「ホントに帰ってくゆの?今夜?……わぁい、じゃあ起きて…待ってゆ、わのよ…」  
 
帰国予定日を過ぎ、ようやく南米から戻ったBJは、怒られるのを覚悟でピノコに連絡をした。  
しかし、空港からの電話に出たピノコの声のトーンは、明らかに普段と違っている。  
帰路の途中、タクシーの運転手を何度も急かし、BJは走り込むように我が家の玄関を開けた。  
妙な静けさが漂う。 いつもなら飛びついて迎えに来るはずの、元気な足音も聞こえない。  
 
深夜を報じる時計の音に、胸騒ぎがする。  
「帰ったぞ?……ピノコ、どこだい」  
居間に散らばった何冊もの雑誌。 その合間に、ピノコはうつ伏せに倒れていた。  
「おいっ、しっかりしろ!」  
BJは荷物を投げ捨てて駆け寄り、なんとか自分を静めようとコートを脱いだ。  
───落ちつけ、落ちつくんだ。 ここで焦っては、取り返しのつかないことに……  
 
ふとテーブルの上を見ると、水の入ったコップと錠剤があった。入眠薬だ。  
「まさか、おい……」  
何故こんなものが? BJが屈みこむのと、ピノコの目がゆっくり開くのとは、ほぼ同時だった。  
さまよう視線が、なんとか焦点を合わせる。 どうやら無事のようだ。 BJはピノコの発声を待った。  
「ちぇん、ちぇ…?ごめんなちゃい…ウトウト、しちゃったのよさ」  
小さいが、しっかりした言葉を聞き、BJは深い安堵の息をついた。  
 
「そんなことはいい、だけどお前、どうして薬なんか」  
起き上がろうとするピノコを留め、BJは残された錠剤の数を確かめる。  
入院患者にも、処方することは希だった。 臓器に問題が無く、不眠を訴える場合だけだ。  
危険性は高くないが使用期限は間近、減っている数も、一回の服用限度を超えている。  
それまで、努めて冷静でいたBJの頭に、どっと血の気が上ってきた。  
 
「バカ野郎!……私がいない時、絶対に薬品を扱うなと言ったはずだ、忘れたのかっ!」  
ピノコは以前、猛毒のカプセルを風邪薬と間違えて、危険な目に遭っていた。  
今回は命に影響は無いとしても、良い効果があるとはいえない。  
強い叱責がピノコをびくりとさせる。 トロンとした目は横に逸れ、不満げな呟きが押し出された。  
「ひとりじゃ眠れなくて……ちぇんちぇいが、いつ帰ってくゆのか心配らったもん」  
 
BJは、ぐっと言葉に詰まった。  
返事次第では平手打ちでもしてやるつもりだったが、やはり自分にも非があると認めざるを得ない。  
なにしろ、この十日程の間、全く家に連絡を取らなかったのだから。  
 
「とにかく、気を付けろ」  
それだけ言って、ピノコをソファに寝かせ、洗面所に向かう。  
丁寧に手を洗いながら、鏡の中のいかにも不機嫌な顔に驚き、力無く苦笑する。  
ピノコのことになると、こうまで動転する自分が、妙におかしかった。  
 
居間に戻ると、はっきりと目を開けたピノコが待っていた。  
状態を確認する。 少し呼吸が乱れ、何やら不安そうな目元は、ほんのりと赤い。  
「どこか、苦しいところは?」  
「苦ちくはないのよさ、れも、もうちっとも眠くないの」  
「無理して眠らずにいたんじゃないか? 緊張による覚醒と一時的な興奮だな、しばらく経てば落ちつくだろう」  
怒鳴ったことが気になるらしく、BJの態度はすっかり穏やかに変わっていた。  
 
「ちぇんちぇ、…ピノコのこと、きやいになってないわのよね?」  
おずおずと、小さな手がBJの肩に伸びてくる。 近くで顔を見合わせるのは、何日ぶりのことか。  
───嫌いになんて、なる理由がない。  
BJはその問いへの返事は口にせず、リボンのついた髪を、そっと梳いてやった。  
「二度と、無断で薬にさわるんじゃないぞ」  
 
口調は厳しく聞こえても、表情は柔らかい。  
ピノコは先生を心配させ、そして許されたことを知り、嬉しさに半泣きでしがみついた。  
「らって、やっと電話してくれたもん……」  
頬や小さな鼻をこすり付け、子犬のようにBJの肌の匂いを確かめる。  
「おい、くすぐったいよ、もう眠りなさい」  
「寂ちかったの…お留守番、長かったもん」  
「とんだ騒動に巻き込まれちまってなァ…、」 深いため息と共にBJは天を仰いだ。  
「患者を診るどころか、血の気が多い奴らに、ずっと尾行されてたんだ」  
 
