「慰めてあげられない?」  
「私が?」  
 アイリーンさんにそう言われたものの、  
 どうやって、あのユウ君を慰めればよいものやら…。  
 そりゃあ、小さい子供をあやすのは得意だけど、  
 あの辺の年頃って一番難しい時期なんだし。  
 それに何たって…ユウは男の子なんだよ、と思ったら。  
「はい、コレ。」  
「コレって何ですか?」  
 アイリーンさんは何かが入ってる小さな四角いものをくれて…。  
「コンドーム。使い方は知ってる?」  
「な、何でこんなもの…渡されても困ります!!」  
 うっ、初めてこんなの触っちゃった。  
 使い方というか、何のための物かはもちろん知ってるけど…。  
「彼が人に優しすぎるのは、誰より彼が人に優しくされてないからなのよ。」  
「それとこれと、一体どう関係があるって言うんですか!?  
「だから貴女が彼に優しくしてあげて。キスは済んでるでしょ?」  
 アイリーンさん、男の子に優しくする事がエッチする事だなんて…。  
 そう言えばあの時、アイリーンさんにユウとのキス見られたんだっけ。  
 私とユウはそんな関係じゃないのに、もう…。  
 
「と言いつつ、アイツの部屋の前まで来ちゃったけど…。」  
 何の考えもなしに来てみたけど、どうすればいいのかな。  
 他にユウが喜びそうな事って何だろ?  
 ………ダメだ、思い浮かばないや。  
 そもそもユウの趣味とかそういうの、全然知らないのよね。  
 とにかく話だけでもしてみないと進まないわね。  
「ユウ、まだ起きてる? 入るわよ。」  
 ドアをノックしてみたけど、返事が無いみたい。  
 そりゃあ、こんな遅い時間なら、もう寝てるかもって思ったけど…。  
「ヒメか? 入れよ。」  
 ほらほら、ユウは優しいからちゃんと起きてくれるのよ。  
 じゃあドアを開けてユウの部屋に入るわよ。  
「何だよ、こんな時間に?」  
 あらら、ホントに寝ちゃってたみたい。  
 眠そうに目を擦っちゃって…。  
 どうせならコッソリ入って、寝顔を見てやればよかったかな?  
 
「ごめんね。ユウの事、心配だったから。」  
「心配って…別に心配される事なんてないぞ?」  
 そうやって、ユウは何でも自分だけで抱え込んでしまうんだ。  
 それを自覚してないところなんて、重症なんじゃないの?  
「アンタはそう思ってても、周りそうは思ってないってこと!」  
「何言ってんだ? そんなこと、こんな時間にわざわざ言うことか?」  
 な、何よ、鬱陶しそうに言ってくれちゃってぇ!  
 こんな時間なのはアイリーンさんに渡されたコレが…。  
 もう、こうなったらユウをホントに襲ってやるんだから!!  
「何だよ、急に…んっ!!」  
 うるさいユウの口を塞ぐには、これが一番だわ。  
「お、お前、いま何をした!?」  
「あいさつよ。舌入りだったけどね♪」  
 何だか気分が良い!  
 今までの不意打ちの仕返しに成功したからかな?  
「舌を入れるのは、あいさつじゃない!!」  
「じゃあ何よ?」  
 
「こう言うことなんだよっ!!」  
「きゃっ!!」  
 何、コイツ!?  
 私なんかをベッドに引きずり倒したりして…。  
 これじゃあ私、立場ないじゃない!!  
「こんな時間にそんなキスしたら、こうなるのは当たり前だろ!!」  
「こうなるのは、アンタがエッチしたがってるからなんでしょ!?」  
「じゃあ、その左手に握ってるものは何なんだよ!!」  
 私の手に握ってるって…あぁっ!!  
 アイリーンさんに渡されたの…。  
 部屋に置いて来たつもりがずっと持ってたんだった、私!?  
「待って、コレは…!!」  
「そんなの持って夜に男の部屋に来るのは、そういう理由なんだろ?」  
 ユウ、全然聞く耳持ってない…。  
 それに何で…これってホントに私とエッチしたいってこと!?  
「貸せよ。それ使ってやってやるからさ。」  
「あっ!」  
 私からゴムを奪ってユウ…、本気になったの!?  
 
