がちゃがちゃと鍵穴が回される音を聞き、私は顔を上げて玄関の方へ目をやった。  
ドアが開くとそこには兄が立っていた。兄は乱暴にドアを戻し靴を脱いで部屋に上がる。  
「お帰りなさい」  
私は口を開く。  
「ご飯できてるけど食べる?」  
兄は無言で横を通り過ぎ、コートをハンガーにかけてから椅子を引いて座りテーブルに着いた。  
私は自分の分も皿に盛り用意した食事を卓上に並べていく。いただきますもなく向かい合って、ただ黙々と料理に箸をつける。これが日常、これが当たり前の私達のいつもの風景。食事が終わると兄はビールを飲んだりシャワーを浴びたりして好き勝手に一人の時間を楽しむ。  
そうして一通りのことを済ますとやっと思い出したみたいに私を寝室へと誘う。私はもちろん逆らわず素直に兄の後をついていく。  
電気を消した暗い室内、ルームランプの頼りない光を浴びながら服も下着も全て脱ぎ去る。  
傍らで静かにその様子を眺めていた兄は素裸になったのを確認すると近づいてきて私をベッドに押し倒した。  
 
熱い舌が私の口の中を貪り貫く。乳房の頂きを攻めたてられ、我慢できず淫靡な獣のごとき鳴き声を洩らしてしまう。  
二指を突き入れられた秘唇は自分でもわかるほどすでに蜜を溢れさせ、激しくかき混ぜられるごとに太ももの内側にまで飛び散ってだらしなく糸を引く。  
兄は指を抜き取ると欲に負けた愛液まみれのそれを私の眼前に持ってきた。  
私は唇を開きそれに吸いつく。甘酸っぱい味覚に舌が痺れ、丁寧に舐め取り綺麗にする。  
兄に命じられるまま、堅く膨らんだ男性自身をくわえ込み口を上下に往復させてしゃぶる。  
添えていない方の手を私は自らの股間に差し入れて指で押し広げた女陰を弄ぶ。恥ずかしいほどに濡れ滴り、荒い呼吸と唾液で兄のものを汚していく。  
兄は私をあお向けにして両足を高く抱え上げると待ちに待った肉の棒で私の中心を引き裂いた。  
歓喜の悲鳴に私は溺れる。敏感な奥を幾度も擦られる恍惚感と兄と一つになっている幸せで、私の思考は狂わんばかりに溶けていく。  
たまらなくなって求めると望んだ通りに兄の唇が私の唇に重なった。  
上も下も兄とつながっている、この瞬間を逃したくないとばかりに兄の長い髪をかき分け背中に両腕を回し抱き寄せる。  
 
中心を打ちつけてくる兄の腰が硬直したその刹那、燃えたぎるマグマが爆発し子宮の壁を殴打した。顎をのけぞらせ、兄の重みを受け止めながら、昇りつめた絶頂に私は意識を弾け飛ばしていった。  
 
 
体を離し、つかの間の休憩を取ると兄は自分の寝室へと引き上げていく。  
もう私には用はないと去っていく背中がそう言っている。  
私はいつもこうして余韻に浸る肉体を一人ベッドの上で冷えていくのを待つのだ。  
兄が初めて私を抱いたのは半年ぐらい前になる。  
それはあまりにも突然で、そして想像もしていなかった展開だった。  
その時以来、兄が求めるままに体を開くという関係を続けてきた。  
私は気だるげに立ち上がりまだふらつく腰を抱えて浴室に向かった。  
温かいお湯のシャワーを頭から浴びる。どろりとした白濁液が膣口から零れ落ち内股を伝っていくのを感じた。  
兄は子供の頃から変わり者だった。  
頭はよかったけれど人を寄せつけず自ら孤独になることを選んでいた。  
十歳も年の離れた妹なんて兄にとってはうっとうしい存在でしかなかっただろう。暴力こそ振るいはしないが、冷たい態度や時には罵声を食らってばかりいた幼い私は殴られる以上に傷ついた。  
 
