「智世ちゃーん!何処にいるのー!」  
「おーい!智世!何処に行ったんやー!」  
 さて、智世が桜の姿をした何者かに嬲られ、悶え苦しんでいる最中、本物の桜とケルベロスは何もしていなかった  
わけでは無い。『翔』の魔法で空へと舞い昇った桜達であったが、不思議な魔力は街の何処からも感じられなくなって  
いたのだ。それでも捜索を続けていた桜とケルベロスが、再び魔力を感じ、その場所に急行してみると…そこは  
つい先程、智世と分かれた地点であった。慌てて智世の姿を探す桜達であったが、そこで待っているはずの彼女は  
何処にも見あたらなかった。  
「まさか…智世ちゃんまで!」  
「分からん…まずは智世を探すことや」  
「でも…何処にもいないよ。不思議な魔力は確かに感じるのに!」  
 桜の言うように、僅かではあるが異質な魔力の流出をケルベロスも感じていた。この魔力が今回の不可思議な事件と  
関係している事はもはや疑いようがない。智世もそれに巻き込まれてしまった可能性も高い。しかし、この魔力の  
源泉がどこにあるのか、それが掴めないのだ。  
「もしかしたら…別次元に存在しとるんか!」  
「え?え?どういうこと、ケロちゃん?」  
「確かに魔力は感じる。そやけど、見た目にはどこにもその発生源が見あたらん。そうなると、異なる次元に存在  
する可能性が高いで」  
「それじゃ…智世ちゃんがいないのも?」  
「そや。その別次元へ引きずり込まれた可能性が一番考えられる!」  
 ずば抜けた魔力量を誇る桜であったが、魔法に関する知識はまだまだ勉強中の身。それをサポートするのが  
ケルベロスの役割なのだ。普段のおちゃらけた態度からは想像もつかないほど、今の彼の姿は頼もしく見える。  
「で、でも別次元なんて…どうすれば…」  
「『影』のカードや!影は光の対照やさかい、違う次元への入り口でもあるんや!」  
「そうか!『影』のカードでこの世界を隠して…」  
「一瞬でも構わへん。まずは別次元の扉を開いて、智世を助けるのが先決や!」  
「うん、分かったよ、ケロちゃん!」  
 慌てる桜に対してケルベロスが与えたアドバイスは冷静で的確なものであった。ケルベロスの言葉に従い『影』の  
カードを取り出すと、魔力を込めていく桜。  
「光を闇で隠し次元の扉を開け!『影』!!」  
 
 桜の叫びと共に、『影』のカードは発動し、彼女を中心に影が広がっていく。そして、桜達から10メートルばかり  
離れた位置で、地面に横たわる智世と、その両脚を脇に抱える何者かの姿が顕わにされたのであった。しかし、  
後ろ姿しか見えないために、智世の両脚を掴んで何をしているかまでは桜やケルベロスには分からなかった。  
「桜!そこや!」  
「智世ちゃん!」  
 桜達の突然の出現に、智世を嬲っていた何者かは一瞬後ろを振り向くと、すぐさま智世の両脚を解放し、逃走を始める。  
しかし、一瞬とはいえ、その顔を見た桜とケルベロスを襲った驚きは小さい物では無かった。  
「桜やて?」  
「え?え?わ、私?」  
 表情こそ伺いしれなかったものの、その髪型・服装・雰囲気は確かに友枝中学校の制服を纏った木ノ本桜そのもの  
であった。意外な展開に混乱する桜達であったが、それを我に返らせたのは、地面で悶える智世の喘ぎ声であった。  
「あう…う…う…」  
「智世ちゃん!」  
「智世!大丈夫か!」  
 スカートの上から股間を押さえ、力なく地面に横たわる智世。その体は小刻みに震え、喘ぎ声を搾り出すのが  
精一杯のようであった。桜やケルベロスは与り知らぬこととはいえ、つい先程まで女の子の大切な部分を延々と  
振るわされていたのである。桜達の助けが入ったとはいえ、完全に昇天させられる寸前であった智世が悶絶して  
動けないのは仕方の無いことだろう。  
 しかし、そんな智世の姿を見た桜の胸の内には怒りの炎が灯るのであった。およそ他者に対して本気で怒ると  
いうことの無かった桜であったが、一番の親友をこんな目にあわされて、さすがに冷静ではいられなかった。幸い、  
未だに呼吸は荒く悶えてはいるものの、智世の生命には別状が無さそうである。  
「ケロちゃん、智世ちゃんの事をお願い!『跳』!!」  
「お、おい!桜!待たんかい!」  
 
