ポツポツと雨粒が降り落ちてくる中、車を走らせてドクターキリコは丘の上のある一軒家を目指していた。  
(畜生!ブラックジャックの奴め!)  
またしても自分の受け持ちだった患者を例の黒マントの男に横取りされてしまったのである。  
しかも胸糞悪いコトに助かる見込みなどゼロに等しい瀕死の状態だったというのに、奴はまんまと危機から救ったばかりか、何の後遺症も残さない完璧な健康体に形成し直しやがったのだ。  
キリコだっていっぱしの医者だ、そりゃあ死んでしまうより命が繋がった方が嬉しいに決まってる。  
 
しかし依頼を受けたのはあくまで自分なのだ。患者の様態を看て生かすも殺すも全ての権利はキリコに託されている。  
なのにどこから聞きつけたのか知らないがブラックジャックの野郎が勝手にかっさらっていきやがった。  
今までは黙って見過ごしてきたけど、さすがにこう何回もやられてはこちらの商売に支障がきたす。  
(今日こそきっちり文句を言って、ガツンとケリをつけてやらなきゃなあ!)  
車を止め、インターホンも何もない古いタイプの呼び鈴を一押しする。すると「おかえりなちゃーいっ!!」と待ち構えていたかのような早さでドアが開き、キリコは思わず一歩退いた。  
 
「・・・あえ〜?なーんら、ちぇんちぇえかと思ったのに〜」  
花開いた笑みを浮かべていた少女の顔が訪ね人の正体を知り、途端に不満げに頬を膨らませる。  
気を取り直してキリコはいつものあのつかみ所のない柔らかな表情を乗せたまま、静かに言葉を吐いた。  
「やあ、こんばんは。・・・どうやらブラックジャック先生は不在のようだねえ」  
「今晩中には帰るって言ったのにい・・・てかアンタ、こんな時間に一体何の用なのよさ!」  
「ちょっと先生に大切な用があってね、・・・今夜中に戻ってくるってんなら、中で待たしてもらおうかな」  
 
「らめっ!アンタはちぇんちぇえの敵なのよさ。ちぇんちぇえがいない間はピノコがこの家の主らもん、らかやきやいな人は通ちまちぇん!」  
「おやおや、相変わらず口達者なお嬢ちゃんだ」  
「ちゃん、じゃないっ!さんっ!」  
「いいかい、お嬢ちゃん。もしここで俺を追い返すってんなら、君の大事な大事なブラックジャック先生に災いが降りかかること間違いなしになるんだがねえ・・・それでもいいってんなら、邪魔者は退散するがね」  
「う、ちょ・・・そんなのうちょらもんっ!」  
 
「ふっ・・・信じる信じないはお嬢ちゃんの自由さ。・・・だがこれだけは言っておいてやろう、君が思ってるほど俺はしょうもない力の持ち主じゃあないぜ」  
すすり泣く闇空をバックに不気味に笑ってみせるキリコに、ピノコは幼いながらも本能的に従う道が賢明だと悟った。  
この男の言葉や態度は嘘でもはったりでもない。優しく淡々とした仮面の裏に、身震いするような狂気を隠し持っている。  
「・・・どうじょ」  
「では遠慮なく、お邪魔するよ」  
キリコがスルリと横を通り抜け室内に進入していく。  
「・・・・・」  
ピノコはうつむき加減でドアを閉めた。  
 
テレビの天気予報によると雨は明日の朝まで降り続けるらしかった。  
コートを脱ぎ、シャツとズボン姿でリラックスしているキリコの前にピノコはお茶の入った湯呑みを置いた。  
「こいつあ、ありがたい。気がきくねえ、お嬢ちゃん」  
ピノコは“お嬢ちゃん”に対する突っ込みも指さず、ソファーに座りキリコとの距離を意識して開けていた。  
玄関先での脅しはともかくとして、今のキリコは非常に礼儀正しく椅子に腰を落ち着けてピノコが入れた茶を美味そうに啜っている。無茶な命令や暴力を働く気配など一切しない。  
 
