連日公務で忙しいけれど、日曜日になれば教会へ礼拝をしに行く。
ただ、今日はシャルが供についている。信仰など、縁遠い魔術師の彼女が何故?
でも僕としても信仰心だけで通っているわけではないので、理由は聞かずにいた。
教会が見えてきた。まず目に付くのが、建物をぐるっと囲む花壇。色とりどり花が咲き
誇り、この風景が荘厳な宗教画かと見まごう程だ。
「来るたびに、新種が増えてる……」
シャルが呟く。来るたびってことは、よく来ているのだろうか?
紫の二又お下げ髪を揺らし、ローブをなびかせを走り寄る。そして花を一輪手繰り寄せ、
じっと観察を始める。
「おい、シャル! その花がどうしたんだよ?」
「ふむふむ……これは珍しい色。青いバラなんて……周辺の……レベルは正常値?」
難しい言葉が出たが良く聞こえなかったなぁ。まぁそれは置いといて、僕の問いかけも
聞かず、シャルはメモを取り始める。どうやら観察内容を記しているようだ。
もう一度、今度は大きめの声をかけようとしたとき、
「あら、来ていたんですね。おはようございます、陛下、それにシャルさん」
この教会のシスター、ソフィアさんが僕等を見つけ挨拶をしてきた。
「お、おはようソフィアさん! ……いつ見ても立派な花壇ね……」
慌てて居住まいを正したシャルが挨拶を返す。
「二人は知り合いなのか?」
気になって訪ねる。
「ええ、昔シャルさんがこの花壇をまじまじと見つめていて……それで私から声をかけ
たんです」
「珍しい色の花があって……見とれていたら……近づかれてるのにも気づかなくて……
その」
ソフィアさんは嬉しそうに言うが、シャルはなんだか恥ずかしそうにそっぽを向いて、
声も小さなっていく。
この話、続けるのはシャルに悪いな。そう思って僕はソフィアさんをしっかりと見てか
ら言った。
「今日は礼拝に来ました。こちらの供も、一緒に案内をお願いします。シスター」
「えっ! ああ、はい、こちらです。ど、どうぞ……!」
急に真面目な雰囲気になったので、対応が巧くいかないのかソフィアさんは少し慌てて
来賓用の扉を開けた。
礼拝が終わった後でも、まだそこに残った。ソフィアさんは、この広い礼拝堂を一人で
掃除していた。二人きりになるいい機会だな……。でも、横にはお邪魔虫が。
「ねえ、まだ帰らないの?」
シャルが言う。礼拝中彼女も格好だけは取っていた。場の雰囲気がそうさせたのだろう。
そういえば彼女、眠りの魔法が使えたよな。それでソフィアさんを……。
「なあ、シャル。ちょっと耳を……ごにょごにょ」
耳たぶに口を寄せ考えを伝える。
「ええっ! なんで私がそんな事? 疲れるじゃない」
「いいから、やれって。なんなら、国王としても命じてもいいんだぞ!」
つい興奮して言葉が大きくなる。それを聞きつけたソフィアさんが近寄ってきた。
「お二人とも、どうしたんですか? 随分と大きな声ですけど」
「い、いやぁ、なんでもないから。 なあシャル?」
「え……えぇ。ソフィアさんはお勤めを続けてて」
「そうですか……。それなら私、戻りますね。高いところの掃除が残っていますから」
言い終えてからソフィアさんは離れた。一旦、別の場所へ行ってから脚立を持って戻っ
てきた。そしてそれに登り、高い窓や鴨居などを拭き始める。
「今だ! シャル、術をっ!!」
「わ、わかったわよ……もう、何考えてるんだか……」
シャルは目を閉じ、念を込める。手をソフィアさんの方へ向けて、ぽつりぽつりを呪文
を唱える。体が淡く光り始め、やがてその光も消える。
その直後、がたがたと何か揺れる音がする。
「わっわわ……なんだか頭がぼうっとして……足元が」
ソフィアさんは脚立の上でバランスを崩す。このままじゃ落ちる。
急いで距離を詰める。その時、頭からソフィアさんは落下する。
「きゃあ」
広げた両腕にずっしりと重さが掛かる。
「きゃあーっ! 落ちるーっ!」
腕の中のソフィアさんは、ばたばたと暴れる。
「落ち着いて。助かってるから」
「お、落ちるーっ! 助けてー……えっ!? 助かってるんですか?」
「う、うん……この通り」
抱いたままソフィアさんを少し持ち上げ、状況を教える。
「ま、まぁ……陛下。私なんて事を……」
頬を赤らめ、俯きながらソフィアさんは謝る。
「どうしたの? いきなり」
分かっているのだが聞く。まあ、これも男女の駆け引きだ。
「そ、それが、急に頭がぼうっとして……眠くなって……それで」
「こうなったっと?」
ソフィアさんは頷いて、「そうです」の返事をする。
その時、背後から足音が近づき止まる。そして頭に軽い衝撃。
「痛てっ! なんだ?」
振り向くと、そこにいたのはシャル。呆れ顔をしている。
「ちょっと、いつまでやってるのよ……それは私が……むぐぐっ!」
慌ててシャルの口をつぐみ、黙らせる。顔を近づけソフィアさんに聞こえぬよう小声で
言う。
(これがお前の魔法だってことは言うなっ!)
