一日の勤めを終えて部屋へ戻ろうという時ふと今日一日フェリルを見ていないことに気  
づく。同僚のアルフが近くを通ったので呼び止めて訪ねた。  
「おいアルフ! フェリルを見てないか。今日一日見てないんだが……」  
それを聞いてアルフ、にやにやとして「おや? 気になるあの子の心配かい」と言う。  
「からかうなよ! 仲間として心配してるだけだ」  
「そうかい、まあいいや。あいつなら今日非番で、出掛けるとか言ってた。なんでも狩  
 りがしたいとか」  
そこまで聞いて、僕は駆け出す。慌てたアルフの言葉が背中に掛かる。  
「カーライルよぉ、今から出るのか? なら場所は――」  
本当、こいつの情報収集能力は有り難い。目指すはトルヴァの森。傾いた日を浴び長い  
影を伸ばしながら一路馬を走らせた。  
 
 
迂闊だった。怪我をした足を庇いながら木にもたれながら座って、私は思った。  
休み一日、趣味の狩りを思いっきり楽しもうとやって来た森で、こんな目に会うなんて。  
怪物が出たのだ。不意打ちを食らってここまで乗ってきた馬が一撃で殺された。そして  
地面に転げ落ちて片足の膝を負傷した。剣を振り回しけん制し、転がるように奴から逃  
れた。その間に剣は失ってしまった。今、手持ちの武器は弓と矢が2本。  
この場でやり過ごすか、それとも森を抜け助けを求めるか。どうしよう。どちらにしろ  
リスクはある。この場にいても、血の臭いを嗅ぎつけ見つけてしまうだろうし、逃げ出  
せば音で自分のいる場所を教えるようなものだ。  
「せめて一矢報いて……」  
と呟いたとき、がさりと草が踏みつけられる音がした。音の方を見る。  
全身毛むくじゃらの二足歩行の猿のような生き物。奴だ! 私を襲った怪物。  
ついに見つかってしまった。  
「来るなっ!」  
叫んで矢を放つ。奴は簡単に避ける。だが、それはフェイント。続けざまに二本目を放  
つ。二本目は奴の脳天目掛けて飛んだ。  
殺った! と確信した。  
だが、奴は私の必殺の矢すらも片手で掴んで受け止めてしまった。  
奴は矢を追って、地面に放り投げる。そして薄気味悪い笑みを浮かべ、余裕を持ってゆ  
っくりと近づいてきた。  
このままじゃ殺される。に、逃げよう……。  
「うっ! うわああぁぁっ!!」  
私は、恐慌をきたし狂ったように叫び声を上げてその場を逃げ出した。  
鎧の重さが恨めしかった。やけに冷静になって、私はそう思った。  
 
 
森へ着いた。馬を下りて手綱を近くの木に結わえる。  
「お前はここにいろよ……」  
たてがみをなでて言う。馬は、わかったと言う様に身震いした。  
まず、フェリルの手がかりを探そう。注意深く木々や地面を調べる。  
「なにか……臭うな。生臭い……血!?」  
慌てて、臭いの方向へ走る。段々、生臭さは強くなる。地面に何か倒れているぞ。  
「馬か?」  
腹を裂かれた馬が地面に倒れ絶命していた。内臓がぐちゃぐちゃだ。食われたのか?  
フェリルの身に危険が迫っていると察して慌ててあたりを見渡す。  
草が倒れている。何かの足跡ある。それが奥深くへと続いていた。  
「この先に……」  
焦る気持ちを抑えて、剣の柄に手をかけ進んだ。  
何か、声が聞こえる。雄たけびのような男の声と悲鳴混じりの女の声。  
自然と足が速くなる。草を掻き分け走る。どんどん声が大きくなる。見えた、あそこだ。  
「フェリル! 無事かっ!?」  
次の瞬間、僕は信じられない物を目にした。  
 
 
鎧の重さもあったが、何より足の怪我が問題だった。私は奴にあっけなく追いつかれた。  
「は、放せっ!」  
体を掴まれ、反射的に腕を振る。二回三回と体を撃つが、奴はまったく意にも解さない。  
鎧の金具に力が掛かる。奴が引っ張っているんだ。振り返えって見る。奴は筋肉が盛り  
上がって腕に力を込める。  
がちゃっ! ばりぃぃっ!!  
凄まじい音を立てて、奴は一気に私の鎧を引き裂いた。  
勢い余って、私は地面に倒れる。肌の露出した部分が擦れて痛い。それも我慢して這っ  
て逃げる。  
だが、直ぐに追いつかれ私は奴に掴まれた。片腕でがっしりを腰を固定され、空いた腕  
をズボンに掛けてくる。そして奴はその腕を勢いよく下ろした。  
「そ、そんなっ!? まさか、止めて……いやぁぁーっ!!」  
私の絶叫とズボンが破れるように脱がされる音が重なった。  
「グゥルル……フゥフゥッ」  
初めて聞いた、奴の声だ。見ると、目が血走り口の端にはよだれがこぼれ、まるで発情  
した獣のようだった……。発情!? そんな、それで私をっ!?  
毛だらけの腕を伸ばし、私の下腹を触り始める。腕が下着に到達し、一瞬止まった。  
下着を引っ張られる。外気が陰部に触れ、寒さで身が震える。そしてそのまま下着は引  
き裂かれ、私の陰部は剥き出しとなった。  
「ひぃっ!」  
何か熱い物が股に触れた。鼻を突く生臭ささ。これって……男の部分!!  
「いやぁっ! いや!! 止めて、放してーっ!!」  
まったく無駄な抵抗だった。奴は私の体をしっかりと固定していた。やがて疲れて、私  
の抵抗は終わった。  
それを待っていたように奴は大きなそれを陰部に沿えて、突き立てた。  
「はぁぁーっ! あっ! あぁぁーがっ!! いやっいやっ……」  
ぱくぱくと口を動かす。でも声にならない。股の辺りが酷く痛む。初めて抱かれたあの  
人の物と全然大きさが違う。  
 
「グフゥ……グフゥグフゥ……」  
獣の声を発しながら、奴は立ったままで腰を振る。  
突き上げられる度、まるで飛び上がるように体が跳ねた。こ、こんなの初めて……。  
痛い……苦しいのに……なのに、私感じてるの? 怪物に犯されてるのに!  
「グホォォッッ!!」  
奴が高く吼える。それと同時に腰の動きが早まる。  
「あっあっあっ!! はぁぁぁっ! いい……っ!!」  
気持ちいい!? い、いやっ! 私は騎士なのに。怪物を退治する事も仕事の一つなの  
に、こんな風によがって声を出してるなんて。  
「ホォォッ!! グルオォォッ!!」  
一段と咆哮が大きくなり、今までに無いほどの激しい突きが私に打ち込まれた。  
熱い物が私の中に流れてくるのを感じる。あああ……っ! 怪物の精子が。  
私、怪物のお母さんになるのかなぁ……?  
そこで私の意識は途切れた。  
 
 
さて、その頃カーライルはどうしていたかというと――。  
(す、すごい光景だ。フェリルが怪物に犯されて……)  
助けに入るも忘れて、その光景を見入っていた。  
(僕が抱いた時よりも、激しく喘いでるじゃないかフェリル……。 な、なんだか……  
 興奮してきた)  
剣の柄を握っていた手を放し、ズボンのジッパを下ろす。すでに彼の物は完全に起き上  
がっていた。  
そして、はぁはぁと息を荒げながら、剣の代わりに己の棍棒を握り、扱き始めたのだった。  
 
完  
 

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