「その前に、服脱いでもらわないとな。」  
「えっ!?」  
「ヒメの裸を見て興奮させないと、コレ使えないだろ?」  
 私の裸って言われても…。  
「あぁ、待って!! 自分で脱ぐから…。」  
 何なのよ、さっきのキスじゃ興奮しなかったってこと?  
 じゃあ何!?  
 興奮してないのに、ユウは私を抱こうとしてるの!?  
「…。」  
「おい、脱ぐんじゃなかったのか?」  
 つまり、理性的に私を抱きたいってことなのかな?  
「わかった…。でも、優しくしてよ…?」  
 嬉しいような、恥ずかしいような…。  
「下着もな。」  
「わかってるわよ!!」  
 デリカシーのない奴っ!  
 
「ほら、あっち向いてなさいよ!!」  
「これからするってのに、そんなの意味ないだろ?」  
 ユウ、文句言いながら後ろを向いてくれた。  
 私のこと、ホントは大切に思ってくれてるんだわ。  
 それだったら、私、ユウに身体を許せる気がする…。  
 ううん、違う。  
 きっと私の心が許してるから、私はユウに抱かれたいんだ…。  
「こっち向いて良いわよ。」  
「…何だよ、シーツに包まって。それじゃ、ヒメの裸が見れないだろ?」  
「先にユウも脱ぎなさいよ。私だけ裸はずるいじゃない!」  
 な、何よ…、ユウだって後ろ向いて服脱ぎ始めて…。  
 自分だって見られるの、恥ずかしいんじゃない。  
「おい、じろじろ見るなよ。」  
「じ、じろじろなんて見てないわよっ!!」  
 これじゃあ、私が変態になっちゃう。  
 どうせエッチするんでしょ?  
 エッチって見るだけじゃすまないのよ!?  
 エッチしたら、赤ちゃんだって出来ちゃうんだから!!  
 …赤ちゃんが…出来ちゃうの…?  
 子供の私が…子供のユウとエッチして赤ちゃんが出来たらどうなるの…!?  
 
「んっ…。」  
 ユウ、いつのまにか服を脱いでベッドに入って来てた。  
 それより私、またユウにキスされてる…。  
 さっき私がユウにした、あいさつじゃないキス…。  
 身体の奥から、何だか火照って来る感じがするわ。  
「ユウ…。」  
「ヒメ…。」  
 いやっ、何かユウの目がいつもと違う!!  
 やっぱりこんな事しちゃいけないんだわ!!  
「私達、子供のでしょ? もうこんなこと…。」  
「子供だからするんだろ? みんなそうやって大人になるんだ。」  
 子供だから…?  
 そうか…大人はみんな、昔から大人なんじゃないんだ…。  
 みんなエッチして…赤ちゃんを作る行為をして、子供から大人になるんだ…。  
「大人になる覚悟、ユウにはあるの?」  
「…わからない。子供を産んでも大人になれない奴はいるから…。」  
「それってユウの御両親のこと?」  
 ユウ、黙っちゃって何も言わない。  
 どうやら今の、図星だったみたい。  
 
「大丈夫だよ。ユウは私が大人にしてあげるから。」  
「ヒメ…?」  
 ユウが優し過ぎる理由、何となくわかった気がする…。  
 両親が子供だと、その子供はパートナーなしで大人になってしまうんだわ。  
 それも、酷く不安定な大人に。  
 一身に愛情を注げる人がいないから、誰にでも優しくしちゃうし、  
 その反面で、誰にも心を開けられないでいるんだわ…。  
 だから私がユウを愛して、ユウに愛されてあげる。  
「だから、ユウが私を大人にして?」  
 これからエッチしようとしてるのに全然恥ずかしくない。  
 こうして裸同士で、ユウと抱き合っているのに…。  
 前はキス…ユウのあいさつだけで、すごく恥ずかしかったのに…。  
「もういいのか…?」  
「その…前戯っていうのは良いよ。ユウと早く一緒になりたいから。」  
「俺も…。」  
 ユウも私と同じ気持ち?  
 あっ、これ…ユウの…!?  
 男の子が大きくなってるの、ユキオやクマゾーのは見た事あるけど、  
 ユウくらいの年になると、こんなに大きいだなんて…。  
 それとも、私だからなの?  
 
