「一番甘えたいのは」スピンオフ「母の記憶」
ふと真夜中に、アマンダは目を覚ました。目を擦り時計を見ると、深夜の2時だった。
そしてアマンダの目に映ったのは、すやすやと眠る弟の寝顔だった。アマンダは気持ち良さそうに
眠るマレクの頬に手を置く。アマンダは眠くなるまでこの寝顔を見ておこうと思い、それを見つめていた。
そうしていると、マレクの口元が静かに動き出した。また寝言で「お姉ちゃん・・・・」とでも言うのだろう。だが
アマンダの予想は外れた。
「・・・・お母さん・・・・」
予想外の言葉にアマンダは最初は少し驚いた。まさかマレクが私に母親を重ねていたとは思ってもいなかった。普通
の女だったら怒り出すであろう。しかしアマンダ自身はそんなに嫌な気分にはならなかった。甘えたい盛りに両親を失ったマレク
にとって、亡き母に代わって守ってあげられる、甘えられる存在は、アマンダしかいなかった。当然、マレクはアマンダに母を
重ねても可笑しくないとは思っていたが、まさか本当の事になるとは思ってなかった。ふとアマンダは、自身の両親が死んだ時の
事を思い出し、涙が流れた。きっとマレクも両親の死を知ったとき、あの時の私同様に悲しんだのであろう。すすり泣く中、アマンダ
は思った。せめてマレクには親代わりの私がいるから、母親の代わりとして見られたいと思った。アマンダのマレクを抱く
腕に力が入り、柔らかな乳房の谷間にマレクの顔が埋まった。銀色の頭にアマンダは顔を埋めながらすすり泣きながら呟いた。
「マレク・・・・私がお母さんになってあげるからね・・・・もう心配ないからね・・・・」
アマンダがすすり泣いてると、頬に暖かい何かが触れた。アマンダは顔を離すと、そこには心配そうな眼差しで見つめるマレクの
姿があった。頬に触れたのは、マレクの手だった。
「お姉ちゃん・・・どうかしたの?怖い夢でも見たの?」
マレクの姉を心配する顔を見て、アマンダは首を横に振り、涙で潤んだ緑色の瞳で見つめながら言った。
「大丈夫よ、お姉ちゃんは何ともないから・・・だから安心して・・・・」
「でも・・・・」
「それと・・・ごめんね、起こしちゃって・・・・」
「僕は平気だよ、お姉ちゃん早く寝ないと、仕事遅れるよ」
「そうね・・・もう寝ようね」
2人はは寝ようとする。が、アマンダはマレクが目を閉じる前にマレクに声を掛けた。
「マレク・・・一つ・・・お願いしてもいいかな・・・?」
「いいけど・・・何?」
「そのね・・・触って欲しいの、お姉ちゃんのおっぱい・・・・」
その言葉にマレクは目を丸くした。いきなり触って欲しいとねだられたからだ。
「触る・・・だけ?」
「うん・・・・本当はこんな自分勝手なお願い、したくなかったんだけど・・・何だか触られたくなっちゃて・・・・」
少し俯きながら言うアマンダの豊かな乳房に、マレクは手を触れ、そこに顔を押し付けてきた。
「マレク・・・・」
「僕はいいよ、これでお姉ちゃんが寝られるなら・・・・」
「マレク・・・・本当にごめんね・・・・我が儘言っちゃって・・・」
嫌な顔ひとつしないマレクに、アマンダは謝った。しかしマレクは屈託の無い笑みを浮かべていた。
「いいんだ、僕もこうしてると気持ちよくて寝ちゃうから・・・・」
「そう・・・ありがとうね・・・・」
可愛い弟に母性を鷲掴みにされながら、アマンダは眠りに付いた。姉の我が儘に付き合ったマレクも、姉の安心した表情を見て嬉しい
気分で眠りに落ちた。