『アスパーさんの執筆活動』  
 
少女の体躯、大きな瞳、水玉模様のキノコ笠。  
飽くなき知識の探求者、草の人アスパーは、  
自らの知的欲求を満足させるため今日も元気に研究に勤しむのである。  
 
ある日の共同体本館(リュウたちの部屋のある建物)の一階の広間で、  
リュウは、本棚でなく机に向かうアスパーを見かけて声をかけた。  
 
「…あれ?アスパー、物書きかい?」  
「はい。この度の冒険ならびにこの共同体での生活を経て  
私は非常に貴重な体験をすることが出来ました。  
そうして得た知識を広く世に知ろしめすべく、こうして筆を執った次第です。  
私たち草の人同士ならば必要ない事ですが、  
他種族の方に伝達する際にはやはり文書が有効な手段ですので」  
「でも、なんでわざわざその姿で?」  
戦闘するわけでもないのに少女形態(いわゆるキノコアスパー)だった。  
「元の姿ですと、筆が持ちにくいもので」  
そんな理由でシャーマンを…とリュウは思ったが、あえて口には出さずにおいた。  
「ふーん…で、何書いてるんだ?」  
リュウがアスパーに歩み寄ると、  
「ご覧になりますか?まだ途中ですが」  
と、書きかけの文書を差し出してきた。  
「でも、俺には難しくて理解できないかもな…はは」  
そう言いながらも受け取って目を落としてみる。  
「そのようなことはないと思いますよ」  
気のせいだろうか、ぽつりとつぶやいたアスパーの口元がほんの少しだけ笑ったように見えた。  
 
「…どれどれ…『異種族間交配観察記録VOL.2』…?」  
 
 
(前略)  
共同体よりより少し離れた森の中に、彼らはいた。  
青髪の青年が、黒い羽を持つ飛翼族の女性ににこやかに語りかける。  
「ここにくるまで、誰かに会わなかった?」  
「………(こくり)」  
対して彼女は、紅潮した顔を俯かせて無言で頷くだけだった。  
「そうか…もし万が一、『見られ』ちゃったら大変だもんな…?」  
「………」  
その様子に満足げに目を細めて、青年は催促した。  
「さ、じゃあ、見せて、ニーナ」  
「リ、リュウ…ほんとに、こんなところで…?」  
「大丈夫、ここなら誰もこない…誰も、見ていないよ、俺以外ね」  
女性は、羞恥に顔を染めながらゆっくりとその要求に応える。  
「………………………はい………」  
飛翼族の女性が自らの着衣の裾を両の手でゆっくりと持ち上げ、自らの下半身を青年の前に晒す。  
青い着衣の下から、本来下着で隠されているべき女性器が見えた。  
「ニーナ、下着…ほんとに着けないでいてくれたんだ…」  
「だ、だって、リュウがそうしろって…言ったんじゃない…」  
「でも、まさか『お嬢様』なニーナがノーパンで外出なんてなー」  
青年は人差し指を、震える彼女の内股に伸ばし、ぷるん、と弾くように触れた。  
「……っ」  
触られた瞬間、ぴくり、と身を強張らせた。  
青年は、そのまま人差し指で内腿をじわじわとなぞりながら上へ上へと昇らせていった。  
「…ゲドのじいさんにセクハラされた後なんて、  
『いやらしい目つきで見られるだけで泣きそうになっちゃうの』なんていってたのにな」  
くちゅ…ちゅ…  
青年は、人差し指と中指で彼女の秘部を弄ぶ。  
「……っっ…!…んっ…!」  
「我慢しないで、声、聞かせてよニーナ…ね?」  
悪戯っぽく囁きながら、彼は責める指の動きを更に激しくした。  
「…っあん!あ、あふ…んんッ…あ……………………」  
 
 
「…エロ小説じゃねえかあああああああああああああああッ!!!!」  
すぱーーーん!と、勢い良く手に持っていた紙を床にたたきつけて叫ぶリュウ。  
「む、官能小説はれっきとした文学です。馬鹿にしたものではありませんよリュウさん」  
「つーか俺とニーナかよ!身内題材にするなよタチ悪ィなオイ!」  
「先程も言いましたように、皆さんと共に過ごして得た知識を広く世に…」  
「広めんでいい!!大体これウソやん!根も葉もないガセネタやん!」  
「心外です。それは確かな筋から収集した情報を基に作成されたノンフィクションです」  
「確かな情報て!なにを根拠に…………………………………はッ!まさか!」  
アスパーの能力!それは!  
「草木は嘘をつきません」  
『しぜん』!草の人アスパーは自然に呼びかけて草木の声を聞くことが出来るのだ!  
森の中でエロ行為に及ぶなど四方をアスパーに監視されているも同然なのである!  
「………う…うああ…」  
先程までの剣幕もどこへやら、リュウはもはや言葉も無く呻くのみだった。  
そこでようやくリュウは気付いた。……………『観察記録VOL.2』……………?  
「あ、アスパー…これ、まさか『その1』が…」  
あるに違いないのだ。おそらくは、彼が野外で及んだ破廉恥極まる情事の数々をつぶさに記した、  
ニーナが読んだら憤死してしまいそうなブツが。  
アスパーは、尚も表情を少しも変えぬままに一言、  
「飛ぶように売れました」  
「売ったのかよウワアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!」  
悲鳴にも近い叫び声を残して、リュウは外に飛び出していった。  
リュウの去ったあと、静まり返った広間に一人佇んでいたアスパーは、しばらくしてぽつりと呟いた。  
「冗談だったのですが…」  
 
「ニーナあああぁっ!!」  
「ど、どうしたのリュウ、そんな泣きそうな顔して…」  
「ニーナ、逃げよう!今すぐ、二人で!」  
「ええっ?に、逃げるって、どこへ?」  
「どこでもいい!草木の…ペンペン草一本生えていないところへ!!」  
「え、えええっ!?」  
おしまひ  
 

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