「暑いですねえ…」  
見渡す限りの、砂、砂、砂。何を隠そう砂漠の真ん中である。  
見渡す限りの砂の海に、少女、一人。  
否、正確にはあと三人。だが、この暑さでテントの中から出れないでいる。  
「その中の方が暑くないですか…?」尋ねる少女。  
「…」無言のまま動かない用心棒。  
「…」無言のまま首を横に振る虎人。  
「…」無言のまま銃の手入れを始める帝国軍人。  
「マスターはこっちの方がいい、といっていますね」笑い始める鎧。  
「はあ。…本当に暑いですね」そういって、額に手を当て日差しを避ける。  
暑いなら脱いじゃえばいいんじゃないか?と思う、竜一匹。  
 
本当に、何故暑いと言いながら外にいるのだろう。このお姫様は。  
だいたい格好からして、あれだ。  
なんだその中途な長さの上は。危うく見えちゃうじゃないか。  
ストッキングも黒だし。…あれが熱吸収してるんじゃないか?  
…しょうがない。教えてあげよう。  
 
「あれ?どうしたんですか、リュウ」  
少し微笑み、手を引いてテントから少し離れた岩陰に。  
「ああ、ここを教えてくれたんですか。ありがとう、リュウ」  
…抑えが効かなくなるから、頼むよニーナ。  
「え?違うんですか?」  
と言いながら地面に座るニーナ。座るとほぼ同時に、両脚の間に  
身体を滑り込ませ、ずいと迫る。  
また、微笑む。  
 
「え・・・ちょ、ちょっと!?リュウ!?」  
驚いているニーナを無視して、彼女の両足を抑えるようにしてM字に開く。  
「あ、ニーナ。ちょっと泣き所のとこ持つ感じで抑えといて」  
「あ、え?は、はい。・・・えと、こう・・・ですか?」  
ああ、なんでやってくれるかな君は。冗談のつもりだったのに。  
でも、まあ。自分から見せつけてるみたいで興奮するなあ。  
と、これをニーナに告げてみた。  
「あっ…リュ、リュウのばかえっち!」  
君、その格好で強気な発言。イエスだね。  
さてと。それじゃあまずはストッキングの上からの愛撫でいこうか。  
 
 
岩陰近辺  
 
「ぐっ…わかっているっ。わかってはいるんだっっ!ニーナが  
 リュウのことを好いているのは・・・!だがっ!なんだっっ!?この気持ちの昂りはっ!?」  
「落ち着け。お前はこのパーティーのリーダーなのだろう?」  
リュウとニーナを見守るトラと軍人。後ろに鎧と用心棒。  
「・・・いい」  
「おや、リュウってば。なんならアタシが相手してやったのにねえ・・・だそうですよ  
 うふふ、うふふふー・・・笑うところまちがえましたか?」  
「お兄さんは・・・お兄さんはそんな破廉恥な付き合い方は許しませんよーっ!?」  
小声で、そう呟く。本当は大声で叫びたいのだろうが、愛する義妹に嫌われそうなのが  
嫌なのか。ふん、わかりやすいな。  
 
「でも・・・俺だってここしばらくご無沙汰なのに・・・くうっ。うっ、うぅ」  
大の男がくだらん事で泣くな。…あの2人を最後まで見るのも良さそうだが、  
これ以上のこの男の独り言は聞くに堪えん。いたしかたるまい。  
「・・・おい」  
と銃の手入れをしながらトラに問いかける。  
「エリーナぁ・・・ん?なんだ?」  
「あれを、止めればいいのか?」  
「…あ、ああ」  
「そうか」  
 
パァーーン  
乾いた炸裂音が、辺りに響いた。  
竜が、横に倒れる。  
「リュウ!?し、しっかりして下さいっ、リュウっ!」  
笑う鎧。  
「ふふ、この展開、全て私の脚本どおーり・・・って言ってますね。うふふ、うふふー」  

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