「心葉くんひょっとして、小さい胸好き?」
はっとした様子で遠子先輩がたずねる。
どうしてそういう話になるんだ。隣の琴吹さんの眉がぴくりとつりあがる。
「僕にそんな特殊な性癖はありません」
妙な誤解を与えないよう、はっきりと否定する。
「ひどい…心葉くん」
少し心が痛むが、琴吹さんの手前、下手なフォローはまずい。
ただでさえ嫌われているのだ、井上はロリコン野郎だなどという噂が流れるのはごめんだ。
ちらりと、琴吹さんの様子をうかがうと、顔を赤くしてこちらをにらんでいる。
…少し冷たく言いすぎただろうか。
「井上、胸大きい方が好きなんだ…?」
胸に手を当ててじっとこちらを見据えながら、そんな言葉を口にする。
「え…、こと、ぶきさん…?」
なんなんだ、この状況は。
そして、なぜそこで目をそらすんだ。