なのに得体の知れない不安がぞわぞわとピノコの体内を這い巡る。  
この嫌な予感は一体何者なんだろう?そういえば、この怪しい医者と二人っきりになるのはこれが初めてだ──  
「お嬢ちゃん、悪いが風呂を借りてもいいかね?」  
急に声をかけられ、ピノコはあからさまに狼狽する。  
「少し雨に濡れて気持ち悪いんでね。無理ならタオルを貸してくれないかな」  
「お風呂・・・沸かちてないけろ、シャワーでいいんなら別に使っていいのよさ・・・」  
「そうかい、ありがとう。じゃ、風呂場に案内してくれるかい?」  
ピノコは先に立って、キリコを浴室に連れて行った。  
 
「タオルとか着替えはピノコが全部用意ちとくから、出たら使ってね」  
「はいはい。というかお嬢ちゃん、君も風呂まだなんだろう?一緒に入るかい?」  
キリコの一言に、ピノコの顔が一瞬で朱に染まる。  
「えっち!!ヘンタイッ!!ちゅけべっ!!18たいのレレイが旦那様以外の男の人に裸なんか見せちゃいけないんやからあっ!!」  
「ははは、そりゃあ失礼」  
怒りながら去っていくピノコにキリコは緩やかな笑声を贈りつつも、瞳は密かにふわふわとしたスカートから覗く白い生足を掴んでいた。  
 
キリコの性的対象は実に年齢層が幅広い。下は三歳の幼児から上は七十代の老婆まで喰いぶちには全く困らない有り様なのだ。  
好みの条件として美形であるのがむろん望ましいが、それよりも小生意気で猫のように手に負えないやんちゃな気性の女がたまらなくストライクゾーンなのである。  
これまで何度か面識があったというのに、ブラックジャックの影となってちっとも気づかなかった。容姿、表情、振る舞い、性格──そう、ピノコはキリコのタイプそのものだったのだ。  
(ふふん・・・こいつあ楽しくなりそうだ)  
 
にやにやしながら衣服を脱ぎ捨てていくキリコ。と、ボクサーパンツに手がかかり動作が止まる。  
(おっと・・・)  
股の中心のみがぶ厚く灰色の生地を押し上げている。キリコはポンポンとソレを叩き、  
(気持ちはわかるがな。ま、もうちょっとの辛抱だ)  
 
 
 
時計は11時半を回っていた。お堅いニュース番組も終わり、夜のバラエティに移行していく時間である。  
ピノコはソファーにジッと身を預け、時計と電話の双方に視線をやり取りしていた。  
(ちぇんちぇえの馬鹿あっ・・・帰れないなら帰れないで、電話ぐやいくれたっていいのに・・・)  
 
すっかり拗ねてしまい、腹ばいになって足をバタバタさせていると、  
「お風呂ありがとうね」  
突然声をかけられてびっくりし、とっさに振り向いてしまったピノコは──  
一瞬の硬直状態。そしてバッと我に返ると、  
「やああっ!!!」  
と悲鳴を上げて両手で顔を覆った。  
なんとキリコは、タオルで体の水分は拭ってはいたが、上から下まで何も身につけていない全裸でその場に立ちつくしていたのである。  
ピノコは決して見ないように頭を垂れたまま、何とかキリコに説教する。  
「ピ、ピノコちゃんと着替え、タオルと一緒に置いてたのよさっ!ちゃいていっ!早く着替えなちゃいっ!」  
 
強気な姿勢を崩すまいとしてはいるが、その実激しい動揺で声が震えている。そんなピノコの態度にキリコは大いに満足していた。  
「いやあ、すまなかった。ちゃんと服を着てくるよ」  
悠々とした足取りでキリコは再び風呂場へ姿を消した。  
ピノコの体の震えはなかなか治まらなかった。やっぱり正体がわからない、──けど確かに恐ろしい何かが彼女に吸い付き離れようとはしない。  
ピノコはチラッと時計に目をやった。もうすぐで12時だ。  
(ちぇんちぇえ・・・ピノコ怖いよ・・・あの人が、怖くて怖くて我慢できないのよさ・・・!お願いちぇんちぇえー・・・早く、早く帰ってきてえ・・・)  
 