(はぁ? 本当、何考えてるのかわかんない人ね)
それでもシャルは黙って、距離をとる。言う気はないようだな。
「あのう……ご相談はお済みですか? 私、まだ眠いので……部屋で一休みしようと思
うのですが」
「それなら、私がお送りしましょう」
ちょっと、真面目に一人称も変えてみる。
「そんな、陛下の手を煩わせるなんて」
「もう煩ってるよ。気にしなくていいよ。あぁ……シャル、お前は先に帰っていいから。
お供ご苦労。それから、他の連中に遅れて帰るって伝えといて」
「わ、わかったわ……ソフィアさん送ったら、すぐ戻りなさいよね」
シャルの冷たい視線と声を背に受けたて僕は悠々とソフィアさんを抱えた状態で歩き始
めた。
なんだか腹が立つ。これじゃあ私がいいように使われただけじゃない!
どうせ、この後二人でいちゃいちゃするに決まってる。もういいや……帰ろ帰ろ。
……でも、気になる。
もしかして……いやきっとだ、二人はこのまま……その、えっちするんだ……。
あいつの考えなんて良く分かる。私にだって、嫉妬する事くらい……あるんだから!
そう考えると、居ても立ってもいられなくなる。
後をつけてやる。幸いにして建物の中、身を隠し場所に苦労はしないだろうし、空気を
操る魔法を使えば足音を消すことだって出来る。追跡は難しくない。
だから私は、来賓出入り口に掛けた手を離し、回れ右をした。
カーライルさんの腕に抱かれている。今まで、何度か経験したことだが決まって胸が高
鳴る。
「あの重くないですか?」
「全然。……女の子からそんな事聞かれても、うんとはいえないでしょ」
彼はふふん、と鼻を鳴らすように笑って平気な事を示す。
その仕草で、私の体が熱くなる。あぁ……私、本当にこの人が好きなんだな。
今更ながら自分の気持ちを知って、ゆっくり目を閉じてから彼の胸に身を預ける。
「おぉっと! うん? 寝たかな」
確かに眠い。このまま眠ってしまおうか……。よく揺れるが、なんだか心は落ち着いて
いた。
「あれ? もっと上に行くの? ここ二階建てだと思ったけど」
前を行く二人を伺いながら、シャルが呟く。
カーライルはソフィアから渡された鍵を天井に据えられた鍵穴に通した。
「あぁ……そういうこと」
合点がいった。屋根裏部屋だ。
「苦労してるのね、あの娘も」
二人が、屋根裏に姿を消すをの見てから、シャルは音無しの歩みで階段を上りきり天井
の扉に耳を当てる。
「く、苦しいわね、この格好……」
聴覚を研ぎ澄ませ、部屋の様子を伺う。
「ソフィアさん、ここでいいんだよね?」
実に質素な作りに、まず驚く。
窓が締め切られているから埃っぽい。また、壁や天井に断熱材が無いのだろう、廊下
と比べてかなり熱い。
「天井が傾いて……いや、屋根か。真っ直ぐたってられないな……」
「はい。気をつけてくださいね」
「よし、ベッドに下ろすよ」
はやる気持ちを抑え、ゆっくりと、優しさを忘れずソフィアをベッドに寝かせる。
「ありがとうございます、陛下」
「かしこまらなくていいよ。二人きりだし、今くらいは久しぶりに名前で呼び合おうよ」
「でしたら、カーライルさん。ありがとう助かりました」
ソフィアは、ぺこりと頭を下げた。長いストレートの髪が顔にかかる。
それからカーライルは備え付けの椅子に腰掛ける。当然、ソフィアの物なのだがまるで
遠慮する感じがない。
「ところで具合はどう? まだ眠い?」
ゆっくりと息を吸い、吐いて、目をしばたたせてからソフィアは応えた。
「そういえば、もう頭のほうはハッキリしています」
「そうか……。よかった」
