ブルブルブルブル。  
 目の前で揺れる柔らかい肉。  
 巨乳とはお世辞にも言えないが、程よく掌に収まる形の良い乳房。  
 それがユウこと伊佐未勇の目前で、震動している。  
 もちろん揺れているのは乳房だけではない。  
 一糸纏わぬ、そしてムダな贅肉のない(女らしい曲線を形作る程度の脂肪は  
残されている)肢体が、微細な震動でその表面を揺らしている。  
 震えているのは最愛の姉にして恋人、イイコこと伊佐未依衣子。  
 
 イイコは進退窮まっていた。  
 全身の震えが止まらない。  
 寒いのではない。  
 むしろ、身体も心も燃え上がりそうに熱い。  
 全身から激しく発汗し、それが異常に上昇した体温によって後から後から蒸散  
していく。  
 激しい喉の渇きを覚えるイイコだが、今はそれどころではない。  
 この発熱と、瘧にかかったような全身の震えの原因。  
 それは極限まで昂ぶった羞恥心。  
 無理もない。  
 ほんの少し前まで、彼女がしていたことを考えれば。  
 いくら道ならぬ関係にあるとは言え、弟の前で自ら衣服を脱ぎ捨て、次には尻を  
振って見せた。  
 それでもまだそこまでは、 そうしろとユウに言われたら、という言い訳を自分  
に言い聞かせることが出来た。  
 実際には弟の言葉にそんな強制力はないのだが、言われたからという大義名分を  
自分の中で保てば少しは、ほんとうに少しだが羞恥心を軽減することが出来る。  
 ところがイイコはとんでもない粗相をしでかしてしまった。  
 自分自身に「これはユウに言われたからしていること」としつこく言い聞かせ続け  
たがために。   
 最近形成され始めた、クインシーに次ぐ第三の人格が語りかけてきたのだ。  
 
 自分自身の心の鏡の映った姿は語りかける。  
 あなたは弟の前で尻を振る雌犬なのよと。  
 雌犬である自分を認めなさいと。  
 それを否定しても、心中でユウの犬となった自分の姿を思い浮かべることが止め  
られず。  
 あろうことかそんなことを妄想して、女陰から愛液を盛大に垂れ流してしまった。  
 もちろん、ユウの見ている前でそんなことをすれば、目敏い淫魔にわからない筈は  
なく。  
 案の上、それを指摘されてしまったのだ。  
 (どうしよう…)  
 一度はヘナヘナと座り込んだイイコだが、今は辛うじて立ち上がっている。  
 だが全身の震えが止まらない。  
 頂点に達した羞恥心と、ユウが何を言い出すのかという不安から。  
 
 (姉さん…)  
 目の前で震える一糸纏わぬ姉を、ユウは憧憬と慈愛の綯い交ぜになった感情で凝視  
している。  
 昔から最も身近に居ながらも憧れであった姉。  
 その感情は今でも変わらないが、脆く弱い面を(イイコが)イヤと言うほど知った  
今では、包み込むような慈愛の気持ちも強くなっている。  
 どちらも深い愛であることには変わりないが、そのどちらもが歪みきっていた。  
 憧れてきた姉を、自分の思うが侭にいたぶりたい。  
 自分の命令通りにして羞恥に染まる姉を、ますますいとおしく感じたい。  
 もはや歯止めを失いつつある淫魔の剥き出しのバイアスド・リビドーが、文字通り  
丸裸のイイコを襲おうとしていた。  
 
 次章「恥獄のさけび」に続く。  
   
 

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