満月の夜、時計はすでに1時を過ぎている。
「リンスちゃん疲れたろ?俺んトコ泊まってけよ。」
そういって来たのはジェノスだった。
確かに疲れてたし、今からホテルをとるのも面倒だった。
「・・ありがと。」
車で15分程のところで近いから、と言う理由で納得したのだった。
でも相手がジェノスだとなんだか不本意な気持ちになる。
しかし、ジェノスの泊まっているホテルまで来てしまった後では時間帯の面でも近くにホテルが無いことからも戻るのは不可だろう。
ジェノスの泊まっているホテルは意外清潔で広かった。
「・・へぇ。意外と片付いてんじゃん。」
「意外って、ひどいでやんすよ!これでも俺は几帳面なんだから。」
「それは絶対嘘。」
いつものようにオチャラけた様子で振舞う。
「シャワー借りていい?」
「もちろん。」
薄いカーテンだけで仕切られたシャワールーム。
シャワーを浴びているときもきっと外からシルエットが丸見えだろう。
せめてユニットバスがよかったけど・・。
そんなことを思いながら汗を流す。
「あ〜、気持ちイ〜。」
シャワーというものはどうしてこうも気持ちいいんだか。
そうしてるとカーテンの外から近寄ってくるジェノスのシルエットが見える。
「なによ??」
「一緒にどう?」
はぁ!?一緒に???
「嫌よ!あたりまえでしょ??」
「素直になれないとこもリンスちゃんのいいところでやんすよ〜?」
そういうと外から服を脱ぐ音が聞こえる。
ジェノスといっしょに泊まるって時点で不安にはなってたけど・・!
ほんと不覚ってヤツである。
「嫌だってば!!!!」
私の言葉には耳を貸す気もないらしい。
お世辞にも広いとはいえないシャワールームで抵抗するのは無理に等しいだろう。
そうこうしてると、全裸になったジェノスがシャワールームのカーテンを開けようとする。
「ダメだって!」
カーテンを抑えてもかなう訳も無く、やすやすと開けられてしまう。
私は身体を隠すタオルを身に付ける暇さえなかったので、それと同時にジェノスに背を向ける。
すると、ジェノスが鼻で笑う。
「なによ??」
背を向けたまま、反抗するように言う。
するとジェノスの太い腕が私を肩を包み、そして耳元でささやくように言う。
「俺をその気にさせといて、なにもなしに済むと思ってるんでやんすか?」
「なんのことよ??」
「わかってるんだろ?」
そういうと横を向いた私の唇と強引に唇を交える。