「ふー、朝風呂は極楽だなぁ」  
のほほんとしたユウの声が浴室に響く。  
昔、姉と祖母と三人でここに住んでいた頃は朝、ましてや冬の朝  
から風呂なんて考えられなかったが。  
政治的取引で手に入れたありあまる資金で家を改装した時に風呂  
も24時間温水除菌システムにしてある。  
「極楽極楽」  
そう言いつつもユウの両の掌は、一緒に湯船につかり自分の腕の中に抱えられた形になっているイイコの、両の乳房をまさぐっていた。  
「あぁ、ユウ、も、もう」  
腕の中で快感に身をよじるイイコを、逃がすまいとばかりに強く  
抱き締める。  
「駄目だよ姉さん、すぐに湯船から上がったら風邪ひくよ」  
言いつつさらに強く揉みしだく。  
あまり大きいとは言えない乳房だが、それゆえに掌への収まりが  
よく、また感度がいいのかイイコはせつない声を漏らす。  
「で、でも、このままじゃ、あ、ああっ」  
「のぼせてしまうって?だろうね、ただしお湯にじゃなくて俺にこうして揉まれているから」  
「も、もう、ユウの意地悪、嫌いっ!」  
そう叫んでユウの隙をついて拘束を逃れて立ち上がるイイコ。  
ユウの目の前で、引き締まりながらもほどよく脂の乗った尻肉が  
表面に水滴を付着させつつ揺れ動いていた。  
 
「ちゅばっ、ちゅちゅーっ」  
吸引音が風呂場にエコーする。  
「ユ、ユウ、な、何するのよ」  
「何って、姉さんのお尻があんまり柔らかそうだったんでつい吸い付いただけさ」  
こともなげに答えるユウ。  
「そうだ姉さん、股を開いてお尻をこっちに向けてくれない?」  
「?」  
「お尻の穴の中まで奇麗に洗ってあげるからさ、舐めてもいいくらいに奇麗にね」  
「も、もう馬鹿っ、ユウの変態っ!」  
叫ぶや湯船から飛び出し、そのまま風呂場から逃走するイイコ。  
「ふうっ」  
それを視認して安堵のため息を漏らすユウ。  
「さすがにやりすぎたかな、まあこれはこれでいいけど」  
イイコへアブノーマルなプレイを仕掛ける、それはどう転んでもユウにとっては  
問題のないことだった。  
イイコが乗ってくれば二人の甘い生活をマンネリから救えるし、もしひいたなら  
それはそれでユウにとっては軽い骨休めになる。  
毎朝毎日毎晩迫られていては寿命が縮む。  
「今日はのんびり出来るかな」  
そう呟いて湯船に身体を沈めたユウだが。  
足音荒く、風呂場に戻って来る姉の気配。  
「こ、これはまさか?」  
何やらただならぬ気配に振り向くと。  
「やっぱり」  
鬼気迫る表情の姉が、手にナイフを持って立っていた。  
イイコ・イサミというよりクインシィ・イッサーがそこにいた。  
 
一糸纏わぬ裸身に水滴を光らせたまま。  
イイコ、いやクインシィはユウに近づく。  
「ね、姉さん、危ないから刃物は…」  
「動くな!」  
きつい声でユウを制し、クインシィはゆっくりと湯船に近づいて中へ入り、ユウと  
向かいあわせに立つ、ナイフをユウに向けたままで。  
(やっちまった....)  
心の中で天を仰ぐユウ。  
 
ユウ自身がそれを楽しんでないとは口が裂けてもいえないものの。  
多少面倒や過労を感じてもユウが姉を受け入れて来たのは「これ」を警戒しての事  
だった。  
「これ」とはすなわち、イイコのクインシィ・イッサー化。  
最愛の弟と引き離されあげく、リクレイマーとして実の親からモルモットのように  
扱われたイイコが脆い自我を守るために形成した心の鎧。  
それが攻撃的な人格のクインシィであった…だが。  
オルファンとの同化からユウによって救われ、イイコとしての本来の人格を完全に  
取り戻しても、クインシィは消えなかった。  
感情が激しく起伏すると、クインシィとしての人格が表に出てきてしまう。  
そしてそのクインシィはよりイイコとの同化を深めていた、それは…。  
 
ユウをナイフで牽制したまま、クインシィはその引き締まった太桃を開いてきつい  
眼光ながら少し潤んだ瞳をユウに向ける。  
そう、クインシィも今はイイコ同様にユウへの愛のみに生きていた。  
烈火の如き激情はそのままに。  
 
「ユウ」  
鋭い声がユウの耳を打つ。  
「な、なんだい姉さん」  
愛想笑いを浮かべて返事をするユウ。  
みっともないようだが、穏便にクインシィをイイコの深層に帰すには刺激せずにいい  
なりになっておくのが一番だった。  
「お前はどこの女にあんな汚らわしい事をしたんだ?」  
「?」  
「とぼけるな、私の…その…」  
「何だい?」  
「わ、私の…」  
姉の姿に興奮するユウ。  
イイコとしてならともかくクインシィの状態で赤面して口ごもるなどという姿は滅多  
にお目にかかれる物ではない。  
赤面して俯いたところでゆっくりと身体を抱き寄せ手からナイフを奪う。  
「こんなものはあっちへ」  
脱衣場へナイフを放り、壁に突き刺しておいて、さらに強く抱きしめようとするが。  
「離せっ!」  
暴れ出すクインシィ。  
「落ち着いてよ」  
言いつつ両掌を再び掌サイズの両胸へと運び、軽く握る。  
「ああっ」  
力が抜けて湯船の中に尻餅をついたクインシィ。  
その後を追うようにユウも湯の中に座り込み、首に腕を回した。  
 
