第666話 さくらと巨大なゴキブリ  
 
「は〜〜〜、さくらは食いしん坊やなぁ」  
黄色い縫いぐるみこと封印の獣・ケルベロスのケロちゃんは、木之本家の台所で呆れて溜息をついた。  
3時のおやつとして苺のショートケーキを食べるためにさくらと共にやって来たのだが、  
ふとした思いつきで『ビッグ』のカードを使ってケーキを大きくすると言い出したのだ。  
「もぅ、いいじゃないそのぐらいっ」  
ケロちゃんのは大きくしてあげないんだからとブーたれながら、さくらは杖を構える。  
「彼の物を大きくせよ、ビッグ!」  
カードをかざし天へと投げ上げ、星の力を秘めた杖の先端部で触れて力を解放させた。  
解き放たれた力はケーキへと向かい・・・・  
「さくらっ!!」  
黄色い縫いぐるみが叫ぶ。  
見ると力の流れが向かう先にはケーキがあり、その手前には甘いご馳走にたかる一匹のゴキブリの姿。  
「ああっ!?」  
「うわぁっ!!」  
2人(1人と一匹・・?)の叫びが重なり、対象が光に包まれる。  
魔法の輝きは徐々に収まり、そして目の前には。  
「ほえ〜〜〜〜〜〜っっ!!」  
「出た〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」  
2人の声が再び重なる。  
魔力で大きくなったのは、ケーキではなくゴキブリの方だった。  
大きさは畳・一畳分ぐらいだろうか。  
黒くて光沢のあるボディーに体毛の生えた足。  
立ち上がれば触覚の先が天井まで届かんばかりの身の丈の巨大生物に、さくらは腰を抜かしてしまった。  
 
「うひゃああぁあぁあぁぁああぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっ・・・・・・・・」  
それを見た瞬間、封印の獣・ケロベロスは情けない悲鳴を上げながら、一目散に逃げ出した。  
「ケ、ケロちゃん!?」  
床に尻餅を付き一人取り残されたさくらは、薄情な友人の逃げ去った台所の入り口を見た。  
遠ざかって行く恐怖の悲鳴を聞きながら、さくらは自分が絶望的な状況下に置き去りにされてしまったことにようやく気tが付く。  
これからどうしよう。  
早くどうにかしないと。  
そう思うのだが、腰は抜けてしまっているので一人では逃げることすらも叶わない。  
このままは這いずって一旦逃げようかなどと考えていると、カサカサと耳障りな音がすぐ近くで聞こえた。  
 
嫌な予感がした。  
キチキチと翅を擦り合わせる音と床を這いずる音。  
さくらの顔は、さっきケロが逃げていった入り口を向いたまま。  
振り返りたくなかった。  
振り返らず、何も見ないでこのまま逃げ出したかった。  
そこへ影が落ちる。  
それは蛍光灯の光を遮るぐらいに大きくて、すぐ側からは変な匂いがして。  
ゴクリ、と唾を飲み込む。  
影はどんどん大きくなり、音も近づいてくる。  
しかし、怖くて振り返ることができない。  
視界の外の圧迫感は、その質量を増してきていた。  
さくらは意を決して確認してみることにする。  
恐怖のあまり随意筋が上手く動いてくれず、ギギギ・・と油の切れた機械のようなぎこちない動作で、  
引きつった顔で少女は現実と向き合った。  
 
最初はよくわからなかった。  
目の前いっぱいに広がる黒い横節目。  
視線を下げて行くと、複雑な形をした硬くて光沢のあるもの。  
そこから6本ほど棒のようなものが伸び、眼前に広がる黒いオブジェ全体を支えていた。  
今度は逆に視線を上げると、目が合った。  
結構、つぶらな瞳だった。  
その上から伸びた2本の長い触覚が、さくらの柔らかな頬をグニョンとつつく。  
「―――――っほええぇぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」  
驚きと困惑と恐怖。  
悲鳴が庭付き一戸建ての木之本家を揺るがした。  
 
「あ・・・・あわ、あわわわ・・・・・」  
鼻が触れ合わんばかりの至近距離。  
のし掛かるようにさくらのすぐそばにいたゴキブリは、翅を広げて音を立てた。  
そして腹の下に並んだ気門から、シュッシュ〜ッという音を出してさくらに迫る。  
さくらには何がなんだかわからなかったが、これはゴキブリにとっての『求愛行動』であった。  
巨大なゴキフリは何をトチ狂ったのか人間に、しかも赤飯前の小学6燃生に  
自分の子を産ませようと生殖行為を迫っているのである。  
「た・・・・・たすけ・・・・っ」  
恐ろしさと生理的な気持ちの悪さに声がこれ以上接げない。  
目の端に涙が滲んだ。  
 
ゴキブリはそんな少女の様子などお構いなしにプロポーズを続ける。  
翅をパタパタとせわしなく閉じたり広げたり。  
そして辺りに雌を引きつけるためのフェロモンをバラ撒く。  
フワリ、と不思議な臭い。  
それは少女の鼻孔へと入り込み、幼い身体に変化をもたらした。  
 
