「こう暑くちゃ家事もやってらんないわのよ、もう」
暑い日射しの中真っ白な洗濯物を広げていくピノコ、頬には玉のような汗が伝っている。
「ちぇんちぇ、おそいなぁ…」
野原に聞き慣れた車のエンジン音が響く。
「あっ!ちぇんちぇ帰ってきた!」
「ただいま、ピノコ」
笑顔で飛び付いてきたピノコを抱き締めながら思わずBJも笑みを溢す。
そこまでは良かった。
「ちぇんちぇ、あちぇ臭い…」
明らかに眉を顰め、距離を置こうとするピノコにBJはショックを受けた。
「お、おまえさん。仕事を頑張ってきた旦那にそれは無いだろう」
「こんな暑いんだからちぇんちぇも半袖ぐらいきなちゃいよ!」
「い、いやだ!私はこの格好が…」
「取り合えず!シャワー浴びてきなちゃい!」
四の五の言わせぬピノコの態度に肩を落としながら浴室に向かうBJであった。
「ちぇんちぇ〜、洗濯物は洗っちゃうから出してくだちゃいね」
ガラリと戸を開けて入ったピノコは言葉を失う。
シャツを脱ぎ捨てたBJの背中は広く、スーツに隠されていた筋肉がごつごつと盛り上がっている。
紛争地帯や過酷な土地まで出向き仕事をするBJの体は鍛えずとも自然に引き締まっているのである。
「…っ」
浅黒く日焼けした背に古い傷痕、そこに汗が滴る様は匂いたつ雄の色気が漂っている。
幼いピノコでも噎せ返るようなその色香に軽い眩暈を覚えた。
「ああ、済まないなピノコ。」
ピノコの動揺を知らずしてかBJは無造作にまとめたシャツを手渡し、さっさと浴室へと消えてしまった。
「…びっくいちた…」
慌てて脱衣所から出たピノコは一人ごちて高鳴る鼓動を感じた。
手元には先刻までBJが身に付けていたシャツ。
汗の臭いしか感じなかったのに、今はそこに男の匂いを見付ける。
戸惑いながらも鼻先を近付けると先程感じた色香と広い背中が蘇る。
甘い痺れが躰を突抜けピノコの秘所から溢れた蜜が薄いレースの下着を濡らせていった。