ある冬の日、BJが居間で医学雑誌を読んでいると、ピノコがずぶ濡れで飛び込んで来た。
「わぁーん、寒かったのよさぁ〜!」
「えっ、なんでお前そんなに… うわ、雨か、いつの間に氷雨になってやがる」
「コショウ買いに行ってたや、途中で降り出すんらもん、もう先生ったや冷たいのよさ!」
「悪かった、興味深い報告書があって、つい… それより早く着替えろ」
「あ、お洗濯物がぁ! びっしょり、いやぁ〜ん!ひろいわのよ…」
ピノコは窓の外を見て、泣きそうな顔。
「いや、だから出掛けてるのも気付かなくて…、 すまん、着替え取ってくるから勘弁してくれ」
「もお〜、ほんっっとにこえだかや男の人ってのはコロモなのよさ」
「……子供って言い方は無いだろう、本当に知らなかったんだ」
BJは、憮然とした顔で立ち上がる。
「もーいいわのよ、タオルと着替えお願いね!」
「はいはい、全く…、ついでに洗濯物もしまえばいいんだな」
暖炉の前で、ピノコは脱いだ服をソファに掛け、ラグの上に綺麗な脚を伸ばしている。
「はいどうぞ、着替えとホットミルクをお持ちしましたよ」
「まあ、ご苦労さまでちた、先生」
「髪も濡れてるな、拭いてやるからおいで」
「うふふ、じゃあ拭かせてあげゆわのよ」
キャミソール一枚の姿で、勝ち誇ったような笑顔を見せる。
「そろそろご機嫌はなおったか?」
「まーだれちゅよ、全然」
「そんな格好じゃ風邪を…、ん?何してる」
BJの首にピノコの腕が廻され、顎の辺りを細い指がつつく。
「先生、ここどうちたの?」
「これか、久し振りに剃刀を使ったら手がすべって…」
「小さい傷なら舐めて治しとけって、よく言ってたわのよね」
(キチュしてあげゆ)…囁きと同時に唇が傷に押し当てられる。
「こら、早く服を…、だから、風邪ひくっていうのに」
「いーの、先生にあっためてもやうんだもんねぇ♪」
「困ったやつだな…ちゃんと暖炉にあたりなさい」
髪を拭いていた手が、寄り添うピノコの脚にそっと滑っていく。
「あ…ん」
「ほら、こんなに冷えてるじゃないか」
レースからのぞく肌を暖めるように掌が背中に触れると、くねる肩から、するりと肩紐が落ちる。
「やぁ…あ、先生の手の方が…ずっと熱いわのよ…」
「おい、まだ何にもしてないぞ…こいつめ」
二人の傍で、いつしか濡れた服は乾いて、ミルクも冷めてしまう。
触れるだけのキスが何度か繰り返されて、焦れたピノコが自分から舌を絡み付かせる。
それに応えながら、BJの指先が背中と首筋を柔らかくなぞる。
(ん…、先生、もっと他の処も触って、もっといっぱい…)
薄く開いた眼でおねだりをするピノコから、BJがふいに離れた。
咎める表情を見下ろすように、端だけ上げた笑みが口元に浮かぶ。
唇を耳元に移動させたBJは、意味ありげに囁く。
「最近、“もう大人だかや、一人で何でもできゆもん”、なんてよく言ってるよな」
「そうよのさ? らって、コロモの体の時は、出来ない事ばっかいらったもん」
ろうちて舌ったやずのままにちたの、先生? …と聞こうとする口を、BJに指で押さえられる。
「じゃあ“自分一人で”、してごらん」
「……え?」
「今ここで、私の前でするんだ」
「すゆって、…何を?」
「とぼけなさんな、分かるだろ」
少し声を荒げたBJの手が、いきなり薄いショーツを引き下ろす。
ビッ、と僅かに布地が裂ける音に、ピノコの目がはっと開く。
「手伝ってやろうか? 最初だけは触ってやってもいいぞ」
感情の読めない目を据えたまま、ピノコの細い中指を深くしゃぶり、そのまま下腹へ持っていく。
「さっきは随分いじめられたからなぁ…」
「いじめなんて、あ、あんっ!」
「…そら、お返しだ」
雨は上がり、部屋の中を午後の陽差しが明るく照らし始める。
大きく開かれたピノコの脚の付け根は、その奥まで無防備に晒け出していた。
嫌がるのも構わず、BJはその中心に舌を差し入れ、わざとぴちゃぴちゃ音をたてる。
「ぁあ!、…やっ、恥ずかしいわのよ」
「もう少し、脚の力を抜きなさい…そのままだ」
手を固定して、色付いた輪郭をゆっくりとなぞらせる。
