三十三間堂に幻の奈良漬けはなかった。  
俺はガイドブックに田楽マンの墓標を書き込んでからビュティに声をかけた。  
「次行くぞ」  
「うん。次はどこが怪しいかな」  
「京都だからな。京都御所か、京都タワーか、JR京都駅」  
「京都ならではだね」  
ビュティと並んで駐車場へと戻る。2人の足を繋ぐ鎖がチャラチャラ鳴る。  
こうして歩くのも大分慣れたが、ビュティはまだ時々足元を見る。  
 
「ん?」  
小さな物音が聞こえたような気がした。  
「ちょっと待って、ボーボボ」  
その直後、ビュティが足を止めた。  
「どうした?」  
「ごめん、ジーンズに何か入ったみたい」  
「ジーンズ?靴にじゃないのか?」  
俺の言葉に反論する代わりにビュティはその場に屈んでジーパンの裾を膝までたくし上げた。露わになった白い脛を背景に、一瞬何かの影が見えた。が、それはすぐにジーンズの中を登っていった。と、  
「きゃっ」  
ビュティがしりもちをついた。  
「どうした!?」  
「何かがのぼって、ひゃっ」  
ビュティは自分のふくらはぎを押さえ、かと思うとすぐに手を放し今度は太ももを押さえ、しかしそれもまたすぐに放して尻を押さえた。連動して鎖が揺れる。  
尋常じゃない。  
「なんなんだ!?」  
そう叫びはしたが、状況がわかっていないわけじゃない。  
 
何かがビュティのジーンズに入り込み、現在進行形でその中をのぼっていっているってことか。  
そしてそれはすでに尻の辺りにまで達している……って冗談じゃねーぞ!  
隣にしゃがんでビュティのジーンズに手をかける。  
「ちょっ、ボーボボ!きゃっ」  
ビュティは尻の手を放してまで俺を行動を阻止しようとした。その隙をついて忍び込んだ何かが再び移動したらしい。ビュティは片手で股間……前の部分を押さえた。それでももう一方の手は俺の腕を捕まえたままだ。  
そうだな。恥ずかしいだろ。だが  
「恥ずかしがってる場合じゃねえー!」  
ビュティが手で覆った場所を見て、別の危機感が湧いてきた。マジで冗談じゃねーぞ。肌に擦り傷つけただけでも許す気は無いが、もっと大切な場所を傷つけようとしているなら、未遂でだってタダじゃおかねぇ。  
ビュティの手を振り払い、ジーンズを下げようとするが、腰にひっかかった。強引におろせばおりるだろうが、とりあえずバックルに手をかけようとした。  
しかしそこはすでにビュティが押さえていた。  
「ビュティ!」  
「やだ!やめてよ!」  
「状況がわかってるか?」  
「くすぐったいけど、攻撃してきてないから」  
「わかって無いのか!?」  
「じ、自分で取る!自分で取れるから!」  
俺は手の動きを止めた。  
 
ビュティは閉じた目の端に涙を溜め顔を伏せることで視線を逸らしていたが、俺の動きが止まったことを感じてだろう、しばらくしてから様子をうかがうようにゆっくりと目を開いた。そして  
「ひゃっ」  
色艶のある声を出した。『何か』が妙な動きをしたようだ。ビュティは股間を押さえ、足を固く合わせ閉じて再び顔を伏せた。  
ビュティの羞恥心と実害とを天秤にかける。しかし迷っている時間が惜しい。  
「……わかった、後ろ向いてるからさっさと取れ」  
俺はビュティに背を向けた。鎖があるためにそれ以上離れることはできない。  
鼻毛を操って近くの塀を切り取り、自分達の周りに置いて壁を作る。ビュティが驚き怯えたのがなんとなくわかった。  
この疑似京都に一般人はいない。それが唯一の救いか。  
「ただし、ヤバイと思ったらすぐに言え」  
「……うん」  
弱々しいビュティの声が聞こえ、背後で立ち上がる気配があった。  
 
