「んだよ、ロックヨガらせる自信も自身もねぇってのかぃ、チェリーちゃん?」
「だぁれがそんな事言ったかファッキンファーザー!とっとと手ェ離しやがれ!!」
「ハン、嫌だね。」
そう言うとエダはロックの乳を鷲掴みにしたままぎゅっと胸元に抱き寄せた。
それにブチンときたのか、レヴィは今にも鉛玉をロックもろとも打ち込んでしまうのではないかと思うほどの剣幕で睨み付けた。
そんな事は露知らず、がっくりと項垂れたままのロック。
(嗚呼……早く終わんないかなァ……もう一回寝たら戻ってたりしないんだろうか……)
そんな事を思いながら、揉む腕を時折辞めろと言いたげに叩いていたけれど、不意に聞こえたレヴィの言葉に固まる。
「じゃあ証拠見せてやろーじゃねぇかっ!」
言うなり、ロックは突如エダの腕からレヴィの腕へと掻っ攫われた。
何がなんだか分からないロックは、ぱちくりと瞳を瞬かせることしか出来なかった。
「え、レ………ンぅッ!?」
レヴィ、と名を呼ぼうとした刹那、不意に口付けられる。
そこまではよかった。まさか舌まで入ってくるなんて。
(ナニナニナニナニ!!ていうかなんでこんなに上手いのー!?)
ふるふると首を振って避けようとするけれども、悲しいかな、男と女の腕力差。
いつの間にか逃げ道のない壁際まで追い詰められていた。
二の腕をつかんで押し戻そうとするけれども、レヴィは微動だにしなかった。
細さはほとんど変わらないと言うに、腕の感触はいつもよりも硬い。
口内を舌で蹂躙されるたび、膝がそれにあわせてカクン、カクンと震えた。
(あれ……ちから、はい、んな……)
意識もだんだんと遠くなる。黒い瞳は溶けたようになり、焦点が定まらない。
不意に、咽喉元を何かが通り過ぎる。クスリのような、固形物か何か。
「え、レヴィ……、なっ…」
そう言いかけたところで、また口付けられる。本当に力が入らなくなってきた。
(…なんか、のまされた……?)
思考が溶けてしまいそうな感覚に襲われた。へたり、と床にへたり込むと、ぐったりと壁に凭れ掛かる。
「おー。腰砕け?」
能天気にそんな事を言い放つテンガロンの神父は、ソファに座って能天気に2人の様子を見ていた。
「つーかクスリの力借りたな、レヴィ。オメー、だからチェリちゃんだっつーんだよ」
「うっせぇ、使ったモン勝ちだろうがよ。」
「ま、そうだけど。……美味しそうになってんなー、ロック」
そう言うとエダはロックの傍まで近寄る。東洋人にしては白い肌を撫でると、ぴくんと微かに肩が跳ねた。
「…ぁ……」
(え、嘘……今の、俺の声…?)
艶やかな声が無意識に零れた。そのことにロックの頬はさらに赤みを増す。
「レヴィ、お前コレ一人で食う気かよ?」
「んなのお前に言う必要あるか?」
「独占すんなよ、人類みなキョーダイだろ?」
「……ざけんな。」
(それよりさ……神父って姦淫していいんだっけ……?)
そう思った所で、ロックの意識はプツリと途切れた。