものだから、雄一少年の一物はすぐに反応してしまった。  
 「んふふふ…」  
 
 渚先生は舌なめずりをしながら、さっと雄一少年の下半身を露わにした。  
 「ああっ!」  
 半ば勃起し、その先端から液体をだらしなく垂らす雄一少年そのものが姿を現す。  
 ぱくっ、と渚先生が雄一少年の陰茎にかぶりついた。  
 「うあっ、せ、先生、あ、あーっ!」  
 舌先で亀頭をつつき、口全体を「下の口」のようにじゅぼじゅぼと動かして、快感を与える。  
 「あ、あ、あ、ダメッ、先生、やめて……くださ、アッ!」  
 雄一少年が切ない声色で訴えるが、渚先生は構わず、玉袋を揉みしだいていた。  
 「あ、いけないッ………アァーッ!!」  
 びゅるんっ、と渚先生の口で、雄一少年が射精する。  
 ごくん、ごくん、とそれを飲んで、渚先生は自らの唇を舐めた。  
 なんと官能的で、いやらしく、汚くも美しい姿なのだろうか。  
 残念ながら雄一少年は、この姿を形容する言葉を持ってはいなかった。  
 それっきりで済めば良かったが、雄一少年の体はそれだけでは物足りなかったらしい。  
 渚先生が口を離した途端に全身の痺れを伴って、どぴゅっ、と精液が出てしまったのだ。  
 白濁色の液体に、渚先生の顔が汚されてゆく――しかし、その表情は恍惚としていた。  
 「あ、あんっ……なんて量なのかしら…」  
 「あぁぁぁっ、せ、先生、ごめんなさい…」  
 「良いの。可愛いわね、雄一君…さ。続けますよ」  
 渚先生は水色の、丈の短いワンピースを脱ぎ捨てて、下着姿になった。  
 白い、透き通るような肌を黒の下着が包んでいる。華の香が、雄一少年の鼻を掠めた。  
 母のものとは全く違うその女体に、少年の幼い陰茎がまた興奮し出している。  
 「ん、ふふ…」  
 妖艶な笑みを浮かべ床に座り込んだ渚先生は、ブラジャーのホックを外す。  
 ぷるんっ、と大きな乳房が露わになった。先端の桃色は大きく固くなり、震えている。  
 
 渚先生はそれを華奢な手としなやかな指で側面からがっしり掴んで、間に雄一少年の肉棒を収めたではないか。  
 つっ、と亀頭と自分の乳房に唾液を垂らして、その大きな胸で茎を擦り始める。  
 唾液を垂らされた亀頭は、その乳房のあまりの大きさに埋もれていた。  
 「んああッ! だめぇ…アアァッ! な、渚せんせぇっ!」  
 未知なる快楽に、雄一少年はがくがくと腰を震わせ、口から唾液を零している。  
 「雄一君、先生のおっぱいで射精してもいいんですよ」  
 「そんな、そんなこと、僕……僕…!」  
 涙目で雄一少年は言い返したが、もはや何の意味もないただの音のような言葉だった。  
 今まで感じたこともない性的快感に、少年の思考回路が麻痺しているのだろう。  
 こうしてまた勃起し始めた雄一少年の先端に、渚先生は自らの乳首をあてがった。  
 「せんせ、あ、あ、あぁーっ!」  
 乳首を使って、亀頭を擦る。  
 先走りの熱い液体で、渚先生の桃色の乳首がぬらぬらと光っていた。  
 「う、くぅ、んっ……あっー!」  
 ひっくり返った声で、雄一少年が絶頂を迎えようとする。  
 が、その射精は遮られた。渚先生が雄一少年の根本を手で掴んだのだ。  
 「はっ、はっ……先生、イけない…! 僕、イきたいよぉ…!」  
 「やはりダメよ、雄一君。このまま射精することは許しません」  
 渚先生はそう言って、足を開いた。  
 「先生の中で出しなさい」  
 「せ、先生の中ですって…?」  
 「そうよ。ここです」  
 根本を掴んでいる方とは別の手で、下着をずらして、雄一少年にまざまざと見せつける。  
 愛液にまみれた、女性器だ。  
 初めて見る「女」に、雄一少年は戸惑いを隠せない様子だった。  
 だがその視線が、そこから離れることはない。すっかり釘付けになっている。  
 渇いた口が、ぱくぱくと動いていた。顔は燃えるように赤い。  
 初々しい少年の仕種一つ一つに、女体の性欲が高まってゆくのを感じる。  
 「さ、来て、雄一君…」  
 握った肉棒を、その濡れそぼった性器へ宛がうように導く。  
 「あ、あ、あ……」  
 
