「ななせ〜。やっと二人っきりだよ〜」
私は、ななせに勢いのまま飛びついた。そのまま二人でたたみに引かれた布団へと倒れこむ。
「ちょ、ちょっと森ちゃん!いきなりどうしたの〜」
ふふ、困ってる、困ってる。あぁ、かわいいなぁ。
「森ちゃん、なんか怖い顔してるよ……」
いけない。思わず顔に出ちゃっていたらしい。
「そんなことないよ。やっぱりななせってスタイルいいよね〜」
ななせが着ている浴衣は出るところは強調して、控えめのところは控えていて――。
ベタベタと遠慮なくななせの体を触る。
「森ちゃん、どこ触って――」
「いいじゃんいいじゃん。減るもんじゃないし〜」
ふにふにとななせのおっぱいを指先でつつく。私にはないほどの大きさをしてるそれは、私がつかんでもこぼれてしまいそうなボリュームをしていた。「ひゃっ」とか、かわいい声をだして押しのけようとしてるけど、そのことは見てみぬふりをして続ける。
「あ〜、ブラしてるの?はずさないの?苦しくない?」
「ね、寝る前にははずすよ。でも、まだ消灯時間じゃないし……」
「手伝う!」
「平気だから……。ていうか森ちゃん、目が怖いよ?」
「そんなことないよ。普通だよ」
そうそう普通だよ!こんなかわいいななせ見たら誰だってそうなるんだから。
「森ちゃん、そろそろどいてくれると嬉しい」
「こうしていたいのに!ななせは私のこと嫌いなの……」
おどけたように言っても、ななせには流されてしまう。
「そうじゃなくて、明日の準備もしとかないと。森ちゃんもちゃんとやらなきゃダメだよ」
「は〜い」
おずおずとななせからはなれて自分のカバンの下へと近づく。まだ今日は修学旅行初日で、明日もすることはいっぱいあった。荷物を整理して、予定確認して――。
そうこうしてるうちに、見回りの先生が消灯時間をつげ、去っていった。
「ここ消しちゃうよー」
「うん」
大きな明かりを消し、間接照明だけ残す。寝るには十分な暗さ、そして部屋の中を見るには十分な明るさだった。
ふとななせのほうを見ると、ゴソゴソと恥ずかしげにブラをはずすところだった。背まではだけた浴衣が妙に生めかしい。
そぉ〜っと。そぉ〜っと
「えい!隙あり!」
「きゃっ」
ななせの脇から手を回して、その胸をわしづかみにした。
やっぱり、大きい……。うぅ、いいなぁ私もこれくらいほしい。
手のひらいっぱいのそれの感触を確かめるように揉んでいく。
「ちょ、ちょっと、森ちゃん、や、やめて」
じたばたともがくけど、私は離さない。はぁ、ずっとこの感触を味わってたい。
後ろから覗き見るななせの顔はさくらんぼみたいに真っ赤になっていた。
「いいの、いいの。こんなに気持ちいいんだから」
「わ、私はよくない……」
ななせはあきらめたように大人しくなっや。私にされるがまま我慢している。
「痛くない?」
「痛くはないけど」
「井上くんにこうしてもらうのとどっちがいい?」
「い、井上?あ、え、えっと、あ、その」
「あ、想像しちゃったんだ?」
「し、してない!」
「どんなふうに想像したの〜?こんなかんじ?」
少し乱暴に、荒々しくもみしだく。ななせが、さっきまで大人しくしていたのが嘘のように私の手首をつかんだり、体をよじって必死に止めようとする。
「そっかぁ。こんなかんじなんだ。意外と井上くん激しそうだもんね」
「ち、ちが、ゃ」
恥ずかしさに頬を真っ赤に染めて、目じりに涙をためたななせに、私は揉むのを一旦やめた。胸に手を置いたまま、その体温を確かめるようにななせに抱きつく。ななせは安心したように息をついて、落ち着こうと深呼吸をしていた。
伝わってくる体温はとても暖かくて、顔も熱っぽく上気してる。
「ななせ、興奮してるでしょ?」
「そんなこと、ない」
「無理しなくていいのに」
「嘘じゃないって」
「そっかぁ」
一度胸から手を離して、ななせのおなかに手を回した。
このまま寝られたらいい抱き枕なのになぁ。うん、寝るときはななせの布団にもぐりこもう。うん、決まり。
考えがまとまって、もう一度ななせのおっぱいへと手を伸ばす。胸から手が離れて油断していたななせの硬くなったそこへと指を伸ばし、一気に押し込んだ。
「ん〜っ!」
そのまま押し込み続けるようにぐりぐりと指先で弄くりまわす。
「も、森ちゃん、ダメ。ん……ゃ、はぁ、やめ、ん!、ぁ、ぅ」
「油断したなぁ、私のほうがだめだよ〜。ななせがかわいすぎて」
「お、ん、お願い……離し、て、ゃぁ」
ななせの表情に私のほうが変に気分がノってきてしまった。このままななせを楽しみたい。そして一層力をこめようとしたとき
「う、ぅ、やめ、て。くら、ら――」
「なな、名前はNGだよ!」
思わず手を離して、自分の耳を塞ぐ。予想外の反撃で、私のほうが取り乱した。
だめ、クララはだめ、森、森私は森だよ。くららは、くららは……。
「はぁ、はぁ……」
ななせはというと、私の手から解放されて力が抜けたのか、息を荒くしながらも、ぐったりと布団に倒れこんでしまう。
「う〜、ななせぇ。名前を呼んじゃだめぇ」
「だって、森ちゃん、やめて、っていってるのに、はな、してくれ、なかったし。いじ、わるは、そっち、だよ」
ななせは、本当に恥ずかしそうにして私に背を向けて、自分の胸を両腕で隠す。恨みがましそうにこちらを見つめた。
「だからって、名前はダメだよ〜。くぅ、そっちがその気なら、私だって」
ななせが寝ているすぐ横に私も倒れこむ。
「え、え。もうやめよう、ね?もう消灯時間」
「今日はななせを抱き枕にするって決めたの。そのもふもふクッションを抱きしめて寝るって」
「変なことしないなら、それでもいいから。今日は、ね?」
「ふふふ」
「森ちゃん、また目が怖くなってる」
「てやっ」
右手をのばし、ななせの手をすり抜けてさっきまで触っていたそれへと手を伸ばす。
「な、ひゃっ……ぃゃぁ」
ななせが振り返って私を見る。何かをいいたげに。
私はそれに笑顔でニヤリと返した。
ななせはやめてくれないと判断したのか、私を止めようともう一度名前を呼ぼうと、口を開けて。
「もう駄目だってば。く――」
名前を言い切る前に私の唇をななせの唇へと押し付ける。女の子同士のキス。お遊びですることもあるけど、今回はちょっと違う。
ななせを困らせるために舌先を少しだけ伸ばす。そしてななせの口内に侵入して――。
悲鳴のようなくぐもった声が部屋の中で響いた。
夜も修学旅行もまだまだ始まったばかり。