ボ「やれやれ、やっと今日の宿についたな。」  
 
ボーボボが言う。オレ達が泊まったのは、ごく普通の和風ホテル。  
ボ「7名なんだが、部屋はあるか?」とボーボボがたずねる。支「はい、まだ5部屋ほどありますが。」と支配人。  
ボ「よかった、十分だ。」支「7名様ということなんですが、2名様のお部屋を二つと、3名様のお部屋を一つになります。」  
ということで、2人が二つ、3人を一つという設定となった。天「…で、どうするよ? 誰がどの部屋へ行くのよ?」  
首「なぁ、たまにはくじ引きでもしねぇか?」天「おう、いいじゃないか。」ポ「じゃあ、あたしがくじ作るよ♪」  
 
5分後、くじを作ったポコミがみんなに引かせる。ポ「はーい☆ 1番が3人部屋、2・3番が2人部屋だよー☆」  
ボ「オレは1番引いた。」首「オレ2番。」天「あ、オレボーボボと一緒だ、1番。」ヘ「オレは3番か。」  
ガ「ボクもぼのだんなと一緒だ。」ビュ「あたし3番」ポ「あ♪ パッチンといっしょー☆」  
ボ「ふむ、オレと天の助とガ王が1番、2番がポコミと首領パッチ、んでビュティとヘッピコ丸が3番か」  
ビュ「うーん、けっこうな割り当てじゃない?」ポ「あたしパッチンと一緒ならいいよ。」ボ「…ま、これでも悪くないか。」  
 
ただ一人、妙な心持でいた者がいた。そう、今回の話の主要人物であるヘッポコ丸である。  
まさか、自分の好きな人と一緒に泊まろうとは思ってもみなかっただろう。顔が少し赤くなっていた。  
 
天「よっしゃ、それじゃあ夕飯まで自由行動な!」首「おい天の助! 一緒にゲームセンター行こうぜ!」  
天「友よ! ついてきてくれるか。」ボ「オレも混ぜろや〜〜〜〜〜〜〜!!!!」ガ「あ! ボクも行く!」  
ポ「なになに!? 楽しいことならあたしも混ぜてよー!」5人が暴走機関車になって一目散でゲームセンターへ。  
ビュ「……………………行っちゃった。」ヘ「………元気な人達だね…。」やれやれ、アイツらは元気なこっちゃ。  
そう思う二人であった。  
 
ビュ「ねぇ、あたし達だけ先に部屋に行かない?」ヘ「え? あ、あ、いいよ、い、行こうか」思わず言葉を噛むヘッポコ丸。  
指定された番号の部屋鍵を持ち、二人は部屋の中へ入った。ビュ「やっぱ、こういう部屋が一番落ち着くなぁ。」  
ヘ「(あわわ…ビュティさんと初めて二人っきりの夜だぁ…。)」ヘッポコ丸がほんの少しずつ取り乱し始める。  
ビュ「ねぇ、へっくん。」ヘ「は、はい!?」ビュ「あはは、なに驚いてんの?」ヘ「い、いや…べ、別に。で、なに?」  
ビュ「お金もちょっと余ってるし、今からお土産とか買おうと思ってるんだけど、行かない?」  
ヘ「ん…じ、じゃあ一緒に行こうかな…。(ビュティさんから誘いきたー!!せっかく二人になったんだから、一緒にならないと…。)」  
心がときめく17歳の少年。ほんの少し年下の女の子が今、目の前にいる。周りに邪魔する者がいない。嬉しさのあまり、つい浮かれる。  
なにやってんだオレ、ずっと一緒に戦ってきた仲間の一人だろ、それを何故オレは恥ずかしがる、と自分を少し責めるヘッポコ丸。  
 
フロント近くの売店で、買い物をしていた。ヘッポコ丸の頭の中はもうビュティのことでいっぱい。  
ビュ「へっくんはなにか欲しいものでもある?」ヘ「あ、お、オレは別にいいよ。」ビュ「そんな遠慮しなくても。」  
ヘ「いや、本当にその、買いたいというようなものがないんだ。」ビュ「あら、そう…分かった。」  
おいおい、しっかりしろオレ! そんな自分につい心の中で嘆く少年である。哀れヘッポコ丸。  
 
