Dr.B・Jの非常識な愛情・番外編‐二人の黒い医者‐T  
 
 
ただいまDrB・Jは往診中。  
ピノコが留守番をする診療所に、一人の男がやってくる。  
 
「失礼・・B・Jはいるかね?」  
「あっ!殺し屋のできそこないのドクターキリコ!」  
「だっ・・誰だね君は!初対面で失敬な!」  
「やーねピノコよ(ケタケタ。大きくしてもらったの。ほらみてこのリボン」  
「ふんっ!悪い冗談だ。  
(B・Jもわかりやすい男よ!こんなピチピチギャルを看護婦として雇うとはな!やーらしっ!)」  
「信じないんならいーわのよ。ところで今日は何のご用?先生は往診に行ってますのよ」  
「いないのか。いや以前B・Jの患者に高額なマシンを壊されてな。  
奴の責任として損害賠償の請求書を何度も送っているんだが全く音沙汰なし!  
仕方なくこうして直接取り立てに来たというわけだ」  
「それはお気の毒よのね。遠いところからわざわざご苦労様。お茶くらい入れますわのよ」  
「ああ、おかまいなく。  
(・・・さっきからこの看護婦はやけに俺から物理的距離をとっているな。  
どーせB・Jが俺の悪口を吹き込んでるんだろう。ふんっ)」  
 
台所からいそいそとお茶を運んで来るピノコ。  
しかしボロ屋で足場が悪いためコケてしまい、熱いお茶がフトモモにかかる。  
 
「あっ熱ういっ!!」  
「だっ、大丈夫か!」  
「・・来ちゃだめっ!!こ、これくらい平気よのさっ」  
「しかしモロにかかったぞ!俺は一応外科もやる、診せてみなさい」  
「だっだめえっ!それ以上ピノコに寄らないでっ!本当に大丈夫だからっ」  
「バカな!目の前で火傷されて医者として放っておけるか!」  
「・・・きゃ」  
 
颯爽とピノコを抱きかかえ診察台に横たえるドクターキリコ。  
ピノコのナース服を捲り上げ迅速に処置していく。  
 
「これでいい。たいしたことがなくて良かった」  
「ありがと・・いいから早く逃げて」  
「なんだって?・・ん?なんだあのヘリの音は」  
「早く逃げてぇーーーっっっ!!!」  
 
次の瞬間ドクターキリコの頭上をメスが飛び、壁にサクッと突き刺さる。  
振り返れば奴がいた!!!  
 
「B・J!お前往診中じゃなかったのか!」  
「ドクターキリコォっ!!!貴様には安楽死ならぬ悶絶死を与えてやるッ!!!」  
「お、お前いつからそんなキャラに!!」  
「今の先生に地球語はあまり通じないのよさっ!!!早く裏口から逃げてっ!!!」  
「す、すまないお嬢さん!ワケワカランがそうさせて頂く!また請求書送るからなB・J!」  
「待てッ逃がさんぞキリコッ!!!」  
「先生のバカァッ!ドクターキリコはピノコの火傷の手当てをしてくれたんよのさ!!!」  
「なぜあいつをかばう!!!お前あいつが好きなのか!!!そうなのか!!!そうなんだな!!!」  
「もー・・・いい加減にして」  
 
チュッ。  
 
「・・・まあ今日のところは見逃してやろう」  
「ねえ先生。ピノコのリボンの人感センサー、オフにしといた方が良くない?」  
「お前の半径2メートル以内に3秒以上接近する人間がいたら即俺に通報が入るのだ!  
往診中は絶対オンにしておけ!超高速ヘリでひとっ飛びだっ!」  
「でも、先生が仕事にならないわのよ。さっきは郵便屋さん、ドクターキリコで2回目よのさ」  
「ピノコ、私はな・・・とるものとりあえずお前のためにかけつけたいのだッ!」  
「先生・・・!」  
「ピノコ・・・!」  
「先生ッ!!!」  
「ピノコッ!!!」  
 
ガチn  
 
 
数日後、ドクターキリコのもとにマシンの損害賠償を遥かに上回る超高速ヘリ使用の請求書が届く。  
おしまい。  
 

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