俺は鼻毛で壁の上にパイナップルを置いた。「索敵レーダー」と書いた紙を貼り付ける。敵が「バカめ、そんな札に騙されるか!食ってやる」と飛びついたら、鼻毛真拳奥義「手榴弾と書いてパイナップルと読む」が発動するトラップだ。  
静寂の中、カチャカチャという音が聞こえ、バックルを外したのだとわかり、次にはジーンズのジッパーを下ろす音が聞こえ、そしてジーンズを引き下ろす布ずれの音がして……  
「……んっ、」  
その合い間合い間に艶声が入る。  
どんな状態になっているのか、推測しかけて慌ててやめた。代わって周囲のことを考える。  
捕らわれている仲間のことを思う。それからすぐにでも現れるかもしれない敵のことと、バカどもが今何をやっているかということ。しかしどうしても後ろが気になる。  
鼻腔が特徴のある匂いを嗅ぎつけた。女が発する、独特の蜜の匂い。思わず体が熱くなった。  
 
「っ……ぁ」  
ビュティの息継ぎが荒くなるがわかる。どうやら服の中を巡る何かを追うために時折バランスを崩しているようで、地面を擦る足音や、それにともなって鳴る鎖の音がする。一度は背中に倒れ掛かってきた。  
「っん、っん、」  
恥ずかしさから声を殺そうとしているのだろう。喉で息を堪えている。……侵入者の主目的は物理的にビュティを傷つけることではないようだ、股間の大切な膜を別にして。  
 
手を貸した方がいいんじゃないだろうか。そう思い始めた時だった。  
「捕まえんッ痛ッ」  
ビュティが小さく声をあげた。  
直後、血のにおいがした。  
 
「ダウトーーーー!!!!」  
「キャァアアアアーーーー!?」  
叫びながら振り返る。ビュティは俺に尻を向けて立っていた。俺の行動に慌てて片手で腿まで引き下げていた下着をあげようとしながら、逆の手でなんとか尻を隠そうとする。無理やり正面を向かせると、今度は股間を隠す。  
「ボーボボッ」  
ビュティの批難めいた声も、目元に溜まった涙も気にならなかった。秘部を覆う白い指の間から見えた小さな血溜りの一粒に、なりより心を打ち砕かれた。  
「きしょーっ!!」  
「ボーボボ!ちょっと、ヤダッ!!」  
ビュティの抵抗に構わず、その体に鼻毛を巻きつけてわずかにだが持ち上げた。鎖がジャラジャラと大きな音をたてた後にピンと張り詰めた。その様子が振動で俺の片足に伝わってくる。  
 
恥ずかしがっているのはわかったが、それに考慮することはできなかった。  
後悔で頭が一杯だった。ビュティの気持ちを無視してでも、もっと早くこうするべきだった。ソフトンにどう言い訳すれば良いのか。  
「ボーボボッ!」  
俺は片手で鎖のついていない方の足首を掴んで股を広げさせようとし、腿の下着と足元までずり落ちたらしいジーンズのせいでそれができないとさとり、改めて腿を掴んで股間を広げさせた。  
「ボーボボ、」  
観念したような弱々しい声をあげて、ビュティは目を閉じ、抵抗をやめた。  
俺がそれを確認した丁度その時、ビュティのシャツの裾から小さな影が飛び出した。紙切れか?そっちに逃げていたのか!  
それはビュティの指で覆われた股間へ無理やり潜り込もうとする。  
「させるかッ!!」  
俺は自分でも驚くほどの速さで反応した。それの半分がビュティの手の下に潜り込んだところで残りの端を捕まえた。  
「鼻毛真拳奥義!テーブルクロス抜き!!」  
「きゃっ」  
強引かつ丁寧に引き抜く。ビュティの体を傷つけない自信はあった。それでも顔を歪めたビュティに不安を覚える。  
 
「……痛かったか?」  
聞きながらビュティを地面に下ろす。しかしビュティは返事をしない。怯えたような、無表情に近い顔を下に向けている。  
「…………」  
かける言葉が見つからない。俺は改めてビュティに背中を向けた。  
「ボーボボ、」  
「早くジーンズをあげろ」  
「…っ」  
 