ピノコは入浴中の間、ずっと神経を張りつめていた。いきなりドアが開き、素裸の彼女にあの男が襲いかかってくる──なんの根拠もないというのに、その悪夢は鮮明になるばかりで消えてはくれなかった。  
風呂から上がっても着替えを覗かれるんじゃないかとビクビクしっぱなしだったため、結局何事もなく済んだピノコにとって安堵よりも疲弊の方が大きかった。  
 
雨は強さを増してきたらしく、窓枠を打ちつける音がかすかに痛々しい。  
さすがに手術用のベッドに寝かすわけにはいかないので、仕方なくブラックジャック用のベッドをキリコに提供した。つまりピノコの寝床とは隣り同士ということになる。  
 
「この雨だし、どうやら先生は今日中に戻ってこれないようだな」  
「・・・・・」  
ピノコは隙間なくひっついているベッドとベッドを引き離したくて仕方なかった。もちろん非力な少女の力では叶うはずもない。  
「まあ、それほど急ぎの用というわけでもないし。今夜は久しぶりに可愛らしいパートナーを横にして寝れるんだからな・・・少しは感謝といったところか」  
そう言ってキリコは、幼い少女の柔らかな髪を二、三回撫でた。  
ピノコはビクッと男の手を振りほどく。心臓が怖いくらいに早く打っている。  
「・・・ピノコに触やないでっ・・・!」  
 
「おやおや」  
キリコは全く動じた様子もなく、薄ら笑いすら浮かべてピノコを見下ろしている。  
ピノコは睨みつけた後サッと目をそらし、自分のベッドに潜り込もうとしたが、ふと思い立って何かを取りに寝室を出た。  
戻ってきた彼女の腕の中には茶目っ気のある女の子の顔をした丸っこい人形が抱えられていた。以前、ブラックジャックがオペのためメキシコに行った時のお土産で、ピノコの一番の宝物なのである。  
「いつもそれを抱いて眠ってるのかい?」  
キリコの質問に答えず、ピノコは背中を向けて布団をかぶった。  
 
ブラックジャックがいなくて寂しい夜、ピノコはこんな風にこの人形を抱きしめ孤独を忘れようとしてきた。  
そうすると、まるで先生に抱擁されているかのような暖かい錯覚に包まれ、いつの間にか安らかな眠りにつくことができるのだ。  
今夜もちぇんちぇえの夢を見ながら、ピノコは寝るんら。  
そちて目が覚めたら、本物のちぇんちぇえが笑顔でピノコを起こちてくれるのよさ・・・・・  
 
 
 
穏やかな夢の世界から現実へ揺り戻されたとき、初めは何をされてるのかさっぱりわからなかった。まず、曲げたり伸ばしたりしてみた指に人形の感触が見当たらない。  
 
それから、徐々に覚醒してきた素肌に、熱く湿った何かが滑っていく・・・。  
意味のわからない恐怖がピノコの意識をはっきりと叩き起こした。  
自分の幼い裸体の上でうごめく、髪の長い男。片目には眼帯をし、頬は削げて痩せている。  
男が顔を上げた。目が合うと──にやりと笑った。男はまぎれもなく、ドクターキリコであった。  
「・・・なに・・・?・・・なにやってゆの・・・?」  
「お目覚めかい、“ピノコ”ちゃん」  
茫然としているピノコの唇をキリコが吸った。  
「んっ・・・!!んーっ!んーっ!」  
ピノコは必死で離れようともがくものの、虚しいほどに接着したままである。  
 
拷問はさらに酷くなった。男の熱っぽい舌が無理やり侵入してきて、ピノコの口の中を自在に犯し始めたのだ。  
「・・・!!」  
唇と唇の接触だけなら、まだ許せた。自由は奪われていても、まだ自分を奪われてはいないから。  
だけどこれはもう、完全にピノコの敗北であった。歯列をなぞられ、頬の肉を撫で上げられ、唾液を舌に練り込められるなんて、『汚された』という感情以外、何も、何も残らない。  
(ピノコ、汚い・・・)こんな口で、もう先生とキスなんかできない。──永遠に。ピノコの大きな瞳が潤んだかと思うと、涙の粒となって流れ落ちた。  
 