ガ「なにやってんだテメーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」ヘ「ぶぼぉ!!!!」突然ガ王が飛び蹴りしてきた。  
ガ「貴様、オレの姐さんを汚すなや!!」ビュ「ちょ、なにしてんだよガ王くん!!」ビュティが慌てて止めに入る。  
首「おいおい、抜け駆けはよくないぜ〜、ヘッポコちゃ〜ん。」天「そーだぞヘッポコ丸。」ヘ「なんだよお前ら揃いも揃って…。」  
首「しらばっくれるなや!!!」ヘ「うおっ!?」突然キレる首領パッチ。ワケが分からぬと思わんばかりのビュティ。  
ビュ「何のことだか分からないけど、ケンカしないでくれる? 怒るよ。」首・天・ガ「ゴメンナサイ。」  
ヘ「ビュティ、ありがとう。」3人はそそくさと逃げていった。さすがビュティさん! アイツらも目じゃないっすよ!  
あぁ、でもビュティさんに守られている自分が惨めだ、辛い、弱い、弱すぎるぞオレ。いっそのこと死にてぇ。男失格だバカ野郎。  
 
ボ「ん? どうしたんだ、お前ら?」ボーボボがやってきた。ビュ「あ、おかえりボーボボ。それにポコミちゃん。」  
ポ「あー、楽しかったよお兄ちゃん♪」ヘ「…あぁ、そうか。…それは良かったな…。」ポ「あれ? お兄ちゃん、元気なくない?」  
ビュ「んー、ちょっと3バカがね…。」ボ「まぁ、気にするなって。アイツらを遊ばせてくれ。もうすぐ夕飯にするぞ。」  
ヘ・ビュ・ポ「はーい。」ボ「オレは、これからあの3人を引っ叩きに行く。ゲームに負けた仕返しをしてやる!!」  
ビュ「やりすぎないようにね…。」ボ「おのれ、許さんぞ虫ケラども!! じわじわとなぶり殺してやる!!(フリーザ口調)」  
そう言い残して、真っ先に3バカの方へ向かっていくフリーザの格好をしたボーボボであった。ビュ「その衣装どこで拾ったんだよ!!」  
ヘ「(…てかドラゴンボールのネタ、パクりすぎてないか?)」そう思うヘッポコ丸であった。  
 
ポ「お兄ちゃんお姉ちゃん、トランプやろーよ♪」ヘ「お、トランプか。」ビュ「3人だけでやろうか。」ポコミは  
ヘッポコ丸・ビュティの部屋へ入って、3人でトランプ合戦。まずはダウトから。  
ヘ「それじゃあ、オレから切るぞ、1。」ビュ「次あたしね、2。」ポ「はーい♪ 3。」ヘ「…4。」ビュ「へっくん、ダウト。」  
ヘ「あら…バレちゃった…はは。」くるっと返すと、「9」を示していた。あーあ、やっちまったよorz とヘッポコ丸。  
首(パチ美)「ちょっとアンタたち! 私たちを差し置いてダウトやってんじゃないわよー!!」天「オレらも混ぜれや!」ポ「いいよ♪」  
首領パッチ・天の助の乱入でダウト合戦再開。…と思うも束の間。ボ「飯だぞお前らー。」ビュ「あ、そういえばご飯の時間だ。」  
首・天「ひどっ!!!! ボクらまだトランプやってないよ!!? ちきしょー!! ボーボボめ!!!」  
 
夕飯も終わり、ヘッポコ丸は気晴らしに外に出ていた。虫の音が、辺りにこだまする。  
ヘ「やっぱり、オレはこういうところが一番落ち着くな…。」そう言った後、ふとヘッポコ丸が思う。  
ヘ「(…オレは、本当にあの娘を守る資格なんてあるんだろうか…オレが敵になってボーボボと戦った時も、  
  体を壊してまでも全ての力を出したはずだ…でも、それでも負けた。オレは、なんてひ弱な男なんだろう…。)」  
ヘッポコ丸は、自分の弱さにコンプレックスを強く抱いていた。ネオ・マルハーゲに捕らわれた妹:ポコミを助けるために  
ボーボボ達と対峙した。そして「善滅丸」を2錠飲んで、化け物になるほどまでボーボボを殺しにかかった。  
…だが、そんな努力も、儚くボーボボの前に水の泡となってしまった。そんな自分に、ストレスを感じていたのであった。  
ヘ「…オレもまだまだ修行しないとダメみたいだな…でも、今日はなんだか雲行きが悪い…雨が降ってきそうだ、修行は無理か。」  
ヘッポコ丸の目に映る大きな雲。この雲が、後にこれからのストーリーを盛り上げようとは、誰も想像することは無かった。  
 
