「ちぇんちぇ?」
「ん?なんだ、ピノコ?」
部屋を掃除するピノコの問いかけに、BJは書類から目を離さずに答えた。
「ちぇんちぇの誕生日っていつなの?」
「…くだらん、忘れたな」
「ふーん…ちょうなの…」
ピノコはどこか寂しそうに言うと箒で掃き掃除を続けた。
「じゃあピノコの誕生日は?」
「そうだな…私が体を作ってやった日だろうな」
「ふーん…」
BJは書類をまとめてしまうと椅子に寄りかかり窓の外を眺めた。
ピノコは頭にした三角きんと手にした箒を置くと、BJの膝の上によじ登った。
「…どうした?ピノコ…」
不思議そうにBJは訪ねると、なぜか自然と両手を回してピノコを抱き抱える。
「あのね、お願いがあるの」
ピノコはだっこされた形が嬉しいのか、BJの胸に頭を預けてスリスリする。
「ピノコの誕生日ぷれじぇんとに、いつか大人の体をちょーだい」
「…[いつか]な。」
BJは言葉を強めて少し笑いながら言う。
「絶対なのよ!…そしたら、ちぇんちぇーの誕生日決めて、一緒にお祝いするんだかりゃ……」
ピノコはBJにしっかりしがみつくとしばらく離さなかった。
「……いつか、か…ありがとうよ…」
BJは小さく言うと、ピノコの頭を撫でながら、自分にしがみつく少女をそっと抱きしめた。
ピノコは泣いているようだったが、気づかない振りをしてBJはただ抱きしめていた。