それでも懲りず兄の後を追いかけ回していた。父と母はすでに戸籍上の夫婦でしかなく他に頼れる家族がいない寂しさのせいも確かにあったにちがいない。だけどそんな酷い仕打ちをされながら、なぜか兄のことが好きだったのだ。  
私が思春期に差しかかるよりもずっと前に兄は家を出ていった。わかっているのは医者を目指しているということだけで、どこに住んでいるのか、どこの大学に通っているのか、完全に行方知れずとなった。  
何年たっても兄の面影は薄れていくどころか逆に私の心を独占し消えてはくれなかった。  
兄に逢いたい、もう一度──大人になって自立してからも毎日のようにそう願っていたと思う。  
ある日事故に巻き込まれ大勢の怪我人に混じって救急車で運ばれた。夏の暑い一日だった。  
その病院に兄はいた。医者として、私が担ぎ込まれた場所に。  
兄は片目を失っていて眼帯をつけていたけれど、懐かしい面影は一切崩れておらず一目見て気づいた。向こうもすぐ私だとわかったみたいだった。  
幸い何の後遺症も残らず退院できた私は一緒に住みたいと必死で説得した。なかなか兄は頷いてくれなかったが、幾つか条件を出しやっと承知してくれた。  
 
俺に迷惑をかけない、俺が何をしようがいちいち詮索するな口出すな、そいつを守れるのなら置いてやってもいい。  
そんなふうに兄は言った。私はそばにいれるだけで充分だったから何の不服も示さず飲んだ。  
同居を始めて一年が過ぎた頃、兄は病院を辞めた。  
土地を買いそこに小さな診療所を建てた。助手も誰も雇わず兄は独力で再出発の道を拓いた。──“安楽死”専門の医者として。  
その闇の商売はひっそりと世間に知れ渡っていき、難病や全身不随など死にしか救いを見いだせない絶望的な状態の人々から連日依頼が途絶えないまでに発展していった。  
兄は自分のことを“ドクターキリコ”と名乗り、その通称もあっという間に浸透した。人殺しだと蔑む人達からは“死に神の化身”などと呼ばれたりもしている。  
私には安楽死の善悪なんて判断できないし第一口を挟む権利がないのだから何も言葉は出てこない。兄と一緒にいれて、同じ空間で暮らしていること、それさえあれば良かったのだ。本当に。それだけが私の全てだった。兄が極端な人嫌いで、むしろ今は感謝している。  
だって誰にも奪われる不安に狩られずに済むから。  
兄が私を愛していないのはわかっていた。けど私は兄を愛している。  
一方通行でかまわない。兄がいてくれたらそれで私は幸せなのだから。  
 
 
 
なのに、あの女が現れた。  
街で買い物をしていたあの日、女性を連れた兄とたまたま出会った。  
患者だろうと決めつけていた私に兄はいつもと何一つ変わらない口調のまま爆弾を叩き落とした。  
『俺の恋人だ』  
その言葉が冗談ではないことを念押しするかのこどく傍らの女が微笑みながら小さく頷いた。  
家に一人帰りついた私はあらゆる濁った感情を轟かせ、枕を握りしめて泣き続けた。  
兄が人を愛するなんて──。  
女は優しそうで綺麗な顔立ちをしていた。だけど世の中にはもっと優しくて、もっと美人が腐るほどいる。  
どうしてあの女を選んだんだろう。あの女のどこにそんなに惹かれたのか、──なぜ私じゃ駄目だったのか。  
兄は家に戻らない日が多くなっていった。それが一週間近く続いた時には発狂しそうになった。  
夜になると悶々として幾度も布団の中で寝返りを打つ。  
今頃あの女は兄の下で喘いでいるのか──憎悪の嵐の中、私は自分で体をまさぐり始める。  
乳首を摘んで揉みしだき、秘所の割れ目に指の腹をくい込ます。  
しっとりと蜜が染み出てくる。私は下着が汚れるのも厭わず、指を直に潜らせ膣壁に刺激を与えていく。  
 