言ってから、ふいにカーライルはソフィアの手に自分の手を重ねた。
「えっ!?」
驚いて、ソフィアは手を載せた男を踏むいた。そこを狙ったようにカーライルは彼女と
唇を重ねた。
「こっちの方も久しいんでしょ。 ……する?」
確かに、彼を好いているし抱かれたいとも思っている。けれどこの人には他に女が何人
もいる。ソフィアは、自問する。素直になろうか、と。
傍から見るとしどろもどろのソフィアだったが、やがて目を瞑り口をわずかに突き出し、
再度のキスを促す。
カーライルがそれに答えようとした時、突如床板(つまりこの部屋の入り口)が開いて
シャルが飛び込んで来た。
「ま、待ちなさーいっ!!」
怒髪、天を突かんと言わんばかりの迫力で叫んだ。
ソフィアもカーライルも、心臓が止まるのではと思った。
「シャ、シャル……後をつけていたのか。しようのない家来だなぁ……」
カーライルはそう言いつつ、腰掛けていた椅子から立ち上がってシャルの腕を掴み引き
寄せる。先ほどまでソフィアの体に重ねていた手でだ。
「ちょ……ちょっと。なにを? んっ! う……んんっ!?」
疑問を挟み掛けたシャルの口を、カーライルは自分の口を使い塞いだ。
「ああっ! ……そんな」
さっき、自分にキスしたその口で他の女とキスをしている。ソフィアの気持ちは、言葉
で巧く言い表せないものだった。
「さあ、君も座って。ほら、ベッドの上だよ」
口付けを短めに終えてから、シャルをベッドに座らせる。女二人、丁度ベッドの上で向かい
あわせの状態になった。
「あ、あの……これはどういうことでしょうか? カーライルさん」
「女の子二人の、絡み合いが見たくなってさ」
「!?」
「僕は、ここで見学してるから二人で楽しみなよ」
再び着席しつつ、ベッドの上の二人を見据える。静かだが、反論を挟ませない眼力が
ある。さすがは一代で権力を極めた男というべきか。
「そ、それじゃあ……シャルさん……」
「えっ! ……うん、ソフィア……さん」
名前を呼び合ってから指を絡ませ手を重ね、目を瞑っておっかなびっくりキスをする。
女同士なのに嫌な感じがしない。共通の話題を持って出会いを重ねた彼女達には、次第
にお互いに対する思慕の念が募っていたのであろうか。
唾液が混ざりいやらしい音を立てる。先に、そばに居る男にされたキスの物を含め、都合
三人分の唾液が二人の口内でかき混ぜられていた。
急に二人の行為の速度が上がる。服の上から乳房を揉んだりと秘所をさすったり。
二人の様子を見ていたカーライル、息が荒くなり「むむむ」と唸る。
(相性いいのかな、この二人)
「むぅ! ……むぐ……ううん!」
「うっ! うくぅ……はぁっ!!!」
手で攻めあっている間も合わさった口から、呼気とも喘ぎとも着かぬ音が漏れる。
やがて二人は、高く鳴いた。
そして、重なりあうようにベッドに倒れた。
「あらっ! おーい……起きろ。王様を無視して勝手に寝るな」
声は掛けるはカーライル。いつの間にか取り出した自分の物を片手に所在無げな感じで
ある。
「ふん! それならこのままぶっかけてやろうか?」
股間のそれを両手持ちにし、「行くぞ」と吼えて扱き始めようとしたその時、
「わわわ……それは、堪忍して下さい」
「す、少しは休ませなさいよ……。それが人を使う立場の人かしら……」
慌てて起き上がる二人。
「それじゃあ、シャル。場所を交代だ。ここに座って僕とソフィアさんのえっちを見て
ろ。なんでって? 元はといえばお前が乱入してきたからだ。抱くとしても当然後回
しだ」
「う……うん。はふぅ……」
言われたとおり、入れ分かりに椅子に座る。疲れがため息となって外に出る。