言いながら捕まえた何かを広げて見た。  
なんだこりゃ?  
それはやはり紙切れだった。殴り書きのような数字の横で、三角形の目をした男がにこやかに笑っていた。  
こんだけ小さいなら、処女膜を傷つけないこともできただろうに。  
「勝手に人の○○○に入るんじゃねーっ!」  
アフロからガシャポン販売機を吐き出し、キン消しを買って空いたカプセルに札野郎を詰めた。手製ペットボトルロケットにくくりつけて空へ向けてうち放つ。  
「地獄で後悔しろ!」  
ペットボトルは数メートル飛んだ後、近くの地面に落ちた。そのままロケットの先のドリルで地を掘り、地獄を目指す。  
「くそったれが、」  
 
「ボーボボ……」  
消えてしまいそうな細い声に呼ばれて振り返った。  
もう服を整えただろうと思ったが、ビュティはジーンズもショーツも下ろしたままだった。慌てて再び背を向ける。  
「どうした?早く着ろ」  
「ボーボボ、」  
ビュティはさらに弱弱しい声で俺を呼んだ。その声の大きさで、近い距離をさらに寄ってきたとわかる。おそらくはショーツを下ろしたまま、秘部を露出したままで。  
「……ま、まだ……ひゃっ」  
その時になって俺はようやく思い当たった  
 
地面に下ろした時、ビュティは涙を溜めてうつむいていた。その表情は怯えているに近かった。  
まさか。  
俺は三度振り返る。すぐ側、目の前と言っていい場所にビュティがいる。想定した通り、下半身は露わなままだ。  
屈んで膝をつき、ビュティと視線を合わせた。敵が一枚だろうというのは俺の勝手な思い込みだ。  
 
「まさか、まだいるのか」  
ビュティは小さく頷いた。自分で対処するのは無理だと悟ったのだろう。股間を隠す両手をもぞもぞと動かしながら、振るえる声で事実を伝える。  
「……あの、自分で取ろうとしたんだけど……足の間……から、中、に……ひゃぁあっ!」  
ビュティの背中に手を回し、引き寄せた。鎖の音がやたらと淫猥に聞こえる。  
 
再び怒りが湧き上がってきたが、さっきよりは冷静だ。  
「中で動いているか?痛みは?」  
今ビュティの『中』にいる奴がさっきの奴と同じ種族だとは限らない。だがもし同種族だとしたら、あの紙切れのような形状、内部を傷つけるのは容易だろう。  
「今少し動いた……でもあんまり動いてない……と思う、痛くはない……よ」  
声が怯えを物語っている。  
 
動いていないというのはどういうことだ?様子を窺っているということか?ビュティが恥ずかしがって俺に何も言わず、そのまま放置されると踏んで様子をみているのか。  
ビュティの股間に手を伸ばす。そこを覆うビュティの手を退けさせる。覚悟はできていたのだろう、震えながらもビュティの手は従順にそこを明け渡した。  
俺はビュティの顔を見る。ビュティは目をぎゅっと目をつぶって顔を伏せている。  
サングラスの隙間から覗けば、青ざめていると言っていい表情であるのに、その頬は赤らんでいる。  
俺は努めてビュティを子ども扱いし、頭を撫でた。そのまま頭を自分の胸に押し付け、視野を制限する。  
その上で逆の手をビュティの秘丘に添えた。滑らかで柔らかな肌の触感と、ぬめりのある液体が感じられた。  
 
この体勢では秘部を見ることはできない。  
指と手の平でそこの形を確かめる。膨らみの小さい丘、裂け目は浅く、撫でるだけではわかりづらかった。毛の感触がしないのが気になったが、確認できる状況ではない。  
裂け目に指を添え、音をたてないようゆっくりと左右に開いた。  
緊張からか、ビュティは脚を強く閉ざした。腿の熱が伝わってくる。  
 
俺は鼻毛を伸ばした。  
「まだ動いていないな?」  
ビュティは怯えきって返事ができなかったようだった。目を閉じたまま、少しだけ首を縦に振った。軽く背中を叩いてやる。  
「大丈夫だ、俺に任せておけ」  
「……うん」  
搾り出したような声で返事をして、俺のシャツを掴む。  
俺は鼻毛を操る。ビュティの背中越しに秘部へと伸ばし、指で広げた裂け目の間をその先端でなぞる。不要な刺激を与えないよう気をつけながら膣の入口を探した。  
「っぅ」  
ビュティが呻いたのは中の野郎が動いたせいか、俺が膣口を撫でたせいか。  
 
