「井上と付き合うってことは、そのうち、え、えっちなコトとかもするんだよね?」  
ティーン雑誌の特集記事を眺める。ソコには、赤裸々な体験記事が載っていて、  
『クリスマスに彼とどきどきの初体験!』なんて見出しが目に入るだけで、顔がかぁっと熱くなる。  
「でも、あたし初めてだし、もしそうなっても井上のこと満足させて上げられるかな…」  
「初めてだと痛いっていうし、井上、無理しなくていいとかいって」  
 
「琴吹さん、入れるよ?」  
「うん、きて…井上」  
じゅぷ…じゅぷぷ…  
「…ッ!!」  
「痛いの?琴吹さん」  
「だ、だいじょうぶだから、動いて…」  
「無理しないで、琴吹さん。こうしてるだけでも十分気持ちいいから」  
「井上…」  
 
「…とか言って、結局あんまり動かさずに終わっちゃうんだろうな…」  
そんな井上を思い浮かべると、うれしい気持ちがすると同時に申し訳ない気持ちになる。  
「ひょっとしたら、あのミウって子と、もう初体験は済ませちゃってたりして…」  
気持ちがしょんぼりとしてくる。  
そんなので、やっぱりミウの方が気持ちよかったなあとか思われたら。  
「…だめっ。そんなの。」  
雑誌をぺらぺらとめくる。  
「え、なにっ、コレ。えぇ!?く、口で気持ちよく…?こ、こんなのあるんだ…」  
確かにこれなら、初めてでも痛くないし、こっちで調整できるから井上を気持ちよくさせることもできるかもしれない。  
 
なんて、思い立ったのが30分前。  
いまあたしは、ぐつぐつと手鍋でお湯を沸かしている。  
「えっと、沸騰したら2分間ゆでるのね…」  
ぼこぼこと気体を吐き出す、鍋にさっきコンビニで買ってきたウィンナーを入れる。  
「よし、茹で上がった…」  
ゆでた手のウィンナーはとても熱くて、すぐに触るとやけどしてしまいそうだ。  
「水で適温まで冷やして…」  
ざるでお湯を切り、じゃばじゃばとボウルに水を注ぐ。  
「ん、こんなもんかな。」  
 
なぜこんなことをしているかというと、その、練習のため。  
さっき見た本に、はじめてみたアレはウィンナーみたいだったって書いてたの。  
体温ほどにさめたウィンナーを摘み上げ、指で挟んで滑らすように上下に動かしてみる。  
「おっきい…。これが、井上の…」  
言葉にした瞬間、身体が熱くほてって、胸がどきどきしてくる。  
「コレをお口で…」  
唇をそっと近づけ、ついと舌を伸ばす。  
こんなに、ぱんぱんに腫らしちゃって…脳裏に井上の笑顔が浮かぶ。  
「…ッ、む、ムリッ!絶対ムリ!」  
あと数センチというところで、思わずウィンナーをボウルに投げ入れた。  
だって、井上の顔が浮かんだとたん、なんだかウィンナーが妙に生々しく見えて、気のせいか血管見たいのが浮かんで…。  
とてもじゃないけど、できない。恥ずかしすぎる。  
水滴がついた指をじっと見る。まださっきのウィンナーの熱が残ってるみたいで、湯気が立っている。  
「…んっ、はぷ、ちゅっ、ちゅぽ」  
指を口に持っていき指についた水分を舐めとる。  
「…おいしい。」  
当然ながらウィンナーの味だ。ほんのりと塩味がする。  
「…これなら、大丈夫かも」  
うん。まだ、ウィンナーはあたしには早いみたい。少しずつ慣らしてかないとね。  
「…とりあえずこのウィンナーは、冷蔵庫に直しとこう。」  
その日、夕食にでたウィンナーはジャガイモと一緒に並べられて、すごくおいしそうだったけど、  
口に持っていったら、また井上の顔が浮かんできそうで食べられなかった。  
 
 
 
今日は琴吹さんと映画を見に来ている。売店で、ウーロン茶と、ミルクティー、それにホットドッグを買って席に着く。  
「琴吹さん、ミルクティーでよかったかな?」  
「あ…、うん。ありがと。」  
女の子らしい、淡い桃色のワンピースを着た琴吹さんは新鮮な気がしてどきりとしてしまう。  
今まではきつい印象が強かったけど、本当はかわいらしい女の子なんだな。  
朝食をあまり食べなかったせいか、少し空腹を感じる。  
映画が始まる前に食べてしまおうかな。ホットドッグの袋を開ける。  
 
