「心葉くーん、お腹空いた。おやつ書いて!」
今日も今日とて遠子先輩が言う。
「えーとね、今日のお題は苺と箪笥と…」
「たまには趣向を変えてやってみませんか?」
遠子先輩の言葉を遮り先日思いついた事を実行してみることにした。
「…何?」
僕の声に何か感じるものがあったのか訝しげな表情を浮かべる。
「この間みたテレビでワインのブラインドテイスティングっていうのをやってたんですよ。知ってます?ブラインドテイスティングってのはワインを飲んで」
「知ってるわよ、それぐらい。色や味や香りを色々言って生産地とか使われてる葡萄の品種、ワイナリーの名前や年代まで当てるって奴でしょ?」
さすがにこれくらいの事は知っているようだ、なら話が早い。
「それを文章でやってみませんか?」
「へ?」
「遠子先輩は文章を読んでその原稿を食べて味を感じることが出来ます。ならば目隠しをしてまず原稿を食べて貰い感想を述べる」
突然の僕の提案に目を丸くしながらも頷く先輩。
「で、そのあとで同じ原稿を読んで自分の味覚が確かだったかを確認する」
「…ふむ」
「どうです、やってみませんか?」
出来るだけ平静を装い数日前から練ってきた計画を並べ立てる。
「……判ったわ、やってみましょう。でも『一字一句字も同じもの』でじゃないと感じる味も違っちゃうんじゃない?」
自分の『舌』を評価されるとあって慎重だ。
「その辺はご心配なく。カーボン紙を敷いて鉛筆で書いた『元のもの』を食べて貰いますから」
こうして世にも珍しい『文学少女による文章のブラインドテイスティング』が始まった。
「で、その原稿は今から書くの?」
「もう用意してあります」
僕は鞄から先日書き上げた原稿とアイマスクを取り出した。
「……何だか用意周到ね」
言いながら僕の目を覗き込む。内心ビクつきながらも表情に出さないように続ける。
「久々に執筆意欲が湧き上がりましてね。枚数は少ないですけど自分の持てる物全てをつぎ込んで一気に書き上げました。二時間ほど掛かりましたが」
「ふーん」
これ以上突っ込まれるとやばい気がしたので強引に話をすすめた。
「じゃ、はい。まずはこれ。転んだりするといけないからまずは椅子に座って下さい。それからアイマスクをつけて、そうそう。原稿は大体いつもと同じサイズにちぎって順に渡します。先輩はそれを食べて感じたことを覚えておいて最後にどういった話かをまとめてください」
アイマスクで視覚を遮られているせいかぎこちなく首を縦に振る先輩。
「あ、両手は椅子の背凭れの方に回して下さい」
「な、何でよ!?」
「紙の手触りとか考えることなく純粋に『物語』を味わってもらう為です」
う〜〜そういうものかしら…言いつつ首を傾げる遠子先輩の背後に回り両手をハンカチでまとめる。
「じゃあ始めますよ」
ピリリ。
「はい、口を開けて。あーん」
おずおずと口を開ける遠子先輩。薄い桃色の唇、白く並んだ歯、その中で唾液に濡れて艶めかしく蠢く赤い軟体動物のような動きをする舌。興奮でぶるっと体が震える。
原稿を縦にちぎって先輩に咥えさせる。シャクシャクと小気味良い音をたて咀嚼して飲み込んでいく。
「…ん〜〜何だろお餅が甘い。で、ぬるっとして。あ、え〜〜と甘いホットワインが喉をとおっていく感じ」
「はい次ですよ」
「ふわっと体が浮く感じが…ん、肉のようなグミ?が熱くて」
遠子先輩が思いつくままに言葉を口にする。フムフム、結構正確な感じだなっていうかいかにもな『感想』だ。
「あ、急に青臭いにおいを感じる。んん〜なんか…のどがイガイガするような」
三分の一程の原稿を味わって貰ったところで遠子先輩に変化がみえてきた。頬に薄く朱がさし、唇も色が濃くなってきているのがわかる。
「ん、また甘いんだけど今度のはとろっとして蜜のようなのが…くどさは感じないんだけどどんどん溢れてくる」
体をむずむずさせながら一枚、また一枚と紙片を飲み込む。その度にピクリと背を反らせ足をすり合わせたりしている。縛られた手を見るとぎゅっと握り締めたかとおもうと力が抜けてだらりとなったりして面白かった。
「はい、頑張って下さい。あーん」