ピノコが泣いているのに気づいたキリコは唇を離した。キュパッ、とだらしない粘膜の音が弾け、透明の糸が伝い途切れた。  
「・・・なんでピノコにこんなことすゆの・・・?」  
ぼやけた視界に映るキリコの表情は全く読み取れなかった。  
「ピノコの人形は・・・?ピノコなんで裸なの?なんでピノコを汚すのっ?・・・だいっきやいっ!!出ていって!!」  
絶望から派生した怒りに、幼い喉はヒリヒリと痛んだ。  
何度かまばたきしギュウッと目をつぶり、そうする内に何とかはっきり景色が見えるようになった。キリコの表情を目の当たりにしたピノコは、ショックで腹立ちすらかき消えてしまった。  
 
信じられなかった、──キリコは笑っていた。  
まるでピノコの怒のエネルギーを丸ごと吸収し、真逆の力に変えて活用しているかのごとく、彼は心底嬉しそうに笑みを広げているのである。  
「泣き顔、最高に可愛いねえ〜。・・・ククク、気に入った。今夜は一晩中、虐めて虐めて虐めまくってやるよ。どんな鳴き声をするのか、どんな風にして悶えるのか、こりゃあ楽しみだぜ・・・」  
それがキリコの、本当の“豹変”の合図であった。  
「・・・あっ・・・!!」  
ピノコの小さな体がビクンッと反応した。  
胸の突起、皮に守られた未熟な陰豆、閉じた割れ目──この三点を同時に攻められたのだからたまらない。  
 
桃色の乳首をぐりぐりと弄ばれ、右手の親指と人差し指が同時にクリトリスと秘裂の入り口にちょっかいを出す。  
「やだあーっ!!やだっ!やめてえーっ!!」今触られている箇所は普段、服や下着の内にしまい込み、決して軽々しく人に──ましてや男性にさらすべき場所ではないはずだ。  
それなのにこんなにもあっさりと、見られているだけでなく好き勝手に触られているなんて…。しかも何の愛情もない、こんな最低な安楽死医者に…!!  
「ククク、いい声だ…。思う存分、鳴きなさい。…だが俺はやめる気なんかないね。こんな雨の夜にこんなボロ屋を訪ねてくる奴なんざ、ま、いないだろうな」  
 
キリコの言葉は決定的な逃げ道の皆無の告知となり、ピノコをどす黒い暗闇に突き落とした。  
一見病的に痩せているとはいえ、所詮は大人と無力な幼女。いかに隙を突こうが、男の下から脱出することなど不可能でしかない。  
万が一、逃げれたところでこの狭い家屋内ではすぐに捕まってしまい、再び淫行の犠牲になるのが目に見えている。  
「やだ…やだ…」  
か細く震えながら、涙目でキリコに哀願する。  
「ピノコおとなちくちてゆから…いい子にちゅゆから…だかや、変なコトちないで…」  
 
「…ほお。変なコトとやらは」  
キリコの両眼が怪しく歪み、  
「…こうゆうことかい?」  
そう言うや否や、唾液まみれの舌で胸の先端の果実をベロンと舐め上げ、指を一本、窮屈な膣内に潜り込ませた。  
「ふあぁっ…!!」  
全く未体験な刺激に、ピノコの口から初めて性的な匂いを響かせた喘ぎが飛び出す。  
「おや…?おかしいな、ピノコちゃん。あれほど変なことをされるのを嫌がっていたわりに、随分嬉しそうな声を上げるじゃないか」  
「違っ…嬉ちくなんか…んっ!!やはぁっ…」  
必死で言い訳する暇も与えてもらえず、乳首を音をたててチュパチュパと吸われる。  
 
「ふうんっ…、あんっ、あぅっ、ふあっ…!」  
感じてしまうということはこの男に勝ちを譲る苦痛の結果にしかならないのに、もはやピノコの理性は効かず目をつぶって昇りつめてくる快楽に身をよじらせていた。  
キリコは口に含んだ果実を熟成させつつ、指のスピードを徐々に増して出し入れし、時には中で軽く曲げたりなどして蜜園への奉仕も手を抜かなかった。  
「ピノコちゃん、君は随分とまた、口と体で言ってることが違うねえ〜」  
キリコはニヤッと笑って先ほどまで虐めていた乳首をピンと弾く。「んっ…!」ピノコの唇から漏れ出る切ない吐息。  
 