術後の経過が安定してから、現地の医師に後を任せて一旦帰国したはいいが、患者の容態の  
急変を聞かされ、トンボ返りしたBJを待っていたのは、その親族一同だった。  
手術に文句を言う者、遺産を当てにしている者、それぞれの勝手な事情で逆恨みされる羽目になった。  
くどくどと理由を話したところで、ピノコの寂しさが取り返せるわけでもない。  
今のピノコに必要なのは、優しく撫でてくれる手か、それとも、違うものか。  
 
「ね、ちぇんちぇ、……ダメ?」  
「何がダメなんだい」  
「えーとねぇ、ピノコ待ってたの、良い子にしてたれちょ?」  
可愛い脚をモジモジとすり合わせ、ひらひらしたパジャマの長い裾を自分でたくし上げる。  
ゆっくり見えてきたその奥には、何も着けていない。  
 
「おまえ……下着は、どうした」  
BJは、ぎょっとして辺りを見回した。  
「覚えてないの、なんか…わかんない、変な感じなのよさ」  
きつく閉じた膝の間はどんな様子か、離れていても伝わってくる。  
あたたかく湿った肌が、BJの愛撫を待っていた。  
 
それでも帰宅直後に「ことを始める」には、疲弊し過ぎている。  
抱っこしたピノコをさっさと寝室まで運び、BJは背を向けた。  
「ちぇんちぇ…」 横になったまま、ピノコは後ろから上着の裾を引っ張り、その足を止めさせる。  
「あのな、まだ荷物を片付けてないし、ゆっくり風呂にも入りたいんだよ」  
「じゃあ、キチュらけで我慢すゆ…」  
有能な助手となるピノコではなく、甘えた声を出す、いたいけな少女がそこにいた。  
 
BJが観念して腰を降ろすと、ピノコは遠慮なく顔に頭に、キスや頬ずりをお見舞いする。  
「不思議な匂い、すゆわのよ」  
「んー、まあ、ホコリっぽい土地だったからな」  
「ね、今度はピノコも連れてってね? らって、変なお土産ばっかい買って来ゆんらもん」  
隣のベッドの上に、いつぞやピノコを怒らせた「ひょうたん人形」や縫いぐるみが、枕を囲み並んでいた。  
留守にしていた自分の寝床が散らかっている。BJは訝ったが、犯人は当然ピノコしかいない。  
 
「……全く、困ったもんだ」 それまで、されるがままだったBJが、ピノコを抱き寄せる。  
驚きに開いた、あどけない口元。幾晩も不安を堪えながら、一人で過ごした柔らかい体。  
この上ない愛しさに、BJの腕に力がこもる。  
「あ、……」  
安心と、媚びが混ざったため息。ピノコの手は、BJの上着とシャツの間で止まり、温度を上げた。  
気が変わった。メシも風呂も後でいい。  
BJの指が、小さな背に並ぶキャンディに似たボタンを外していくと、火照った肌があらわれる。  
 
貪り合う唇を離さず、ピノコはもどかしげにBJの襟を緩め、タイをほどく。  
こりこりとした赤い乳首がシャツに擦られるだけで、いつもより敏感に反応してしまう。  
「ふあぁ…ん、ちぇんちぇい、いやぁ…あ」  
鼓膜に粘りつく甘ったるい声は、BJの背筋をゾクゾクと刺激し、下半身に熱を送る。  
ついさっきチラリと見えた、ピノコの脚の奥へ手が滑り入ると、そこは早くも決壊寸前だった。  
 
押し拡げられた中で、充血した小さな肉裂が、留めきれない粘液を垂らしている。  
ひくひくと喘ぐ入り口に、いきなりBJは硬く張り詰めた自身を打ち込んだ。  
 
「やぅっ!……うぅん、あっ、…あぁっ!」  
抜き差しの度に水分が滴り流れ、突き入る異物を根元まで汚す。  
ぐちゃぐちゃと交わる音は、結合の深さに合わせて変化し、やがてピノコの声にかき消された。  
濡れた膣壁を擦り上げ、繰り返し往復すると、通路が狭まり小気味よく絡み付く。  
 
もう、ひと息に終焉を迎えてしまいたい。 BJは更にピノコの体を開き、突き当たりまで分け入った。  
「あ、…ま、待って、まだ…、もう少し」  
ピノコは身を捩り懇願した。「まだ、やめないで…ちぇんちぇ」  
ひたすら貧欲なピノコが意外で、ふいにBJは我に返る。  
猛っていた肉軸が、わずかに勢いを失う。出端をくじかれた気分だった。  
 
