それやこれやでレヴィに助けられたロック。
クソ溜とは言え一応渡世の義理もあるロアナプラ。
命を張ったレヴィに借りを返す為、ロックは一つだけ何でも言う事を聞くと提案した。
「何が良い?朝までコースで痛飲でも構わないぜ?」
「何でもか。よし、ちょっと付き合え」
言うなりロックの首根っこを掴んで自分の下宿まで連れ込むと、
有無を言わさずベッドに押し倒し、仁王立ちで上半身を踏みつけながら、自分はさっさと服を脱ぎ始めた。
「ちょっと待て、レヴィ、何のつもりだ!?」
「見りゃわかるだろネンネのガキじゃあるまいし、減るもんじゃ無いんだ今日一日身体貸せや」
「身体貸せって、お前何言って」
「ああ、男はガムシロップくらいは質量減るんだったな。まあそれくらいは『借り』の内だよな?」
喋っている最中も手の動きは止まらない。半分レイプに近い手つきで瞬く間にロックのシャツをひん剥く。
そうしてパンツまで脱がすと埃を払う仕草でパンパンとお楽しみの手を叩き、
「さて、始めるか」
強靱なドッグスタイルでゆっくり足元からロックの身体を這い上がっていく。
徐々に近づいてくる吐息が身体に当たる度に、素肌の上を電撃が走る。
獲物を追い詰める野獣のような女に恐怖と期待を覚えながら、ロックは辛うじて理性の言葉を引っ張り出した。
「な、なあレヴィ、その、本当に俺で良いのか?」
「アンタくらいしか背中から撃ってこない男がいないんだよ。気に食わないだろうけど、目瞑ってればすぐ終わるから我慢してくれよ」
「そんな、気に食わないなんて言ってないじゃないか。レヴィ、俺は、だから、お前をずっと…」
ようやく二人の顔が向き合い、初めてロックは自分から彼女の身体に触れる。
刺青を施した肩から、うなじへ手を這わせる。
逞しく鍛えた肩と比べて、首はチシャ猫のように柔らかく繊細だった。
そうか、やっぱりこいつは女なんだ。
こいつに惚れるのは、ちっとも変な事じゃなかったんだ。
今なら言える、『レヴィ、愛しているんだ』って口に出せる。
「レヴィ、俺は…」
ずっと殺気立っていたレヴィが優しく笑うと、
「何だ?とろけるような愛の言葉が欲しいのか?だったら早くそう言えよ!
『ロック、あなたを愛しているの。お願い、抱いて』(棒読み)
よーし、これで良いな?始めるぞ!」
再び野獣の顔に戻った。
「だから待てって言ってるだろ!」
そんな言葉も愛の言葉も全てレヴィの唇に塞がれ、一つになってしまえばどうでも良い事になった。