首を抱えられたままクインシィは無言だった。  
「ねえ、俺が何をしたって言うのさ?」  
「とぼけるなっ!お尻を舐めるなんて、どこの女にそんな汚らわしいことを教わった?」  
あくまでもすっとぼける(クインシィ主観)ユウに業を煮やしたのか、今まで言おうと  
しても恥ずかしくて言えなかったことを口走る。  
「なんだ、そんな事を怒ってたのか、別に誰に教わってもいないよ、姉さんの身体に  
汚いところなんてないから、どこにでもキスできるってだけさ」  
恥ずかしげもなくさらっと言い放つユウに、クインシィは耳まで真っ赤に染まる。  
またも滅多にない光景にユウは高ぶる。  
姉がクインシィとしても自分に対して熱烈な愛情を向けているのはわかってはいたが  
ここまで元の人格と似たようなリアクションをしてくるとは意外だった。  
「嘘だ」  
そんなユウの背中に冷水を浴びせるようにクインシィは呟く。  
「ユウはどうせ口ばっかりだ」  
「姉さん?」  
「私を放っておいてカナンなんかといちゃついてばっかりいたくせに、私を置き去り  
にして逃げたくせに、あんな小娘とちちくりあってたくせに」  
クインシィのテンションが高くなっていることに気づいて、さらなるフォローをいれ  
ようとしたユウだが。  
「ぐほっ」  
肘の一撃を急所の水月に喰らい、悶絶したところで延髄に手刀を喰らい、意識が闇へ  
沈んで行った。  
 
「うう」  
目を覚ましたユウは、自分が手足を縛られた状態で湯船に使っていることに気づいた。  
「ね、姉さん?」  
姉の姿を探す。  
それはすぐに見つかった。  
しゃがみこんで開いた股間に強力なシャワーを当てて清めている、すさまじく淫媚な  
姉の姿が。  
 
ユウが覚醒して自分の恥ずかしい姿を凝視していることに気づいたクインシィは顔を  
赤くしつつ、湯船に近づく。  
「ユウは私に嘘をついてばかりだ」  
「もう、俺は姉さんに嘘なんて言わないって」  
しかし心の傷が生んだ固定人格であるクインシィには説得が通用しない。  
「じゃあ本当に嘘じゃないかどうか、ためしてやる」  
そう言って後ろを向き、ユウの顔に引き締まった尻を押しつける。  
「奇麗に洗ったから、さっき言った事が嘘じゃないなら舐めてみろ」  
クインシィとしては無理難題を押しつけたつもりだったかもしれない。  
心の奥底では舐めてもらうことを期待していたとしても。  
逃げられないようにユウを縛ってあることからもそれは伺える。  
しかし若い身空で淫魔と化しているユウにはそんなことは難題でもなんでもない。  
汚れているならばさすがに嫌だろうが、奇麗に洗った後の姉の尻などこちらから舐め  
させてくれとお願いしたいくらいだった。  
従って即座に、まずは尻たぶに吸い付く。  
ここまではさっきもやったこと。  
続いて丹念に舐め上げる。  
「ユウ?」  
意外にも積極的なユウに驚くクインシィ。  
弟の色餓鬼ぶりをよく把握していないと言うべきか。  
そして、ついにピンク色をした菊門へと唇をつける。  
「きゃふっ」  
嬌声を上げるクインシィ。  
創造を絶する快楽の時間が彼女に訪れようとしていた。  
 
「あああっ」  
弟の舌でピンクの菊を弄られて悶えるクインシィ。  
「ユ、ユウ、ほ、本当に…」  
せつない声をあげてふりむいたクインシィに。  
「だから言ったろ、姉さんの身体に汚いところなんてないって」  
変態性行為中にとは思えないほどさわやかに微笑むユウ。  
そして再び舌がクインシィの後ろを攻める。  
悶えると言うよりはほとんど痙攣に近い反応で、もはや声も出ないクインシィ。  
そして。  
「あうんっ!」  
激しく叫んで、そのまま湯船に座り込み、後ろに倒れてしまった。  
過剰な快楽にとうとう失神してしまったのだ。  
「イッたのかい姉さん、可愛いね」  
笑うユウだがまずいことに気がつく。  
自分が拘束されていることに。  
「姉さん、おきてよ」  
自分にもたれかかって気を失っている姉に声をかけるが反応がない。  
暑い風呂場で失神したままというのは非常に危険である。  
そしてユウ自身、さっき気を失っていたせいで、少し頭がぼんやりしている。  
ほんの少し前までは興奮で紛れていたが、このままでは自分ものぼせてしまいそう  
なのだ。  
のっぴきならない状況の中で救いの女神はやってきた。  
顔に驚愕と軽蔑の色を浮かべて。  
 
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