部屋に戻ると、ビュティが先に待っていた。ヘ「オレだ、開けてくれ。」ビュ「あっ、おかえりへっくん。何処行ってたの?」  
ヘ「気晴らしで外に出ていたんだ。でも、雨が降ってきそうだから戻ってきたよ。ところでボーボボさんとかは?」  
ビュ「ボーボボ達は自分の部屋で遊んでるよ。あたしは疲れたから部屋にいるだけ。」ヘ「そうか。」  
ビュ「とりあえず、布団敷くから手伝ってくれない?」ヘ「あぁ、いいよ。」二人は、今夜の寝床の布団を敷くことにした。  
ビュ「はぁ、なんだか疲れたなぁ。…なんか話、ない?」ヘ「…オレ、今まで思ってきたことがあるんだけど…。」ビュ「?」  
ヘッポコ丸は、自分の弱さについて打ち明けようとしていた。ビュティが、弱い自分をどう思ってるのかと、気になって仕方がなかった。  
ヘ「…オレ…やっぱりキミを守るに相応しい男じゃないみたいなんだ。」ビュ「え…?」ヘ「ほら、ボーボボさんとか首領パッチとか、  
  みんな強いじゃん? オレだけ、なんだか置いてきぼりにされている気がするんだ…。あの時言っていたように、自分を  
  鍛えなおしてきて、必死になって自分の力を高めたり、弱点を克服したりした。オレは、自分の真拳の初の修行修了者としてまで  
  上り詰めた。…そして、ネオ・マルハーゲにさらわれたポコミを助けるために、みんなを裏切った。ボーボボさんに自分の力を  
  精一杯出し切って戦った。自分の体のことなんて考えもしていなかった。これで勝てる!と思っていた。…だけど…だけど…  
  結局オレは、天の助と融合したボーボボさんの前に敗れ去った…。…だから、本当にオレはキミを守れる資格なんて…」  
ビュ「そんなわけないよ。」ヘ「!」ビュ「へっくんは本当にボーボボ以上に頼れる人なんだよ。そりゃあ、実力からすればボーボボの  
   方が上なんだろうけど、ボーボボが守りきれてない部分を、カバーしてくれた。へっくんがいなかったら、あたしはどうなって  
   いたかは分からなかった。毛を狩られたり、最悪、死んでいたのかもしれない。…だから…そんなこと言わないで。」  
ビュティは、懸命にヘッポコ丸の弱さを否定してくれた。ヘ「ビ………ビュティ………。」思わず、涙がこぼれる。  
ビュ「あたし…へっくんに出会えて本当に良かった…。何度、あなたに助けてもらったんだろう…ありがとうの気持ちでいっぱいだよ。」  
ビュティの頬が、少しずつ赤くなっていく。ヘ「そ…そんな…オレは…。」戸惑いを隠せないヘッポコ丸。  
ビュ「あ、あれ? あたし…なんで泣いているのかな…? おかしいな、こんなはずじゃ…。グス」ビュティの目に涙が浮かんだ。  
ヘ「…オレのハンカチ、あげるから…これで拭いて。」そう言って、自分のハンカチをビュティに差し出す。ビュ「ありがとう…。」  
 
ビュ「えへへ…どうしよう。あたし、感じちゃってるみたい。」ヘ「なにが?」ビュ「…へっくん、甘えちゃ…ダメ?」ヘ「…え?」  
突然、ビュティが普段言うはずがないことを言い出す。ビュティは、ヘッポコ丸の胸に飛び込んできた。  
ヘ「!!?…なっ…ビュ、ビュティ!?」ビュ「………気持ちいい。」ヘ「いぃ!?…ど、どうしたんだビュティ!?」  
突然の出来事に、顔が真っ赤になるヘッポコ丸。そして、ついにビュティがヘッポコ丸にカミングアウトする!  
ビュ「…あたし…本当に自分の弱さに悲しさを感じる…みんな、自分を守れる技を持ってるのに…あたしだけ、技がない。本当なら、  
   弱肉強食でもう死んでいる人間…でも、ボーボボやへっくん、お兄ちゃんがいてくれたおかげで、あたしは今日まで生きてきた。  
   …ひっく、あたし…もうへっくんがいなきゃ生きられないの!!」ヘ「!!!?」ビュ「へっくん……あ…あたし……。」  
 
