「スズさ〜ん、ちょっと手伝ってくれませんかぁ!?」
相変わらずボーボボ達のハジケに巻き込まれていたスズにとって、ビュティの呼び声はまるで天使の声のようだった。
「あ、は〜い!すぐ行ぎまずぅぅーー…っぐるじいぃぃ!!」
スズの首元には白い手、そして背後にはオレンジの物体…
「だってお母ちゃんがおんぶしてくれへんねんもん!!」
幼稚園児の格好をしたオレンジの物体がヘタな関西弁で泣き叫んだ。
「も〜!首領パッチくん何やってんの!!スズさん大丈夫!?」
「ゴホゴホっ…ハァ〜、大丈夫です」
苦笑いしながらスズは答えた。オレンジの物体はというと、ボーボボの鼻毛に絡められ川に沈められた。
「…で、何をお手伝いすればいいんですか?」
「みんなのお昼ご飯を作ってたんだけど量が多くて…それで手伝って欲しいん「む…無理ですよ!!」」
スズは慌ててビュティの言葉を遮った。
「私…料理ヘタなんですよ」
スズは苦笑いしながら言った。
「そうなんだぁ…じゃあ目つむってくれますか?」
「…えっ?」
ビュティの突拍子なお願いに、スズは明らかに困惑した。
「いいからいいから!」
ビュティの明るい笑顔で元気よく言われては、スズも断るに断れない。
「ん…………これでいいですか?」
「じゃあしばらくそのままでいてくださいね?」
スズは首に何かがかけられ、腰の辺りに何かが結ばれたことに気付いたが、瞼はしっかり閉じていた。
「はいっ、開けていいですよ!」
スズは目を開け、自分の胴体にかかっている布を見た。
「…えっ!…ええっ!?」
「うん!スズさん、すっごく可愛いよ!」
スズにかかっていたのはフリルのついた黄色いエプロンだった。
「…こ…こんなの私には…似合いませんよ…」
スズは頬を赤らめながら反論した。
「え〜、スズさん美人なんだから、なんだって似合うよ〜!」
「…………あ…ありがとうございます…。」
ものすごく照れながらスズは笑った。
「さっ、みんなのお腹がペコペコになる前にお料理しちゃお〜!」
「…はいっ!」
スズはビュティの心が澄み切っているように感じた。やはりみんながビュティを大切にするのはこの澄んだ心と笑顔を守りたいからなんだろう。スズはそうも思った。