 『跳』のカードを発動させ、逃げ去った何者かを追い駆け始めた桜に、ケルベロスの制止の声は届かない。  
あの何者かが一連の事件の張本人である事は間違いないであろうが…その正体についてはあまりに不明な点が多過ぎる。  
犠牲者を別次元に引き摺り込む能力もそうだが、何よりその姿が『木ノ本桜』であるなど、ケルベロスにも想像外の  
事であった。テンションが上がり過ぎ、冷静さを欠いている今の桜が、そんな想定外の事態に対処できるであろうか。  
「まずいな…先走り過ぎや…」  
「うう…う…ケ、ケロちゃん…ですの?」  
「おお!智世!気がついたんか!」  
 事態の急激な展開を苦々しく思っていたケルベロスであったが、漸くまともな言葉を発する事が出来るようになった  
智世に、ひとまずは安堵の声をあげる。とはいえ、まだ彼女の声は弱々しく、このまま一人残しておくことは  
出来ないであろう。そんな智世は桜の姿が見えないことに、当然のように疑問の声を上げるのであった。  
「さ、桜ちゃんは?」  
「…桜は今、犯人を追跡しとる」  
「ま、まさか…桜ちゃん一人で?」  
「ああ。ほんまはワイも追い駆けたいところやけど…今の智世を一人で残しとくわけにいかんしな…」  
「!!!」  
 ケルベロスなりの気遣いの言葉であったのだろうが、それを聞いた智世の方は平静でいられなかった。今、桜が  
単独で追っている存在…それは女の子にとって天敵とも言えるような存在なのである。先程まで散々嬲られ尽くした  
智世は、その事を骨の髄まで理解させられている。  
「だ、駄目です!桜ちゃん一人では!ぜ、絶対に駄目ですわ!」  
「お、おい。どないしたんや、智世」  
「あれは…女の子一人では…絶対に逃れられません…」  
「何?一体、どういう事や、智世!」  
「駄目ですわ…桜ちゃんといえども…女の子である限り…決して抗えません…」  
「…一体何があったんや…」  
 振動地獄の感覚を思い出してしまったのか、体を震わせながら告げる智世。そんな智世の姿を見たケルベロスは、  
今から桜に追いつくことも出来よう筈がなく、彼女の無事を祈るしか出来ないのであった。  
 
 
 智世とケルベロスから別れて、一人で犯人を追跡する桜であったが、既に犯人の姿を目で捉える  
ことは出来なかった。恐らくは、再び別次元へと姿を眩ませたのであろう。しかし、智世を助ける際に、  
一瞬だけとはいえ、それが発する魔力を桜は完全に認識していた。桜にとっては、その魔力を確実に  
追跡して行けば良いだけのことである。どれほど姿を隠したとしても、今の桜には関係の無いことで  
あった。  
「…でも…どうして私の姿を…」  
 怒りに任せて飛び出した桜も、犯人を追跡するうちに徐々に冷静さを取り戻していた。やはり一番  
気になるのは、犯人の姿であった。明らかに自分と同じ姿をした何か…その正体については皆目  
見当が付かない。  
「それに…智世ちゃんは一体何をされて…」  
 もう一つ気になるのは、智世が何をされていたのかという事。両脚を抱え込まれていたことは  
分かったが…それなりに距離があったのと、犯人の背中に隠れていたため、智世が具体的に何を  
されていたのかまるで分からなかった。  
「でも…智世ちゃんがあんなに悶えていたんだから…きっと酷いことに違いないよね…」  
 智世が悶絶していたのは、実は苦痛ではなく快楽による物だったのだが、桜に分かるはずも  
無いことである。そんな事を考えながらも、着実に犯人との距離を縮めていた桜であったが、  
突然周囲の空気が変化したことに気付いたのであった。  
「…この不思議な感覚…そうか…ケロちゃんの言ってた別次元なんだね…」  
 周囲の景色には全く変化は見えないが、状況の変化を桜は正確に把握していた。この空間に、  
恐らくは今までの犠牲者の少女達も引き摺りこまれたのであろう。それ故に、様々な時間帯で、  
色々な場所で、誰にもその現場を見られる事も無かったのだ。警察がどれほど調査しても、  
何の痕跡も見つからなかったのも当然であった。  
 しかし、別次元にいるとはいえ、桜には恐れも焦りも無かった。『影』のカードを使えば、  
次元の扉を開けることが出来るのは実証済みであるし、何よりこれ以上、犯人を逃がすつもり  
など無い。油断無く周囲を警戒する桜なのであった。  
 そんな桜が自分の背後に誰かがいる事に気付くのは容易いことであった。すかさず振り返った  
桜であったが…そこに立っていた者は彼女の予想を遥かに上回っていたのだ。  
 