なにか、違う。  
ざわざわと蠢くピノコの内側は、反り返った竿を奥まで侵入させている。  
それなのに、なにか違う。  
体と気持ちが失速したBJに、ピノコも気付き、そっと目を開けて見上げた。  
「……ちぇんちぇ、なんかピノコ、へんなの…あ、あぅっ」  
ビクっと緊張する入り口が、BJの根元を一瞬だけ締め付ける。  
「む、…どうした、大丈夫か?」  
 
うなずくピノコは、ぼんやりした目に戸惑いを浮かべていた。  
「らいじょーぶ……ね、ろうちて、こうなゆの?」  
「おそらく薬の影響だろうな、気分が高揚していても、その、なんだ……」BJは語尾を濁した。  
今、つながっている部分も含め、筋肉が弛緩し不安定な状態だと告げる事に、なぜか躊躇する。  
時間の経過とともに軽減するはずだが、それまでずっとこうしているわけにもいくまい。  
今日のピノコは普通の状態ではない、やはり抑えておけばよかったと悔いても、今更遅い。  
 
「とにかく休め、朝まで眠れば大抵すっきりするよ」  
なんとも曖昧な笑みをつくり、BJは体を静かに離した。  
結合が解かれる瞬間、笠を張った尖端が膣口を擦って、ぬるりと出て行く。  
「あぁ、……うっ!」ピノコが急に喉を反らした。  
「ん?」  
「い、今の…、もう一回……」  
唾液で濡れた唇から、おねだりが低く洩れる。耳をくすぐる催促の言葉に、BJは呆気にとられた。  
 
横向きで向かい合った体、ピノコは脚を開き、べたべたの局部で訴える。  
「おまえ、……まだ?」  
若干逃げ腰のBJにすがり、熱い肉が力を失った竿をぬるぬると往復する。  
「上向いてゆ、わのよ…」小さな手が、変化した軸の裏筋をなぞりながらしごく。  
「ちょっと待て、う、……」  
男はメンタルな生き物なんだぞと言ったところで、どこまでピノコに通じるか。  
 
(……おれは、一体何のためにタクシーをとばして帰ってきたんだ?  
 ちくしょう、取り損なったツリは結構な額だったぞ!……)  
 
後悔先に立たず。そのせいか、股間のイチモツも今ひとつ勃たず。  
半分ヤケになって、BJは喘ぎ求める相手を組み敷いた。  
切なく乱れた顔よりも、その下半身の表情が遥かに挑発的だ。  
べろりと拡がった下の唇は中身を全てさらけ出し、陰核もぷっくり太って旨そうに見える。  
 
ご馳走を残らず舐めるように、大きく舌を動かし、音を立てて水気を啜り上げる。  
ピノコの体はびくびく跳ね、皿に盛られたアイスクリームよりも早く、とろとろに崩れていった。  
小魚の口に似た部分が、物欲しそうに僅かな開閉を続ける。  
催促通り尖端だけ入れてやると、同じ形に丸くなる様子は、けなげなのにいやらしい。  
何度も浅く咥えさせ、そして引き抜く。粘液が短く糸をひいて光り、雫になってシーツを垂れ汚す。  
 
「ちぇんちぇ、は、早くぅ……」  
焦れたピノコが腰をよじり、深い挿入を欲しがってベソをかく。  
今ひとつ硬さの足りない状態を支え、BJはピノコの入り口にゆっくり挿し入れる。  
添えた指まで一緒に滑り込んだ瞬間、思いがけずピノコの体は大きくくねった。  
「ひゃぁんっ!あぁ……、そのままにしてっ、イイのっ…」  
 
怯んだBJにかまわず、くねる肉ヒダが、ずぶずぶと指ごと硬い肉軸を呑み込んでいく。  
「こ、これ、ふあぁん、…もっと、ねえ、ちぇんちぇ…、う、動いてェ」  
いやらしくねだる姿にBJも息を詰め、ただそれに応えるのみだった。  
リボンがとれそうに頭を振り立て、自分を犯す二つの異物を、ピノコは更に奥に引きずり込む。  
充血した粘膜からは絶えず液体が垂れる。ぬめるのに吸い付く感覚は、全くおさまらない。  
 
「痛く、…ないのか?」  
「あうっ、んくぅ…、もっと混ぜて…ほちいの」  
乞われるがまま、指と強張りでピノコの中を散々にかき回す。 その度、内側がヒクヒクと応答する。  
───顔を、見てやりたい。  
ぐちゃぐちゃに濡れた陰部に深く喰い込んだまま、ピノコを起こして自分の上に乗せ、顎を上げさせた。  
 