鼻毛の数は4本。ビュティの反応を見ながら、それに中の野郎に気づかれないようにそろりと、順にビュティの中へ進入させる。  
細い毛だ。痛みはないと思うが、毛を進入させるたびに小さな体が振るえる。  
「ん……」  
肉壁に沿いながらそろりそろりと内側を這う。鼻毛真拳は伊達じゃない。そこが粘液に満ちていることも、襞の凹凸も、手に取るようにわかる。  
 
……別の用心をするべきだと俺の脳が語りかけた。敵との距離がとれたと踏んで小休止していた体内小人さんを召集し、他の欲望をハジケ欲に変換する作業に就かせた。  
 
野郎を探す。最奥にいるだろう。そいつがどんな奴でどんな能力を持っているのか、膣の中で視覚が機能しているのか、鼻毛の進入に気づいているか否か、まるでわからない。  
「ボ」  
頭を抱えがみ、無理やり声を殺させる。  
ビュティは体を揺さぶった。離れようとしているかと思ったがそうではなかった。ガタガタと震えながら俺のジャンパーとシャツの間に隠れるように入り込もうとしていた。  
俺は背中を撫でていた手でジャンパーを引き寄せ、ビュティの頭をすっかり隠した。ジャンパーの内側に熱が篭る。  
 
鼻毛は狭い通路を進む。膣は静かに脈打っている。思いのほか早く、毛の先に異物が触れた。  
同時に相手もこちらに気づく。野郎は慌ててさらに奥を目指す。  
「あっ、」  
しかしすぐに行き止ったようだ。俺はそいつと肉壁との間に毛先をもぐりこませる。なにより膣の内側を覆い、保護することを優先する。  
野郎は一旦入口の方へ逃げかけて、再び奥へと移動した。逃げ場がないことを認識したようだ。  
「ん、痛ッ」  
俺は膣をすっかり覆うことに成功していた。壷の内側に網を貼り付けたような形だ。一度子宮口に引っ掛けちまったのは御愛嬌。  
 
野郎は網の間で動き、なんとか脱出しようと試みている。そいつはやはり先ほどの紙切れと同じ種族だったようだ。紙の端らしき部分で毛を切りにかかってくる。  
俺は別の毛先で後ろから紙を捲くるように力をかけ、それを阻止する。そしてそのままくるくると巻き込んで折りたたんだ。  
 
「もう大丈夫だ」  
安心させようとビュティの頭を軽く叩いた。しかし予想外に切羽詰った声が返ってきた。膣の奥から湧き出た新たな粘液が毛に纏わりついた。  
「お、お願い、早く抜いて……」  
ビュティは深く息を吐いた。その熱さが薄いシャツを超えて伝わってくる。  
野郎は今ももぞもぞと動いている。それが毛に伝わり、ビュティの内側をこすっているようだ。  
 
俺は慌てて毛の網を引き出しにかかった。それが悪かった。  
待ちかねていたかのように野郎は力を振り絞り、紙の端を外に向けた。渾身の力を振り絞ったに違いない、毛の拘束を纏ったまま、膣の奥へと突進した。毛の進む方向とは間逆だ。二方向に引っ張られ、耐え切れず網が切れそうになる。  
ヤベェ!  
万一網が切られれば、そしてそのまま刃が肉壁に触れたら……糞ったれ!  
これ以上ビュティに血を流させたりはしねぇ!俺は迷わず鼻毛を伸ばした。  
 
「ひっ!」  
野郎の動きを防ぐには、より厚く覆うしかない。毛をビュティの膣へと流し込み、幾重にも野郎を縛り付ける。その動きで膣道が強く擦れた。  
「あ、あンッ」  
ビュティの体が跳ねた。膣がうねり、毛がぎゅっと締められた。バランスを崩しふらついている、俺は慌てて両腕で支えた。  
「ビュティ、」  
「ぁ……ゴメンなさああ!」  
唐突に中の野郎が動いた。ビュティは俺の腕にしがみついて声をあげた。  
 