ベッドの上ではというと、そっちの二人は服を脱ぐところだ。どちらかというとカーラ
イルが一方的にソフィアの僧衣を剥ぎ取ろうと頑張っている様子だが。
「さぁさぁ、脱げ。そのだぶだぶの僧衣の下の、女神像を見せてくれーっ!!」
「ちょっ! ……そんなに慌てないで……恥ずかしい。シャルさんが見てるんですよ」
「私だって、他の人がするところを見るなんて初めてなんだから……。気にしないで、
早くしなさいよ、もう……」
多少、怒ったように乱暴な口調で言うシャルをカーライルは(こういう所が可愛い奴だな)
と、思った。
「シャルの方も、後でたっぷり可愛がってあげるよ。……と、隙ありだ、そーれっ!!」
フェイント気味にソフィアの僧衣を剥いだ。
(うわーっ! 綺麗な体……僧衣で体の線が分からなかったけど……胸だって大きい)
(どきどき……シャルさん……ずっと、私を見てる……。なんだか、切ない)
「ほら、ソフィアさん。こっちおいで」
カーライルは両腕でソフィアを包み抱き寄せ、体を密着させる。
まだつけたままの下着の上から秘所を触る。素肌の部分と下着の部分とで、感触の違い
が気分を高める。
(……すぐに下着も取って、入れてぇ……)
勢いよくソフィアのブラとパンツに手をかけたところで、カーライルは自分とソフィア
以外の声に気づく。
「くぅぅ……はぅ……はぁん!」
シャルが自分のローブの内側に手を突っ込んで、自らの体を慰めていた。
(どうして……二人を見てたら、体が止まらない……。あぁぁ、濡れてるっ!)
その様子を一瞥しつつカーライルはソフィアの下着を脱がせた。下着越しの愛撫で既に
彼女の秘所が濡れているのは分かっていたので、直ぐに自分も全裸になって挿入の準備
を整えた。
(ソフィアさんには悪いけど、この後のシャルとの事を考えると、つい急ぎがちになっ
ちゃう)
「少し、早めでいくよっ!」
「ふぅ……はぁあ……えっ? ……はいっ。ひぃいんっ!!」
ずっずっ、と引っかかりを感じつつもカーライルの物はソフィアを突き上げる。
「あぁぁーっ! か、カーライルさん、……急ぎすぎです」
ソフィアが悲鳴に近い声を上げる。カーライルに抱きつく腕に自然と力が篭る。二人の
体が密着し繰り返される出し入れのため、汗とも体液とも分からぬ液が二人の体に広がる。
それが、蒸発するときに芳しい臭いを発し鼻なを突く。
「ううん……なんとも言えぬ、趣のある香りだ。」
「は、はい……もっと、もっと突いて。たくさん、この香り嗅ぎたい」
カーライルもソフィアも、お互い同じものを求めて腰の振りを早くした。その様子をじ
っと観戦しているシャルも自分を慰める手の動きを、早く激しいものにした。
ねちゃり、ぐちゃり、じゅく、などといった粘りのある液がかき混ぜられる音が、暑苦
しい屋根裏部屋に響く。
はじめに限界が訪れたのはこの部屋の主、ソフィアだった。
「くぅぅぅっ! ……わ、私……もう、駄目ですっ!! あぁぁぁっ!!」
密着した体を更にきつくカーライルに押し付け、彼の体に舌を這わせながら、イッた。
カーライルもソフィアの舌が、自分の乳首を擦ったとき気持ちが緩み、熱く濃い精液を
ソフィアの中に解き放った。
「そ、ソフィアっ! 動かないで……このまま全部、中で……」
すーはー、と荒くなった息を整えながら、精液が尽きる時を待つ。カーライルが、びくん
と身震いして彼の物から精液が飛び出す度、ソフィアも同じように身震いしてカーライル
の精液を受け止めた。
「あ、あれ? もう、終わっちゃったの?」
シャルは少し戸惑った。手慰みもまだ半ばという所で、おかずにしていた二人がイッて