「やんっ、み、見ないで! 恥ずかちぃ…っ」  
半泣きの真っ赤な顔、汗で張り付いた前髪、息遣いに合わせ揺れる小さな肩。  
震える唇から出る言葉は、拒絶どころか更なる刺激を欲しがっているようだった。  
「よしよし……分かったから…」  
汗ばんだ体を抱え直し、BJは正座に近い格好になった。ピノコがすっぽりと腕におさまる。  
「え?…ちぇんちぇ、どうすゆの」  
 
今やすっかりと勢い立った肉軸はピノコに突き刺さり、腰が前後に揺らされ始める。  
「ひぁっ!……あっ、ああぁんっ!」  
くちゅくちゅと粘りつく音が、結合した下半身から規則的に聞こえると、小さな体もぐらぐら動く。  
求めていた強い突き込みが、深く浅く、ピノコの粘膜を擦り上げる。  
「……自分でしてみろ、好きなように、…」  
BJの息も、やや荒くなってきた。 つられてピノコも腰をゆるゆると回転させる。  
短い悲鳴をあげながら、気付けばBJの掌で、肉芽を自らこねまわす格好になっていた。  
中に入った太い指は、その先でピノコの奥深く敏感な部分を、ざらざらと擦り続ける。  
 
「やっ、…んあぁ、も、ものちゅご…い、イイぃっ……」  
古傷だらけの背中にツメを立てるピノコの奥から、薄い粘液が流れ、BJの掌を伝い落ちる。  
動きに合わせて締め付ける入り口、そっと含むように舐める中途の細かいヒダ。  
可愛い臍の辺りにぐっと力がこもり、指だけを引き抜くと内股から脛までが、BJを強く挟みこむ。  
 
「ふぁあん、ちぇんちぇっ!……」  
ピノコの高い泣き声が響き、仰け反る身体をじわじわした震えが満たす。  
喉の奥を鳴らして息が吸い込まれ、小間切れな呼吸が浮かぶ。  
長く続いた収縮が治まっていく間際、その中にBJも叩き付けるように吐精した。  
 
 
気怠い時間が過ぎた後。  
しどけなく横たわっていたピノコが、隣に並んだ顔をのぞき込む。  
「先生、あの……お腹へってゆわのよね」  
バツが悪そうに尋ねるその表情に、BJまで妙に気恥ずかしくなる。  
「まあ、なぁ…」 意味もなく頭をかき、ごろんと横を向いた。「お茶漬けでいいよ」  
 
「うんっ、すぐ持って来てあげゆね!」  
ピノコはすっかり目が覚め、元気にベッドから起きる。  
BJはその腕を掴み、揺れるパジャマの裾から腿の合間に手を入れた。  
「待った、その前に内診しておこう」  
「ない、しん?…」  
意味は分かる。それでも、真剣な目つきと声が返って怖い。  
「さっきので傷がついていたら良くない、ライトは何処だ?器具で開いて中を診る」  
 
仄暗い室内でM字開脚、陰部だけ照らされた自分を想像し、ピノコは一気に赤くなり硬直した。  
「せっ、先生の、ヘンタイっ……」  
「なんだって?」  
「ピノコどこも悪くないもん、そんなことすゆ先生は、変態なのよさ!」  
BJの真面目な心配を、ピノコはキッパリとした発音ではね除け、台所に走り去る。  
恨みを買うのも、悪態をつかれる事にも慣れている。だが変態医師のレッテルを貼られたショックは大きい。  
「……もういい、寝る」 BJは、虚しく脱力した身をシーツに沈めた。  
 
 
 
熱いお茶漬けを持ち、大急ぎで戻ったピノコが見たものは、寝息をたてるBJの姿だった。  
(アッチョンブリケ……)  
置かれたままの人形と、ちょうど背中合わせになっている。  
ピノコは人形を拾い上げ、その場に自分が入れ替わると、寝息が大きくなったのを感じた。  
子守歌にするには、ちょいと派手なイビキも、今はひたすら愛おしい。  
先生は、何があっても必ずこの家に戻ってきてくれる。 だから、寂しくても待っていられる。  
 
帰りを待ちわびた人の横顔を眺め、直接言いたい言葉があったから、起きていたのだと思い出した。  
「先生、お帰んなちゃい……」  
背中にぺたんと張りつくと、ピノコにも静かな眠りがようやく訪れた。  
 
 

楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] ECナビでポインと Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!


無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 解約手数料0円【あしたでんき】 海外旅行保険が無料! 海外ホテル