   あ   な   た   の   こ   と   が   、   好   き   だ   っ   た   の   。  
 
ヘ「………………!!!」ビュ「…あ、言っちゃった…。」ビュティは、あまりの恥ずかしさに顔を隠す。ヘッポコ丸も口を開けて呆然。  
1分経過して、ヘッポコ丸が言い出す。ヘ「…あ…あ、あはははははは……ま…参ったな…先に告白されちゃうなんて…。」ビュ「!」  
ヘ「…オレ、今こうして旅しているのも…キミと一緒にいたいからだったんだ…。そう、軍艦との戦いが終わってからずっとなんだ。」  
ヘッポコ丸も、こうなったからにはと、全てを打ち明ける。ヘ「キミと初めて出会った…あのカツラ被った変態毛狩り隊を倒した、  
  あの日からずっと…キミのことを思っていた。…それを…オレがいつか告白しようかなんて思っていたら…あはは、言われちゃった。」  
ビュ「い、やっぱりそうだったんだ! ご、ゴメンね、先に告白しちゃって…あたし…へっくんに恥をかかせちゃった…。」  
ヘ「…ううん、ありがとう。…オレも告白する。 オ レ は 、 キ ミ の こ と が 本 当 に 好 き だ 。」  
ヘッポコ丸も、ためらうことなく、ビュティに打ち明けた。ビュティはもう、顔が真っ赤になってどうしようもなくなっていた。  
ヘ「…オレ達が、今ここにいるのも、きっと運命だったかもしれない…。キミに、ずっと言いたかったことが言えて、本当に良かった。」  
ビュ「あたしも…あなたに会えて幸せ…あたし…あなたについて行きたい。」二人の思いはどんどん高まっていった。  
 
 
ビュ「えへへ…それじゃあ、あたしお風呂に入ってくるね。」ヘ「あぁ、行ってらっしゃい。」  
二人は、まるで満足したかのように微笑をお互い見せ、何事も無かったかのように見せていた…。と、その時  
 
    ゴロゴロゴロゴロゴロゴロゴロロロロロ!!!  
 
と、いう轟音が響く。ヘッポコ丸が慌てて窓に振り向く。外を見ると、すでに雨が降っていた。どうやら雷のようだ。  
すぐにまた外が光り、また雷鳴が轟く。ヘ「…やっぱりさっきのは…これは嵐の夜になるのか…。」と思っていた。  
すると、ヘッポコ丸の胸に「ぐっ」という感触がした。振り返ると、なんとビュティが胸に顔を突っ込ませて、  
両腕をしっかりと、ヘッポコ丸の胴体を押さえていた。ヘ「い!!……ビュティ!?」思わぬ事態に慌てるヘッポコ丸。  
ヘ「ど、どうしたんだよビュティ!!」ビュ「…………。」すると、また雷が光って、轟音が轟く。同時にビュティがまた「ぐっ」と、  
少し強くヘッポコ丸の胴体を押さえる。ヘ「……ビュティ……雷、怖いの…?」そう言うと、こっくりとビュティがうなづいた。  
ビュ「……あたし…普段、みんなと一緒にいるときとか、うるさい時、昼間の時は、雷なんて怖くも無かった。…でも、こう…その、  
   夜で静かで、そして一人ぼっちの時だと…すごく怖いの……。」言われて見てみれば、ビュティの腕が震えている。  
ヘ「そ…そうだったんだ…。」また、雷が光った。ビュ「ひゃぅ」という小声を言い、ビュティがまた強くヘッポコ丸の胴体を押さえる。  
ヘ「っ…大丈夫だよ。ほら、雷なんて襲ってこないから! 怖がるなよ…。」懸命に笑顔でビュティを助けようとするが、かなり怯えていた。  
ビュ「…あたし…未だに雷恐怖症なの…小さな頃、一人ぼっちの夜寝ている時…一回、近くで雷が落ちたことがあるの。」ビュティが話す。  
ビュ「すぐ近くで落雷した時、ものスゴい音がして、思わず悲鳴を上げちゃった。そして、しばらくしたら炎が上がっていて、  
   火事になったの。あたしは、恐ろしくて大泣きするどころか、お漏らしまでしちゃった…そのトラウマが、今も残っているの…。」  
ヘ「………!!」衝撃の過去を知ったヘッポコ丸は、驚きを隠せなかった。あの元気なビュティに、恐れているものがあったなんてと。  
 