すると、琴吹さんがこちらをじーっと見つめているのに気がついた。  
「…琴吹さん、食べる?」  
すっと琴吹さんの顔の近くに差し出す。  
「い、いいっ!いらない。あたし、おなかすいてないから。」  
なんだか妙に強く拒絶されてしまった。・・・ひょっとして緊張してるのかな。まあ、仕方ないか。僕だって似たようなものだし。  
がぶりとホットドッグにかぶりつく。…うまい。本格サルサソースとやらの酸味と辛味が食欲を促進させる。  
「!?あ…、あぁ…ッ」  
琴吹さんが目を見開いて声にならない声を出す。  
「…ひょっとして、食べたかった?」  
とたんに琴吹さんの顔がカアッと真っ赤に染まる。  
「…ッ!!バ、バカッ、知らないっ!」  
もうすぐ、映画が始まるというのにものすごい勢いでどこかへ走り去ってしまった。  
「ちょ、琴吹さんっ!?映画…っ」  
放っておくわけにも行かず、すぐさまその後を追いかけるが、あっという間に見失ってしまう。  
女の子に食欲とかに関する話は失礼だったのかもしれない。  
 
気を取り直して、琴吹さんの携帯に電話をかけようとしたとき、  
柱の影から琴吹さんがすっと顔を出し、申し訳なさそうな様子で、近づいてきた。  
「あの、ご、ごめんなさい。なんだかあたし、ちょっと緊張しちゃって…」  
琴吹さんの目は潤んで今にも泣き出してしまうんじゃないかという様子だった。  
「気にしないで、実は、僕もちょっと緊張してたんだ。だから、琴吹さんの気持ちわかるよ。」  
「あ、ありがとう、井上。」  
表情のこわばりは、ほぐれたみたいだけど、まだちょっと気落ちしてるみたいに見える。  
「ところで、実は今日は急いでたんで、朝食を食べてないんだ。」  
あたりを一通り見回す。フランクフルトにホットドッグ、チョコバナナ…。うん、これなんかでいいかな。  
ソフトクリームのコーナーに向かい、そしてLサイズをひとつ、Sサイズをひとつ購入し、小さいほうを、琴吹さんに渡す。  
できるだけ、繊細な乙女心を傷つけないように。  
「あ、ありがとう…」  
目元が少し笑っている。やっぱり、お腹すいてたんだな。  
 
ぺろ…  
「ん…、コレなら、大丈夫かも…」  
ペロペロとソフトクリームを舐める。琴吹さん。ぺちゃぺちゃと小さな音が聞こえて、変な想像をしてしまう。  
心なしか顔も火照って、目も少し潤んでいるような。唇が触れるさきからアイスが溶け出し、形を変える。  
ソフトクリームの段々が先端のクビレみたいに思えて、あたかも琴吹さんが僕のソレに舌を這わせているような。  
…何を考えているんだ。僕は。これじゃあ変態じゃないか。そう思い、気を取り直す。  
「ここのソフトクリームおいしいね。」  
「うん…。」  
あむっと先端のクリームを口にし、ちゅうっと吸いたてる。口を離すときにちゅぽっと音がする。  
よく見ると唇に付着するクリームが例のどろっとした液に見えなくもない。  
う…。まずい、なんだか下半身がむずむずしてきた。  
落ち着け。落ち着くんだ。ただ、アイスを食べているだけじゃないか。  
頭の中で、うろ覚えの般若心経をとなえ、雑念を振り払う。  
「あ…やだ、垂れてきちゃった…」  
コーンに垂れた白濁を舌で舐めとる琴吹さん。  
そう、そのざらざらしたところが特に敏感で……じゃない。  
欲求不満なのか?付き合い始めたとたん、こんないやらしい妄想をするだなんて…  
「はぁ…、甘くて…おいしい」  
不信心な僕には般若心経もたいした効をなさないようだ。  
 
結局その日は、僕のモノに懸命な奉仕を続ける琴吹さんの幻が頭を離れず、昂ぶる欲望を押し隠して耐えるほかなかった。  
 
 
 
