「ん?なんか希美ちゃん、ヘンな匂いしない?」  
「え、そうかしら?」  
「いや、別に何も感じねーぞ」  
「ってことは―――」  
「ああ、未来の匂いだな」  
「ですね」  
「恭子、どんな匂い?またいつかみたいに『血』の匂いとか?」  
「……ううん、そんなんじゃない。なんていうか、生っぽいっていうか……。なんだろ?磯臭い?」  
「磯か。近いうち、海にでも行くのかな。三都雄、何かわからないか」  
「おれは別に……いやいや待て待て。辻。お前、なんか『熱くて冷たい』気がする」  
「なんだって!?」  
「一級の死亡フラグじゃないか!」  
「ウソ……!」  
「海影!誰でもいい、眼に何か『映って』ないか?  
 希美に危険が迫っているなら、僕らのうちの誰かが傍にいるはずだ!」  
「―――ビンゴだ。神元、まさにお前の目に辻が『映って』いる」  
「どんな様子だ!?」  
「辻さん、スケッチを」  
「あ―――う、うん」  
「……顔が赤い。熱に浮かされてるみたいだ。目つきもどこか虚ろで、でも何かに必死っぽい。  
 とにかく普通じゃないな。汗だくで、口元から涎が垂れているのにそのままだ。  
 口元が緩んでいて、笑ってるんだけどあんまり爽やかな笑顔じゃなくて、まるで媚びているような―――」  
「………………………………」  
「希美ちゃん?どうしたの?顔、真っ赤だけど」  
『―――びゅごぉぉぉぉぉう、ひゅぉおおおぉぉおおおおおおん』  
「消えた、けど。こっちが始まったみたいだぜ」  
「……あの、ぼく思うんですけど、神元くんの口塞いだほうがいいんじゃ……」  
「なんで?」  
『―――だ、やだぁ!やめちゃやだ、言う!言うからぁっ!!  
 大好きっ!功志のおち○ちんでかき回されるの、大好きなのっ!気持ちいいの!  
 私のおまん○、功志のせーしで一杯にして欲しいのぉぉっっ!!』  
「……………………」  
「………………………」  
「…………………………」  
「……………………………」  
「―――っと、なんて言ってた?」  
「功志のバカぁっ!!」  
「あ、希美!どこへ行くんだ!君は狙われているかも知れないんだぞ!」  
「……そうか。とてつもなく恥ずかしいことがあると、最初は火が出るみたいに熱くなるんだが、  
 すぐに血の気が失せて、さーっと冷たくなっていく……だから『熱くて冷たい』んだなぁ」  
「言ってる場合か!」  
 

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