 ためらう雄一少年に焦れた渚先生は、少年の体を押し倒して、ずんっと深く腰を落とした。  
 じゅぷっ、ぬぷっ、ぐじゅっ、と背徳感を覚える液体の音がする。  
 「う、あああぁぁぁっ!」  
 「あぁん、あっん! 雄一君、雄一君ッ! は、は、あんッ!」  
 少年の小さな体に馬乗りになって、淫らに、一心に腰を振る。  
 結合部から響くぱっちゅん、ぱっちゅん、という音が雄一少年の耳を犯した。  
 目を犯したのは、眼前でたわわに揺れる渚先生の大きな乳房だ。  
 音もなく揺れ動いていたが、先端につく果実は少年の唇を誘っているようにしか見えない。  
 雄一少年は上半身を起こして、そこにちゅうっと吸い付いた。  
 「あぁっん! 雄一君、良い子ね…アッ、アッ、先生も…気持ち良くなってきました…!」  
 そう言って、挿入されている茎の根本を指で撫でる。  
 すると一瞬、膣の中で雄一少年が大きく固くなったのだが、その女体への快感も僅かの間だった。  
 「せ、せんせ、あああああーッ!!」  
 「ああっ、雄一君、先生の中にッ、出してッ!」  
 おびただしい量の、熱く濃い液体が渚先生の膣へ放たれてゆく。  
 肉壁の収縮がさらなる放出を促し、結果、白く濁った液体は膣内へ全ておさまりきらなかった。  
 自らの愛液と混ざった少年の精を指ですくい、ぺろりと舐めあげる――。  
 そんな担任の教師の姿だけで、雄一少年はまた達してしまいそうだった。  
 「ハァ……ハァ……せんせぇ、僕ぅっ……」  
 甘えた声を出して、雄一少年は渚先生の胸に顔を埋める。  
 渚先生は抱き留めて、雄一少年を胎内に入れたまま、中をきゅうきゅうと収縮させた。  
 「あ、いっ、あ、あ…せんせぇっ!」  
 喘ぐその顎をくいっと掴み、しゃぶりつくようなキスをして、解放してやる。  
 また女の体の中でペニスを大きくさせて、雄一少年は眉間にしわを寄せた。  
 びゅっ、びゅっ、と最後の力を振り絞るように精液が射られると、雄一少年はカクンと体を崩す。  
 どうやら、あまりの快楽に気を失ったらしい。  
 「ふふふ…」  
 雄一少年のものを体から抜き取り、渚先生はほくそ笑む。  
 「地球人の少年にとって、私の体は思っていた以上に良いもののようです…魔王様」  
 
 一糸纏わぬその姿で立ち上がり、機械のような調子で言った渚先生は、くるっと後ろを振り返った。  
 額に赤い眼球を埋め込み、まるで仮面そのもののような冷たさを皮膚とする異形の者が、立っている。  
 「よくやったぞ、渚先生」  
 魔王と呼ばれた者は、腕を組んで満足そうに鼻を鳴らした。  
 「チャージマン研にも、同様の作戦が通用するはずだ。フッフッフ…」  
 「はい…全ては魔王様の為に」  
 渚先生はぺたぺたと足音を立て、魔王の眼前に歩み寄り、手を取って、ほお擦りをした。  
 その顔は赤く、表情は艶っぽくも嬉しそうだ。  
 ――ジュラル星人として生きる洗脳を施したが、まだ「地球人」の部分が残っているな。  
 魔王はそう考えながら、黙ってそれを眺めていた。  
 「雄一少年はいかがされるのですか、魔王様?」  
 「うむ、我がジュラルの同胞らにくれてやろう」  
 「まあ…」  
 「好んで女に擬態する奴らは、特に地球人の少年が好きだ。フフ…可愛がってもらえるだろう」  
 「はい」  
 頷いた渚先生は雄一少年を抱き上げてから、また魔王の傍らに寄り添った。  
 「では作戦の開始の為に、一時母艦へ帰還する。渚先生、それまで休んでおくのだ」  
 「はっ、魔王様」  
 異形の男がぱちんと指を鳴らすと、渚先生と雄一少年がそれと同時に消える。  
 直後には魔王の姿も、まるで泡が弾け飛ぶかのように消えていた。  
 誰もいない教室には、脱ぎ捨てられた衣類と未だ粘り気のある液体が散乱している――。  
 
 
 
終  
 
6

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