「暑いわねぇ」  
「そうですね」  
 無意味なやり取りが今日何度目だ?  
 基本的に合成人間は50℃位までの気温下では全く行動に支障を起こさない。  
 エアコンなんて必要ないと設置を頼まなかったのだが、付けて置くべきだったろうか?  
 PCの前で茹っているレインを眺めながらそう思う。  
「自分の部屋に帰ったら如何ですか?」  
「嫌ーよ。退屈なんだもの」  
 スクイーズが聞いたら泣くだろう。  
 しかしも僕の部屋に居てネットしてるんだからなんとも。  
「何を見てるんですか?」  
「んぅ? にちゃんねる、よ」  
「にちゃんねる?」  
 N○K……ではなさそうだ。  
 後ろから覗き込むと、数行に渡る奇怪な顔文字が目に付く。  
「ジョルジュ長岡ね。700までいったらおっぱいうpって、どうにも釣りくさいわねぇ」  
「じょるじゅ? 合成人間ですか?」  
「クソ真面目ねぇ……ちょっと、こっち来なさい」  
 言われる通りに、隣に行く。微笑が、不気味だ。  
「なんなんですか一体……うわ!」  
 いきなりTシャツの前をたくし上げられた。胸まで一気に露出する。  
「貧相ねぇ。ま、貧乳も今じゃステイタスだしー」  
 ナニゲに非道なことを言いながら、気付くと携帯のカメラで僕の胸を撮影している。  
 恥ずかしい。何やら頬が熱を持った気がする。  
「何に使うんです?」  
「いや、少し燃料投下してあげようかと」  
 レインはワケのわからないことを言いながら携帯とPCでごちゃごちゃと作業を始めて、僕はそれきり捨て置かれてしまった。  
 少しして、うp成功ーと諸手を上げて喜ぶレイン。  
 何ごとか、と画面を見ると、どうやら僕のPCからの投稿でURLが貼り付けられていた。  
 クリックすると、先ほど撮影したと思われる画像が画面いっぱいに映し出される。  
「ッ! レイン、どういうつもりです!?」  
 
「いや、退屈なビッパーに刺激を、ね」  
「またワケの分からない言葉で誤魔化して!」  
 羞恥と焦りで思わず強く彼女の肩を掴んでしまう。  
「痛いわね。胸彫りだしのままで怒らないでくれるかしら」  
 お返しとばかりに胸の先端を指で突付かれる。  
「ん」  
 トン、と指の先端が触れる度痺れる様な快感が走る。  
「感度いいのね。羨ましいわぁ」  
 こちらの反応に気を良くしたのか、掌全体で刺激してくる。  
「ぅ……レイン、駄目です。それ以上やると……」  
「すると何かしら……って、え?」  
 気付いたのだろう。意識を他にやって必死にソレを収めようとするが、間に合わない。  
 ジーンズを押し上げる有り得るハズの無い膨らみにレインも流石に顔を赤くする。  
「あ……、と。何か詰め物でもしてる……んじゃないわね」  
「申し訳ありません」  
 恥ずかしすぎる。顔を俯ける、と自然にモノが目に入って嫌になった。  
「まぁ、そういう趣味の奴は一杯いるし、問題ないわよ、多分」  
 何時も饒舌な彼女がしどろもどろになっている。意外な反応。  
「とにかく、ソレの責任は取るべきなのかしら。ねぇ?」  
「え?」  
 何か不穏なセリフが聞こえた気がする。  
 確認する前に、レインが膝を付いて僕のベルトに手をかけはじめた。  
「あの、レイン、何を?」  
「だって、辛いんでしょう? この状態って」  
「それはまぁ……ではなくて!」  
 喋りながらもレインは手を休めることはなくて、さっさと下着を下ろされてしまう。  
「ちょっとレイン。駄目ですってば」  
「ギチギチに硬くして言われても」  
 
 開放されてそそり立つソレにチラ、と目をやりながら言う。  
「ま、コンプレックス突っついた罪滅ぼしはしたげるわ。大人しくしてなさい」  
 カプ、何か間抜けな効果音と共にいきなり先端を口に含む。  
 そのまま根元の部分に手を添えながら、吸い付きながら出し入れする。  
(う……気持ち良い……というか巧すぎでは)  
 感情が顔に出ていたのだろうか。レインが舌を這わせながらこちらを見ている。  
「前に…んぅ…あの馬鹿相手に……む…練習したのよ」  
 馬鹿とは……あのユニクロ紫フリース男のことか。あんな奴に……。  
 何やらドス黒い感情が腹の底から湧いてきて、気付いたら僕は自分の主人の頭を引っ掴んでいた。  
「んぐッ!? ちょ、くるし……」  
 喉の奥まで無理矢理突き入れる。頭を引っ込めるのを手で阻止する。  
 そのうちレインもあきらめたのか目に涙を溜めながらも口をすぼめて付き合ってくれた。  
 限界は、そう遠くなかった。  
「すみません……出ますッ」  
 達する瞬間、口の中から引き抜いたのはいいが、ワンテンポ遅れて盛大に顔にぶち撒けてしまった。  
「アンタ……実は隠れSでしょう?」  
「あの……気持ち良くて」  
 言いながら笑っている彼女に少し安心する。  
「ねぇ、ラウンダバウト。本番……する?」     
 見上げる視線に何やら可愛らしいとすら感じてしまう。  
 都合の良い展開に欺瞞も抱かず、淫靡に滑った唇にキスを落とした。     
   
「うん……レイン?」  
 行為の後の眠気に身を任せていると、先ほどまで隣に居た少女がまたPCの前に座るのが見えた。  
「どうかしました?」  
 画面を見つめる。先ほどと同じ掲示板の様だ。    
 スレッドのタイトルを見て僕は脳から血の気が降りていくのが分かった。  
『800までいったらフタナリうp』  
 
 

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