「今度はお腹が引きつる感じから…その…えっと…あの、だんだん気持・・・ち…が」
原稿が残り僅かとなった頃にはこちらの声はもうとどいていないのかひたすら舌を突き出し、紙片が乗せられるとそれを咀嚼し味わうことのみに必死といった態にみえた。体を捩り足をすり合わせ口からでてくる言葉はもはや文章の感想ですらなくなってきていた。
「はぁっ…ん…やだ、そんな。いいっもっと…あぁんあっあっふぅんあぁ〜〜っ」
顔を真っ赤にして喘いでいる遠子先輩を見てじらしてみたくなった。
「ほら、遠子先輩こっちですよ」
届くか届かないかギリギリのところで最後の紙片をヒラヒラさせて見る。紙片がおこす僅かな音かそれとも微かな匂いを頼りにしてか必死に舌を伸ばす。いつもの遠子先輩からは思いもよらない淫靡な姿だった。
「はい最後の一切れですよ」
指先にかかる吐息に熱を感じつつ観察を続行する。
『最後の一切れ』この言葉が耳に入ったのか今迄より時間をかけて味わっている。
「…っつ、はぁん…あ…なにこれ…なにか…なにか……くるっ」
そういったかと思うと体を仰け反らせて何かを耐えるように硬直させがっくりと椅子に崩れ落ちた。背中を背もたれに預けきり荒い息をはく。
半開きになった口元からは透明な液体が紅潮した頬をつたって床に糸を引いていた。
アイマスクをそっと外し遠子先輩の顔を覗き込む。
硬く閉じられた目がそっと開かれ僕の顔が瞳に映っている。まさに忘我の境地といった感だ。最初は虚ろだった
が少しずつ焦点が合っていくのが見て取れた。
まだ先程の余韻を引きずっているのか目が潤んでいるのが判る。
「遠子先輩?」
声をかけるとこちらに顔をこっちに向ける。
「コノハ…く…ん?」
どうやら僕の事は認識できているようだ。そっと顔を寄せてもそむける事もしない。先程の痴態を見られていた
ことはまだ理解できていないようだ。
ゆっくりと顔を近づけていく。既に互いの息を唇に感じられるまでの距離に縮まったが遠子先輩は顔をそらそう
としないどころかこちらに顔を近づけて目を再び閉じる。
(これなら大丈夫かな)
薄く紅をさしたような遠子先輩の唇が濡れて光っていた。まるで誘うかのように小刻みに動く。
唇をそっと重ねてみる。拒否される事は無かった。遠子先輩の唇を挟み込み舌でなぞるとまた少し開いていく。
舌を差込み咥内をまさぐると向こうからも舌を絡めてきた。唾液を送り込みすする。そんな行為を続けていると
遠子先輩はもどかしそうに体を捩って顔を押しつけてくる。椅子の後ろに纏めてあったハンカチをほどく。瞬間
手が勢い良く振られた。
(殴られる!!)
衝撃に備えて身を硬くした次の瞬間、頭をぎゅっと前に引き寄せられ遠子先輩の唇が強く押しつけられた。貪る
ような舌の動きに翻弄されつつも何とかこたえていると徐々に腕の力が弱くなってきた。そっと唇をはなし背中
に手を回し抱きしめる。頬をすり合わせるような体勢になると遠子先輩の舌が僕の耳朶を舐め上げる。ぞくりと
した快感が背筋を奔り抜けた。それが判ったのか先輩は体をずらし耳に顔を寄せて甘噛みしたり舌を這わせたりした。
その都度快感に体が反応する。遠子先輩の舌が離れた一瞬をついて僕は反撃に出た。
首筋へ舌を這わせつつ右手を胸に当てる。
(やっぱり小さいというか…無さ過ぎる。上半身を脱がすのはやめておこう。違う趣味に目覚めてしまいそうだ
し)
とりあえず下から手を差し入れてブラジャーをずらす。なんの抵抗も無くブラが上にずれる。手で触れてみると
判るくらいの微妙な膨らみの中心に僅かなしこりを感じとる。
人差し指と中指の間にそっと挟みこむと遠子先輩は鼻を鳴らして泣いている様な声を漏らした。
(あ、考えてる事伝わっちゃったかな)
顔を下半身に移し膝から太ももへと口づけをしていくと閉じられた足が少しずつ開いていった。
体を滑り込ませスカートをゆっくり持ち上げていくと急に遠子先輩の手に阻まれた。
顔を上げるとさっきとは違う赤に頬を染めて頭をブンブンと振っている。
一緒におさげも振れて僕の顔をペチペチと叩く。
右手の動きを早めて愛撫を強めると僅かながら力が弱まった。
その隙を逃さず顔を股間へと押し込む。
(冷たい!!)