「うわわわわ・・・・ぁぁ・・・・・・・ぁ・・?」  
今の今まで感じていた恐ろしさと嫌悪と混乱がスゥ〜〜〜っと消えて行き、かわりに別の感覚が頭と身体を支配しだす。  
頭の中がボ〜〜っとしてきて、熱に浮かされているような。  
身体の中心が熱を帯びだし、それが全身へと広がって行くような。  
「ふわ・・・ぁ・・・・」  
さくらの小さな身体から緊張が抜け落ち、クタ〜ッと黒い外骨格へともたれ掛かる。  
ゴキブリはそんな少女の身体に背を向け、羽を広げてさらにフェロモンを撒き散らす。  
雌を引きつける臭いは背中から滲み出た汁から漂っており、  
何も考えられなくなった12再の少女は熱くなった身体を持て余して何かに誘われるように  
黒い悪魔の背中から分泌された液体に舌を這わせた。  
「・・んっ・・ペロッ・・・・・ふわぁあぁぁっっ!?」  
ゾクリ、と来た。  
液体に触れた舌先から言いようのない痺れが全身へと広がり、頭の中が真っ白になる。  
甘いような苦いような味がどこか美味しく思えて、もっともっと舐めてみたくて。  
涎を垂らし、虚ろな瞳で背中から湧き出るヌルヌルをさらに舐める。  
「ン・・・ぴちゅ・・・チュ、チュル・・・ペチャ、ピチャピチャッ」  
味わう度にゾクゾクとした甘い震えが身体全体を駆け抜け、頭の中が白く塗りつぶされる。  
舐めれば舐める程もっと欲しくなり、もうさくらは何がなんだかわからなくなって、夢中で液体に舌を這わせた。  
「チュ、ヂュヂュヂュッ、ペロッ、チュパッ・・・んんっ、ん〜〜〜〜〜〜〜〜〜」  
顔が粘液まみれになるのも構わずに、しまいには口を直接くっつけて啜りだした。  
ぢゅるるる〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ  
ゴクゴクと喉が鳴り、飲み下しているのがわかる。  
やがて大量の粘液を飲み込んださくらは、身体の自由が利かなくなってゴロリと床の上に仰向けに転がった。  
それはまるでスプレーを掛けられて死ぬ寸前のゴキブリのようで、ピクピクと手足を痙攣させ  
動けなくなってもさらに蜜を欲し、舐めようとモゾモゾと藻掻いていた。  
 
「は・・ぁ・・・・・あ〜・・あ〜・・・・」  
瞳に恍惚の光を宿し、涎を垂れ流しながらわけのわからない喜悦の声を上げる。  
智代の言う「はにゃ〜ん状態」というやつだろうか。  
もはやそこには人としての理性や尊厳をなくした、一匹の生き物が転がっているだけだった。  
 
背中の分泌物をたっぷりと舐めさせたゴキブリは、本来の目的を果たすために行動を開始する。  
まず、ゴソゴソと動けないさくらの下半身へと回り込み、生殖器があると思しき部分の臭いを嗅でみる。  
そこからは、すでにメスの匂いがしていた。  
まだ『女』としての機能を持たない未成熟なさくらではあったが、  
オスのフェロモンを嗅ぎ、メスに生殖行為を促す成分を体内に取り入れると、身体の方は着々と準備を始めていたのだ。  
ゴキブリはそれを敏感に感じ取り、この雌が生殖行為を受け入れる準備が整っていることを悟ると  
生殖器官を覆う邪魔な布きれを口で引き千切り、そのままモリモリと食べ始める。  
下着をはぎ取られ、ノーパンにされてしまったさくら。  
そこはまだ毛も生えていなくて、可愛くてツヤツヤした女の子の部分が丸見えになっていた。  
「はぁ、はぁ、はふぅ・・・・・ぅあ、あ〜・・・」  
何が起こっているのか理解できず、トロンとした目で台所の天井をボンヤリと見つめ  
体中を支配するムズがゆいような、痺れるような気持ちの良さに身も心も浸っていた。  
 
触覚の先端で少女の女性器に触れてみると、そこはもう準備が整っていて  
男を知らぬ生娘であるにもかかわらず、雄との交尾に期待の涎を垂らしていた。  
その一本の縦スジにギトギトに脂ぎった生殖器が宛われる。  
プチュリ・・・  
黒くて細長いモノの先端部から滲み出る先走りの粘液と、少女自身から分泌された愛蜜とが混ざり合い  
淫らな音を立てた。  
ゴキは遠慮も何もなく、淡々と生殖行動を開始する。  
黒い凶器で少女の柔肉を割り開き処女膜を一瞬で破って奥まで到達すると、ぐるりと180度回転して  
精子をメスへと送り込んだ。  
 
