湿った熱気がまとわりつく熱帯の昼下がり。  
 
雑然とした部屋で、レヴィなどだらしなくソファーにひっくり返っている。  
この部屋片付ければ少しはマシになるかな…と思いながら  
さすがのロックも動く気にならず、くわえ煙草でネクタイを緩める。  
 
「…なぁロック、火貸してくれよ。ライターどこだかわかんねぇんだ。」  
「自分で探しなよ、動くと暑い。」  
 
火のついてない煙草をくわえ、しかめっ面をこちらに向けて言うレヴィに、  
ロックもまたうんざりした顔で答える。  
 
「ロックの貸してくれよ、投げればいいだろ。」  
「ガスが切れたんだ、多分もうつかないよ…ほら。」  
「げ、マジかよ…うわ、本当につかねぇ…使えねぇな。」  
「探すなり買って来るなりすればいいじゃないか。俺のせいにするなよ。」  
 
スコールでもあれば涼しくなるだろうに、とロックは窓の外を見やる。  
 
「とりあえず、この1本吸えりゃいいや…その火貸せって。」  
「だから動くのも嫌だって言ってるだろ…しょうがないな。」  
 
のろのろと立ち上がって、半ばまで燃え尽きた煙草の火をレヴィに移すロック。  
 
「サンキュ。こう暑いとせめて一服しねぇとやってらんねぇよな。」  
「確かにね…日本の夏も蒸し暑いけど、ここまでじゃないよ。」  
「へぇ、蒸し暑いのにキモノ着るのか、日本人ってのはみんなマゾか?」  
「はは、いまどき着物着てる日本人なんてそうはいないよ。  
やっぱりレヴィも日本人は着物だと思ってるのかい?」  
「そ、そのくらいあたしでも知ってるさ…言ってみただけだよ。」  
 
紫の煙が立ち昇り、心なしか互いに表情が緩む。  
煙草を咥えたレヴィの唇を、意外と女らしいよな、とロックは思った。  
 
しばしの逡巡。  
灰皿に煙草をもみ消し、そのまますっとレヴィの肩に手を回す。  
 
「あんだよロック、暑ィじゃねぇか。暑さでオツムまでウェルダンか?」  
「…そんなところかな、否定はできない。」  
「…冗談だろ?ちょ…」  
 
咥え煙草を奪って、唇を重ねる。  
言葉が途切れ、立ち込める紫煙がわずかに乱れる。  
 
「…思ってたより柔らかいね、レヴィの唇。」  
「か…からかってンのかてめえ…そんなにジルバが踊りたいなら今すぐ…」  
「ご免こうむるよ。どうせ暑気払いするならそんな風情のない方法じゃなく。」  
 
レヴィの手がホルスターに届くより早く、強く抱き寄せる。  
まとわりつく熱気。腕の中の身体は思いの他小さい。  
抵抗が本気でないことは明らかだったが、ロックは黙っていることにした。  
 
「ショキバラ…なんだそりゃ?」  
「しょきばらい、暑さを忘れるってことさ。日本も暑いからね。」  
 
もう一度、唇を奪う。今度は、柔らかな唇に舌を割り込ませて。  
煙草を床に落とし、強引に身体を密着させる。  
ゆっくりと歯茎をなぞる。誘うように、ごくゆっくりと。  
 
「ん…ん。」  
 
レヴィの舌が躊躇いがちに応える。  
 
絡み合う舌の湿った音。  
合わせた唇から漏れる吐息が次第に熱を帯びてくる。  
 
「っは…キス上手いんだな…ロック。処女だとばかり思ってたぜ。」  
「…心外だな。そりゃ日本人は幼く見えるんだろうけど。」  
 
唇が触れ合う距離のまま軽口を叩く。言葉が終わればすぐにキスが続けられる距離。  
あえてほんの一呼吸、ロックは待ってみる。  
物欲しげにレヴィの唇が小さく開くのを確かめてから、舌を捻じ込む。  
 
「んふぅ…上手いのは…認めるけどな…」  
「けど…何?…ちゅ…キスは嫌いだった?」  
「そ、そうじゃねぇ…やっぱり暑ィなって…それだけだよ…んっ。」  
「本当に?」  
 
しっとりと汗ばんだ肌をロックの掌が這う。  
柔らかな肌の下に引き締まった筋肉を隠した、しなやかな肉食獣のような身体。  
刺青に彩られた肩は熱気の中でもひやりと冷たい。  
 
 

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