【バラ母さんの育児日記】キャンプ編
八月某日(某曜日)晴れ
今日は、家族で山へキャンプに出かけた。
「ああ、ホントにいい天気ねぇ」
「本当に綺麗な青空。素敵ね。兄様」
「本当に素敵な青空だね。姉様」」
私は、久しぶりの家族でのレジャーに浮かれていた。
我が家の可愛い双子の黒天使もニコニコと楽しそうだ。
不自然な大荷物が気にならなくも無いけれど…
まぁ、気にしないようにしましょう。
せっかくの休日を楽しまなくちゃ。
「それじゃ、私たちはあっちで遊んでくるわ。母様」
「ちょっと探検してくるね。母様」
「わかったわ。二人とも気をつけて行ってらっしゃい。
あまり遠くに行かないようにね」
「「はーい」」
二人は、大荷物を抱えて、山の中へ走っていった。
ふふふ。あんなにはしゃいじゃって、まだまだ子供ねぇ。
近場の山でキャンプなんて、拗ねるかと思ったけれど、
思った以上に喜んでくれて、よかったわ。
ダンナは、テントを建てるのに、苦労しているみたい。
仕方ないわねぇ…。ちょっと手伝ってあげようかしら。
あら、そういえば…
「ねぇ、アナタ。たしか部下の人が一緒に来るって…」
「あぁ、うん。僕の部下のロック君が恋人と一緒に…」
どかーん!
突然の爆発音。
いやな予感がする…。
あっちは、たしか双子の黒天使が消えた方向…。
「チクショ!なんだよこりゃ!テメェ、ロック説明しろ!」
「そんな!レヴィ。そんなこと俺に言われても…」
若い男女の声が聞こえてくる。
ああ、また被害者が…。
すると、可愛い笑い声とともに、満面の笑みを浮かべた
我が家の可愛い双子が、爆音のしたほうから戻って来た。
「思ったより威力が低かったわねぇ。兄様」
「やっぱりネジ釘を入れるべきだったんだよ。姉様」
「だって、母様が入れちゃいけないって言ったんですもの」
「それじゃ仕方ないね。姉様」
「仕方ないわよ。兄様」
「…で。アンタ達、今度はなにしたの?」
「ん〜〜っとね。こないだ作った対人地雷の実験」
「ベトナム式ブービートラップよ。簡単だったわ」
「あっさり引っかかったから、ツマンなかったね。姉様」
「そうね。ちょっと拍子抜けだったわね。兄様」
「アンタ達!あれほど危険なオモチャを作るなって…!」
「だから、ベアリングは入れなかったわよ。ねぇ、兄様?」
「そうそう。ネジ釘もやめたんだよ。ねぇ、姉様」
「だから、そういう問題じゃなくて…」
「「今度はもっと上手く作るね!母様!」」
「そーゆー問題じゃなくてー!!!」
はぁ、慣れてきたと思ったけど、まだまだ駄目です。
子育てって難しいです。どうしたらいいんでしょう?
ちょっと遠くで罵声を撒き散らす若い女性の声と、
困り果ててなだめ続ける青年の声を聞きながら、
途方にくれる悲劇の主婦バラライカ(ピー歳)であった。