予感めいたものが確かにあった。  
だから灯りのないリビングに小さな来訪者が現れても、別段驚きはなかった。  
   
「まだ眠れないのかい?」  
「・・・ええ。あなたもみたいね」  
「明日は早いのだから戻った方がいい」  
「戻ってもどうせ眠れないわ。少し付き合ってよ」  
 
 ミンサーは足元の間接照明をひとつ付け、おもむろにキッチンへと向かった。  
カップを2つ。湯を沸かす音が静かな夜に流れていく。  
こんな夜は今までも何度かあった。だが、それも今夜が最後だ。  
 
 彼女がトレイにのせて、甘い香りを運んでくる。  
砂糖のほとんど入ってないホットココアをことんと置くと、自分用のミルクたっぷりの 
それを持って隣に腰掛けた。  
 
 カップを両手で持って、その温もりを確かめる。  
何を話すわけでもない。ただゆっくりと、ココアが冷め切るまで夜を共有する。 
ささやかな、2人だけの秘密。  
 
「・・・ひとつ我侭言ってもいいかしら?」  
 彼女がカップを見つめたまま呟く。  
 
「最後に・・・甘えさせて欲しいの」  
 消え入りそうな、震える声が耳に届いた。  
 
 
 
 滑らかな金糸が、か細い肩で揺れている。  
張り詰められたその美しさに、急に胸が苦しくなった。  
   
 彼女が手を伸ばし、たどたどしく眼鏡に触れる。  
 
「これから彼を守っていく事に不安などないわ。でも・・・今だけ。今だけは何も考えたくない」  
「残念だが、私は何もしてやれないよ」  
 
 眼鏡を外されて軽く頭を振るうと、目の前に泣き笑いの蒼い瞳。  
「判ってる。でも私の少々の弱音くらい、あなたには負担にならないでしょう?」  
 小さな腕は首にまわされ、頬に暖かな感触がひとつ。  
 
 いつでも気丈に前を見つめていた彼女。初めて見せたその涙を、突き放すことは出来なかった。  
 
「慰めにもならないと思うが・・・それでも構わなければ、好きにしていい」  
 彼女の背中をぽんぽん、と撫でるとまわされた腕に力が入った。  
 
「ありがとう・・・」  
「お礼なんか言わなくていい。私にそんな価値はないから」  
 
 溢れる涙をひとつふたつ唇に受けて、目を閉じた。  
 
 
 
 遠慮がちに前髪を掻きあげる指。額に触れる柔らかな唇。  
 
「眼鏡を取ると、とってもセクシーよ。叔父さま」  
 からかう様に囁く彼女。  
 
「"叔父さま"は止めてくれ。頼むから」  
「それじゃ、"小父さま"?」  
「・・・それだと更に変態親父みたいだな」  
「実際誰かに見られたら、そう映っても文句は言えないわね」  
「確かに。ビートに見つかったら殺されそうだ」  
 お互いの額をつけて、見つめあう。くすぐったさに苦笑がこぼれた。  
 
 ゆっくりとボタンが外されていく。冷えた空気と暖かい手が  
首筋から胸へと忍び寄る。はだけたシャツは肩に辛うじて引っかかり、辿る指はズボンと一緒に 
下着まで引き下ろそうとした。  
 
「ちょっと待った」  
彼女の指を押さえながら問う。  
「本当に、そこまでするのか?」  
「・・・やっぱりそこまでは、駄目かしら」  
「・・・・・・・・・」  
「でも、私は、したいの」  
 
 彼女は押さえた手にキスをして、涙の残る瞳で微笑んだ。  
仕方ない、彼女にはかなわないのだ。大きく溜息をひとつ。  
 
 力を抜くと押さえていたそれらが滑り落ち、全てが彼女の前に晒された。  
 
 
 
 膝の上に横座りし、背中に手をまわす彼女。  
面白い程赤面して微動だにしない様子に、思わず顔が綻んだ。  
 流れる髪を丁寧に梳きながら、ネグリジェを肩へ落としていく。     
あらわになる磁器のような肌。悩ましい衣擦れの音。  
 
 どうにかなってしまいそうだ。  
 
 しがみ付く彼女を少しはがして、柔らかく口付けを落とす。  
額からまぶたに。頬から耳に、首筋に。そして最後は髪へ。  
 
「えっと・・・、その」  
「・・・何だ?」  
「その・・・・・・つまらない身体でごめんなさい」  
俯きながら、囁く声。彼女は本当に、解って言ってるのか?  
 