鼻先に触れた布から水分が感じとれた。どうやらショーツが濡れているのを見られるのが嫌だったらしい。
遠子先輩が僕の頭に手を掛け押し戻そうとするが、力を込めて前に出て鼻先に布を押しつける。一番敏感な突起に当たったらしく動きが止まる。上下左右に顔を動かすと徐々に力が抜けていった。スカートを持ち上げようと
したが今度は邪魔が入らなかった。
さっき鼻が当たった箇所に見当をつけてそこを中心に舌を動かす。
「ひっ…あふっ、ふぁん…ひゃっ」
先輩の口からたえまなく喘ぎ声が漏れ出す。
舌に力を入れると布越しにも液体が溢れてくるのが判った。
「…もっと…この…はくん…もっと、強く…して」
いつしか遠子先輩の手は僕の頭を押し戻すのではなく、押しつけるように後ろに回され腰も椅子から浮き上がってきていた。
ショーツに手を掛け引きおろしていくと股間と布の間に一筋の糸が引かれているのが見えた。足からショーツを
引き抜き今迄以上の熱意を込めて舌を動かしさらに奥へと侵入を試みる。
溢れ出る液体を全て啜り、さらなるものを求めて舌を奥へと差し入れる。
「ふわっ、あっ。やだぁ、そんなに…ひゃん。あんっ。ひっ、くるっ…また、何かが…あぁぁぁぁぁっ」
絶頂が近いことを察して舌と上唇で突起を挟み込むと遠子先輩は二度目の絶頂を迎えた。
「ふっ、ふわっあっ…くぁぁぁぁぁぁぁん!!」
僕の顔を秘部に押し付け、体を丸めるように足を持ち上げ硬直する。
一瞬後、秘裂から今までにない勢いで熱い液体が吹き出す。頭を太ももに挟み込まれ逃げる事も出来ずそのまま口で受け止め飲み込む。
びくっびくっびくっびくっびくっ。
数回の痙攣を数えた後ゆっくりと体から力が抜けていった。
「…ふぅっ」
息を吐いて口の周りをぬぐう。こぼれた愛液で胸元がぐっしょりと濡れていた。
「あ〜〜〜これはまた…」
言いつつ立ち上がろうとした時足が縺れた。
むぎゅ。
「うぉっと」
遠子先輩の顔面に股間を押しつけてしまった。慌てて腰を引こうとしたが動けない。
遠子先輩の手が腰に巻きついていた。
「さっき食べた『お話』と同じ匂いがする」
遠子先輩が顔を上げずに呟く。
(これ以上するつもりはなかったんだけど…)
先輩の手をほどきながらその場の勢いで頭にうかんだ言葉を口にする。
「さっき食べた『お話』実際にやってみますか?」
遠子先輩の潤んだ瞳が僕を見上げる。
チャックを下ろし、いきり立ったモノを外に出す。
「さっき食べた『お話』を追体験するんです」
先程までの体験のせいで既に僕のモノはカチカチに充血して先端には透明な雫が浮かんでいた。
先輩はクンクンと鼻を鳴らすと舌を伸ばし先端に浮かんだ雫を舐め取った後おもむろに口に含んだ。歯が当たり
痛みに声が出そうになるのを堪える。
「そう、上手ですよ。続けて下さい」
まぁ、当然ながら初めての行為…だと思うけどそれなりに気持ちいい。
「口をすぼめて吸いながら舌を絡めたり、先のほうをくすぐるみたいにして頭を前後に動かして」
快感にうっとりとしながら指示を出しているとコツをつかんだのか熱心に顔を動かす。腰の辺りでぞくりとした感覚が蠢く。
(そろそろヤバイかな)
「遠子先輩、もう良いですよ。そこまでにして下さい」
声が聞こえていないのか一層動きが速く激しくなる。
「ちょっと、先輩。駄目ですってばそれ以上すると…出…」
慌てて腰を引こうとしたがいつの間にか腰に手が回され逃げられない。
次の瞬間、ビクンと体が跳ねて精液が吹き出した。
びゅるっ、びゅっびゅっびゅっ。
粘汁が先輩の咽喉を叩く。ペニスの動きがおさまったのを唇越しに感じ取ると先輩はゆっくりと咥内に溜まった
それをのどを鳴らして飲み下した。
射精感に浸りつつゆっくりと床に崩れ落ちる間も先輩はそこから口を離さなかった。尿道に残った精液を搾り取り、
もう何も出なくなったものに舌を這わせる。
くすぐったさを感じながらもそれは再び充血し始め硬さを取り戻していった。
遠子先輩の目が淫らな光を灯しぼくを見上げる。