 昨日のデートは散々だった。  
「せっかく井上が誘ってくれたのに…」  
 ホットドッグのソーセージが、またアレに見えちゃって。  
 「食べる?」っていって差し出してくれたとき、まるでいきなり井上の…、を目の前に突き出された気がして。  
 井上がそれを食べたときなんて、その、せ、生殖器を口に含んでるみたいで、変な声上げちゃった。  
 だから、「ひょっとして食べたかった?」なんていわれちゃった時、いやらしい妄想が見透かされた気がして、つい逃げ出してしまった。  
 でも、そのあと恥ずかしくて、情けなくて、泣きそうなあたしに、井上はソフトクリームをご馳走してくれた。  
「井上がくれたアイス、おいしかったなぁ…」  
 思い出すと井上の優しさが伝わってきて、うれしくて、ぽわっとした気持ちになる。  
 …でも、そのあとも少し井上の様子はギクシャクしてたように思う。  
 やっぱり、映画館のことで、変な子だって思われちゃったのかな…  
 さすがに、あんなえっちな妄想まではばれてないと思うんだけど。 というかもしばれてたら、自害しかねない。  
 
「別に、食べ物が何でもだめだってわけじゃないんだよね。ソフトクリームなんかはぜんぜん平気だったし」  
 チョコバナナはもしかするとムリかも。あの、太さと、びみょーな反りぐあいが。  
 あの時、井上がソフトクリームを選んでくれてほんとよかった。  
なんかあそこの店、妙にアレを連想させるようなメニューばっかりだったし。  
 フランクフルトなんて渡されてたら、また暴走しちゃってたかもしれない。  
 やっぱり早急にアレに慣れた方がいいんだろうけど、食べ物で練習するのって、やっぱりやめたほうがいいのかな?  
 また、昨日みたいなことになっちゃったら大変だし。と、なると…、  
「指…かな。」  
 この前ぱくって咥えたときも、問題なかったし。なにより、いちいち準備しないでいいから、いつでもすぐできる。  
 よし、思い立ったらすぐ行動。井上と過ごした時間はきっとミウって子の方がずっと長い。  
 あたしは集会遅れでスタートしたランナーみたいなもんなんだから。足りない時間は、より濃密な時間でカバーするしかない。  
 
 雰囲気を出すために少し部屋の電気を暗くして、優しいBGMを流す。  
「やだ…、なんか、どきどきしてきちゃった」  
 ううん、きっと少しどきどきするくらいがいいんだ。  
「えぇっと、まずは指を優しくつまんで…」  
 しゅっ、しゅっと以前ウィンナーでしたように指を滑らせる。  
「あ、なんかちょっと気持ちいいかも。新陳代謝とか、活発になりそう。でも、こんなのでいいのかな?」  
 そうだ。たしか、この前見た雑誌では、ぬらして滑りをよくするってかいてあったよね。  
「でも、水なんて部屋においてないし…、う〜ん、これでいいかな?」  
 たらーっと人差し指にベビーオイルをたらす。う…、ちょっとベトッとする。  
「うん、でもさっきより滑らかに滑っていい感じ」  
 あ、なんかちょっときもちいいかも…。しばらくにゅっ、にゅっ、と指を擦っていると指先がぽかぽかと暖かくなってきた。  
「確かに、気持ちいいんだけど…、なんか、これって、マッサージしているだけじゃないの…?」  
 …まあ、手でするのは準備運動みたいなもんなんだよね。たぶん。  
「うん。これくらいやれば、きっと井上も準備万端だよね?」  
 自分で口に出してから、なにかすごい、えっちなことをいってしまった気がして体がかっと熱くなった。  
 準備万端って、つまり…、"そうゆうコト"だよね?  
 
「…っ!う、うん、早く、次いこう。次ッ!」  
 えーと、まずは舌で、優しく側面をちろちろと刺激する…だったよね?  
 気のせいか、すごくエッチな気が…。舌を小さく突き出して、腹の部分にすうっと近づける。  
 ぺちゃ…。 あ…、あたった。舌先を左右ににチロチロと動かす。なんか、くすぐったいなあ…。  
 たしか、男の子は裏スジってトコがすごく気持ちいいんだよね…?  
「ん、にゅ…、こんな感じ・・・?」  
 ぬるぅ…と根元から先のほうへ舐めあげ、舌の裏を使ってにゅるっとなでおろす。  
「それと、先っぽのぷくってしたところ。ちょっとくびれてるとこらへん…」  
 第一関節を井上のソレに見立ててなぞる。  
「にゅりゅ…、こう…、かな?…れる、ぬちゃ…」  
 部屋が薄暗いせいか、あたしが変になってきたからなのか、ぬめぬめとした指が男性器とオーバーラップする。  
 舌から引き離して、じっと見つめる。 舌とアレの間につう…っ、と透明な糸が伸びる。  
 唾液とベビーオイルが混ざって、ねとねとってしてる。  
「やあ…っ、な、なんか、やらしいよう…」  
 

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