「…小狼くん?」  
 桜が見た人物…それはかってクロウカードに関わる事件で、桜のライバルであり、かつ協力者で  
あり…そして最後に想いを通わせ合った少年、李小狼であった。やや俯き加減で、まだ双方の間に  
距離もあるため、その表情までは伺えないが…その姿・雰囲気は間違いなく小狼のものであった。  
「…まさか…小狼くんは…」  
 想いを通わせ合い、「必ず戻ってくる」と約束したものの…小狼はまだ大陸に戻ったままの  
はずである。今、桜の目の前にいるはずが無い。何よりこの状況で彼が現れるなど…不自然極まりない。  
 もちろん、そんな事は桜も承知していたはずである。しかし、どんなに強大な魔法の力を使う事が  
出来ると言っても、桜はまだ十二歳の少女なのである。自分の想い人の姿を見て心が乱れるのは仕方の  
無いことであろう。何より、今までの会えなかった時間が、桜の警戒心を緩めてしまった。  
「…小狼くん…どうしてここに…ううん…小狼くんがここにいるはずが…」  
 ふらふらと小狼に近づいていった桜であったが…すんでの所で今の状況のおかしさに気付く。しかし、  
桜がその事に気付くのは少しばかり遅かった。ほんの僅かの桜の逡巡と戸惑い…小狼の姿をした  
何者かにはそれだけで充分なのであった。  
 寸前で立ち止まった桜に一瞬で近づくと、小狼はその右脚をしなやかに前方に跳ね上げたのである。  
『ガッ!!!』  
「はう!」  
 跳ね上げられた小狼の右脚の甲は、桜の両脚の付け根を完璧に捉えていた。恥骨を蹴り上げられた  
激痛に一瞬息が止まり、思わず大事な所を両手で押さえてよろめく桜。  
「うう…小狼くん…なんて事を…」  
 股間から全身を蝕む苦悶の波動に、涙を浮かべる桜であったが、小狼の行動はそれだけで終わらなかった。よ  
 
ろめく桜の両脚を取るべく、猛然と突進してくる小狼。  
「きゃ!」  
 間一髪、桜は地面に転がる事で小狼の突進をかわす。そのまま立ち上がる桜であったが、再び彼女の  
股間を狙って跳ね上げられる小狼の脚。  
「はう!」  
 直撃だけは避けられたものの、小狼の脚は僅かに桜の大事な部分を掠める。その後も連続して蹴りを  
繰り出してくる小狼に対して、桜はそれをかわすので精一杯。  
 