しまったから、このやりきれない中途半端な昂ぶりをどうしよう、と思ったがよく考え
ればすぐに本番ができるんだから、と落ち着いた。
カーライルが身を起こし、シャルの方を向いて言う。
「シャル、今度は君の番だ」
「でも、ソフィアさんはどうするの?」
「ぐったりしてる彼女を椅子に座らせるわけにもいかない。狭いけど、端の方で休ませ
てあげよう」
胎児のように丸まった格好を取らせ、寝息をつくをソフィアを落とさないようベッドの
端に動かす。
「ちょっと効き過ぎたみたいね。眠り、が」
「いや、僕が急かしすぎたからかも……」
「えっ! 急かしたって、それってどういう……」
疑問を挟み掛けたシャルだが、すぐにその疑問は吹き飛ぶ。カーライルが彼女に愛撫を
始めたからだ。広いおでこにキスしたり、お下げ髪をもてあそんだり、当然胸を揉んだ
り濡れた秘所をかき混ぜて、更なる潤いをもたらしたりもした。
「なんだ、こんなに濡らしちゃってまぁ……えっちだな、シャルぅ」
「そ……それはぁ……」
「手慰みしてたんだろ」
「ど、どうして……」
知ってるのよ、とは言葉にはせず、口をつぐむ。
「わかるさ、凄い音だったから」
そう言われて、シャルは顔が真っ赤になる。
「……そんな時に悪いけど、そろそろ服、脱がないか? 僕はもう脱いでるけど、お前
の方がさ」
顔と言わず前進が茹で蛸になるのかと思うくらい熱くなりながらもシャルは
「わかったわ……」
と、頷いて、そろりそろりとローブを脱ぎだした。
肩が覗く。
「やっぱり白いなぁ……」
「あまり外に出ないもの……」
どうということもないのに、恥ずかしさを感じそっぽを向きながら言う。
腰の辺りまで下げてから、一気にローブを床に落とす。背中を見せながら立つシャルを
上下に視線を動かし見る。二又のお下げが、ふと気になる。
「なあ……そのお下げ」
「なにかしら?」
「解かないか?」
「えっ? うん、いいけど……」
ちょっとした変化が欲しい。そういう気持ちはお互いにあったのだろう。初めとまどっ
たようなシャルも、カーライルの言わんことを察したか髪止めのわっかに手をかけ、一つ
一つ外して至った。お下げ一つにわっかが三つ。左右で六つ。六つのわっかをローブの
上に、放り投げてからカーライルに振り向く。
「どう?」
ふわりと、押さえられていた髪が広がる。多少くせが有り波を打っている。
「……」
言葉が無い。男の反応に不安を感じた女は問い詰める。
「何よ! 変なら、そう言いなさいよ!!」
「いや、綺麗だ。見とれてた……」
「そう……ありがとう」
嬉しくなったのか、シャルの方からキスをした。そしてベッドに座ってから、カーライル
の体に腕を回して、彼を誘った。
「それじゃあ、しましょうか。……ソフィアさんを起こさないようにね」
「あ……あぁ」
主導権が移行するのを感じながら、カーライルはシャルと供にベッドに倒れこんだ。
横向きに寝そべって、シャルの乳房を手で包む。瑞々しい弾力があり、様々な形を取っ
てはまた球体に戻る。やがて、可愛らしく乳首が盛り上がる。目ざとくそれを見つけて
赤ん坊のように吸い付く。
「はぁぁっ! そ、そんな吸わないで……あ! あああっ!」
それでも、止まらぬ吸い付きに少々シャルは切れたようで
「止めないんだったら、私だって」
と、勢いつけて体を離してからカーライルの物を掴み手こぎを試みた。舌でくびれた所
を舐め上げると、先端から透明な液が大量に溢れてくる。竿を舐め続けるうち、男以外
の味がすることに気づく。
(これって、ソフィアさんの味かしら……?)
