最初あまりの刺激の強さに開放されることだけを願っていた。  
けれども何時の間にかそれを受け入れていた私・・・  
何度となく激しく突き上げられ、ついには限界を迎える。  
私は恍惚間の中、リュウの傍らにどっと倒れこんでしまう。  
魚のように全身を打ち振るわせると私の開かれた口からリュウの分身がだらしなく  
糸を引きながら零れ落ちる。  
あぁ私は彼方のものになったのね・・・夢見心地でそれを見つめる私。  
彼方のそばにいられる。  
もうこれ以上の幸せなんて考えられない・・・  
 
 ついにやったわね、リュウ  
 
 突然の声に驚きそちらを見ると羽を生やした女が私を冷たく見下ろしていた。  
「これ、いくらで売れるかしら?」  
あなたは誰?  
私を売り物みたいに言わないで!  
「それにしても良い身体してやがる。闇市に売っぱらっちまうのはちょっともったいねぇな」  
今度は男の声。  
長身の虎男が私を欲望のまなざしで値踏みしている。  
これはいったい・・・・・・どう言うことなの・・・リュウ!何か言って!!  
 
 !!?  
 
何が起こったのか理解できなかった。  
気がつくとリュウが私に刃物をつきたてている。  
視界が朱に染まりリュウも朱に染まっていく。  
そしてすべてが消えていく・・・  
 
そんな・・・私・・・・・・騙・・された・・・の?  
 
 
 グゥーッ!!レーイトゥ!!!  
どこからか響き渡るナレーションの中、リュウが歓喜の声で叫んだ。  
「ヤター!255cmの勇魚ゲトーーーー!!」  
 
 
 私の愛が届くことは無かった。周りはもてあそばれ裏切られたと言うだろう。  
でも私は後悔しない。愛が届かぬというのなら心に触れられぬというのならせめて私は  
この骸(からだ)を捧げよう。道具でもいい。私はあの人の役に立ちたい・・・  
 
 
どこからか歌声が聞こえてくる・・・  
空に  
山に  
この広い海に  
女神ミリアとの戦いで何度と無くリュウたちの危機を救った勇魚たちの歌声が  
どこまでも優しく、透明に響いていく・・・・・・fin  
 
注釈  
分身=ルアー  
 

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