兄とあの女が激しく絡み合う様を思い描きながら私は頬を紅潮させ慰みのブレーキを外す。欲しい欲しいと泣き喚く蜜園を三本の指で撫でさする。堅く勃ち上がった胸の突起は空気に触れただけでぴりぴりと電流が走った。  
「あっ…」  
声が零れてしまうのをもはや止められない。  
怒りのエネルギーから産み出される興奮は通常のそれとは比べものにならないほど果てしなかった。ずん、ずんと絶えず快楽の波に体を揺さぶられてしまう。  
自らを犯しながら紅く尖った陰豆にも思いきって指を這わす。  
背中が瞬間、宙に浮き、筋肉を突っ張らせた足の先端が陸に打ち上げられた小魚のようにぴくぴくと跳ね回る。  
「にい、さんっ……」  
愛おしい人を無意識の中で呼びそのまま私は昇天へと達した。  
兄の幻に私は抱かれていたのだ。  
粘液に包まれふやけたこの指が兄の性器だったならどんなに嬉しかっただろう。汗が散らばった頬に涙の筋が一つ流れ消えていった。  
 
 
兄と肉体的交渉を持つようになって月日がだいぶ経過した。仕事で外国に行っていった兄が帰宅し私はもちろん喜んだ。ところが恐ろしい悲劇が待っていた。──兄は伝染病を移されていたのである。  
 
兄は診療所にこもりさまざまな治療を試みたものの、どうしても病魔を抹殺する手だてがないと悟ると小屋を所有する離れ小島へ去って自らを隔離してしまった。  
兄は自殺する気なのだ。  
動乱に陥りそうになる精神をかろうじて支え、私はある人のもとへ駆けつけた。ブラックジャック先生。──この人の腕なら兄を救えるかもしれない、唯一残された希望の灯りにしがみつくしか術はなかった。  
私は先生と連れ立ってモーターボートで兄のいる無人島へと急いだ。  
兄はやはり死ぬ決意をしていた。ダイナマイトを用意しておりこの島もろとも爆破させようと企てていたのである。  
最初は頑なに抵抗していた兄だったけれど主症状である激しい腹痛に突然襲われ、床をのた打ち回って悶絶していたところへブラックジャック先生に麻酔を打たれ意識を失った。  
手術は成功した。ブラックジャック先生は見事に病原体を探り当て兄を助けてくれたのだ。  
私は心から先生に感謝した。幾らお礼を言っても足りないほどに。  
目を覚ました兄に駆け寄って涙を流しながら話しかけた。  
「兄さん助かるんだって…よかった、ホントによかった…。ブラックジャック先生にちゃんとお礼言ってよ」  
 
ブラックジャック先生は私とは反対側のベッド脇に移動し、口を開いた。  
「…さてとキリコのだんな、わたしのオペはそれ相当の報酬をいただきますぜ。まあ、よくご存知だとは思いますがね」  
「ようく知ってるさ…で?いくら欲しいんだ」  
「わたしが欲しいのは金じゃない」  
そう言って先生は私を見ると人差し指を一本、前へ突き出した。  
「報酬はおまえさんの妹で支払っていただこう。一晩妹さんをわたしに貸して自由にさせる、これでどうだい?」  
「ああ、…好きにしろ」  
兄の返事が信じられなかった。  
「……嘘」  
吐き出す言葉が震えているのが自分でもわかる。  
「そんな、兄さんどうして…?いやっ、いや、いやよっ!!あたしそんなの絶対いやっ!!ひどいわ兄さんっ!!」  
私がどんなに叫んでも、兄は無言で佇む岩壁みたいに何も答えてはくれなかった。  
 