普段味わうことのない味覚がシャルの気持ちを高ぶらせ、更に激しい技を駆使して竿を
攻め立てる。
「シャルぅ〜、なんだか今日は……ノリがいいな……う! くぅぅっ!!」
「ぐぅ……ごくぅ……ぐちゅ……じゅるじゅる」
竿を咥え、剣呑み手品のごとく喉深く差し込む。彼女は魔術師だが、これにはタネはな
い。たっぷりと唾を出し竿に塗りたくるよう、口をすぼめて上下に顔を振る。
「あっ! わわわ……いいよ、シャル。随分と張り切ってるなぁ……あぁぁっ!」
一生懸命さが胸を打つ。激しい攻めによがりながらも、カーライルはシャルの珍しいロ
ングヘアを撫でた。それでかどうか、シャルは嬉しそうに微笑む。
(あぁ……顔にかけたいな。そう、おでこにぶっかけるなんて、最高だな……よし!)
決心がつくと行動は早い。発射寸前までもう間もない。すぐさま口淫を止めさせシャル
のおでこに竿を擦り付ける。
「へぇっ!? 袋が鼻に当たるよ。……臭い」
「ぶっかける!! しばらく我慢しろ」
「そ、そう……。それなら……はむぅ」
なにやらシャルが妙な声を出した。次の瞬間、カーライルは「おおおっ!」と驚きの声
を上げる。
「た、たたた、玉舐めてるのかっ!? あ……あひぃ! こりゃだめだ、我慢出来ない」
「じゃあ……ぱくぅ……ぺろ、うろん! 出しちゃえば?」
器用に舌を使いながらもシャルは射精を促す。
「ああっ! いくっ!!」
びゅくっ! びゅくっ!! びゅるるる〜っ!!
狙い通りおでこに発射した。しばらくは粘着力で位置を保っていた精液も、やがて重力
に引かれシャルの顔の形に沿って流れ落ちていく。口の周りに近づいてきた物は舌を伸
ばして残らず舐め取った。
「やっぱり、変な味ね」
「舌の届かないところはどうする?」
なにか拭く物は無いだろうかと辺りを探っているとベッドの端で起き上がる女が一人。
「でしたら、私が……」
ソフィアだった。
「シャルさん、じっとしていてください。……ああ、カーライルさんの精液……」
貴重品を扱うように、シャルの顔に飛び散った白濁の液を丹念に舐め取っていく。
「く、くすぐったい! きゃっ! ……ひゃっん!」
身じろぎしつつもシャルは抵抗しない。それどころか嬉しそうな感じすらする。
(い、いろっぽいなぁ……。まだやり足りないぞ。なら、今度は二人まとめてだな)
女の二人のえっちなお掃除を見物しながら、カーライルは第三回戦を決意した。
シャルが仰向けに転がって、ソフィアはその上にうつ伏せた。この組み合わせが二人の
普段の関係を暗示しているようで、カーライルには可笑しかった。
3Pしようという要望(命令とも言うが)は、あっさりと受け入れられた。この女性二人
は、やはりそういう気があったようで、すぐに体位の相談をして前述の状態となった。
「シャル! 続けざまだけど、お前の方から入れるぞ」
「うん……ちゃんと中でイッよね……あっ! ……はぁぁん!!」
カーライルが物を挿入するとシャルは直ぐにも喘ぎ始めた。
「お前が張り切って、口を使ったからだろっ!」
先ほどの外だしの事を言いながら、すばやく腰を振る。二人分の体重が掛かり、かなり
苦しい。ぱん! ぱん! と弾けた音がする。
「あっ! あっ! あぁん!! いいよ、もっと、カーライルぅ……」
「ふぅん! うぅうん うはぁああんっ! 跳ねるぅ〜、シャルさんの胸が揺れて、
私の胸とぶつかって……」
直接、肉の竿で体を突かれているシャルはもとより、ソフィアも激しい振動に感じたか