ヘッポコ丸が、ビュティの頭を撫でた。ヘ「…大丈夫だよ…オレが…守ってあげるから…。」ヘッポコ丸が、優しく穏やかに言う。  
ビュ「うぅ…へっくん…はぁ…はぁ…」ビュティの呼吸が、少しキツくなってきた。雷の怖さで、怯えて興奮しているようだ。  
雷が、あざ笑うかのように、どんどん激しさを増す。ビュティの呼吸がさらにキツくなり、まるでマラソンを走り終わった時のような  
激しさまで至った。ビュ「ひゃぁぁ……はぁ、はぁ…へぇっぐぅん…怖い…怖いよぉ。」気がつけば、ビュティの目から涙がこぼれていた。  
ヘ「大丈夫、しっかりして。」思わず真顔になって、ビュティを励まし、守る。雷が、さらに激しくなる。雨もスゴい勢いになってきた。  
 
ビュ「はぅ…あ…あぁん…。」ビュティが突然かわいい声を発しだす。思わずドキン!とビックリするヘッポコ丸。ヘ「ど、どうした!?」  
ビュティが、自分の股間に手を押さえて、お尻をうなづかせる。何かを感じていた。ヘ「ま…まさか…と、トイレ…か?」ビュ「…うん。」  
どうやら、ビュティはトイレに行きたくなってしまったようだ。ここで、ヘッポコ丸があることを思い出す。  
『あたしは、恐ろしくて大泣きするどころか、お漏らしまでしちゃった…』という言葉を。ここで、すぐ近くに落雷など起きたら、  
ショックで漏らしてしまうと。そんな恥ずかしい思いはさせたくない! という思いと同時に、「お漏らしを見てみたい」という  
わずかな嫌らしい思いが沸いていた。ヘ「(…って、オレはなんておこがましいこと考えてんだ! 彼女が怖がっているというのに…)」  
と、自分を変態者として自虐する。あぁ、これがエロというのかと、勝手に思い込む17歳。だが、これは緊急事態。気はしっかりとする。  
ヘ「大丈夫、今、トイレに連れてってあげるから。」そう言い、ビュティの腕を自分の首にかけ、怯えているビュティを少しずつ、  
トイレに向けてゆっくり、歩かせる。ビュ「はぅん、雷怖いよぉ…おしっこしたいよぉ…はぁ、はぁ…。」ヘ「大丈夫だよ。今…。」  
 
少しずつ歩かせて2分がかかった。やがて、部屋を出て、部屋の玄関へ。ここは畳ではなく、板貼り風。ヘ「ほら、トイレだ、頑張れ!」  
ビュ「ひゃぅん…もう…漏れちゃうぅ…。」ビュティが必死に尿意に抗う。「トイレにたどり着くまで漏らしてたまるか」と。  
ビュ「も…もうダメぇ、出ちゃう!」ビュティが目をつぶりながら、いきなりズボンを脱ぎ始める。一瞬でパンツ姿となり、  
ヘッポコ丸が顔を真っ赤にして口を大きく開いた。ヘ「い、あ、ビュティ!! ちょ、脱いじゃ…!!」と慌ててズボンを上げようとする。  
しかし…雷雲から激しい閃光…そして稲妻が地面に落ちる!!!  
 
   バシ!!…ガラガラゴロガラドジャーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!!!  
 