「あれ…?」  
「どうしたの?」  
「これさぁ、穴開いてないか?」  
 ユウが着けようとした、アイリーンさんにもらったコンドーム。  
 袋をよく見ると、小さな穴がいくつか開いてる…。  
「アイリーンさん、針で穴を開けてるみたい…。」  
「これじゃ、使えないぞ…。」  
 ちょっと、アイリーンさん、どういうつもりなのよ!?  
 私達を騙して既成事実でも作らせようっていうことなの!?  
「なぁ、どうする…?」  
 えーいっ、こんなのいらないんだから!!  
「おい、投げちまってどうすんだよ。」  
「あんなのいらない!! でもエッチするの!!」  
「子供出来たらどうすんだよ…。安全日なのか?」  
「安全日とか知らない!! 赤ちゃんが出来たら産むもん!!」  
「何ヤケ起こしてるんだよ?」  
「赤ちゃん産む覚悟もなしに、私、エッチなんかしないもん!!」  
 ユウに言われた通り、ホントは半分ヤケなんだけど、  
 今更ここまできて引き返せないし、何よりもユウと愛し合いたい…。  
「ユウにも覚悟があるなら来て…。」  
 
「男ってのは覚悟がなくても女に手を出すもんだぜ?」  
「ユウは違うよ。それは大人になれない男の話で、ユウはホントの大人になるんだから。」  
「…行くぞ。」  
 口ではそういうけど、ユウも覚悟はちゃんと決めてるんだわ。  
 だってユウは今、私だけを愛そうとして…。  
「くぅっ…。」  
 痛くない、痛くない!!  
 ほら、ユウだって、こんなに優しく、ゆっくり私の中に入って来るんだよ?  
 それで痛いなんて言ったらバチが当たっちゃうよ…。  
 これはユウを独り占めしようとする私への、神様からの試練なんだから!!  
「大丈夫か?」  
「止まらないで…。最後まで、お願い…。」  
 ユウってホントに優しすぎるんだ…。  
 私、幸せすぎて涙が出ちゃいそう。  
「泣いてるのか?」  
「あっ、ううん。何でもないよ…。私は大丈夫だから、続けて?」  
「んっ、あぁいや…。もう全部入ったんだ…。ヒメの中に…。」  
 そうだったんだ。  
 痛くて全然わかんなかった…。  
 私、ユウと一つになれたんだ…。  
 ユウはどんな感じなんだろ?  
 
「ねぇ、ユウは気持ち良い?」  
「ヒメは痛いか?」  
 もう、こっちが先に聞いてるのに!!  
 …でも、それって私のことを気遣ってるからなんだよね。  
「ユウが気持ち良いって言ってくれたら、痛いのなんか平気だよ?」  
「俺は…気持ち良いよ…。」  
「とっても嬉しい…。ね、ユウ。キスして?」  
 嬉しくても痛いのはホント言うと変わらないんだけど。  
 だからそれに慣れるまでユウには悪いけど、ちょっと時間稼ぎ…。  
「ユウのキス…私、好き…。」  
「俺もヒメとのは…。」  
 ユウ、何だか腕がちょっと辛そう。  
「ねぇ、もう少し私に体重をかけても良いよ。」  
「いいよ。こうして起き上がればヒメの胸に触れるしな。」  
 あっ、ユウが私の胸に触ってる…。  
「柔らかいな。」  
「おっぱい好き? もっと触ってもいいよ。」  
「んっ、あぁ、いや…。」  
 照れてる…。  
 でも赤くなったまま、ユウが私のおっぱいに触ってる。  
 