「口ではやめてやめてばっかり言ってたくせに、ほら、どうだいこの可愛らしい乳首…コリコリに勃起して簡単に摘めるじゃないか」  
言葉通りのことをされ、「やぅっ!!」と幼い少女は甘美な悲鳴を上げた。  
「それにこれは一体なんなのかね?」  
サッと突き出された指を目にして、ピノコは恥ずかしさのあまり真っ赤になった。  
「最初の内は俺の侵入を拒んでいたくせに、ちょっと慣れたらこれだ。…君のいやらしい蜜で、指がぐちょぐちょになってしまったよ。よ〜くわかるだろう?」  
キリコが指の角度を変えるたび、乏しい豆電球の明かりの下でもネラネラと愛液は潤んでいた。  
 
「本当にやらしい娘だ。ピノコちゃんは変態だね」  
キリコの蔑むような口調に、ピノコは何も言い返すことができなかった。  
(…ちぇんちぇえっ…)  
たまらなく、愛おしい人に逢いたい欲望が噴き出す。  
(ちぇんちぇえ…どうちて帰ってこないの?ピノコ、いっぱいいっぱい、酷いことさえてるんらよ…)  
キリコは手を伸ばすと、ベッドサイドにあるスタンドライトをつけた。橙色の光の帯がパッと広がり、眩しさにピノコは目を背ける。  
「これでようく、見えるようになったな」  
そう言うとキリコはガバッと前面に体を倒してきて、幼い少女を威圧しながら静かに囁いた。  
「…フィニッシュといこうか」  
 
“フィニッシュ”の意味するものが何なのか、当然ピノコにわかるはずもない。だが、ゾッとするような男の態度から察して、まだこれ以上に淫酷な行為が控えているのだということは容易に想像できた。  
キリコはズボンのチャックを引き下ろし、すでに充分準備の整った男根を露出させた。  
「…なにちゅゆの…!?」  
ピノコは過去に二回ほど誤ってトイレのドアを開け、ブラックジャックの性器を見てしまったことがある。だから勘違いして、キリコに小便をかけられると思い込んでいるのだ。  
 
しかし、男の取った行動は幼い少女の予想とは遙かに異なっていた。  
「あっ…やあっ!!」  
突然両脇を掴まれたかと思った瞬間、ぐるりと体を反転させられピノコはうつ伏せの状態となった。  
「…いやあーっ!!」  
キリコは小さなお尻を抱え上げた。  
「ククク、こりゃあいい…ピノコちゃんのいやらしい所が全部丸見えだ。」  
 
「…蜜でぬちゃぬちゃに光ってる穴、パクパク動いてまだ欲しがってやがる。皮かぶりだっていうのに生意気に、クリトリスも真っ赤になって膨らんでるよ。…お尻の穴も綺麗だねえ〜、シワが規則正しく円を描いてキュッと口をすぼめてる」  
「や、らっ…やらぁっ!!見ないでーっ!!」  
キリコの容赦ない言葉攻めと、割れ目どころかアナルまで確認されてしまった屈辱に、ピノコは泣き出してしまった。  
「…もうっ、やめてえ…」  
しゃくり上げるたび、膣も連鎖してピクッピクッと痙攣している。  
 
キリコのサディスティックな感情がついに頂点に達した。  
あの、こまっしゃくれで大人を小馬鹿にした偉そうな口を叩いていた小娘が、泣きじゃくって怯えている──  
最高の舞台の完成だ。そうとなれば、もはや一分一秒とて我慢している意味などなくなった、後はぶち込むだけである。  
「…いろいろ、酷いことしてすまなかったね」  
キリコはいきり立った肉棒の先端をピタリとピノコの陰唇に押し当てた。  
腰を振り、愛液を塗りつける。  
「…なに…ちてゆの…?」  
「なあに、…すぐ済むさ」  
言い終わったとほぼ同時に、男根がメキッと膣口を裂いた。  
 