ヘ・ビュ「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」二人は今までに無い絶叫をした。  
ついに…すぐ間近で落雷が起きてしまったのだった!! 耳を破壊するかのような超絶的な雷鳴がホテル全域に長く轟かせ、ビリビリと  
地震が起きたかのように激しく揺れた。二人は、悲鳴と同時にしゃがみ込み、目を強くつぶっていた。雷鳴が鳴り止み、ヘッポコ丸が  
目を開ける。ヘ「だ…大丈夫かビュ……ぁあ!!!」ヘッポコ丸が見た時、ビュティのパンツから、垂れ流れる黄色い液体が。…とうとう、  
おしっこを漏らしてしまった。黄色い水溜りは、どんどん広がり、彼女の恥辱は最高潮に達した。思わず口を手で覆ってしまうヘッポコ丸。  
白と水色のしましま模様の綿のパンツから、おしっこが勢い良く放出されている…その姿を見て、勃起せずにはいられなかった。  
ビュ「ふえええええぇぇん…おしっこ、漏れちゃったぁぁぁ。」今までに無く、ビュティが泣きじゃくった。お漏らしが相当ショックだった。  
ビュ「うええええん、ひぃっく、いやあああぁぁ、はずがじいよぉぉぉ、げほっごほ、お漏らししちゃうなんてぇぇ…。」ビュティが、  
悲しい顔をし、大粒の涙を絶やすことなく流す。ヘッポコ丸が気持ちを落ち着かせ、ビュティに寄る。そして…背中に手を摩る。  
ヘ「…よく頑張ったよ…ビュティ。」ヘッポコ丸が、言った。ぎゅっと抱きしめ、ビュティを慰める。だけど、どうしようもなかった。  
ヘ「お漏らししちゃったけど…大丈夫、オレがキミを包んであげるから…。」ポンポン、と手で優しく背中を叩いた。  
ヘ「(こんなに泣きべそかくビュティ…初めてだ…よほど辛かったんだろう…。)」ヘッポコ丸が、ビュティの気持ちを察した。  
ヘッポコ丸が、子守のようにビュティを優しくしていると、いつの間にか泣き止んで、眠ってしまった。ヘッポコ丸は、改めて見る。  
ヘ「(こんな間近で、身内以外で、女の子のパンツを見るなんて、初めてだ。)」と。しかも、おしっこを漏らした瞬間まで。  
こんなことが今までにあったのだろうか、思いつめる。やがて、ヘッポコ丸も、そのまま抱きかかえたまま、こっくりと、眠りについていった。  
 
気がつけば、朝6時を回っていた。さきに起きたのはヘッポコ丸だった。  
ヘ「!!!!…ビュ!!……あ、そうか…昨夜…。」と、昨日の嵐を思い出す。思わず、顔が赤くなり、恥ずかしくなって、  
ビュティを起こしてやった。ヘ「ビュティ、朝だぞ、起きろ。」ビュ「ん…うん…………んん!!!? きゃあ!!! へっくん!!?」  
自分の恥ずかしい姿に飛び上がってしまった。ビュ「ち、ちちちちちょちょちょっちょっと!! あたし何て格好してるの!!?  
なにこれ!? パンツが汚れて臭いし!!!!」ヘ「ビュティ…実はな…」かくかくじかじかと、ビュティに昨日のことを話す。  
ビュ「…そう…あたしの身にそんなことが…ショックだ…。でも…守ってくれて、ありがとう。」  
ヘ「…恥ずかしいし、パンツも汚れちゃってるからさ…お風呂、入ってきなよ…。」ビュ「…うん。」ビュティが、少しにっこりと笑った。  
思わず、ヘッポコ丸も「ドキ!」とした。「やっぱり、ビュティの笑顔は最高の薬だ」と。30分して、ビュティが風呂から上がってきた。  
ビュ「…昨日は…お漏らししたあたしを優しくしてくれてありがとう…やっぱりへっくんは、あたしにとって、  
   ボーボボより掛け買いの無い男の人だよ。」ビュティは、そう言うと、ヘッポコ丸の体に飛びついた。ヘ「ビュティ…。」  
ビュ「あたし、将来あなたと結婚したい。もう、思いが張り裂けそう。」ビュティはとうとう、ヘッポコ丸を婚約者として認識をした。  
ヘ「そ…そんな…こんなダメダメなオレでもいいのか?」と、ヘッポコ丸が問う。ビュ「当たり前だよ! あたしを何度も救ってくれた…  
  そして、昨夜も。あの時、へっくん以外とだったら、あたしはどうなっていたんだろう。」ビュティが、恥ずかしげに言う。  
ビュ「えへへ…部屋、あたしのおしっこで汚しちゃった。一緒に拭こうよ。」ヘ「……あぁ!」  
 
こうして、二人は思わぬ形で、結ばれることになったのであった。  
そして、何事も無かったかのように、ボーボボ達と朝食をとり、急いでパンツを洗濯して、リュックに仕舞う。  
ヘッポコ丸とビュティは、手を繋ぎながら、ボーボボ達と共に、ホテルを後にしていった  
 
 
完  
 
 
 

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