ビュッ、ビュビュッ、ビュッ・・・  
結合した部分から断続的に吐き出される精液。  
それがとろけきったさくらの子宮へと注がれる。  
「あひっ!? ふひゃあぁあっ!!  あつい・・・よぅ・・」  
ドクドクとお腹の中へと注がれるゴキブリの精液。  
その熱い感触にまだ初潮前の小学生だというのに、少女の身体はメスの悦びで満たされてゆく。  
小さくても、幼くても、何も知らなくても、やはりさくらも『女』なのであった。  
柔らかな肉色の少女の性器に深々と突き刺さる、黒くて硬い昆虫類の生殖器。  
巨大なゴキブリに仰向けで組み敷かれて、生殖行為を行われる人間の少女。  
二つの異なる生き物同士の交尾。  
受精はしても決して受胎することがないはずなのに、オスは惜しげもなく精液を注ぎ込み  
メスは悦びの声を上げてそれを受け入れる。  
これらの行為は生物学的に意味をなさない。  
なさないはずなのに、さくらは注入される雄汁を甘ったるい声を上げながら子宮で受け止め、全身を覆い尽くす性の愉悦に浸りきる。  
ビュクッ、ビュッ、ビュッ、ビュビュッ・・・・  
「あ〜〜っ、はあぁ〜〜〜っ! ・・・ふぁんっ!」  
注がれる度にあがる愉悦の悲鳴。  
ゴキブリの射精は一時間にも及び、その間少女はただひたすらにオンナの悦びに鳴き続けた。  
 
―――――約一時間後―――――  
 
ズル、ズルルルルル〜〜〜、ブチュッ・・・・ゴボリ・・・  
全ての精液を出し終えたゴキブリは、ようやくさくらとの結合部から生殖器を引き抜いた。  
床の上に仰向けで力無く四肢を投げ出し、いまだに意識はゴキブリから出る刺激臭と初めての性の悦びとで白く塗りつぶされたまま。  
性器どうしが離れると同時にさくらのアソコからは、おびただしい量の白濁液が外へと溢れ出し  
その白くて粘度の濃い水溜まりの中で、さくらは熱に浮かされたような吐息を漏らしていた。  
 
ブビュッ、ゴポポポポポ・・・・・  
ゴキブリの生殖器の形に広がりきったままの陰裂。  
たった一度きりの挿入だったので比較的綺麗なままではあったが、一時間もに及ぶ結合の結果  
入り口の花弁は開ききり、なかなか閉じようとはしなかった。  
おかげで子宮口の手前まで丸見えだった。  
中のピンク色の果肉は雄の性器を名残惜しげにざわめき、ヒクヒクと妖しく蠢いていて  
入りきらなかったザーメンがあらかた排出されると、さくらの肉洞は奥の方からグニュ〜〜ッと締まり始め  
入り口まで肉壁が閉じきると、プチュッと最後に残った濁液を絞り出してピッチリと閉じ合わさった。  
 
この後さくらはケロが戻ってくるまでの数時間、台所の床で精液にまみれて放心していたという。  
 
―――――後日談―――――  
「うぅぅ〜〜〜〜〜っ、かゆいよ〜〜っ!」  
友木支小の黒い制服のスカートを捲り上げ、飾り気のない下着の中に手を突っ込みながらさくらは情けない声を上げた。  
場所が場所だけに爪を立ててボリボリとも掻くこともできず、かといって痒みを我慢することもできない。  
ゆえに指を少し強めに患部に押し当て、擦るぐらいしかできなかった。  
ニチュ・・ニチュ・・と、どこか湿っぽい音をさせながら、秘芯の周囲を少し強めに擦る。  
「ン・・・・ふぅ・・・っ」  
すると○学6年生の少女の唇から、熱の籠もった吐息が漏れ始めた。  
「おいおいさくら、オナニーは自分の部屋でコッソリとやるもんやで」  
やれやれという具合に首を横に振り、溜息をつく。  
「ちっ、ちがうもんっ!  ・・・・かゆいから、掻いてるだけだもん」  
恥ずかしそうに、それでもモゾモゾと掻くことをやめない。  
 
「さくら、そら性病や。  あんな病原菌の固まりとまぐわったら嫌でもそうなるで。  
 あの小僧とのセックスはしばらくは控えときや。 性病は伝染るさかい、小僧も・・ごぶはぁっ!!」  
沈痛な面もちで頷きながら注意をうながすケロだったか、しかし最後まで言葉を続けることはできなかった。  
いつのまにか封印を解かれた星の力を秘めし鍵に後頭部を強打され、壁まで吹き飛ばされて沈黙した。  
「もうっ、ケロちゃんのバカぁ!! えっち! それに元はといえばケロちゃんがわたしを置いて逃げるから―――――」  
怒るさくらと、後頭部から血を流してグッタリとする黄色い縫いぐるみ。  
ケロがよけいなことを言い、さくらが怒る。  
そんないつもの、よくある風景。  
木之本家は今日も賑やかでしたとさ。  
おしまい  
 
 

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