ブレスオブファイア  

暗い夜の底。  
見上げれば月と星。  
降り注ぐ淡い光を受けて,すべてのものが微かに輝く。  

また,目覚めた。  

結局のところ,あたしはこの世界が見たいんだろう。  

あたしが起き出す頃にいつも岐路にあって,それを乗り越える度に少しずつ変化を遂げてゆくこの世界。  
「リュウ」と「ニーナ」とその仲間たちが,世代を重ねて築き上げてゆくこの世界を――。  

「…?」  
キャンプのテントの中で,リュウは身を起こした。暖かい闇の中,皆の寝息が聞こえる。  
眠れなかった訳ではない。現に今の今までぐっすりと眠っていたのだから。  
頭ははっきりしている。寝惚けているのでも,夢を見ている訳でも無さそうだ。  
(…二度寝って感じでもないなぁ……)  
突然起きてしまったことを不思議に思いながら,皆を起こさぬよう,リュウはそっと外に出た。  

「…眠れないのか?」  
焚き火の傍で不寝番についていたガーランドが,こちらを振り返りもせずに尋ねる。  
「うん,まぁ…」  
多少曖昧に答えを返す。  

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