「は、はぁっ…、な、なんか」
「…もう溢れてきたな、そんなにいいか?」
「らって、ずっと先生が見てゆんだもん、ピノコ、もう、もう…」
「自分で挿れてみろ。 何にも恥ずかしいこたない、私は全部お前の躰を知ってるんだから」
力の入らないピノコの指を掴み、水気を滴らせた中心を示す。
「やあぁ…、こんな明るいとこイヤぁなのよさ、うぅ…んんっ!」
蜜壷の少し上で、物欲しげに疼いている突起を、自分の指でなぶらせる。
「手のかかる奴だな、自分から誘っておいて」
溢れる蜜をすくい取り、ねっとりと突起に擦りつけながら、強く弱く周囲から刺激する。
「ひっ、…ゃあぁぁぁんっ、…!!」
涙目になって躰をくねらせるピノコの脚を固定し、BJが冷たく笑う。
「どうだ、そろそろ一人で出来るだろう?」
「あ、あ、先生…やめてぇ、」
すっかり口を開いた中心部に指をあて、そのままずぶりと奥に挿れさせる。
「んんっ!イヤ、…はうっ、」
「よく言うよ、もう腰が動いてるくせに…指だけじゃ足りないみたいだな」
身を起こしたBJが、キッチンのカウンターの上に視線を留めた。
「…たまには、お前にも味付けしてみるとするか」
ピノコがさっき買って来た、新品のペッパーミルがそこにあった。
ぬらぬらと光る躰の底を更に開かせ、ひとしきり弄らせると、切羽詰まった声が部屋に響く。
「ああぁ、あ、…!嫌っ、こんな…、先生!」
温かい陽差しになぶられるように、BJの手の下で、ピノコの指が自分の中を蹂躙する。
ぐちゅぐちゅと恥ずかしい音で感覚が余計に高まり、際限なく水気が溢れる。
入り口と周りを細かくなぞらせる動きで、その奥の構造がはっきり分かって、堪らなく恥ずかしい。
「おい、あんまりラグを汚さないでくれよ」
楽しげに手を操るBJは、空いた手で下着の上から乳首をこね回し、レースでさわさわと擦り続けた。
濃いピンクに染まった花弁の合わせ目が、次第に自分の指を規則的に締め付けはじめる。
「……ああぁぁっ、やっ、やめっ、…」
細かく痙攣する瞼から、ぽろぽろと哀願の涙がこぼれていく。
「代わって欲しいか?」
「……」
無言でこくんと頷くピノコの顎先に、そっとキスが落とされた。
下着を引き下げて乳房を掴み出し、強く吸いながら小さな手を解放する。
あ…、と安堵の溜息がもれたのも束の間、ぬめりが糸を引く指は、上に持って行かれた。
「戻るまで、手を離すな」
BJが静かに言い放ち、ふっと手の束縛を解いた。
「でも、…」
「姿勢を変えるな、お喋りも許さんぞ」
…先生が、こんな話し方をすゆ時は、絶対逆らったやいけない。
生活を共にしてきたピノコには、よく分かっていた。
脚の間に自らの指を埋め込み、片手で胸を押さえたまま目を閉じて、じっと待つしかない。
…他に誰もいなくても、居間でこんな格好をしていゆなんて…。
恥ずかしさと後悔で、もう一度涙がこぼれた。
それでも指先が入り込んだ奥は、次の動きを招くようにぬめってひくついている。
「んっ、……」
強制が無くても、ピノコは自分の乳首をつい指の間に挟んでしまった。
じわっと快感が躯幹を伝い、下腹の寸前まで痺れさせる。
…ほんとは先生の手で、こうされたかったのよさ……。
いつもなやここを…ちょっと開いてかや、前後に指でなぞって…
ぽってりと膨らんだ肉の花弁を挟んで、ぬるりと指先が滑る。
じりじりと分け入る指に合わせて、脚がラグの上で勝手に動き出した。
中を少しだけ掻き回すと、その奥がもっと刺激を欲しがって強く吸い込む。
「…あ、ぁあっ…、」
中壁が蠢く感触に、たまらず上の唇までも開き、声が出てしまった。
思わず指を更に押し込み、もう片手で胸を強く掴みながら身をくねらせる。
視線を感じて、はっと目を開けると、ソファの端からBJが見下ろしていた。
「どうした? 続けなさい」
固まったように手の動きが止まり、途端に顔が熱くなったのが分かる。
「……、いつの間に!…」
「すごくいい顔だったぞ、お前」
頬杖をついたまま、にっと笑う口元が怖いほど淫らで、ピノコは全身がぞくっと震えた。
閉じかけた脚をぐいっと開かれ、愛らしい手はBJに取り上げられた。
