ブレスオブファイア

「うぅ……ん……」  
 お腹の辺りに圧迫感を感じ、リュウはもそもそと身体を起こそうとする。  
 が、何かに押さえつけられたように身体が動かない。  
「ふぁ……なんだぁ……」  
 リュウは妙な圧迫感に目を覚ます。のろのろと体を起こしてお腹の辺りに目を運ぶと、  
なにやら黒い影がもそもそと動いている。  
「んあ?」  
 目を擦りながらその影を凝視していたリュウの目に、影の正体がはっきりと像を結ぶ。  
「な、なにやってるんだ」  
 思わず大きな声が出る。  
「な、何、何」  
 リュウのお腹の上に乗りかかっていたリンプーは驚いたように辺りを見渡す。  
「い、いや。俺が言ってるのはリンプーの事なんだけど」  
「へ?あたし?あたしはリュウにお礼しに来ただけだよ」  
「お、お礼?」  
「闘技場であたしのこと庇ってくれたじゃない。そのお礼」  
「そ、そりゃどーも」  
 そう言って、リュウは自分の頭に浮かんだ疑問をリンプーに聞く。  

「お礼は分かったんだが、何で俺の上に乗っかってるんだ」  
「どうして?男の人って、女の子が一緒に寝てくれると嬉しいんでしょ」  
「はぁ?」  
「だって、ランドがそう言ってたよ」  
 おそらくランド自身に悪気があった訳ではないだろうが、  
「ストレート過ぎるぞ、ランド……」  
「あたし何か間違ってた?」  
 頭を抱えるリュウに、リンプーは両手を前に付いたまま、不思議そうに首を傾げる。  
「ま、まぁ、折角だし」  
 リュウはそう言うと、リンプーの身体を抱き寄せると、そのままベッドの上に組み敷く。  
「ひゃっ」  
 一瞬の事に、リンプーは可愛い悲鳴を上げて目を閉じる。恐る恐るリンプーが目を開い  
たとき、鼻先にはリュウの顔があった。  
「!!」  
 動揺するリンプーの鼻先をリュウは舌で軽く舐める。  
「な、なっ」  
「お礼の仕方ってのを教えてやるよ」  
 リュウはそう言うと、リンプーの唇に自分の唇を重ねる。  

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