「ユウ、吸ってみて。」  
「な、何言ってんだよ!?」  
 私達、エッチしてるんだよ?  
 エッチなんだからそのくらいい良いじゃないのよ。  
「お願い。」  
「…わかったよ。」  
 あっ、ユウの唇が私の乳首を包んでくれた!!  
「あぁっ…。」  
 ユウが吸ってる、赤ちゃんみたいに…。  
 私、将来、自分の赤ちゃんにおっぱいあげる時、ユウのエッチ思い出しちゃうよ?  
「ユウって、夢中になっておっぱい吸ってる。」  
「お前がそう言ったんだろ!?」  
「良いよ。私がユウのお母さんになってあげるから。」  
「ヒメ…!?」  
 ユウは一度、子供に戻るの。  
 それで私がユウをホントの大人にしてあげる…。  
 ほら、ユウ…いっぱい吸って良いから…。  
 そう…そうだよ…。  
 
 もう30分くらいこうしてる…。  
 前戯はいらないなんて言って、一つになってから前戯してるなんて。  
 ううん、これは前戯なんかじゃないんだよ。  
 ちゃんと大人になるための儀式なんだよ、きっと…。  
「…。」  
「もういいの?」  
 私のおっぱい、ユウの唾液でベトベトになっちゃった。  
「俺ばっか…こんなことしてて悪いだろ!?」  
 ユウって甘えてる間も、そんなこと思ってたんだ…。  
「じゃあねぇ、今度はユウが私のお父さんね?」  
「お父さんって…、こんな事してるのにか?」  
「あんっ!!」  
 ユウがいきなり腰を振って、私の奥にユウのが当たった!!  
「…じゃあ、娘に手を出しちゃうエッチなお父さん。」  
「バカ。」  
 いつの間にか痛いのがなくなってた…。  
 意識するとユウが私の中にいるってわかるよ。  
 ユウのが、早く動きたい動きたいって言ってるみたい。  
「それじゃあ、私の恋人クンは?」  
 ユウがその返事に、私にキスした!?  
 
「あぁっ!!」  
 ユウが動き始めて…ユウが私の中を出たり入ったりしてる…。  
 このユウの動き一回一回が、大人への一歩一歩なのかな?  
 私も信じられないくらい濡れてて、ユウは結構スムーズに動けてる。  
 ホント、エッチって温かくて気持ち良いんだね。  
「うぅ…。」  
 ユウ、辛そうな顔してる…。  
 それって気持ち良いのを我慢してるからなの!?   
 そんな顔されると、私も切なくなっちゃうよ?  
 私も…声出すのを我慢するの止めるからっ!!  
「アァンッ、ユウ…、私、気持ち良いよ!!」  
「ヒ、ヒメ…。」  
「何!? ユウ、どうしたのっ!?」  
「俺…、もう止まらない!!」  
 ユウの腰の動きが速くなった!!  
 そんなに攻められたら私まで…。  
 
「ヒメ!?」  
 私の腰が…勝手にユウに合わせて…。  
 もう、止まらないよっ…。  
 ユウと一緒に…このまま、このまま!!  
「ユウ…、私、ユウが…好き、大好きだからっ!!」  
 私は無我夢中でユウに名前を呼んでた。  
 外に聞かれてもおかしくないくらいに大きな声で…。  
「俺も…。ヒメ、ヒメッ、ヒメーッ!!」  
「ドグンッ!!」  
 ユウが私の名前を呼んで、私の腰が突き上げられる感じがして、  
 私は一瞬、頭の中が真っ白になってしまった…。  
 ただユウのが奥で…、私の中で大きく脈を打ってることだけわかった。  
 ユウの脈が私に伝わって、私の中も脈を打って…。  
 ユウの思いを私は全部受け止めたんだ。  
 ホントのホントに、ユウと一つになって愛し合ったんだ…。  
 ユウの精子、私の卵子と受精して赤ちゃんになるかな?  
 はぁ、もうダメ…、私、疲れちゃって…。  
 ユウも初めてで疲れた…?  
 えっ、いま何て言ったの…?  
 私、もう寝るね、おやすみ、ユウ…。  
「ありがとう、ヒメ…。」  
 

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