 
私は結局、兄の意見に従うしかなかった。  
車の助手席に座りながら一言も発さず、うつろな眼差しで兄と横にいる男の会話を思い出している。  
『やはり避妊はしといた方がいいかね?』  
『そんな必要はない。そいつにはピルを飲ませてあるからな』  
『なるほど、では気持ちよく生でやれるというわけだ』  
耳を塞いでその場から逃げ出してしまいたい衝動をあらん限りの力で抑え耐え抜いていた。  
 
ビジネスホテルの一室。──今日の私の寝床となる。  
「こっちに来たらどうだい」  
ソファーに腰かけた男がベッドの端で背中を向けてうつむいた姿勢の私に声をかけてくる。  
もう先生などと二度と呼びたくない。近寄りたくもない。  
「返事ぐらいしたらどうなんだ」  
男の気配がのしかかり身をずらして振り向いた。  
男はよく冷えたペットボトルの紅茶を私の膝の上に置くと、横に並んで缶ビールのクリップに爪をかける。ぷしゅっと炭酸が弾けて開き、それに口をつけ喉を鳴らし飲んでいく。  
「おまえさんも飲めよ。喉渇いただろ?」  
放置したままの紅茶を取り上げ私の手に握らせようとする。  
「やめてちょうだい、いりません!」  
サッと手を遠ざけて私は拒否した。  
「おやおや、ずいぶん気性が激しいんだな」  
男は笑って足を組み、  
「もっとしおらしい女性かと思っていたが…まあその方が虐めがいがあって面白い」  
「…あなたは最低な人だわ」  
握り締めた拳が熱い。  
「ほー、わたしが最低だと?」  
「ええ、そうよ!兄を治したのをエサに無理やりあたしを手に入れるなんて最低以外の何があるというの?尊敬してたのに…見損ないましたわ!」  
「そうかい」  
男は一言呟き、ビールの缶を傾ける。  
 
いきなり唇を押し当てられその隙間から生暖かいアルコールが注ぎ込まれてきた。反射的に逃げようともがいてみても頭をしっかり押さえつけられているから結局されるがままだ。唇が離れると途端にむせて苦しげに咳き込む私。  
「こいつあ失礼。おまえさん酒が苦手なのかい?」  
ひりつく喉をさすりながら涙目になっている私を見て、言葉とはうらはらに男は瞳を輝かせ実に楽しそうである。  
私は黙ったまま睨みつけ汚れた口周りをティッシュで拭う。ビールの滴が零れた肌がべたべたして気持ち悪い。  
私は立ち上がり引き出しにあったバスローブとタオルを掴むとそのまま浴室へ足を進めた。  
軽くシャワーを浴び終え、体の水分を拭き取っていく。  
ふいに開かれたドアに私はハッとなってタオルで身を隠す。傲慢の色をぎらつかせた男が後ろ手にドアを閉め侵入してきた。  
「…出ていって」  
私の忠告に耳も貸さず、タオルを掴んで引き剥がそうとする。  
それを懸命に阻止しつつ私は拒絶の言葉を喚いた。  
「いやっ!やめてっ!何するの、出ていって!今すぐ出ていってよぉっ!」  
強烈な平手打ちが鼓膜に響き、私は短く悲鳴を上げて壁に倒れ込んだ。  
そこだけ別の生き物みたいに叩かれた頬が熱を吐く。男は無理やり私を立たせた。  
 