 駆り立てられるように胸を攻める。  
薄い胸は簡単に形を変え、色づく頂は唾液が光り震えていた。  
執拗に舐められる刺激に耐えられず、彼女は髪を掴み、肩に爪を立てる。  
その痛みすら、倒錯的で煽られた。  
 
 そのまま彼女をソファに横たえて、指を背中から脇腹、そして太腿へ滑らせる。 
一層食い込む爪に、高い喘ぎ声。  
 
「んっ・・・ぁあっ――やああぁっ!」  
 頂を強く吸い上げ、幼い突起に指が触れた途端、彼女は激しく痙攣し糸が切れたように脱力した。  
 
 
 
 苦しげな呼吸に硬く閉じられたまぶた。乱れた髪が艶かしく散っていた。  
 
「すまない・・・・・・大丈夫か?」  
 荒い息はそのままに、彼女は微かに頷いた。がっついた自分の行動に内心舌打ちしつつ、  
優しく髪を撫でて彼女の回復を待つ。  
 
「もう、これ位で止めとこうか」  
「・・・どうして?」  
「自分の理性に自信がなくなってきた。壊してしまいそうで、怖い」  
 彼女は髪を撫でる手を絡め取り、胸へと導いた。  
 
「ほら、大丈夫。かなり速いけどちゃんと動いてるわ。理性なんて要らないから・・・・・・ね」  
 ゆっくりと細い腕に引き寄せられて、密着する身体。  
「最後まで・・・お願い」  
 
 左肩に引っかかってたシャツを抜き取って、彼女の腰の下へ敷く。  
「・・・判った」  
 
 承諾の返事を彼女の耳にねじ込み、折れそうな両足を掴んで広げる。 
小さなへそから突起へと唇を辿ると、幼い身体は逃げるように震えた。  
 
 ぴったりと閉じられたそこをほぐす様に舐める。  
すくい上げては突いて、更に手で広げる。だんだんと柔らかくなり潤いを増すそれに指を入れては、 
唇で突起をついばんだ。  
 太腿に、シャツに、伝い落ちるものは唾液だけじゃない。  
 
 入る指が3本になった所で引抜き、代わりに自分のものを突き立てた。  
 
 
「―――――――っ!!」  
 
 声もなく、かはっと大きく息が漏れた。彼女の見開いた目から涙が飛び散る。 
締め付けの痛さから想像する彼女の感じている苦痛に、本当にすまない気持ちで一杯になった。  
 
 彼女を潰さない様に抱きしめ、額に、頬にキスをする。  
 
「・・・平気。そんな心配そうな顔しないで」  
 赤くなった鼻をちょっとこすり、照れ笑いする彼女。そんな事を言われると、何も言えなくなってしまう。  
   
 そのまま、お互いの指を戯れるように絡ませ舐めた。  
ちろちろと舐める小さな舌に、噛み付きたくなるのを何とか堪える。  
指を滑り手首から肘へ、そして胸に唇を辿らすと彼女はあっと小さく喘いだ。  
 
「何だか、変な感じ。・・・もう痛くないから、大丈夫」  
 ついばむ胸をよじらせて、彼女が囁いた。  
「じゃ、少し動くよ」  
 きつく捕らわれてるそれを少し引いては、ゆっくりと深く挿し入れる。  
限界まで入れては上に振って、突起を刺激する。  
 
 徐々に滑らかになっていくそれに、じわじわと込み上げる快感。  
彼女の手は宙を彷徨い、ぶつかった腕と腹に力一杯しがみ付いた。  
思いっきり寄せられる眉根。悩ましくこぼれる呼吸。  
 
 長い長い睦み合いの後、彼女の中に開放し、全てが終わった。  
 
 
 
 
 
 
 力尽きてるミンサーに、なんとかネグリジェを着せる。  
滅茶苦茶になってしまったこのシャツは、どうやって始末すればいいだろうか?  
 とりあえずソファに汚れがないのを確認して苦笑いする。   
   
「そのシャツ・・・ビートに見つかったら大変ね」  
「殺されるだけじゃ済まないな」  
「洗っておくわ。貸して?」  
「いや、明日から君はビートと一緒だろう。私がやっておくよ」  
  
 小脇に抱えてバスルームへ向かおうとすると、彼女は眼鏡を持って進路を通せんぼする。  
 
「眼鏡ない方が素敵なのに・・・どうしてかけてるの、叔父さま?」  
「暗殺者が目立っちゃ駄目だろう」  
「まぁ、外した姿を知るのが私だけっていうのも、悪くないわ」  
「悪くないか」  
「ええ。とっても」  
 
 少し屈むと、眼鏡をかけてくれる。そして唇にキスしようとしてくれるのを、やんわりと止めた。  
 
「それは、彼に取っておいた方がいい」  
「・・・…そうね」  
「もう、眠れるかい?」  
「きっと大丈夫。あなたは?」  
「いい夢が見れそうだ」  
 
 額と額をこつん、とあわせた後、彼女はまっすぐに部屋へと戻った。 

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