俺は野郎の動きを封じようとさらに強く拘束した。その瞬間、内側の毛網が切断された。  
「っ……!」  
「くっ!」  
当然といえば当然の結果だ。俺は単純に野郎に向けて毛を締めた。野郎はそこに垂直に当たるように紙の端を当てた。刃に効率よく物を当てたようなものだ。切り裂かれてしかるべきだ。  
 
拘束している毛の全てが切られたわけじゃねーが、野郎は調子に乗って動き回る。肉壁を擦りつけながら激しく上下に移動して突き上げる。明らかにビュティを刺激しようとしている。  
「ゃああ!」  
ビュティの腰が踊る。俺はそれを力づくで抑える。  
「ボーボボ、ああ!怖い……なんか怖いっ」  
ビュティは必死で腕にしがみつく。その息も体も熱い。蜜の香りが充満している。  
 
「堪えろよ、こんな奴にイかされるな」  
野郎を膣から引き出すにはより強く拘束する必要がある。だがそれは奴が逃れるチャンスをくれてやることになる。  
毛で縛り付けないで野郎の動きを止めるには……  
「はぁ、ボーボボ、はぁ、ッンク」  
「ビュティ」  
俺は再びビュティの股間に手を伸ばした。柔らかな腿がピクリと震えて、その手を挟み込んだ。  
「指を入れるぞ」  
ビュティは顔を上げて俺を見た。頬に涙の筋が見て取れた。  
 
嫌ともわかったとも言わないで、再び顔を伏せた。俺の腕から手を放し、代わりにシャツとジャンパーを掴む。声を殺すと決めたようで、唇を噛む歯がちらりと見えた。  
閉じた腿を離そうとしているようだが、羞恥心が働くのか少し開いては閉じて、開いては閉じてを繰り返す。腿による拘束など、もとより障害となるものでないのだが。  
「ふぅうン、うぅッ」  
俺は秘丘を撫で、蜜を指に絡めた。くちゃりといやらしい水音が響いた。さっきまでとは桁違いの量だ。  
感じてるのか。  
卑しめるような言葉を吐きそうになったのを、なんとか堪えた。  
「痛かったら言えよ」  
「ッ……ンッ」  
ビュティの耳には入っていないだろう。俺の胸に顔を擦りつけ、必死で声を堪えている。  
改めてビュティを強く抱いた。拘束の意味もある。  
 
股間をまさぐり、粘液に塗れた人差し指を蜜口に差し込む。  
「ンッ……」  
その瞬間、ビュティは呻いた。  
毛の束はそれなりの太さを持っている。それに加えて指一本、合わせて指二本分の太さになるか。  
「ンンン」  
ビュティの膣は熱かった。道は充分に膨れていて俺の指を締め付ける。それを感じながら毛を伝って登っていく。  
「ッ、……ハッ、」  
 
野郎は上下運動を繰り返している。突き上げるのと同じタイミングでビュティの腰がビクッ、ビクッと跳ねる。  
「うぅ」  
それが悔しいのか、俺のシャツをさらに強く握る。腕が動かしにくいんだが。  
「ボ、ボ」  
呼び声が耳に刺さる。怒りと別の感情とがぞわぞわと湧き出てくる。  
背中を押さえていた腕を尻まで下ろし、腰の動きを封じてやる。尻は、柔らかく暖かい。  
 
「少しだけ我慢してろ」  
野郎は上下運動を繰り返している。下りて来た時を狙う。その機会は、すぐに来た。  
「ッ、……ンッ、……ンンッ!」  
野郎が下部まで下がった時、鼻毛を強く引いた。野郎は余裕で刃を向ける。毛網の大半が切られたその瞬間に、俺の指が野郎を捕らえた。  
「ンアッ!」  
一瞬で指を深く差し込み、野郎を肉壁へと貼り付ける。向かい合って手前の壁、Gスポットと呼ばれる部分だ。  
 
「アアアアアアアアッ」  
野郎は暴れる。蜜が溢れ、俺の手に滴る。  
毛は直前に再度肉壁を覆うことに成功していた。張り詰めず、ゆるやかに伸ばした網は切り裂こうとする攻撃は柔軟に受け流せるが、叩きつける攻撃はそのままビュティに伝えるしかない。  
「アアア、ッグッ!………………ンンンッ」  
野郎は必死でもがく。少しの間は俺の指を狙ったが、すぐにビュティの肉壁を刺激し始めた。  
 