「きゃ!きゃ!きゃー!」  
 普段の桜の運動神経ならともかく、最初に女の子の部分に強烈な一撃を喰らったのが災いしていた。  
未だに恥骨に疼く痛みのために、どうしてもその部分を両手で押さえ、内股になってしまう桜。  
そんな状態で何とか動けるだけでもたいしたものである。恥骨に一撃を喰らった瞬間に、全身の力を  
奪われてしまった智世に比べれば、桜の頑張りが分かるであろう。もっとも、お嬢様育ちの智世と  
異なり、ある意味で御転婆な桜は、女の子の部分を強打した経験もあり、その衝撃に少しは慣れて  
いただけとも言えなくは無かったのだが。  
「きゃ!な、なんで!オマタばかり狙ってくるの〜!」  
 しかし、桜がその部分を強打したと言っても…ボールが当たるとか、平均台で脚を滑らせるとか…  
偶然の事故に伴う事ばかりであった。他の人に…それも男の子に股間を蹴り上げられるような経験など、  
当然ある筈もない。女の子の大切な部分を打ち付け、悶え苦しむだけでも年頃の少女にとっては  
恥ずかしい事である。異性にその部分を打ち付けられるなど、どれほどの恥ずかしさか…想像に難くない。  
「や、やめて!やめて、小狼くん!」  
 股間強打という強烈な出来事に、桜の思考は完全に乱れてしまっていた。目の前で蹴りを繰り  
出してくる存在は、小狼でない事は既に理解していた筈なのに…ただ無駄な説得を続けるばかりの桜。  
しかし、必死で小狼の蹴りを避け続けていた桜は一瞬の隙を突いて、彼の後ろに回り込むのであった。  
「ふう…後ろなら蹴られることは無…きゃう!!」  
 小狼の背後に回り込み、一瞬気を抜いたのが桜の不覚だった。小狼はそれまでの前方への蹴りではなく、  
そのまま後方に脚を跳ね上げたのである。再び桜の恥骨を完璧に捉える小狼の踵。二度目のクリーンヒット  
にさすがに桜も耐え切れず、両手で股間を押さえて地面に蹲ってしまうのであった。  
「あぐ…あう…あ…」  
 恥骨から全身に広がる激痛に、地面で体を震わせるしか出来ない桜。瞳にはうっすらと涙が  
浮かんでいる程である。そんな無防備な桜に、無慈悲な加害者はすかさず近寄ってくると、  
彼女の両脚を掴んで、両脇に抱え込んでしまうのであった。必然的に仰向けに倒される桜。  
しかも、両脚は持ち上げられてしまっているために、スカートも大きく捲れ上がってしまう。  
 
「きゃー!ス、スカートが!!」  
 思わず両手でスカートの裾を押さえにかかる桜。その中はレオタードなのだから、スカートが  
捲れても気にしなくても良いと言えば良いのだが…年頃の女の子にとってスカートの中を見られて  
しまうと言うのは一大事である。それも自分が想っている男の子に見られてしまうとなっては、  
慌てずにはいられないであろう。  
 しかし、今の桜にとっては、そのスカートを押さえるという行為はあまりにも不用意なことで  
あった。いや、スカートが捲れるのを防ぐ以外に、優先すべき行為があったという方が正確であろうか。  
必死でスカートの裾を押さえにかかる桜の少女らしい行為には目もくれず、小狼の姿をした何者かは  
すかさずその右脚の裏を桜の股間に押し当ててしまう。  
「はう!!!」  
 レオタード越しとはいえ、女の子の大切な所に脚を押し当てられた桜は、その感触に思わず喘ぎ声を  
漏らしてしまう。しかし、桜が股間に小狼の脚を感じたのもほんの一瞬のこと。次の瞬間には無機質な  
声が響くと同時に、激しくその脚が振動を始めるのであった。  
『標的捕獲…吸収モード開始します…』  
『ヴヴヴヴヴヴヴヴ…』  
「はにゃ〜!!!」  
 股間に送り込まれてくる振動にたまらず絶叫をあげる桜。痛い訳ではない…むしろ快感を覚えさせる  
振動に桜は悶えるのであった。  
「きゃああああ!や、やめて〜!!」  
 先程まで必死で守っていたスカートの裾の事も忘れ、桜は必死で小狼の脚を掴み振動を防ごうと  
するが…自分の両脚を完全に捉えられており、寝転がされた態勢では到底ままならない。更に言うと、  
振動が送り込まれた瞬間から、全身を快楽波が襲うだけではなく、力が奪われていく感覚があった。  
股間を震わされる度に生気が奪われていくような感覚…。そんな状況で、桜が小狼の攻めを遮ることなど  
出来るはずが無かった。  
 
