竹泡対談。
泡「へえ、きみは宮下藤花と一度もしたことがないのかい?」
竹「え、いやまあな。今までも何度かチャンスはあったんだが、
そのたびにお前が浮かび上がってきている気がする……」
泡「ふむ。それは“たまたま”が重なったのかな」
竹「お前な……その表情(カオ)見てるとなんか、毎回『わざと』なんじゃって
気がしないでもないが……」
泡「まさか。ぼくが浮かび上がるのは世界の危機が訪れた時だけさ」
竹「そうなのか? うーん」
泡「でも」
竹「ん?」
泡「内心ほっとしているんだろう? きみはどうやら、まだ彼女に対して
遠慮があるみたいだからな」
竹「遠慮?」
泡「君は、本当は――彼女とするのが怖いんじゃないか?」
竹「…………そんなわけねえよ」
泡「童貞は大変だな」
竹「その顔で言うな……ちょっと傷つくだろ」
泡「そうか、すまなかった。気にしないでくれ」
竹「お前はどうなんだ?」
泡「ぼく? さてね。ぼくのことよりも宮下藤花が処女かどうか、
のほうが気になっているんじゃないのか」
竹「う」
泡「図星かい。やれやれ」
竹「う、うう……いいだろ別に。つかこんな事、本人には聞けないしな」
そこでブギーポップは口笛を吹き始めた。
曲はいつものアレだ。
竹「うまいな、相変わらず」
泡「竹田くん。世界は童貞で満ちているんだよ」
竹「……きっぱり言われてもな。つーかお前が自信たっぷりに言うと妙に説得力あるよな」
泡「そうかい」
竹「ああ、なんかちょっと羨ましいよ」
泡「…………」
ブギーポップの口笛は続く。
【おわり】