「ンンン、ンンン、ンンンッ、ンンッ、はっ、あぁんっ!」  
逃げることは諦めやがったのか……いや、おそらく捕まって引きづり出された後のことなど最初から考えていなかったのかもしれない。  
「ああ!ああっ!ボ、はぁ、はぁ、ボーボボっ」  
ビュティの声は高まっている。急激に怒りが湧き上がった。野郎を一度肉壁に強く押し付け、そのまま強引に引き抜いた。野郎も最後の力を振り絞って暴れる。  
「あああああっ!!」  
蜜があふれ出た。野郎と共に俺の手の平の上に落ちる。それを握り締めると、溢れた蜜が手首を伝った。  
「んっ、は、はぁ……はぁ……」  
ビュティは肩で息をしている。息は少しずつ整ってきているが、未だ俺にすがり付いている。  
イカなかったな。  
 
指を二本広げて捕まえた野郎を見た。三角目が笑ってる。やはりさっきと同じ紙切れだった。  
ガシャポンからカプセルを入手し、それに閉じ込める。キョンシーのお菓子についていたとっておきの札を貼って封印し、前の野郎が落ちていった穴へ投げ込んだ。その上へコンクリートを流し込む。  
ビュティの処女膜を傷つけた野郎だ。もっと痛めつけてやりたいとも思ったが、ビュティの目に触れないことを優先した。  
「二度と出てくるな!」  
 
そう叫んだところでおかしなことに気づいた。自分の手を見る。さっきまでビュティの秘部をいじっていた手だ。  
指には透明な液体が指に絡まりついている。指を合わせて離してを繰り返せば、ねちゃねちゃとイヤらしい音が響く。  
サングラスを少しずらして色を確認した。  
赤はない。  
 
「……ビュティ」  
まだ俺のシャツを握ったまま、なんとか呼吸を整えようとしているビュティに声をかけた。  
「傷口は……痛むか?」  
「っ……ちょっとずきずきするけど、っ、大丈夫だよ、血も止まったみたい」  
そう言って片手を差し出した。細く白い指に、赤い線の様な傷口がある。  
あの時見た血溜りは、処女膜ではなくこの指の傷から流れたものだったか。  
 
「あっ、うん。そうか、」  
ハジケた返事も出来ずそのまま流した。なんだ、そうだったのか。  
「ボーボボ?」  
そんな俺の態度を疑問に思ってか、ビュティが俺を見上げた。  
 
気が緩んでいたに違いない。それか、変換しそこねた性欲が噴出したか。  
ビュティは多少落ち着きを取り戻していたが、未だ目に涙を溜めていた。未だ俺にしがみつくは熱を放っていて、周囲には汗と蜜の入り混じった匂いが漂っていた。  
 
さっきはイかなかったんだよな。  
 
頭の中に欲望の声が響いた。イかなかったでなく、イけなかった。脳が勝手な変換をはじめる。  
「ボーボボ?……終わった……んだよね?」  
それは本当に他意なく、その言葉その通りの意味だったに違いない。  
だが俺はその顔から不満の表情を汲み取った。  
 
「……まだ残ってるか?」  
ビュティの肩を掴み、逆の手を再び股間にあてがった。  
「ボーボボッ」  
慌てた声が、挑発しているように聞こえる。一瞬敵のことや、捕らわれている仲間の事を思ったが……ビュティは殆どイきかけてたんだ、すぐに終わらせられる。  
「確かめるだけだ」  
 
指を差し込んだ。ただ一本、しかし迷わず感じる部分を刺激する。  
「ハあっ!!」  
ビュティが声を上げる。逃げようとしたのかそれとも快楽に悶えたのか、体を大きく捻った。ふらつき、倒れそうになるのを抱きとめて、元通り頭を俺の胸に押し付けた。  
 
「はんっ、ボー……ボボ、はぁ、はぁっ、ンンンッ、ンンッ」  
頬や鼻が胸を擦る。細い手が再び俺のシャツを掴んだ。縋るように俺に体を近づける。摺り寄せてきていると言っていいかもしれない。  
卑猥な水音が響いている。  
「ンッ、アンッ、ンンッ、ンンッ、」  
ビュティの中をかき回す。切れた毛が数本残っていた。それをかき集めて肉壁に擦りつけ、指先で転がした。  
「ンンンッ、ッ!ンッ、」  
次々と流れ出す蜜が俺の手に纏わりつく。どこが一番感じる?ココか?  
 