「…おまえさん自分の立場をわかってるのか?」  
見据えてくる眼光の暗さが私に畏怖を植えつける。  
「わたしは病気を治したお礼としていつも大金をもらう。その金はもうわたしのものだ。…おまえさんは金なんだぞ。どう扱われようがわたしの勝手だ。兄さんを助けた恩を仇にして返すつもりかね?」  
「………」  
男の片手が私の股間に滑り降りる。  
ヒダを抉り奥まで潜った指の感触。肉を引っ掻く柔らかな動きによってジンとした痺れが集まり出す。  
「…素直じゃないな、全く。本当に嫌ならこんなに濡れないだろう」  
嘲るような物言いに恥辱が私の中で噴火する。  
空いた方の手で右の乳房を掴み、そして左の膨らみの先端を口に含んで吸う。  
私は思わず顔を横に背け恍惚で溶けた息を吐き出す。  
「…おまえさんさっき、わたしのことを最低と言ってたな」  
冷たい口調で男が喋る。  
「なら、大事な妹を平気な顔して男に抱かせる兄っていうのも最低じゃないかね。違うか?」  
私は夢から覚めた瞳を目の前の男に向けた。  
「おまえさん、キリコとできてるだろう」  
「……!!」  
「わたしには関係のない話だけどな。…しかし実の兄に体を許すとはね。アンタそれでも自分は最低じゃないって思ってるのかい」  
誠意のない言葉の刃が、ぐさりぐさり、私の心に深々と突き刺さった。  
 
わかってる。  
そんなのわかってる。  
言われなくたって私はわかってる。  
「もっと尻を高く上げろ」  
洗面所の縁に手をかけ、命令通りに腰を掲げてお尻を突き出す。  
おそらく丸見えになっているであろう私の秘唇に男は勃起した肉幹を押し当てた。  
膣口を捲り上げられる感覚の後、一気に男のが入ってきた。荒々しく激しい突き。それに合わせるかのごとく断続的な喘ぎが唾液とともに私の唇を伝う。  
押しつけられた乳首が縁にこすれて気持ちいい。  
男は私の髪を掴んでグッと上体を起こさせたまま、さらに力をこめて腰を小刻みに揺り動かしていく。  
音のこもった室内に反響する、切ない悲鳴。  
兄が残していってくれた痕。  
全部全部、失ってしまった。  
唇も、胸も、何もかも。  
私の体に、もう兄はいない。  
 
 
 
白くぼやけた朝日の中を私は一人歩いている。  
やっと自宅に帰り着き、疲れきった体をベッドに投げた。  
兄はあの小島から街の病院に搬送され、術後の傷が完全に癒着するまで当然ここには戻ってこない。  
「………」  
細目を開け、シーツに半分顔を押しつけるような形で寝転がっている私。  
そろそろと身を起こし、寝室を出てある場所へと足を運ぶ。そこは兄の部屋だった。  
閉めきったカーテンから溢れる日差しが届く範囲だけ、くり抜いたみたいに明るかった。  
 
机の一番上の引き出しを開けて変わらぬ中身を確認する。  
そこには、患者のカルテと写真が一組揃って大切に眠っていた。  
その写真に映っているのは、まぎれもなく兄が恋人と言ったあの女である。  
兄さん──  
私、知ってたのよ。何にも気づいてないふりしてたけど、  
本当は全部知ってたの。  
部屋の掃除をしてて偶然これを見つけたあの日から。  
カルテの最初に書かれた名前は、街で会った時あの女が自己紹介したそれと同じである。  
患者が末期の病に侵されていると判明したのが、記述によれば私とあの女が初めて顔を合わした日から約八ヶ月後。  
そしてその一ヶ月後、患者は死んだ。  
治らないとわかったあの女は兄の手により安楽死を受けた。──私が兄に強姦されたのは、それから三日後のことだった。  
兄さん。  
私はあの女の代わりだったのね。  
愛していた女を失い、寂しさや悲しみを忘れたくて、愛してもいない女で埋めていたのね。  
ひどい人だと思った。──なのに、  
それでも私は兄さんのことを愛しているの。  
愛のないセックスでもよかった。兄さんと繋がっていられるあの一時は、私にとってかけがえのない時間だから。  
 
兄さん。早く元気になって、また私を抱いて。  
許してあげる、みんな受け入れてあげる。だから無くしてしまったこの体に、また兄さんの印を刻んでいって。  
 
嘘でもいいから、兄さんのキスが欲しい。  
 
 
 
 
 
おしまい  
 

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