「はう〜!や、やめて〜!許して、小狼くん!!」  
 それでも必死で許しを請う桜であったが、今の小狼がそれを聞き入れてくれるはずがない。更に  
激しさを増す振動。レオタードとストッキング、インナーショーツがそれぞれ擦れ合い、最後には  
桜の女の子の部分を擦りあげる。ナイロン生地で出来たインナーショーツによって大事な部分を刺激される  
初めての感触に、桜の体は敏感に反応し始めるのであった。  
『ヴヴヴヴヴヴヴヴ…』  
『…にちゃ…』  
「ほえ〜〜〜!!!」  
 絶え間なく続く振動に隠れて、桜の股間から妖しい水音が響き始める。桜の女の子の部分から  
分泌され始めた淫水がインナーショーツからストッキング、レオタードへと徐々に広がっていく。  
白のストッキングとピンクのレオタードは、うっすらとその色合いを変えつつあった。  
「あ…あう…ひゃああああ!!!」  
 股間を襲う淫らな振動に、まともな声を上げるのも困難な状況に追い込まれていく桜。もはや  
はっきりと聞こえてくる濡れた生地同士がはっするにちゃにちゃという擬音は、彼女が幼いながらも、  
正しく女の子として反応している事を示していた。そう、最も大事なその部分を蹂躙されて、  
濡らさないで耐えられる女の子なんていようはずが無いのである。  
「う…う…小狼くん…」  
 快感に悶え、途切れそうになる意識を必死で繋ぎながら、桜は己を蹂躙する張本人の表情を伺う。  
しかし、桜の股間を踏みしだく小狼の表情は俯き加減であるために、はっきりとは分からない。しかし、  
何かに取り付かれたように、一心不乱にその脚を振動させる姿は、桜の知る小狼のイメージとはあまりに  
かけ離れていた。  
「ほ、本当の…小狼くんは…こんな事…するはず無い…」  
 そんな桜の呟きは確かに真実であっただろう。しかし、今現在、彼女を悶絶振動地獄に送りこんでいる  
犯人は小狼の姿をしていることだけは間違いなかった。  
『ヴヴヴヴヴヴヴヴ…』  
「はう〜〜〜!!!」  
 更に一段階激しさを増した振動に、桜の体は跳ね上がり、極みの声を高らかに上げてしまう。  
そんな快感に包まれながら、桜はかって友人と交わした会話を思い出していた。同じ攻めを受けた  
智世も同じように思い出していた事は、さすがに桜も与り知らぬことであったが…。  
 
 
「「電気あんま?」」  
「うん。まず悪戯される方の子が寝転んだ態勢になるの。で、悪戯する方の子が、される子の両脚を  
掴んで脇で抱えるの」  
「「うんうん」」  
「それで、悪戯する子は、される子のオマタに足の裏を押し当てて…ビビビビビって振動しちゃうの。  
イメージ沸くかなあ?」  
「「えー!!」」  
 声を揃えて尋ねる桜と智世に、千春は電気あんまの説明をする。しかし、ごく簡単な説明で  
あったにも関わらず、それを聞いた桜と智世は驚きの声を上げるのを禁じえなかった。  
『女の子は絶対に耐えられない悪戯』について興味はあったものの、まさか股間を脚でまさぐられる  
悪戯だとは…彼女達の予想を越えていたとしても不思議ではない。  
「さ、桜ちゃんも智世ちゃんも…そんなに驚かなくても良いじゃない」  
「ち、千春ちゃんはそう言いますけど…やっぱり驚いてしまいますわ」  
「そうだよ〜。そんな…オマタを脚で…されちゃったら…痛いだけなんじゃ…」  
 女の子の部分を脚で攻められると聞いた桜は、知らず股間に両手を持っていき、思わず内股になって  
疑問を呈したのであった。過去にその部分をアクシデントで打った時の苦悶を経験している桜に  
してみれば、当然の疑問ではあったろうが。  
「あはは。大丈夫だよ。別にオマタを蹴られるとか…そんなんじゃなくて、優しく振動されちゃうって  
感じなんだから」  
「そ、そうなんだ」  
 桜の疑問を聞いた千春は笑って答える。千春の言うように優しく振動されるというのなら…  
確かに痛くは無いであろうと桜にも理解できた。  
「脚の裏を密着させて…細かく震わせるってイメージかな。それをされると女の子は体から力が  
抜けちゃって…絶対に抵抗出来なくなっちゃうの」  
「ほえ〜…そ、そんなに効いちゃうの?」  
「うん…『女の子殺し』って感じかな。女の子相手の必殺技かも…」  
「もしかして…千春ちゃんも、電気あんま…された事あるの?」  
「う、うん…」  
「はう〜。そうなんだ…」  
 うっすらと頬を染めて告白する千春以上に桜の頬は紅く染まってしまう。電気あんまの経験は  
無い桜であったが、女の子が大事なところをブルブルと振動されてしまうと力が抜けるであろう事は…  
何となく理解出来る。それでも、全く反撃が出来なく成る程なのかは疑問であったが。  
 