腰が揺れている、それに脚が振り回され、鎖が鳴る。俺の胸に擦り付けた唇が艶声と共にシャツを揉む。その動きがどんどん激しくなる。  
「ハァ、ンンンッア!!ボ、ボーボ、ハァッ!」  
イけよ。  
「ゥンンンッ、ンンンッ、はぁっ……んア、アア!」  
イけ。  
「アアアッ!ボ、アアアアア」  
イけっ!!  
「ァアアアアアッ!!!!」  
千切れんばかりにシャツを掴み、痙攣したように体を震わせ嬌声をあげた。俺の指を強く締め付け、これでもかといわんばかりに蜜を溢れさせた。  
 
 
 
少しの間があった。掻き出した毛の束をその辺に放った。  
「……イッたな」  
つい言葉をに出して言ってしまった。ビュティは、何も言わずにうつむいた。  
 
アフロからタオルを出して渡す。ビュティは黙ってそれを受け取ると、俺のシャツを拭き始めた。慌ててその手を掴む。自分の胸を見ると、涎の跡か、濡れたようなシミが出来ていた。だがたいした大きさじゃない。  
「こっちじゃねーだろ、自分を拭け」  
「あっ……目の前にあったから」  
「大丈夫かぁ?」  
「大丈夫だよ!ちょっと後ろ向いてて!」  
照れ隠しでか声を大きくして言い、少しもたつきながら俺に背中を向けた。  
いまさら恥ずかしがることもないだろうと思ったが、争わずに俺も背中を向ける。  
 
片手を見た。  
絡みついた粘液が光っている。  
チラリと後ろを見て、ビュティが俺を見ていないことを確認し、その指を舐めた。  
 
まがうことなき女の味がした。  
「……ハジけてぇ」  
俺はおもむろに上着を脱いだ。  
 
「ボーボボ、もういいよ。ゴメンね時間かけさせて。早くみんなを……なにやってるの!?」  
振り返ったビュティが俺を見て悲鳴を上げる。  
「何って見ればわかるだろ?」  
俺はタマネギを体に擦りつけながら聞き返した。  
「わかんないよ!てかどうやってズボン脱いだの!?きゃっ」  
 
壁を突き破って移動式日焼けマシーン3号が突入してくる。さすがは京都。森林浴、日光浴系のレンタルは充実している。  
……ハジケ欲の残量を確認する。さほど減っていない。  
性欲をハジケ欲に変換したために、ハジケ欲が容量ギリギリのラインまで溜まっていた。これ以上の変換は難しい。  
未変換の性欲がまだあるからなんとかしたいんだが……まぁこの量ならなんとか我慢できるだろう。  
 
「ビュティも浴びるか?」  
「遠慮します」  
「まぁ乗れ」  
光源の向きを調整して死角を作り、そこにビュティを座らせる。  
 
ツッコミを見る限り、ビュティは大分落ち着いてきているようだ。だがバカ共と合流するのはもう少し後にした方が良いかもしれない。  
遠回りして金閣寺でも見てくるか。  
寝転がって日焼けマシーン3号を発進させる。ペタンと腰を落として座っていたビュティは少しバランスを崩しかけたがすぐに持ち直し、黙って進行方向を見つめている。  
風に吹かれて髪が揺れる。  
 
振り向かないだろうと決め込んでサングラスをずらし、その髪の色を肉眼で捕らえた。  
……いつも通りに見える。いつも通りツッコミ、いつも通り少し疲れていて、いつも通り幼い少女だ。  
 
それでも女の蜜を流す。  
 
俺はサングラスを戻し、その上からアイマスクをかけた。  
限界を超えても構わないとして、ハジケ欲への変換を再開した。  
 

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