「あっ…!?いっ、いああーっ!!」  
下半身を抉られるような激痛にピノコは発作的に絶叫した。濡らして迎え入れやすくしていたとはいえ、やはり幼すぎる処女壺には大人の陰茎は負担が大きすぎた。  
それでもキリコは躊躇するどころか、顔色一つ変えずゴツゴツと肉棒を押し入れていく。  
「うああぁーっ!!!いたい!!いたいっ!!やめてっ、やめてえぇーっ!!!」  
ピノコは全身をガクガクと震わし、顔は涙、唾液、汗でぐしょぐしょである。  
時間はかかったものの、とうとう膣内に男根が完全に吸収された。幼い少女の懇願など聞く耳持たず、キリコは無慈悲にピストンを繰り返す。  
 
「んあっ、うくっ…、ふうぅんっ…!!」  
「ククッ…いい眺めだよ〜ピノコちゃん。苦しそうだねえ、どんな気分だい?子宮を男のチンポに突かれるっていうのは」  
「……」  
もはやピノコには、キリコの意地悪な質問に言い返す気勢も余裕も消失していた。──ただただ、この地獄が早く終わりますようにと、ひたすら耐えることで精一杯だったのだ。  
(おっと…そろそろヤバイな)  
射精の気配を感じたキリコは、少女の細い両腕を握って引き寄せ、一気に腰の動きを速めた。  
「ふあっ!!あっ、んっ、んんっ、あんっ…!!」  
 
上半身が反り返った格好でバックから荒々しく打ちつけられている。グチュッ、クチャッと、淫猥なメロディの接合音。ピノコは段々と、痛み以外の何か痺れるような感触が芽生えてきたことにぼんやりとした思考の中、気がついた。  
(…イクッ!)  
男の膣壁をこするスピードが最速になった。ピノコは敏感に反応する。  
「…あっ、あっ、はあんっ、んっ、あっ!あぁんーっ!!」  
体内に熱い液体が注ぎ込まれた。  
キリコは全てを出し切ると、満足して大人しくなった息子を抜き取った。ぽっかりと口を開けた女陰から血や精液や愛液が混じり合ったモノが股間を伝いトロトロと落ちていく。  
 
ピノコはぐったりと身を横たえ、肩で息をし自然に呼吸が元に戻るのに任せた。キリコは流れてくる汗を腕で乱雑に拭い、ベッド脇に置かれた目覚まし時計が示す時刻を捉えると、ひっそりほくそ笑んだ。  
(後、余裕で一発はヤレるな。いや、上手くいけば二発は喰えるか…)  
雨は相変わらず止む様子もなく降り続いている。  
 
 
 
朝を迎えた空はどんよりと憂鬱な曇りを抱えてはいたけど、とりあえずは傘の心配は無用である。  
キリコは爽快な面持ちで車に乗り、エンジンを切って丘を下っていった。  
 
 
 
ブラックジャックと話をするのはまた今度でいい。どうせ死を望む患者はゴロゴロといるのだから。それよりも奴に、これ以上はない報復を喰らわしてやった。──奴が実の娘のように慈しんでいるかけがえのない存在を俺様が犯しまくってやったんだ!こんな愉快な復讐法はないぜ。  
「ククッ…ふは、はーははははっ!」  
キリコの歪んだ高笑いも、やがて車の姿と共に消えていった。  
 
 
 
『俺が君を強姦した犯人だとばらしたら…先生の命が危なくなるのは充分承知しているね?』  
散々ピノコを弄んだ後、キリコは優しい表情でそう脅しをかけてきた。  
 
『……』  
悔しさで体中がはちきれそうだった。  
この男は、本物の死に神だ。真相を告げたが最後、間違いなく先生は標的にされてしまう。  
ピノコの頭を軽くポンポンと叩くと、キリコはコートをひっつかみ肩に回して、捨て台詞を残して出て行った。  
『…また機会があれば。な、“お嬢”ちゃん』  
 
 
 
床に放り投げられていた人形をソッと拾い上げ、ギュウッと頬をくっつける。  
「…全部、夢らったら…いいのにね」  
長い長い、とても嫌な夢だったのなら──  
けれどずっしりと重い疲労と、下腹部の鈍痛や熱が、残酷なほどに現実だと教えている。  
ピノコは人形に顔を押しつけ泣いた。  
人形の目の部分に滴が垂れ落ち、まるで一緒に泣いてるみたいだった。  
 

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