高い喘ぎを発した。
(ソフィアさんも、えらく乱れてるな。だったら……)
空いている手の指をソフィアの、尻に這わせる。すぐに溢れ出る液が指に絡みついた。
そして、それを彼女の秘所に埋めていく。
ちゅぷっ……。
「!? ひゃうっ! な、なにがぁ……!?」
直ぐに、自分の中に入った異物に気づく。男の性器の大きさには到底及ばない物なのに、
珍しさがソフィアをうろたえさせた。
「な、なに! なになにがっ!? う、動かさないでぇぇっ!」
「あっ! はっ! そ、ソフィアさん……」
突然のソフィアの変化に、繰り返される挿入に酔っていたシャルも、そちらに意識を向
ける。目の前で揺れるソフィアの胸。シャルは思う。
(あぁ……吸い付きたい……)
ちゅぱ……。
「はぁぁ!! こ、今度は胸がぁっ! シャルさんっ? 吸わないでぇぇ〜っ!」
いやいやと、体を揺らす。だけどそれが余計に快感に繋がっていく。まるで無限機関の
ように。
この様子を見ていたカーライルの興奮は、既に爆発寸前と成っていた。彼自身も無限機関
の一部ではあったが、そろそろ炉心融解が起きるのは時間の問題だった。
すぐさま、手の指と腰の竿を凄まじい勢いで動かし、二人の女への攻めを絶え間なく続
けた。ソフィアは体全体で性感の喜びを表し、カーライルの視覚を刺激し、シャルはそ
の肉壺でもってカーライルの竿を搾る。
「あっ! はぁぁっ! あはぁん!! わ、わた……わたしぃ、もう、駄目ですっ」
「ひぃっ!! かっ! カーライルぅ! 出して、中に出して、あああっ!!!」
二人の女が同時に叫んだ。それを聞き終えてから、カーライルは腕を伸ばし二人を抱き
かかえてから、激しい身震いをした。射精したのだ。
シャルの中に全ては収まらなかった。三度目だというのに、カーライルの精液の量は衰
える事を知らぬように、大量吐き出された。だからソフィアの尻から背中に掛けても飛
び散った。
射精は長い時間のように感じられたが、実際そんなに長い物ではなかった。
しばらくして、ぐったりしていた女二人が気だるそうに呟く。
「せ、背中が……あ、熱い……です」
「それに……臭いわね」
うっとりしているソフィアと違って、事が済んだらすぐに冷静になったシャルをカーラ
イルは苦虫噛み潰したような顔で見ていた。そんなこと言うなよ、と言いたげに。
「それでは、今日はお疲れ様でした。陛下、シャルさん」
「ええ、お疲れ様」
「今日は、気持ちよかった! また来る」
教会の前でお別れの挨拶。時は夕暮れ。でも三人の顔は不自然なほどに赤い。
カーライルとシャル、来る時と同じ二人で帰途に着く。
「ああ、もう! 人に見られちゃ、何があったかわかりそうな物!」
「別にいいだろ、ゆくゆくはハーレム作って、お前にも入って貰うんだから」
「勝手に決めないでよ!」
シャルが、顔を真っ赤っかにし髪を逆立て怒るのをカーライルは、かんらかんらと笑っ
て受け流す。
「あのさ……提案があるんだけど」
言ったのはシャルだ。
「うん? なんだよ」
「これからも礼拝のときは、私がお供したいの。毎週でもいいからさ、いいでしょ?」
「お前、本当に好きなんだな……ソフィアさんのこと」
「ちーがーうっ!!」
「あははは、あはははは、じゃお先」
急いで逃げるカーライルを、シャルはぶんぶん腕を振り回しながら追いかけた。
もう、日は沈んでいた。それでもシャルの顔は赤かった。
おわり