日曜日。僕は今映画館の入口にいる。  
あの日プラネタリウムで美羽と別れてから数日が過ぎて、漸く琴吹さんとの約束の日がやってきたのだ。  
 
館内に入ると緊張した面持ちの琴吹さんが僕を待っていた。  
「ごめん、お待たせ!」  
「べ、別に私も今来たトコだし、それより早く行こうっ」  
慌てる様子が可愛くて、つい口元がほころんだ。  
 
映画は琴吹さんに決めてもらったことを思い出して、  
「今日見る映画ってどんな映画なの?」  
「井上、もしかして映画の内容知らないの?」  
「うん。タイトルは聞いたことあるけど、どんな内容なの?」  
すると琴吹さんは真っ赤な顔でもじもじとして、言葉を詰まらせた。  
その時館内のアナウンスが鳴った。間もなく上映するらしい。  
僕は琴吹さんの手を掴み、  
「もう始まるんだって、行こう!」  
と言い真っ赤な顔をした琴吹さんを場内に引っ張っていった。  
 
 
場内には結構な数の人が居て、僕はその中でも後ろの方の列の真ん中の席に座り、その右側に琴吹さんが座った。  
 
場内が暗くなり、静寂に包まれる。  
すると椅子の上に置いていた僕の右手の上に温かいものが乗った。  
見ると、琴吹さんが恥ずかしそうに僕を見つめていた。  
 
僕はすぐに理解し、そっと手を握り合った。  
 
巨大なスクリーンに映像が次々に流れる。  
だけど少し経って僕は舟をこぎはじめた。  
昨日の夜緊張してあまり眠れなかったせいかもしれないし、映画の前置きが長すぎたのかもしれない。  
 
そうしてウトウトしていると、不意に右手をぎゅっと握られた。  
その拍子に僕は目が覚め、驚いて琴吹さんを見上げると、その目はスクリーンに釘付けになっている。  
その視線の先では、若い男女がベッドの上でもぞもぞと動いていた。  
時折響く嬌声がそれの意味を理解させた。  
 
それからは僕もスクリーンに釘付けだった。  
 
 
琴吹さんは映画が終わった今でも赤い顔をしている。  
実は僕もさっきの映画の熱が残っているのか、体が熱い。  
 
やがて帰路につくとき、琴吹さんが言った。  
「い、井上の家、今日は皆出掛けてるんだよね…?」  
「うん。」  
琴吹さんは懇願するように言う。  
「あ、あの私暫く家で1人になるんだけど、寂しくて…井上の家にと、泊めてくれないかな…?」  
 
 
心臓が止まるかと思った。  
 
 
「っはぁ…はぁ、いのう、えっ……」  
 
あぁ、僕は何をしているんだろう。  
琴吹さんが僕の家に泊まることになって、家には二人だけで、琴吹さんが僕の部屋に来て、それから――  
 
僕はベッドの上で、全裸の琴吹さんの上に覆いかぶさっていた。  
琴吹さんは肩で呼吸し、涙目で僕を見つめている。  
そして秘所からは初めてを失った証の血が滴っている。  
 
そうだ。僕は琴吹さんが初めてだということも考えず、快感の渦に溺れるまま彼女を貫いたんだ。  
行為の際中、琴吹さんは痛みに顔を歪めていた。それでも僕は僕を止められなかった。  
あれだけ愛しいと、守りたいと思ったのに、僕はまた傷付けてしまった。臣くんにも、ななせをよろしくと言われたのに。  
 
僕は罪悪感に胸をきりきりと締め付けられた。美羽を知らず知らずのうちに傷付けていたと知った、あの時のように。  
崩れそうな顔を見られないよう顔を背け、  
「ごめん、琴吹さん…僕、きみを傷付けるつもりはなかった。でも、また…」  
 
突然、柔らかいものに口を塞がれた。驚き見ると、琴吹さんが僕に抱きついてキスをしていた。  
やがて唇を離すと、銀色の糸が僕たちの間を伝った。  
「井上が謝ること、ないよ。確かに痛かったけど……元々私が誘ったんだし」  
 
琴吹さんは僕を抱き締めたまま慈愛に満ちた声で言う。  
「井上は、もっと私に甘えて良いんだよ?今までずっと苦しい思いを抱えてたんだから……  
井上も、私が夕歌のことで苦しんでいた時、側にいて励ましてくれたよね?  
 
だから私も、井上のこと全部、受け止めてあげるよ」  
 
 
涙が溢れて止まらない僕を、琴吹さんは優しく抱擁した。  
 
やがて泣き止んだ僕に琴吹さんは言った。  
「コノハ……来て」  
僕はそれに応じ、己の半身を濡れそぼった秘所にあてがう。  
「いくよ……ななせ」  
ゆっくりと半身がななせの膣内に侵入していく。  
「っふ、ふぁっ」  
最奥にたどり着いた。  
僕はそのまま上下運動を始め、徐々にスピードを上げていく。卑猥な水音が室内に響く。  
「こ、コノハっ。あっ、すっ、好きっ!ひゃっ、ぁっ」  
「ななせっ、ななせっ!」  
ななせの秘所は洪水のように愛液を流し  
「いっ、イクっ!コノハっ、イクぅっっっ!」  
同時に膣壁が勢いよく締まり、僕は熱い思いを膣内に放った。  
 
その夜は部屋から喘ぎ声が絶えることは無かった。  
 

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