唇を重ねゆっくりと床へ押し倒していく。スカートを捲り上げるがその手がもう押えられることはなかった。
薄いヘアに守られて淫裂がヒクヒクと息づいている。指で押し開くとピンクの肉が誘うかのように閉じたり開いたりしていた。
その中心の小さな秘穴に反り返ったモノを押しつける。
くちゅっ。湿り気を帯びた音がきこえた。
ゆっくりと腰を進めて秘肉を割り開いていくと微かに抵抗を感じた。
(あ、もしかしてこれは)
遠子先輩を見ると手を胸の前で握り締め、ぎゅっと目を閉じ浅く呼吸をしながらもこの先に訪れる感覚を心待ちにしているように見えた。
「ちょっといいですか?」
声をかけ両手を背中に回させる。唇を重ね激しく舌を使う。
「んむっ、んっくっふっ」
応じてきたところでぐっと腰を押し込んだ。
ぴっ。何かが切れるような音を感じると同時に腰が前へと進む。
背中に回された腕にぎゅっと力がこもる。一瞬後「コツン」と壁に当たった。
先輩は痛みを堪えて歯を食いしばっていたがやがてふ〜っと息を吐いてからまた浅い呼吸を繰り返した。
息が落ち着くのを待ってゆっくりと腰を揺らす。はじめのうちは眉間にしわを寄せ痛みに耐えているふうだったが段々と声が漏れ始めた。
「んっ、ふっ、はっ…くぅん、ひっ…あん」
声が大きくなるにつれ秘洞の中も変わっていった。最初はスベスベした触感がまとわりつく感じになり奥へ奥へと
引きずり込むようにと変化していく。
背中に手を差し入れて遠子先輩を引き起こす。互いに向き合う形となり、挿入が一層深くなる。
「ふぁっ、はっ、うん、あぁっ、あんあぁっ」
いつしか遠子先輩も腰を揺らし始めていた。二本のおさげが僕の背中で踊っている。唇を重ね互いに舌を絡ませ快楽を貪る。
二度目の射精感が襲ってきた。小刻みだった腰の動きを大きくする。
「先輩、僕…もうそろそろ…」
「ひっひゃぁん…ん、いいわ。心葉君…の出して。中にいっぱい、いっぱい頂戴!」
次の瞬間先輩の体が痙攣すると同時に肉洞全体が狭まりギュッとペニスを締め付ける。
どくっどくっどくっどくっ。二回目とは思えない程の量の精液が吹き出した。
遠子先輩が僕の背中に爪を立ててかきむしる。
痛みと快感が混ざり合う中でしばし陶然としていると、先輩の呼吸は徐々に落ち着いていき「はぁ〜〜っ」と大きく息を吐いて
がっくりと力が抜けて後ろに倒れかける。慌てて抱え込み、そっと床に体を横たえさせた。
力を失ったモノが抜け落ちた場所から破瓜の血と粘汁が混ざり合ったものがこぷりと音をたてて零れ落ちた。
「何を書いてるの?」
後ろから声がしたかと思うと細くて黒い紐が肩越しに落ちてきた。
慌てて振り返ると遠子せんぱいが目をキラキラさせて僕の顔を覗き込んでいた。
「え、いや何でもありませんよ」
いいつつ原稿用紙を隠そうとしたが既にそれは遠子先輩の手に渡っていた。
「いつもは私が催促しないと何も書いてくれない心葉くんが人のけはいに気付かずに書いてるなんて!これはよほどの傑作に違いないわ!!」
慌てて原稿を取り返そうとしたが頭を押さえつけられもがいているうちに読まれてしまった。
「…こ〜の〜は〜く〜ん〜〜」
先輩の肩が小刻みに震えている。
身体の向きを変え逃げ出そうとしていた僕の首にいつもの先輩からは信じられない速さで腕が絡みついた。地獄の底から
響いてくるような声が聞こえる。
「これは何?」
「いや、その、あのですね」
「これは、何かって、聞いて、いるのよ?」
頭から血の気が引く音を聞いたのは初めてだった。
「こんなに酷かった?」
へ、思わず僕は自分の耳を疑った。聞こえてきたのは恥かしさのせいか、か細い消え入りそうな声だったのだ。
「…私そんなに…エッチっていうか…卑猥っていうか………だった?」
遠子先輩は顔を真っ赤に染めて聞いてきた。
「まぁ、その、多少は誇張してありますが概ねそんな感じだったかと」
ますます顔を赤くして遠子先輩はその場で頭を抱えて蹲った。
真っ赤に染まった耳に顔を近づけて囁いた。
「確認してみます?」
遠子先輩の頭は縦に振られた。