「おい、井上、これやるよ」
いきなりアニメの女の子がプリントしてあるカラフルな下敷きを差し出す。
ほくを取り巻いているのは、普段あまり話をしないアニメ同好会の人達だ。
「”王立ぱすてる小学校”いいよなー。やっぱ一押しは、如月檸檬タンだな」
「だよなー。金髪ツインテール萌え!」
「ツンデレ幼女萌え!」(←注、最後方からの芥川発言)
「......はあ」
檸檬タンって、このミニスカートをはいて髪をふたつ結びにした、吊り目の女の子の
ことだろうか......。
どう見ても、小学校一、二年生くらいの......。
<中略>
そんなぼくらを、女子が引き気味に見ている。
「井上くんってやっぱり......」
「噂は、本当だったのね」
どうにも居心地の悪い思いでいたら、芥川くんが声をかけてくれた。
「井上、ちょっといいか」
「うん、あ、ゴメン。芥川くんが呼んでるから」
救われた気持ちで、芥川くんのほうへ行ってみると、
「気にするな、井上。趣味は人それぞれだ」
真面目な顔で励まされた。