「その…一つお尋ねしますが…」  
「う、うん。何かな、智世ちゃん?」  
 頬を朱に染めながらの二人の会話を黙って聞いていた智世であったが、新たな疑問を呈する。  
「その電気あんまという悪戯ですが…もちろん、女の子同士ですよね?」  
「うん。基本はね」  
「基本は…なんですか?」  
「うん…基本は女の子同士がする悪戯だし、それでも凄く効くんだけど…電気あんまが本当に  
『女の子殺し』になっちゃうのは…男の子にされちゃう時なの…」  
「「えー!!!」」  
 再び驚きの声を上げる桜と智世であったが、それも当然の事かもしれない。女の子の一番大切な  
所を脚で震わされる…悪戯という名目があるものの、ある意味で屈辱的な行為である。それでも、  
女の子同士でなら、まだ少しばかり過激な悪戯という事で済ます事も出来なくも無いだろうが…  
男の子にされるというのは…。その恥ずかしさを考えると既に冗談になっていないような気がする。  
しかし、電気あんまが本当の効果を発揮するのは、男の子にされた時だという千春の言葉に、  
桜達の頭の中は混乱する。  
「あ、もちろん、男の子って言っても誰でも良いってわけじゃないよ」  
「そうなのですか?」  
「うん。『大好きな男の子』に電気あんまされた時だけ…本当の『女の子殺し』になっちゃうの…」  
「はう〜…でも男の子にされちゃうって…凄く恥ずかしいような…」  
 男の子だったら誰でも良いと言うわけでは無い…その事自体は桜も智世も納得できる。  
だからと言って、男の子に電気あんまをされてしまう事の抵抗感が霧散するわけでもない。  
「恥ずかしいよ…でも…男の子にされちゃうと…胸の奥がキュンっと締め付けられちゃう感じで…」  
「凄く恥ずかしいんだけど…それが気持ち良いっていうか…」  
「悪戯されてるはずなのに…女の子にされる時と全然違うんだよ…」  
「男の子にされちゃったら…絶対に女の子は抵抗出来なくなっちゃうかな…」  
 
 恥ずかしげに語る千春の告白に、桜と智世は知らず知らずの内に両の太股をすぼめてしまう。  
二人とも当然ながら電気あんまの経験は無いものの…千春の言葉を聞くうちに、それが女の子にとって  
絶大な威力を発揮する悪戯であろう事を本能的に悟ったためである。  
 それでも実際に経験したことの無いためであろうか…千春の告げる『本当の女の子殺し』…  
つまり『男の子にされてしまう電気あんま』が、真に凄いものなのか、漠然としか想起出来ない桜は  
思わず呟いてしまう。  
「でも…男の子にされちゃうのって…本当にそんなに凄いのかな…」  
「うん…凄いよ。でも、経験の無い女の子には…分からないかも…」  
「そうなの?千春ちゃん?」  
「うん…一度でも経験したら…絶対に分かると思うけど…」  
「その…それでは、千春ちゃんは男の子に電気あんまの悪戯をされた経験があるんですか?」  
「え?そ、それは…その…」  
 智世の鋭い質問に、思わずしどろもどろになってしまう千春。『男の子にされる電気あんま』の  
威力を訥々と語る千春の姿を見れば、智世の尋ねた事は、誰でも思いつくことであろう。ある意味、  
千春は墓穴を掘ってしまったようなものである。  
「ほえ〜…千春ちゃんは…男の子にされた事があるんだ?」  
「一体、どなたにされたんですか?」  
「もしかして山崎くん?」  
「ち、違うよー!あいつには最初に教えてもらっただけ…って、はっ!」  
 幼馴染でボーイフレンドでもある山崎貴史の名を出されて、焦った千春は更に墓穴を掘ってしまう。  
千春の今までの発言を振り返れば、実体験を伴っているであろう事は明らかであろう。となると、  
悪戯をする男の子の候補として上げられるのは…一人だけであろう。  
「確かに山崎くんなら…嘘を言ってることも少なく無いけど…」  
「色んな事を知っていそうですしね」  
「だから違うってー!」  
 もっともらしい法螺話で周りを混乱させるのが山崎貴史の悪癖である。しかし、逆にいうと、  
法螺話を作るだけの豊富な知識を持っていることを証明するものでもある。必死で誤魔化そうとする  
千春であったが、桜達は本当の情報源の存在に、何となく納得したのであった。  
 

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