「…いやらしい奥さんだな、自分でこんなに濡らして」
顔を背けたピノコは、指先を舐め上げられるのを感じて、小さくイヤイヤをする。
その汗ばんだ首筋に、熱い唇が反応を確かめるように、しつこく這い続ける。
「意地悪、先生、…ピノコ、もういやぁ…」
気が遠くなりそうで、背中に片手でしがみついたが、何故か相手はすっと身を離した。
冷えた足先を、暖炉の火がほんのりと暖める。
脇腹に掌が触れるのを感じた後、カリカリッと何かが砕ける音が聞こえた。
「……!……うっ、…」
押さえられた脚の間に、細かい痛みがわき上がる。
BJが手にしている物を見て、ピノコは自分の一番敏感な場所に、コショウが振られたのを知った。
「やっ、やああぁっ!……嘘、なに?どうしてっ!?…」
動転して大声をあげるピノコの口元を、ペッパーミルをかたわらに置いた指でBJがそっと封じる。
「静かにしなさい、じきに平気になる」
行為と裏腹の優しい口調が、抵抗を無力に変えてしまう。
ひりつく粘膜をなだめるように、内腿から脇腹が丹念に舌先でくすぐられる。
「あ、…はぁっ、いや、いやぁぁ…」
ちっとも平気じゃない!…、痛みが熱さに変わって、耐えられずにピノコは何度も身を捩る。
「よしよし、…大丈夫だ」
身悶えする姿を楽しんで眺めるBJが、事も無げに囁き、舌先を胸に移動させる。
柔らかく揉み、哀れな程紅く色付いた尖端を口に含むと、チュッと音を立てて吸い立てた。
「嫌い、先生のバカ、放して…、」
こぼれる涙を優しく舐め取り、顔の輪郭を愛しげにさすってやる。
にこりと笑いかけて、力の入らない手を取ると、再度下腹まで導いた。
「うふぅっ!、…あぁん、痛いっ…!」
蜜の出口をいきなり複数の指に押し開けられ、ピノコの躰がびくんと反応する。
小さな手の上を包むようにBJの手が重なり、容赦なく前後に責め立てる。
切れ切れに喘ぐ口元を、歯を優しく立ててBJが丁寧に甘噛みしていく。
中心にBJと自分の指をくわえ込んだまま、押さえられていない方の脚が、ゆっくりと開閉を繰り返す。
掌でつぶされながら擦られる突起から、痛み以外の感覚が大きく広がって、自然に腰が動いてしまう。
「そうだ、…上手いぞ」
かかとに体重を掛けて脚を立てさせると、揺れる腰が床から離れた。
切れ目無く滴るピノコの蜜が、ラグの長い毛足をぐっしょりと濡らして縺れさせる。
「はぁっ、……やっ、…あぁっ、」
指の抜き差しに合わせて、息が小刻みに空間に浮かぶ。
「先生、やめっ、……も、もう…」
腰を上げる時に息を吸い込むピノコの様子で、絶頂が近い事をBJが確信する。
追い打ちを掛けるように手を激しく掴んで揺さぶると、指を熱い襞が締め付け始めた。
「あ、ダメっ!!…い、いっちゃう……、やああぁぁっ……っ!…」
「夕飯の用意をしてたのか」
愛蜜と香辛料で汚れた指を、軽くひと舐めしてBJが立ち上がった。
ピノコは肩を上下させ、ぷっくりと丸い胸にかろうじてキャミソールを掛けた。
何も着けていない下半身は、脱力した脚を閉じることもできない。
その隙間の奥から、まだ水気をトロトロ漏らしながら、掠れた声で答える。
「…久し振りに、ステーキにしたかったのよさ」
「これか? ふーん、こいつは旨そうだ…いつもどうやって焼く?」
「熱い鉄板に、牛脂を溶かちて…」
BJは冷蔵庫の中を覗き込んで、少し考えてからピノコを見やる。
(…牛脂じゃ、ちょいと可哀相だな)
何か一つ取り出し静かに扉を閉めた後、傍に戻って来る。
ラグの上に横たわったままのピノコは、その様子をぼんやりと見上げた。
暖炉の前に立ったBJは、穏やかな横顔で火の具合を確かめる。
「今日は確かに冷える、寒い中一人で買い物に行かせて悪かった」
ほっとさせる、いつも通りの優しい声だった。
「ううん、全然平気、…あんな天気だったのに、傘忘れたのはピノコらもんね」
もう甘えてもいいと思ったピノコは、可愛らしく肩をすくめて返事をする。
少し間を空け、顔を向けたBJは言葉を区切ってゆっくり宣告した。
「誤解するな、まだ終わってない」