ロザリーさんが話しかけてきた。なんかラッキー。
「ルカくん、ちゃんと《ぼくのわたしの勇者学》読んでる?ジャンプよ、ジャンプ」
だが、会話の内容がおかしい。なんかショック。
「え、いや、ジャンプは…マサルさん終わったくらいから一度も読んでないです」
実は表紙からジャガーさんまですべて読み込んで暗記しているが、子供っぽいと思われたらやなので詐称。
「…はぁ?読んでないの?」
な、なんなんだこのリアクション…?そんなに好きなのか。
「えと…今度、今度漫喫でも行って読みます」
「是非そうしなさい。というか貸すわ。いやあげる。はい、コレ」
ええ?なんで持ってんのこの人?
「あ、ありがとうございます…えっと、これは〜…絶賛布教中ってことですか?」
「違うのよ。実はね、その漫画の鋼野剣って、モデルが私なのよ。大学の同期の奴が描いてるらしくてねぇ〜うふふ」
…。
「…中身読んだことあります?」
「ん?ないけど?」
…よし、黙っておこう。
「そうとう学生時代の私に似てるキャラになってるらしいから、読んだら感想聞かせてね」
か、感想…?こんなもん感想もクソもないシュール漫画じゃん。
いっそここで読んで妙な内容だと言うことを伝えた方がロザリーさん的にもダメージ少ないだろ。
と言うわけで読みつつ…
「あれ?ロザリーさん、なんか変な内容ですよコレ」
「へっ?ちょっと見せて…………」
………やな沈黙。
「…あの野郎(リアルに描き過ぎだろうがぁ)」
やめてっ、なんかへんな呟き聞こえたよロザリーさんっ。
「私、ちょっと行って来る」
「あっ!ロザリーさんっ落ち着いて!ダメだよ殺っちゃ…!」
行ってしまった。
次の日、ロザリーさんはちゃんと冒険に加わっていたが、なにかわからない血腥い小袋を行く先々で捨てていた。
そのまた次の日に、バラバラ殺人死体遺棄のニュースが報じられたのは、偶然だと信じたい。
「ロザリーさん…それ何捨ててるんですか」
「謎の小袋70袋、よ!」
「…はぁ、なるほど」
もう10個は投げたんですね。
「少年、今彼女には近付かない方がいい。我が輩のお化け研究の経験がそう告げている」
「キスリングさん、そんなキャラでしたっけ」
「何か変かね?」
無理もないか、職人の脳内にキスリングの情報はもはや、もじゃもじゃしてた…よね?程度しか残っていないのだから。
「…?どうしたのだ、少年?」
「あ、いやなんでもないです」
「ふむ?まぁいい。ところでちょっと提案があるのだが、聞いてくれまいか」
「じゃあロザリーさん呼んでき」
「いや待て!ダメだ、男同士、雄種のみで対話、相談、計画を試みたいのだ」
「?」
なんだこのオッさん。相変わらずキモいな。
〜キスリングのキャラ確認してこよう〜
…はっ、いま神の声が聞こえた気がする。
〜ボクまお、箱しか無ぇでやんの…〜
ちょっ、博士のキャラどうすんのさ。
〜…スタンに活躍してもらおう。〜
そんなんでいいのかよ。
「どうした少年。聞いているのかね」
「あ、すいません。なんでしたっけ」
「だからだね、ロザリーさんのトラウマ記憶、つまり漫画を読んだあたりからの記憶を消してあげようと思うのだよ」
「そんなこと出来るんですか?」
「我が輩が脳科学者茂木健一朗と共同開発した、このメホホブルササンmを使えば可能だ」
「へ〜凄いですね」
「ところが、ひとつ問題があってだね」
「?」
「この薬、女性がエクスタシーを感じている時に子宮口に塗布する必要がある」
〜エロパロに絶好の薬ですねw〜
「うん、何か言ったかね?少年」
「いいえ」
「ふむ、まぁいい。既にロザリー君は我が輩が今朝盛った痺れ薬で昏倒しているはずだ。彼女に薬を塗るのは私がやるから、君はビデオ撮影を…おぉぉ!ぐぼはぁ」
急にボクの影から光球が浮かび上がり、キリングをぼっこぼこにした。
「ふはははは!必殺魔王玉!その薬、余が直々に与えてやろう!ぐふぐふ」
そうだった、スタン居るの忘れてた。
「…でもスタン、ちん○こ無くね?」
「なにを言うか!ぬふふ、まぁ貴様は余の馬並の怒張を見たことないから仕方な…ああ〜!」
「どうしたの」
「ちんこ…無い…余、いま影だった…」
こうしてボクは、ロザリーさんの記憶を消すために、純潔を捨てるはめになった。
初めてが強姦て。
〜まだだ。まだ終わらんよ〜