『このバラの名はスイート・エルロイ』  
(キャンディキャンディ:エルロイ×ジョルジュ)  
 
「お呼びでございますか、大奥様?」  
アードレー家に仕えるジョルジュは、シカゴの別宅に  
一人でいるエルロイに呼び出された。  
「使用人たちを下がらせておくれ。カーテンは全て閉めるんだよ、いいね」  
「・・・かしこまりました・・・」  
 
ジョルジュはこれから始まる肉劇の予感に身震いした。  
 
「はぁぁっ、はぁっっ! もっとだよ、ジョルジュ!  
もっと丹念にねぶっておくれっ!」  
良家の子女として育ち、年を経ていてもエルロイの女としての欲望は尽きない。  
むしろ歪められた形でしか昇華できない行き場の無さを誰よりも理解しているのが  
ジョルジュだった。  
 
ジョルジュはエルロイの望むままに、白くたるんだセルライトと  
肉割れにまみれた太股を押し広げる。  
その中心には紫がかった青黒いビラビラの花園があり、  
カマンベールチーズに似た芳香を放つ女の核がある。  
周辺を覆うブルネットの茂みには、白いものがチラチラと目立つ。  
ジョルジュはその繁みに自らの口ヒゲを擦りつけ、まるでそこだけ  
年月に置き去りにされたような鮮やかなピンク色の突起を啄ばむ。  
「ああっ、ジョルジュ! もっともっと!」  
年月を経て、今なお丹精込めた職人たちの息遣いが感じられる  
豪華な調度品が見守る室内で、エルロイの嬌声だけが響く。  
 
閉経からすでに何年もたっているエルロイの泉は、どんなにジョルジュが  
愛撫しても枯れたままだ。  
「ジョルジュ、いつもの物を・・・」  
「かしこまりました」  
ジョルジュは天蓋付きのクィーンベッドから降りると、象眼細工が施された  
サイドテーブルの引き出しから、ローズオイルの小瓶を取り出す。  
瓶のフタを開けると瑞々しい薔薇の香りが室内に広がって、  
生々しいチーズとイカのニオイを駆逐する。  
 
ジョルジュはこの瞬間が好きだった。  
アードレー家の邸宅には、生前アンソニーが丹精していたバラ園がある。  
ローズオイルはそのバラを製油して作った希少なもので、今はエルロイしか  
使うことを許されていない。  
このバラの香りを嗅ぐと、幼いアンソニーと遊んでいた緑の瞳の貴婦人を思い出す。  
あの日の切なく苦しい恋心が、現在も彼をこの家に繋ぎ止めている。  
 
ジョルジュはローズオイルを掌に取ると、自らの体温であたためた。  
「エルロイ様、よろしいですか?」  
「ああ、やっておくれ」  
ジョルジュはマグロのように横たわったエルロイの上に馬乗りになり、  
身体の左右に平たく広がったナンに似た乳房にオイルを数滴落とす。  
そして太股以上にセルライトと肉割れが進んだ腹部に、その下の気高く年老いた  
花園にオイルを垂らしてゆく。  
全てのオイルを垂らすと、まだオイルの残っている手で、垂らしたオイルを  
塗り広げながら全身を愛撫する。  
左右にダラリと広がった乳房を手でかき集め、パン職人が生地をこねるように  
丹念に乳房をこねくり回す。  
皺々の茶色い両の尖端を指でつまんで持ち上げながらブルブル揺らす。  
「いいっ! いいよっ、ジョルジュ!」  
興奮した老貴婦人は待ちきれずに花園に垂らされたオイルを自らの秘部に塗り込め、  
忠実な下僕を押し倒すと、逆に馬乗りになった。  
 
エルロイはジョルジュの股ぐらに乗ると、かろうじて勃起した彼自身を  
一息に自分の中に迎え入れた。  
オイルを塗ったものの、充分に濡れていないせいで処女のような痛みが  
彼女を貫く。  
それが彼女にとっては最高の快感なのだった。  
家柄のせいで本当の恋を知ることもなく結婚し、愛の無いまま伴侶と死に別れ、  
一族の総長として厳格に過ごした日々。  
可愛がっていた孫たちは、アンソニーは落馬で、ステアは戦場で命を落とし、  
一族の総長としての役割さえ、ウィリアムが引き継いだ今となっては  
彼女のものではない。  
全てが虚しかった。取り残された彼女は誰よりも孤独だった。  
しかし誇りが高すぎる彼女は、誰かに弱気を見せる術すら知らない。  
だから肉欲に溺れる。  
肉体的な痛みと官能は心の痛みをしばし忘れさせてくれる。  
それだけが彼女の救いだった。  
 
老貴婦人は己を繋ぐ楔に幾度も腰を打ち付ける。  
腰を浮かせては、また一気に貫く。  
乗馬の上手かったアンソニーのギャロップのように、彼女は夢中で  
ジョルジュに乗っていた。  
彼女が腰を打ち付ける度に、腹部の白い肉塊がブルンと大きく揺れる。  
昔は豊満だった乳房は臍の近くまで垂れ下がり、腹とは違う軌道を  
描いて揺れ、貧弱な拍手のような音を立てる。  
エルロイは垂れ乳を両手で掴むと、上体を屈めてジョルジュの口元にあてがった。  
皺々の乳房へ乳飲み子のように吸い付くと、下僕は繋がったまま上体を起こし、  
女主人の求めに応えてみせる。  
ちゅぱちゅぱと音を立て強く乳首を吸い上げ、乳首を銜えたまま後ろにのけ反り  
びろーんと垂れた乳房を伸ばしてみせる。  
それはあたかも子供がピザを食べているかのような光景だ。  
やがてエルロイは両の乳房でジョルジュの顔を打つ。  
ジョルジュの顔が腫れ上がる頃、エルロイの乳房も腫れてバラ色に染まっていた。  
 
エルロイは腫れた乳を掴むと自らの肩に乗せ、乳の付け根を僕に舐めさせた。  
そこは年老いて官能が鈍っているエルロイの身体の中でも特に敏感な  
性感帯のひとつだった。  
主人の身体をよく心得ているジョルジュは、どこよりも丹念にそこを舐る。  
細かい皴の一本一本に刻まれた主人の労苦をいたわるように。  
今は自分より他に見ることのない悦楽に溺れる彼女を心から悦ばせるために。  
 
彼の思いが伝わってか否か、繋がったままの彼女のヴァギナが急激に  
軟体動物がくねり出すような動きを始める。  
「ああジョルジュ。もう駄目だよ、イカせておくれー!」  
「かしこまりました」  
彼はエルロイの肩にかかった乳房を恭しく自分の両肩に乗せると  
逞しく彼女を突き上げる。  
「ひぃーっ、ひぃーっっ!」  
すでにアクメに達しているエルロイは、白目を剥きながら  
絞められる七面鳥のようなよがり声を上げている。  
「はぁぁぁぁーーーっっ!!!」  
「ぐぎゃあああぁーーーっっ!!!」  
 
ジョルジュは渾身の一発をエルロイの中に放ち、彼にしがみついたまま  
少女のように震えるエルロイから白くふやけた自身を引き抜くと、  
ヴァギナから溢れる精液を絹のハンカチで拭き取り、召し使いを呼んだ。  
湯が運ばれ、エルロイの身体が拭き清められる間に、ジョルジュは  
手早く身仕度を整えて車に乗り出立した。  
アードレー家の門を出る前にバラ園を遠く見やる。  
 
『このバラの名はスイート・エルロイ♪』  
 
そんなアンソニーの声が幻聴で聞こえてしまうほど  
彼は心身共に消耗していた。(完)  
 

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